いま読まれている記事

“現代のラヴクラフト”と評されるカルト作家トマス・リゴッティによる書籍『悪夢工場』が12月4日より発売。ブラム・ストーカー賞を4度受賞したアメリカの作家で、露骨な暴力表現を避けつつ、反復と繊細な言葉づかいで不穏な風景を描く

article-thumbnail-251202z

河出書房新社は12月4日、アメリカのカルトホラー作家トマス・リゴッティによる日本オリジナル短編集『悪夢工場』を発売する。価格は2970円(税込)。

リゴッティは、米国ホラー作家協会(HWA)が主催するブラム・ストーカー賞をこれまでに4度受賞し、“ホラーの化身”“現代のラヴクラフト”と評される作家だ。露骨な暴力表現を避けつつ、反復と繊細な言葉づかいで不穏な風景を描くスタイルが特徴で、独自の世界観はスティーブン・キング、ポー、カフカ、ブルーノ・シュルツらとも並び語られてきた。

1986年に300部限定で刊行された第一短編集『Songs of a Dead Dreamer』を皮切りに、リゴッティの多くの作品はファンジンやセミプロ誌で発表されてきた。

インタビューにもメールや郵便でしか応じないなど、その作家像はいまなお謎が多い。2019年には、スティーブン・キング、ハーラン・エリスン、エドワード・ゴーリー、ジョージ・A・ロメロなど錚々たる作家・アーティストが名を連ねる同賞の「生涯功労賞」に輝いた。

今回刊行される『悪夢工場』は、膨大な作品群から選ばれた9編をほぼ初出順に収録した日本独自編集版。国内ではアンソロジー収録や雑誌掲載がわずかにある程度で、これまで“知る人ぞ知る”存在だったリゴッティ作品が、まとまった形で読める初の単行本となる。

現代のラヴクラフト”と評されるカルト作家トマス・リゴッティによる書籍『悪夢工場』が12月4日より発売_001

収録作には、第一短編集から「戯れ」「アリスの最後の冒険」、代表的な中編として知られる「道化師の最後の祭り」、さらに1996年発表の「赤塔」までが並ぶ。リゴッティ特有のペシミズムやニヒリズム、人間存在そのものへの根源的疑義が織り成す世界は、祈りとも呪いともつかぬ“陰鬱な恐怖”として読み手を侵食していく。

収録作品は以下のリストになる。

  • ・戯れ
  • ・アリスの最後の冒険
  • ・ヴァステイリアン
  • ・道化師の最後の祭り
  • ・ネセスキュリアル
  • ・魔力
  • ・世界の底に潜む影
  • ・ツァラル
  • ・赤塔

『悪夢工場』は12月4日より、価格2970円で発売予定だ。

以下、プレスリリースの全文を掲載しています


〈ラブクラフトやディックに並ぶアメリカのカルト作家〉現代ホラー界の秘宝、トマス・リゴッティによる傑作小説集『悪夢工場』が12月4日、ついに日本上陸

「キングがホラーの達人なら、リゴッティはホラーの化身だ。」(ニューヨーク・タイムズ)ほか、絶大な支持を獲得する“文学史上最も危険な作家”、待望の本邦初単行本。

河出書房新社
2025年12月2日 15時00分

現代のラヴクラフト”と評されるカルト作家トマス・リゴッティによる書籍『悪夢工場』が12月4日より発売_002

株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役小野寺優)は、米国ホラー作家協会(HWA)主催ブラム・ストーカー賞を4度受賞する「ホラーの化身」、現代アメリカのカルトホラー作家として絶大な支持を得る、トマス・リゴッティの日本オリジナル傑作小説集『悪夢工場』を、2025年12月4日に刊行いたします。
偉大なエンターテイナーであるキングがホラーの達人なら、リゴッティはホラーの化身だ。 筆を執っている彼自身がまるで恐怖そのものだ。
――「ニューヨーク・タイムズ」紙

カルト作家、トマス・リゴッティとは誰か?

現代のラヴクラフト”と評されるカルト作家トマス・リゴッティによる書籍『悪夢工場』が12月4日より発売_003

「ホラーの化身」「現代のラヴクラフト」「ホラーの枠に収まらないホラー作家」……。露骨な暴力描写を避け、繊細な表現と反復を用いることで不穏な風景を描出する作風、圧倒的想像力で構築される独自の世界観から、現代アメリカのホラー作家として特異な位置を占め、絶大なカルト的人気を誇るトマス・リゴッティ。
リゴッティは、1986年に300部限定のペーパーバックで刊行した第一短編集『Songs of a Dead Dreamer』以後、ほとんどの作品をファンジンやセミプロ誌で発表し続け、インタビューはメールか郵便でのやりとりしか許可しておらず、作家像はいまだ謎に包まれています。
その文学性の高さから、ポー、ラヴクラフト、フィリップ・K・ディック、ナボコフ、カフカ、ブルーノ・シュルツ、トーマス・ベルンハルトほか、世界文学のさまざまな巨匠たちと並び称され、米国ホラー作家協会(HWA)が主催する、その年に出版された最も優れたホラー小説、ダーク・ファンタジー作品などへ贈られるアメリカ最高峰のホラー文学賞、ブラム・ストーカー賞をこれまで4度受賞。
2019年には、スティーブン・キング、ハーラン・エリスン、エドワード・ゴーリー、ジョージ・A・ロメロなど錚々たる作家、アーティストが名を連ねる同賞の「生涯功労賞」に輝きました。
また、1996年には本書の元となる自選短編集『The Nightmare Factory』で英国幻想文学大賞を受賞するなど、世界的にも高い評価を受けている孤高の作家です。

ホラーの化身による傑作小説集『悪夢工場』

そこでは得体の知れない生命が地位を確立しているらしい。 うめき声をあげる壁の中に広がるこだまたちの秘かな文明が。
――「ヴァステイリアン」より
そう、この世界の人々が、神ならぬ新たな神の存在に勘づいていることを漏らしてしまったのは、せいぜい一世紀前のことだった。
――「ツァラル」より
本書『悪夢工場』は、トマス・リゴッティの膨大な作品群から、選りすぐりの9編を選んだ日本オリジナル編集の小説集、待望の本邦初単行本です。
日本国内では、アンソロジーへの収録、雑誌掲載された数編のみが紹介され、一部のホラー愛読者から熱狂的に迎えられていたものの、これまで知る人ぞ知る存在だったリゴッティ作品。本書では、第一短編集所収の「戯れ」「アリス最後の冒険」から、1996年発表「赤塔」まで、ほぼ初出順に収録され、作風の変化、リゴッティの独特な小説世界が顕著に現れている作品が厳選されています。
リゴッティ独自のペシミズム、ニヒリズム、人間存在そのものに対する根源的な疑義から生み出される陰鬱な恐怖、深遠な闇、救いがたい世界。祈りとも、呪いともとることのできない、読み手の神経を不気味に刺激し、本能レベルまで訴えかけてくる悪夢のような傑作たちを、ぜひご堪能ください。

目次

戯れ[The Frolic](若島正訳)
アリスの最後の冒険[Alice’s Last Adventure](白石朗訳)
ヴァステイリアン[Vastarien](若島正訳)
道化師の最後の祭り[The Last Feast of Harlequin](宮脇孝雄訳)
ネセスキュリアル[Nethescurial](若島正訳)
魔力[The Glamour](若島正訳)
世界の底に潜む影[The Shadow at the Bottom of the World](若島正訳)
ツァラル[The Tsalal](若島正訳)
赤塔[The Red Tower](若島正訳)
解説 若島正

現代のラヴクラフト”と評されるカルト作家トマス・リゴッティによる書籍『悪夢工場』が12月4日より発売_004

『悪夢工場』扉ページ

著者紹介

トマス・リゴッティ(Thomas Ligotti)
1953年、アメリカ・デトロイト生まれ。フロリダ在住。1981年に短編「The Chymist」でデビュー。以後、ほとんどの作品をファンジンやセミプロ誌で発表。1986年に300部限定で刊行した第一短編集『Songs of a Dead Dreamer』をはじめ、『Grimscribe』(1991年)、『Noctuary』(1994年)、『The Nightmare Factory』(1996年)、『Teatro Grottesco』(2006年)など数々の短編集と、中編『My Work Is Not Yet Done』、評論『The Conspiracy against the Human Race』を刊行。ブラム・ストーカー賞を4度(生涯功労賞を含む)、英国幻想文学大賞を1度受賞。2015年には『Songs of a Dead Dreamer』と『Grimscribe』の合本版がペンギン・ブックス社「ペンギン・クラシックス」より刊行された。
【編訳者】若島正(わかしま・ただし)
1952年生まれ。京都大学名誉教授。英米文学者、詰将棋・チェスプロブレム作家。著書に、『乱視読者の新冒険』、『乱視読者のSF講義』、『ロリータ、ロリータ、ロリータ』、『盤上のフロンティア』など。訳書にV・ナボコフ『ロリータ』、『ディフェンス』、T・スタージョン『海を失った男』、M・マッカーシー『私のカトリック少女時代』など。編訳書に『モーフィー時計の午前零時 チェス小説アンソロジー』、『ベスト・ストーリーズ(全3巻)』、シリーズ「ドーキー・アーカイヴ」など。
【訳者】宮脇孝雄(みやわき・たかお)
1954年生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。著書に、『翻訳の基本』、『続・翻訳の基本』、『英和翻訳基本辞典』、『翻訳地獄へようこそ』、『洋書天国へようこそ』、『洋書ラビリンスへようこそ』、『宮脇孝雄の実践翻訳ゼミナール』など。訳書に、P・マグラア『愛という名の病』、P・ハイスミス『回転する世界の静止点』、I・マキューアン『セメント・ガーデン』、『イノセント』、C・バーガー『ミッドナイト・ミートトレイン』、D・L・セイヤーズ『顔のない男』、W・トレヴァー『ディンマスの子供たち』など。
【訳者】白石朗(しらいし・ろう)
1959年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。訳書に、S・キング『悪霊の島』、『11/22/63』、『アウトサイダー』、『ビリー・サマーズ』、『フェアリー・テイル』、J・グリシャム『法律事務所』、『謀略法廷』、『汚染訴訟』、『告発者』、J・ヒル『NOS4A2 ノスフェラトゥ』、J・ヒルトン『チップス先生、さようなら』、P・ハイスミス『見知らぬ乗客』など。

書誌情報

現代のラヴクラフト”と評されるカルト作家トマス・リゴッティによる書籍『悪夢工場』が12月4日より発売_005

書名:悪夢工場
著者:トマス・リゴッティ
編訳:若島正
訳者:白石朗/宮脇孝雄
仕様:46判/並製/248ページ
発売⽇:2025年12⽉4日
税込定価:2,970円(本体2,700 円)
ISBN:978-4-309-20939-5
装幀:水戸部功
書誌URL:
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309209395/
※電子書籍も近日中に発売予定です。
詳細は各電子書籍ストアにてご確認ください。

ライター
ゲームの好きなところは、誰でも主人公になれる公平さ。 子供の頃よりも現実に直面する場面が多いから、束の間にゲームをする。 お気に入りのゲームは『UNDERTALE』

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ