早川書房では現在、同社の刊行している書籍のKindle版1700点以上が半額となる「Kindleクリスマスセール」を開催している。セール期間は12月26日までで、海外の名作SF・ミステリ・文芸作品などが多数対象になっている。
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— 早川書房公式 (@Hayakawashobo) December 13, 2024
今回のセールの大きな目玉の1つは、中国発の傑作SF『三体』3部作が、今回初めて全てセール対象となっていることだろう。
Netflixなどで映像化もされた原作小説は、太陽系を侵略しようとする「三体」世界の異星人に対する、壮大な規模の対抗プロジェクトを描いたもの。本作の前日譚を描いた小説や、別作者による外伝などもセール対象なので、長い冬休みのお供にいかがだろうか。
『三体』の英訳を担当した作家ケン・リュウによるSF短編集『紙の動物園』も今回セール中。同作者は中華系の米国人で、彼の作品も東洋的なモチーフなどが多く登場することが特徴で、『三体』の次におすすめしたい作家の一人だ。
セールが行われるたびに話題になる名作小説『アルジャーノンに花束を』は今回も対象だ。同作をすでに読んだという方におすすめしたいのが、“21世紀のアルジャーノン”として話題になった『くらやみの速さはどれくらい』。
前者が知性を向上させる手術を受けた主人公を描いたのに対し、後者は自身を大きく変える手術を受けるかを選択するまでの物語。どちらも主人公の繊細な視点が感情を揺さぶってくる名作だ。
『プロジェクト・ヘイルメアリー』もまた、SNSなどでしばしば話題に上がる作品だ。何を言ってもネタバレになってしまうので「何も言えないけど信じて読んでくれ」しか言えないという非常に悩ましい作品だが、ぜひ信じて読んでいただけると幸いだ。
SFのオールタイムベストとして名高い『夏への扉』は読み心地の軽いタイムトラベルもので、最後まで一気読みしやすい、程よい長さにまとまった小説だ。主人公の飼う猫・ピートの活躍も見どころの一つ。
『動物農場』もまた読みやすさの点ではおすすめしやすい小説の一つ。名作ディストピア小説『一九八四年』を書いたジョージ・オーウェルによる作品だ。動物たちが牧場を舞台に「革命」を起こすという物語で、寓話的ながら体制に対する痛烈な批判も含んでいる。
『十五少年漂流記』の最悪バージョンこと『蝿の王』も現在セール中。飛行機の墜落によって無人島サバイバルをすることになった少年たちが、次第に不和の空気に飲まれていって……という物語。人間が根源的に持つ暴力性を描いた作品だ。
『華氏451度』のタイトルは、“紙の本が焼ける温度”を意味する言葉で、本作では市民に有害な情報を与える「本」が燃やされるようになった世界を描いている。こちらも社会に対する風刺と批評が滲む作品だ。
ミステリーでは、女王アガサ・クリスティによる作品なども多数ラインナップされている。傑作『そして誰もいなくなった』や、灰色の脳細胞こと名探偵ポアロが活躍する 『ABC殺人事件』『オリエント急行の殺人』などは有名どころ。
「ハードボイルド」を代表するミステリー作品のひとつ、私立探偵フィリップ・マーロウの活躍を描いたシリーズも、『長いお別れ』など一部の巻が早川書房から刊行されており、今回のセール対象になっている。タフでざらついた文体があまりにカッコいい名作だ。
最近のものでは、気鋭のミステリー作家による話題のミステリー『ストーンサークルの殺人』など「ワシントン・ポー」シリーズは、4作目までがセール対象。熱い正義感とパワフルな豪腕を備えた暴れん坊刑事による満足度の高いエンタメ小説だ。
同じく近年に刊行されたミステリ-の中では高い評価を得た『われら闇より天を見る』も今回セールに登場。2023年の「このミステリーがすごい!海外編」で1位を獲得した小説で、現在文庫版が刊行されていないため、セールで買い求めやすくなったことが嬉しい小説の一つだ。
ミステリーとしてはかなり異端に属するが、かの名探偵シャーロック・ホームズが「クトゥルフ神話」の世界に生きていたら……を描いた『クトゥルー・ケースブック』シリーズも、刊行時からたびたび話題になっている作品だ。全3部作で、現在はいずれも50%オフとなっている。
上記で紹介している書籍以外にも、現在多くのKindle書籍が50%オフのセールを行っている。セール期間は12月12日まで。興味があればKindleのストアページや、早川書房の公式サイトなども確認してみるといいだろう。