8月20日、経済産業省は、「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」を公表した。
これは、2025年度に開催された「エンタメ・クリエイティブ産業政策研究会」での議論を踏まえ、エンタメ・コンテンツ分野(ゲーム、アニメ、マンガ、音楽、実写)において2033年の海外売上20兆円を実現するための政策立案・実施に向けた目標や戦略などを具体化したものだ。
公開された資料では、IPをマンガからアニメ、ゲーム、実写、音楽、グッズまで多角的に展開することで、利益の最大化とクリエイターへの還元を図る方針が確認できる。また、ゲーム産業においては、「モバイル・PC市場の攻略」に注力するとのことだ。
\エンタメ戦略2026を公表しました/
— 経済産業省×IP360 (@metiIP360) August 20, 2026
2033年の海外売上20兆円に向け、日本で創り、世界に届け、IP360度展開で利益を最大化し、クリエイターへの還元を図るための目標・戦略を具体化しました。50名を超える研究会委員や関係省庁からのメッセージ・写真も掲載しています。(1/7)#IP360 pic.twitter.com/CTHolv6WFB
2025年の「エンタメ・クリエイティブ産業政策研究会」では、90者以上の各界トップ層、100者以上のスタートアップやクリエイターらと議論が重ねられた。今回公開された「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」においても、50名を超える研究会委員や関係省庁からメッセージ・写真が提供されるなど、官民一致となり目標・戦略などが共有されている。
日本成長戦略のうち、コンテンツ分野においては、日本発のIPが、マンガからアニメ、ゲーム、実写、音楽、グッズまで多角的に展開する360度展開で利益を最大化し、クリエイターへの還元を図る点が主なポイントとなっている。
今回は、目標を実現するために、「『市場の失敗』の解決に向けた3本柱」と「『IP価値最大化と対価還元』を促す5大構造改革」が提示されたかたちだ。

前者の「『市場の失敗』の解決に向けた3本柱」では、「高い不確実性や外部経済による作品製作への過小投資」、「ネットワーク効果に伴う海外巨大プラットフォーム依存による海外売上の低い回収率」、「権利侵害に伴う年間10兆円の海賊版被害」といった市場の失敗があげられており、これらを是正することが目指されている。
後者の「『IP価値最大化と対価還元』では、「クリエイターの育成・確保」、「融資活用による資金確保」、「AI活用・権利保護の両立」、「成果に応じた適正な報酬獲得」、「戦略的なIP活用」といった構造改革に取り組んでいくことが明示されている。
こうした構造改革と一体になって、大規模・長期・戦略的に、人材育成・製作・流通網拡大・海外展開・海賊版対策といった成長投資を後押しして、エンタメ・コンテンツ分野における民間企業の「売上3倍・投資3倍」を促すようだ。
なお、上記の改革も効果検証を通じて効果が希薄な場合は、適宜縮小・廃止して、施策を不断に見直していくとのことだ。2025年度に累積損失が540億円に達した「クールジャパン機構」についても、投資実績の振り返りと要因分析、制度上の課題などの幅広い論点を検証することが明記されている。

ゲーム分野においては、日本発ゲームが約半分を占める家庭用ゲーム機市場に対し、より規模の大きいモバイルゲームやPCゲーム市場では、日本発ゲームの海外市場シェアは数%に満たない現状が問題視された。
そのため、ゲーム分野では「モバイル・PC市場の攻略」に注力することが目標となった。コンソールゲームの競争力を高めながら、市場獲得余地の大きいモバイル・PCゲームの海外市場の獲得をめざすことで、海外売上を3.4兆円から12兆円まで拡大していく。
公開された資料ではほかにも、AI活用と権利保護を両立させる環境整備や、国産の開発プラットフォーム構築の必要性など、現状のエンタメ・コンテンツ分野における課題の分析と、それらを踏まえたうえで、2033年の海外売上20兆円を実現するための目標や戦略がまとめられている。
「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」は、経済産業省公式サイトにて公開中だ。
