ソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」を中心に活動する任意団体「天文仮想研究所」は、数百点におよぶバーチャル空間ならではの天文学・宇宙開発に関する資料展示を通して体験と学びを提供するワールドVRChat「VR宇宙博物館コスモリア」を9月1日(金)から無料で公開している。本ワールドはPC単体でのデスクトップモードもしくはVRヘッドセット併用のPCVRモードで利用可能だ。
開館にともなうプロジェクトメンバーによる解説会も開催されており、9月29日(金)21時からは第4回の解説会が開かれる予定。また、9月1日(金)に開かれた開館の記念式典では、会場に招かれた国立天文台 台長特別補佐の平松正顕氏もコメントを寄せていた。
【更新 2023/09/28 16:45】記事初版にて開会記念式典の来賓紹介について「国立天文台やJAXA(宇宙航空研究開発機構)の担当者による祝電・スピーチ」と記載しておりましたが、表現・内容に誤りがあったため記載内容を変更させていただきました。
【VR宇宙博物館コスモリア解説会】のお知らせ
— 天文仮想研究所 VSP (@vsp_vrc) September 25, 2023
「#コスモリア」プロジェクトメンバーによる解説会④を開催いたします。
9月29日(金)21時から、VSP Group+ (VSP.9377)で行います。
第七展示室、その他をえんでばーさん、phys314さん、S_朝霧さんに解説していただきます。
ぜひご参加ください。 https://t.co/I5kYShoRXc
「VR宇宙博物館コスモリア」は、計7つに分けられた常設展示スペースやリアルタイム状況の反映に対応した天体観測室/プラネタリウム、講演・イベント等に利用できる多目的ホールを備えたバーチャル空間上の宇宙博物館だ。館内では人類の誕生に関する展示を筆頭に、アメリカとソ連による開発競争や国際機関・民間企業の挑戦などを前半4つの展示室にまとめた「挑戦の軌跡」、そして太陽系や銀河、宇宙物理に関する知識を後半3つの展示室へまとめた「探求と知見」のテーマで集められた多彩な資料を鑑賞できる。
精工に立体・映像化された展示物はソーシャルVR上で活躍するクリエイターらの手で作られており、中にはNASA(アメリカ航空宇宙局)をはじめとする機関が発行したクリエイティブ・コモンズ・ライセンスのデータをもとに製作されたものも存在。なかにはISS国際宇宙ステーションの一部である日本実験棟「きぼう」の内部へ入れるものや人工衛星のミニチュアから1/1スケールの模型が飛び出すものなど、バーチャルならではの利点を活かした展示も存在している。
実際の博物館では禁止されている「限りなく間近で模型を観察する」行為や「ミニチュア模型に触れる」行為が可能な点に加えて、太陽系の惑星における重力の違いや人工衛星の軌道投入における難しさを疑似的に体験できるコーナーの存在、場所や時間を選ばず来館・交流できる点もバーチャル空間にしかない魅力といえる。
なお、天文仮想研究所は過去にもNASAの技術者による講演会の実施や論文誌への掲載などの実績を持つ。今後も館内の企画展示室や多目的ホールを用いて不定期にイベントを実施していくようなので、もし興味があれば天文仮想研究所の公式ホームページやXアカウント(@vsp_vrc)もチェックしておくとよいだろう。