「ポケモン言語学」の提唱者・川原繁人氏による著書『言語学者、外の世界へ羽ばたく』発売開始。ポケモンの名前と姿との相関関係を分析したユニークな研究内容などを振り返る

 言語学者の川原繁人氏による著書『言語学者、外の世界へ羽ばたく〜ラッパー・声優・歌手とのコラボからプリキュア・ポケモン名の分析まで〜』が4月28日(木)、教養検定会議より発売された。

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(画像は版元ドットコム『言語学者、外の世界へ羽ばたく~ラッパー・声優・歌手とのコラボからプリキュア・ポケモン名の分析まで~』より)

 音声学・音韻論・一般言語学を専門とし、慶應義塾大学言語文化研究所の教授として務める川原氏は、『ポケットモンスター』(以下、ポケモン)シリーズにおけるポケモンの名前の付け方のパターンを分析した「ポケモン言語学(Pokémonastics)」の提唱者としても知られる。

 本書では同学問の実践をはじめ、ラッパーや声優を招いての授業、『プリキュア』シリーズの歴代戦士の名前の分析といった身近で親しみやすい題材を通じて、言語研究の新たな地平を切り開いてきた著者のこれまでの活動が12の章によって語られる。

 各章の目次については以下のとおり。

第1章 制約は創造の母である
第2章 学問を通してコロナ禍で人の役に立つ
第3章 音声学的知見から似非科学に立ち向かう
第4章 教養としてのヒップホップ
第5章 日本語ラップを大学教育で扱う
第6章 声優さんたちと音声学の可能性を探る
第7章 幸せの認知科学を勉強する
第8章 ポケモン言語学を振り返る
第9章 言語学における再現性の危機
第10章 プリキュアで学ぶブートストラップ入門
第11章 ポケモンで学ぶランダムフォレスト入門
第12章 言語学は、あなたのお役に立てますか?

 「ポケモン言語学」を始めるきっかけとなったのは、学生たちとの会話だったと川原氏はいう。音の意味研究のひとつして「濁点」が持つ働きに注目していた同氏は、本稿執筆時点で900種を超えるポケモンたちのネーミングを分析対象とすることで、各個体の名前と高さや重さ、強さとの相関関係を統計的にあぶり出そうと試みた。

 実際に各要素をデータ化し検証を行ったところ各個体の高さと重さが増すにつれ、ポケモンの名前の文字数と含まれる濁点の数も増える傾向が明らかとなった。また学生からの指摘を受けポケモンの進化名と濁点の関係についても分析すると、「ゴース」「ゲンガー」となるように、進化後の名前により多くの濁点が含まれる傾向も判明したとのことだ。

 こうした研究は日本語でのポケモン名のみならず、英語や中国語、ロシア語といった多言語への広がりも見せている。2018年には第一回目となる「ポケモン言語学」の国際学会も慶応義塾大学で開催された。

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(画像は第一回「Pokémonastics」公式サイトより)

 川原氏の著書は5月21日(土)にはエッセイ集『フリースタイル言語学』、5月26日(木)には言語発達をテーマにした『音声学者、娘とことばの不思議に飛び込む 〜プリチュワからカピチュウ、おっけーぐるぐるまで〜』と、いずれも異なる出版社からの発売も控えている。

 『言語学者、外の世界へ羽ばたく〜ラッパー・声優・歌手とのコラボからプリキュア・ポケモン名の分析まで〜』は、全国の書店およびオンラインストアにて1100円(税込)で発売中だ。

ライター
フリーランスの翻訳者を経て、2021年より編集アシスタントとして加入。京都の町屋で猫と暮らす。
Twitter:@dashimaruJP
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