捨てられていたニンテンドーDS用ソフト『nintendogs(ニンテンドッグス)』のカードを拾い、データの復旧に挑んだ男性がTikTokで話題となっている。投稿された3本の動画の総再生数は100万回を超えており、一連の保護活動の模様に多くの注目が集まった形だ。
「bennypvideo」のユーザー名義で5000人以上のフォロワーを持つイギリス在住のBen Pollard氏は4月29日(金)、発端となる1本目の動画を公開。乗客がほとんどいない深夜の電車内の座席の下に、Pollard氏は黒く小さな物体が落ちているのを発見する。
@ben.m0v what do I do now? #animalrescue #fypシ #lostgame #nintendogs #nintendo #dogowners #fyp this is an edited version of the original sent to my group chat
♬ original sound – ben.m0v
気になった氏が近寄り手に取ってみると、それは2005年に発売されたイヌ育成ゲーム『ニンテンドッグス』のカードであるのが判明。埃にまみれたソフト本体のラベルは無残にも剥がれかけ、表面には細かな傷がいくつも付いた痛ましい姿となっていた。
「なんてかわいそうな子だろう」とカードが経てきた境遇に思いを馳せ、さすりながらいたわりの言葉をかけるPollard氏。どうやら連れて帰ることを決意したようで、翌日には2本目の動画を投稿し自宅へと撮影の場を移している。
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飼っているネコにあいさつを済ませたのち、同氏は所持していたニンテンドーDS Liteへとカードを挿入しゲームの再生を試みる。だが端子部にこびりついた汚れのためか、ソフトは読み込めなかった。
そこで何とか『ニンテンドッグス』のデータを元に戻したいと願う氏が取った行動は、インターネットでの検索。「アルコールを使って端子部を拭くといいらしい」【※】との情報を得た同氏は、自宅にあったマニキュア用の除光液を用いての復旧作業へ取りかかる。
※公式に推奨されている方法ではないため注意されたい。
最寄りの店舗で買い求めた綿棒に除光液を染み込ませ、ゆっくりとやさしく汚れを取り除いていくPollard氏。見た目にはほぼ変化がなかったものの、仕上げにそっと息を吹きかけ祈りながら再度カードを差し込んでみると、幸運にも『ニンテンドッグス』のタイトル名が液晶画面に表示され氏の喜びの声があがった。
@ben.m0v this is not how I saw this going #animalrescue #dogsofttiktok #fyp #nintendo #gamer
♬ original sound – ben.m0v
そのさらに2日後、待ち焦がれた対面の瞬間を映した動画がアップされる。ゲーム本編を起動すると、そこには2匹のかわいい子イヌたちの姿があった。「Enzo」と名付けられたラブラドール犬と、柴犬の「tyson」だ。
寄り添う2匹の様子を見つめ「もう心配しなくて大丈夫だよ」と話しかけるPollard氏。ドッグフードを与えてひと安心したところで、記録されたデータをのぞいてみると元の飼い主は「sean」という名前であったことが明らかとなる。
さらに、seanがtysonと過ごした時間はわずか「4分」であった事実も判明しショックを覚えるも、同氏は子イヌたちの体を洗ってきれいにしたり一緒に遊んだりしながら絆を深めていく。
だが果たして本当に2匹は“捨てられた”のか、単に「迷子になっていた」だけではないのかと飼い主のseanについて考え出すPollard氏。さらには子イヌたちが望む世話を自分が務め上げられるだろうかと、家に迎えるにあたって急に不安を抱き始めたようだ。
そうした矢先、今度はカードが再び認識されなくなるトラブルが発生。焦る気持ちを抑えながらソフトを挿入し直したところ、無事にEnzoとtysonとの再会が叶う。2匹の将来を思うがあまり「飼い主の名前を自分のものに書き換えようか」と一瞬魔が差したPollard氏だったが、「こんなことはよくない」と良心をもって踏みとどまり、動画は大団円となった。
偶然の出会いから心温まる交流へと発展した今回のエピソードは、海外のウェブメディア「Nintendo Life」でも紹介されている。同誌の取材によるとPollard氏は「元の飼い主へと子イヌたちを届けてあげたい」と話しており、執筆者はこれに協力する形で記事を通じた情報提供を募っている。