いま読まれている記事

『Dark and Darker』開発元に韓国警察が家宅捜索を実施。ネクソンによるコード・アセット流用の訴えを受けて2021年8月から捜査を継続中

article-thumbnail-230308p

 韓国を拠点にダンジョン探索アクションゲーム『Dark and Darker』を開発するIRONMACEは現地時間3月7日(火)、韓国警察による家宅捜索を受けた。 韓国の大手ゲームメディアInvenをはじめとする海外メディアが報じている。

『Dark and Darker』開発元に韓国警察が家宅捜索を実施_001
『Dark and Darker』開発元に韓国警察が家宅捜索を実施_002

  中世風のファンタジー世界を舞台にした『Dark and Darker』は、ほの暗いダンジョンで金品や装備を集め、ゴブリンやミイラなどの敵、そしてほかのプレイヤーによる襲撃を避けつつ生還を目指す作品である。探索中に倒されたプレイヤーは手に入れた装備とアイテムをすべて失うほか、扉の開閉をはじめとするさまざまなアクションには無防備となる詠唱時間が存在するため、慎重かつ大胆な行動の組み立てと丁寧な索敵が必要となる。

 また、作中ではスキルにおける使用回数の制限や一定時間ごとに行動可能なエリアが狭くなる要素も含まれており、近年の人気サブジャンルである「バトルロイヤル」や「ローグライト」をうまく取りまとめたゲーム体験から注目を集めている。

『Dark and Darker』開発元に韓国警察が家宅捜索を実施_003
(画像はSteam『Dark and Darker』より)

 一方、韓国ネクソンは、本作について開発中止になった作品『Project P3』の「アセットと素材を流用している」と訴えている。報道によると、韓国ネクソンは『Project P3』で開発リーダーを務めていたA氏がソースコードやテスト用のビルドなど「作品に関する数千個のファイルを個人所有の外部サーバーへ無断で持ち出し、同プロジェクトのメンバー全員に外部投資や集団退職の提案を持ちかけた」形跡を確認。2021年7月に内部調査を開始し、結果的にA氏を懲戒解雇したという。

 内部調査のなかで韓国ネクソンはデータの盗用を防ぐため外部サーバーの提出を要求したが、当時のA氏は「サーバーの内部データをワイプ(回復不能な状態まで削除)した」と主張し拒否していた。本件に関して、韓国ネクソンは不正競争防止法への違反や特定経済犯罪の加重処罰等に関する違反の容疑で2021年8月にA氏を刑事告訴しており、韓国警察による捜査が進んでいる。

『Project P3』のスクリーンショット
『Project P3』のスクリーンショット
(画像はProject P3 mobile android iOS pre-register-TapTapより)

 韓国ネクソン側の主張によるとA氏が懲戒解雇された後、同社で企画部長を務めていたIRONMACE代表取締役のPark Terence Seung-ha氏を含む10人以上の『Project P3』関連スタッフが退社し、現在IRONMACEで勤務しているという。

 韓国ネクソンの法務チームは、IRONMACEが設立された2021年10月からわずか10ヶ月後の2022年8月に『Dark and Darker』のアルファテストが実施された点を指摘。また、作品のコンセプトである中世ファンタジーの世界設定や対人戦にモンスターの介入を加えた“PvPvE”の要素、戦闘システムやUIデザインなどほぼすべての点が『Project P3』に似ている点から「独立して開発された作品とはいえない」と主張している。

『Dark and Darker』開発元に韓国警察が家宅捜索を実施_004
(画像はSteam『Dark and Darker』より)

 今回の家宅捜索を受けて、韓国ネクソンの法務チームは「元同僚の非常識的な行為によって該当プロジェクトは光を見ることができず、それにもかかわらずまだ社内で黙々と働いている元P3チームメンバーが感じている心の傷と怒りは計りしれない」と被害を強調。あわせて「未然に防止できなかったことについて、元P3チームメンバーとすべての役職員へ深くお詫びしたい」と社内の関係者へ陳謝している。

 加えて、今後について「捜査の進展状況を見守りながら、A氏だけでなくプロジェクト情報の漏えいに関与するすべての人物と法人に対して、国内外を問わず最後まで厳重な責任を追及していく」と伝えた。

 上記の件に関してIRONMACE側は2023年2月、『Dark and Darker』の公式Discordサーバー上で「(『Project P3』の)アセットやコードは全く使用していない」と言及。ゼロベースから構築したコードとUnreal Engineマーケットプレイスで購入したアセットを中心に制作しており、それ以外のアセットやゲームデザインに関する資料も外部機関の監査を受けた社内制作のものであると主張している。

 同社はA氏の訴訟についても「別の個人的な問題だ」としており、今後の動きについては「必要なら防衛する準備はできているが、それよりも我々は自分たちの作品を磨き上げることにエネルギーを注ぎたい」としている。

『Dark and Darker』開発元に韓国警察が家宅捜索を実施_005
『Dark and Darker』開発元に韓国警察が家宅捜索を実施_006

 なお、IRONMACEはDiscord上で『Dark and Darker』の次回プレイテストを4月14日から4月19日に実施する予定を伝えている。韓国警察による捜査がどのような続報へ繋がるのか、今後も動向を注視したい。

ライター
2019年11月に電ファミへ加入。小学生の時に『ラグナロクオンライン』に出会ったことがきっかけでオンラインゲームにのめり込む。コミュニケーション手段としてのゲームを追い続けている。好きなゲームは『アクトレイザー』『新・世界樹の迷宮2』『GTFO』など。
Twitter:@fuyunoyozakura

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ