2024年にリリースされ、独創的な「タオパンク」の世界観で高い評価を得た2Dアクションゲーム『九日ナインソール』。その本編とは全く異なる別バージョンのゲームが、9月30日より期間限定で配信を開始し、プレイヤーの間で話題となっている。
公式サイトや公式Discordで公開された情報によれば、本ゲームはSteamのベータ機能を利用することでプレイ可能。プライベートベータのアクセスコード「shanhaiarchive」を入力後、「shanhaiarchive_yuukimindscape」という名称のブランチを選択することでプレイが可能となる。
『九日ナインソール』は、台湾のインディーゲームスタジオRed Candle Gamesが開発した2Dアクションゲーム。サイバーパンクと道教を融合させた「タオパンク」と呼ばれる独創的な世界観と、弾き(パリィ)を主体とした歯ごたえのある剣戟アクションが特徴で、多くのプレイヤーから支持を集めている。
対して今回明らかとなったゲームは、本編の流麗な2Dアクションとは全く異なる、一人称視点の3D探索ゲーム。プレイヤーは薄暗く閉鎖的な遺跡のような空間を探索することになり、その不穏な雰囲気はサバイバルホラー作品を彷彿とさせる。
公式サイトにて開発は、この特別バージョンの目的を「対象の意識回復を支援するため」と説明している。
今回の特別なゲームの公開は、Red Candle Gamesが仕掛ける「代替現実ゲーム(ARG)」の一部と考えられる。このARGは、約3週間前に公式YouTubeチャンネルで公開された「The Dark Legacy of the Sun Tribe」と題する動画から始まっているようだ。
「あなたは本当に人間ですか? (Are you really human?)」という不穏な問いかけから始まる動画には、「Yuuki」と名乗る人物が登場。人類の一部に存在するという「4本指の者たち」と呼ばれる古代の血筋について語りはじめる。
(画像はYouTube「The Dark Legacy of the Sun Tribe」より)
Yuukiが語る物語は、超古代文明「太陽帝国」の謎を追ううちに失踪した考古学者、秦の時代の錬金術師「徐福」との関連が疑われる古代の竹簡、そして研究を独占しようとする謎の組織「扶桑財団」といった、壮大な陰謀論を彷彿とさせる話へと展開する。最後にYuukiは視聴者に協力を求め、動画の中に隠された連絡手段を探すよう呼びかける、という内容だ。
一見すると『九日ナインソール』とは無関係に思える内容だが、「4本指の者たち」という特徴は、『九日ナインソール』の主人公・羿が属する種族「太陽人」が持つ身体的特徴と一致するなど、このARGが本編の物語と地続きであることを示唆する動画となっている。

あわせて公式Discordサーバーの「unidentified-signal」チャンネルでは、動画に登場した本人と思われる「Yuuki Wu」によるブログの記事が9月10日より連日で公開。その後、彼のブログ更新は途絶えているようだ。
事態が緊迫する中、Yuukiの協力者を名乗る人物「Old Chang」がDiscordに登場し、Yuukiが何者かに囚われたことを示唆する監視カメラの映像を投稿。Old Changによれば、Yuuki Wuの居場所を沖縄にある扶桑グループの関連施設だと突き止めたものの、彼の記憶が危険なほど混濁していることが判明したという。
最終的にOld Changは、彼の意識を救う唯一の手段として、今回の特別なゲームをプレイし記憶層へ直接アクセスするようプレイヤーに協力を要請。これが今回の一連の経緯である。
なお、開発元のRed Candle Gamesは、過去に制作したホラーゲーム『還願 Devotion』でも同様のARG形式のプロモーションで話題を呼んだ実績があり、ゲームと現実を交錯させる巧みな演出は同社の得意とするところである。
ちなみに『九日ナインソール』は、Steamにて50%オフのセールを10月7日まで実施中。今回の期間限定イベントが気になる方は、ぜひこの機会に本作を入手し、今回のARGに隠された秘密の一端に触れてみてはどうだろうか。