アンドロイドだらけの世界をキツネが孤独に闊歩する。サイバーパンクアクション『The End』がSteamで発売開始

 ネオンが怪しく照らし出す近未来の都市を、狐がたった一匹で冒険する。サイバーパンクな世界を狐として生き抜くステルスゲーム『The End』が、7月25日にSteamにて発売された。

 近未来の雑多な街をたった一匹の動物が冒険するという魅力的な設定を持った『The End』。
 販売はエピソード形式となっており、今回発売された最初のエピソードは1時間程度のボリュームで、物語の始まりである捕らえられたInari(稲荷神)との出会いを描く。

 『The End』はもともと2018年1月にKickstarterキャンペーンを実施、248人から5198ユーロを集めることに成功した。開発自体は2017年5月に始まっていたが、Inariをゲーム内に追加するためクラウドファンディングで開発資金を募ったという。
 制作を担当しているのはパリ在住のMata氏で、サウンドトラックを除いてほとんどひとりで開発を進めている。氏は長年ゲーム産業で働いており、2D、3Dアーティストやレベルデザイナーを経てゲームデザイナーとなったそうだ。

 影響を受けた作品としては『AKIRA』『攻殻機動隊Ghost In The Shell』『ブレードランナー』、ビデオゲームではBungie Westの『Oni』やBlueTwelveStudioが現在開発中の『HK Project』が挙げられている。
 それ以外にも、ゲーム中には狐にちなんだ稲荷神が登場するなど、日本の文化や宗教観からも影響を受けていることがわかる。

(画像はSteam | The Endより)

 今回配信が開始されたエピソード1では、Inariがサイボーグの手によって捕らえられていた主人公の狐を救い出し、人類のほとんどがサイボーグとなった世界のどこかに居る最後の人類を探す手伝いをして欲しいと狐に伝える。

 ゲーム内でプレイヤーは狐を三人称視点で操作しマップを自由に探索する。マップの中にはいくつかのパズルが用意されており、それを解くことでゲームが進行していく。
 本作の魅力はなんと言ってもその魅力的な世界観で、まるでゾンビのように徘徊するサイボーグ、薄暗い路地を照らす色鮮やかなネオンなど、サイバーパンクのキー要素がそこかしこに散りばめられている。まるで『AKIRA』や『ブレードランナー』のようなディストピア感あふれる世界は見て回るだけで楽しい。 

(画像はSteam | The Endより)

 狐が主人公ということで、ゲーム内では動物の力を活かしたアクションが用意されている。たとえばアイテムを口にくわえてひとつだけしか運べないという仕様は、いい制限としてゲームプレイに面白みを与えることになりそうだ。
 しかしこの最初のエピソードでは、キーとなるアイテムを順番にゴールへ持ち込むだけでクリアすることができるため、エピソード1では残念ながらあまり活かせていないように思える。

 ゲームに登場するパズルはおおまかに2種類あり、いくつかの方法を用いてマップに設置されたボタンを押すものと、アイテムを手に入れてそれを所定の位置に運ぶものがある。
 最初のエピソードでは、敵から身を隠すステルスゲームというよりもパズルゲームに近く、隠れることより敵に身を晒してスイッチまで誘導することのほうが多かった。ただし本作のウリであるステルス要素もいくつかあり、偵察ドローンは隠れてやり過ごすか、死んだふりでやり過ごすことになる。

 直接的な戦闘は少なく、絶対に敵を倒さなければならない場面は一度きりで、やり過ごしたり、できるだけ離れて攻撃されないようにすることのほうが多かった。
 また、敵の攻撃を受けてしまうと、進行度を保ったままマップのスタートからやり直しとなり、体力を回復させることなく3回ダメージを受けると、すべての進行度が消去され完全に初めからとなる。

 また、設定のキーコンフィグは、割り当ててから一定時間後におこなった操作が登録される珍しい方法を取っており、たとえば前進にWを割り当てたい場合は、最初にWを押した後しばらく何も操作せずに待っておく必要がある。

 ゲームプレイの面では敵の攻撃の間合いがわかりづらかったり、単調なパズルであったりと、少々難物なゲームという印象を持つ人も多いと思うが、冒頭でも述べたようにこのゲームのロケーションは強い魅力を持っている。
 サイバーパンクな世界観において異質な生身の狐というコントラストは他にはない風景で、入り組んだマップはサイズ以上に広さを感じさせ、サイバーパンク世界の息苦しさが存分に表現されている。

 Kickstarterキャンペーンの成功から約半年、ついに最初のエピソードがリリースされた本作。ゲームには不親切な点も少なくないが、ほかにはない魅力も確かに存在している。まだまだ始まったばかりの『The End』の今後に期待したい。

文/古嶋 誉幸
編集/ishigenn

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一日を変え、一生を変える一本を!学生時代Half-Lifeに人生の屋台骨を折られてから幾星霜、一本のゲームにその後の人生を変えられました。FPSを中心にゲーム三昧の人生を送っています。
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ニュースから企画まで幅広く執筆予定の編集部デスク。ペーペーのフリーライター時代からゲーム情報サイト「AUTOMATON」の二代目編集長を経て電ファミニコゲーマーにたどり着く。「インディーとか洋ゲーばっかりやってるんでしょ?」とよく言われるが、和ゲーもソシャゲもレトロも楽しくたしなむ雑食派。
Twitter:@ishigenn
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