10月16日に発売された『ポケットモンスター』シリーズ最新作『Pokémon LEGENDS Z-A』(以下、Z-A)のオンライン対戦モードで開催されていた「ランクバトル」シーズン1が11月5日14:59をもって終了した。
3種のポケモンを駆使してZランクからAランクを目指すシーズン1では、Kランクのランクアップ報酬としてゲッコウガをメガシンカさせられる「ゲッコウガナイト」を手に入れることができた。
(画像は『Pokémon LEGENDS Z-A』 ゲーム内ニュースより)
11月6日15:00に開始するシーズン2ではマフォクシーをメガシンカさせられる「マフォクシナイト」がSランクのランクアップ報酬となっている。
また、ランクバトルの報酬設定については緩和されることが発表されており、ゲッコウガナイトもYランクのランクアップ報酬として復刻される。シーズン1に参加できなかったプレイヤーも早期入手がまだ叶いそうだ。
ランクアップに向けて激戦が繰り広げられている本作のランクバトル。トレーナー4人が各ポケモンとともに移動→技を相手にぶつけるという対戦方式は、従来の『ポケットモンスター』シリーズには存在しなかった“リアルタイム性”が強いゲームとして話題になっている。
シーズン1においては、ガブリアスやメタグロスなど過去作のランクバトルで猛威を振るっていたポケモンの使用率が今作でも高く、メジャー級のポケモンとして多くの対戦相手をバッタバッタと薙ぎ倒しているようだ。技なども強力なため、デンリュウといったポケモンも肩を並べている。
新たに始まるシーズン2では伝説のポケモンのゼルネアスとイベルタルが使用できるようになるため、さらなる激戦が予想できそうだ。

一方、シーズン1ではマッギョやイトマルといった(少なくとも徹底的に勝ちを目指す一般的なプレイでは)見かけないはずのポケモンが一部のプレイヤーから注目を浴びていた。
マッギョやイトマルほどではないが、この並びにはエモンガやデデンネといったポケモンが挙げられることもある。これらのポケモンの共通点はなんだろうか。

参考としてイトマルとマッギョとエモンガを並べた写真を用意している。3匹ともグッスリおやすみ中だ。
人によっては「マッギョが見当たらない」「2匹しかいない」となるかもしれないが、それこそが「答え」となっている。

3匹を起こしてみると、中央でマッギョが動いている姿を確認しやすくなった。そう、これらのポケモンに共通しているのは他のメジャー級のポケモンと比較した「圧倒的な視認性の悪さ」だ。
その中でもトラップポケモンのマッギョは、あまりにも平べったすぎる体が特徴。過去作においても「海辺の 泥に 埋まって 獲物を 待ち構える」と図鑑で説明されており、そのマットのような薄さを活かす生態のようだ。


トレーナー4人とポケモン4匹が同時に、そして派手な技エフェクトも入り乱れる今作のランクバトルにおいて、この圧倒的な体の薄さは有利に働く場面が多い。
体が大きいポケモンは攻撃のターゲットにされやすい中、マッギョは草むらの中やベンチの裏に姿を隠すことでターゲットになりにくくなる。生態が示す通り、高いステルス性を発揮するようだ。
しかも「10まんボルト」といった遠距離技のほか、電気技を強化すると同時に特防も上がる「じゅうでん」を使用できるため、今回の環境でメジャーな対戦相手のギャラドスやエアームドといったポケモンを気づかれずに倒せてしまう場面が多い。
(画像は「ポケモンずかん」より)
視認性が悪いのは「体が小さいポケモン」も同じであるため、マッギョ(じめん・でんきタイプ)と異なり相手の電気技を無効化できない代わりに、マッギョの弱点である相手の地面技を無効化できるエモンガに注目が集まることも。
こういった体が小さいポケモンはターゲットロックされたとしても、相手とのサイズ差や距離、遮蔽物の有無によっては技を素で躱せてしまうこともある。

とはいえマッギョもエモンガも、例えるのであればラプラスのような無進化ポケモンであり、極端に能力値が低いポケモンとは言い辛い。故にイトマルといった明らかに前線で戦えなさそうな進化前ポケモンの存在が目立つ。
確かに体は小さい上に、草むらと同化しやすい体色もあわさって、視認性の悪さはありそうだ。イトマルが注目されているのは、相手のポケモン交代を一定時間だけ封じられる技「まとわりつく」を使用できる点にある。

イトマルの活躍が特にわかりやすいのは、乱戦がまだ始まっていないゲーム開始直後の場面。一番近い対戦相手を「まとわりつく」で拘束した後に、こちらは相手に有利なポケモンに交代 → 弱点技を一方的に叩き込んでKOする戦法が取りやすい。
今作のランクバトルでは通常、有利なポケモンで相手を叩きのめそうとすると、ポケモンを交代されて逆に不利な状況に陥ることが多い。相手を油断させられるイトマルは初手「まとわりつく」で相手に交代禁止を押し付けることで、この点を解決しやすいようだ。
耐久の低さは「きあいのタスキ」や「しんかのきせき」といった道具で補える上に、相手によっては交代禁止下の「どくどく」といった技で、直接イトマルが相手を仕留めることも可能。

筆者は「イトマル+マッギョ」に加えて、マッギョが苦手な相手を倒しやすいアタッカー(こおりタイプなど)を3匹目に据えた結果、短期間でランクAに到達することができた。似た構築を通して高い勝率を維持できたプレイヤーもX上に確認できる。
(環境やプレイスタイルにもよるが)イトマルもマッギョも正面からメジャー級のポケモンと殴り合うには厳しい寄りのポケモンだ。それはRPGライクのコマンドバトルで対戦を行う過去作においても、リアルタイム性の強い『Z-A』においても変わらない。
とはいえポケモンバトルの解像度が上がった今作で、マッギョのような特徴的な体と大きさを生態に反映させているポケモンが、対戦でもそれを活かせる機会が訪れたのは興味深い。

シーズン1はランク上位のシーズン報酬として「コンペボール」といった非常に希少なアイテムも入手できたが、11月6日15:00~11月26日14:59に開催されるシーズン2では「ドリームボール」が入手できるとのこと。
本稿で紹介したポケモンは立ち回りのクセも強く、この戦法を取ったからと言って必ず勝利できるわけではない。優秀な技や高い能力を持つメジャー級のポケモンのほか、技の種類によっては技範囲が広がると検証が行われているオヤブン個体でランクアップを目指すのが近道だろう。
一方で普段とは違うポケモンを活躍させたいプレイヤーにとって、ポケモンの大きさや迷彩のような体色などが活躍に直結するという事実は、夢が広がる現象であることは間違いない。シーズン2からは環境がガラッと変わるかもしれないが、今作の解像度が上がった新たなポケモンバトルの世界に飛び込んでみよう。




