ガチャは“推しとのハワイ旅行”を妄想して回す! ソーシャルゲームにハマる女性たちのセキララトーク

 ソーシャルゲームの台頭により、ゲームを無料でダウンロードして、アイテムやカードが欲しいときにお金を使うという形が、プレイスタイルのひとつと定着した現在、積極的に課金を行う人を課金兵というネットスラングで呼ぶ人もいる。
 そして、この課金兵に女性もいることはご存じだろうか?

 男性に比べると、同性であっても職場の同僚と、お金やオタク趣味の話をあまりしたがらない女性だからこそ、その実態の多くはベールに包まれている。とくに男性からしてみれば、その存在自体がもはやブラックボックスだ。

 ここでは、女性向けゲーム『アイドルマスター SideM』【※】の沼にハマり、現在も課金兵として活動しているふたりの女性から、直接女性たちの課金事情について話を聞いてきた。彼女たちの口から次々と出てくる、女性課金兵たちの衝撃の実態の数々……。

※『アイドルマスター SideM』……バンダイナムコゲームスが製作している、男性アイドルを育成するソーシャルゲーム。漫画化、テレビアニメ化などもされている。略称は『SideM』で、キャッチコピーは「医者!フリーター!自衛官!理由(ワケ)あって、アイドル!」。
(画像はアイドルマスター サイドエム | バンダイナムコエンターテインメント公式サイトより)

 取材は編集部が独自で進めたものです。楽しんでいるプレイヤーの皆さんの誰かを、もしかすると不快な気持ちにさせてしまうことがあったらごめんなさい。ゲームを愛し、こんな楽しみかたをしている人がいます、ということをお伝えしたくて今回の記事となりました。

しらたま(左):最近独立した、20代後半のフリーランスのクリエイティブ職。東京在住。物心ついたころにはすでにテレビアニメ『セーラームーン』や『デジモン』のシリーズにどっぷりハマり。小学生以来RPGをずっとプレイし続けて立派なゲーマーになる。大人になって、AKB48をきっかけに『アイドルマスター』、そして『SideM』にたどり着く。日本各地で行われる『SideM』のコンサートも、ほぼ全部通っている。

ごりら(右):もうすぐ30歳の営業職のサラリーマン。名古屋在住。子ども時代は『りぼん』(集英社)や兄の影響で読み始めた『週刊少年ジャンプ』(集英社)でマンガ好きに。ヴィレッジヴァンガードを愛するサブカル寄りの嗜好だったが、『アイドルマスター』でキャラ萌えという概念を知り、『サイドM』の世界へ。しらたまさんとは、8年前の某コスプレイベントで知り合う。
(ライターの個人的見解ですが、おふたりともカワイイです)

取材・文/卵を守る雨宮


「推しとハワイ旅行のつもり」でガチャを回す世界

──いきなりですが、ぶっちゃけいくら課金していますか?

しらたま:
 先月は、担当【※】ガチャで20万円ですね。

※担当
狭義ではゲーム内でプロデュースを“担当”しているアイドルキャラクターを、広義では自分が応援を“担当”している男性を指す。恋愛対象としての“好き”や、ほかの人に推薦する“推し”とは、異なる違う意味を持つとのこと。担当しているキャラクターに恋愛感情を抱くか抱かないかは“人による”らしい。うーん、難しい!

──20万円!!!!! ひと月、しかもガチャだけ!?

しらたま:
 『SideM』のシリーズは、カードゲームの『アイドルマスター SideM』(以下『Mマス』)と、リズムゲームの『アイドルマスター SideM LIVE ON ST@GE!』(以下『Mステ』)で別々に展開していて、ふたつのゲームで担当のイベントが被ったんです。そうなると、ほら両方で担当のカードを出さないといけないので。

──いけないって、義務ですか!? どちらか1つのゲームに絞るという考えは……。

しらたま:
 絞る? どちらかを捨てるなんて出来ないですよ。だって、同じキャラでも、ゲームによって描かれかたが微妙に違いますから。

──微妙な違いも、すべて押さえたい?

ごりら:
 それこそ私たちのキャラ萌えの感覚です。私たちは、ゲームのおもしろさより、キャラにお金を出しているんです。費やしたお金や時間、見たイベントや持っているカードの数が、推しキャラと自分の距離感を測る指標になるんです。

──ガチャで使用したお金が、そのままキャラへの本気度ということ?

しらたま:
 無課金勢をディスる気持ちもなければ、ソーシャルゲームは“課金してこそプレイヤー”とか言うつもりもありませんが……。私のなかでは、それが指標になっていますね。
 また、運営に、担当キャラが人気があると思ってもらいたいんです(笑)。

ごりら:
 それ、大事! 人気が出るとグッズが発売されるしね。

しらたま:
 運営に、この子のガチャイベントをやると「お金がこれぐらい動く」と知ってほしいから、お金を使うこと自体に後悔はあまりないです。このまえ15万円使ったときも、格安のハワイ旅行が7万円くらいなので、担当とふたりで2泊4日のハワイ旅行に行ったと考えれば安いかな、と(笑)。

──えっ? でも、実際ハワイには行ってないですよね?

ごりら:
 脳内でハワイ旅行したんだよね〜。

しらたま:
 そうそう、脳内旅行だよね。実際にハワイに行くと思い出になって消えちゃうけど、キャラカードは私の手元にずっと残るからね。その思い出(キャラカード)はプライスレスです。

──……(絶句)……そうですか。一方、ごりらさんは、どれくらい課金しています?

ごりら:
 以前とあるイベントのとき、トレード用【※】のカード狙いでガチャを回したんです。でも全然出なくて、気づいたら30万円ぐらい使っていて、クレジットカード会社から「カードが不正利用されてますけど、大丈夫ですか」と電話がかかってきました(笑)。

※トレード用
『Mマス』ではゲーム内の機能を使って、ユーザー間でカードの交換ができる。イベントやガチャで逃したカードをここでゲットできることも。そのため、自分の担当キャラのカード以外の人気の高いキャラをトレード用としてキープしているプレイヤーも多い。

──カード会社が、「このお金の使いかたは怪しすぎだ」と。

ごりら:
 そう! え〜不正使用されたぁ〜と思って調べたんですけど……。ぜ〜んぶ自分だった(笑)。

しらたま:
 私は、iTunes Cardがポイント還元しているとき、15万円分まとめ買いしたんです。そうしたらレジで店員さんが心配そうな顔で「詐欺に騙されてませんか……」って(爆笑)。

──勘違いされたんですね。

しらたま:
 詐欺だったらどんなによかったか。

──実際、10万円分を使うのにかかる時間ってどれぐらいですか?

しらたま:
 んー、5分とか?

──ご、ご、ご、5分!? 10万円がたったの5分!!

しらたま:
 ガチャするためのタップとリロードの時間だけだもんね。

ごりら:
 そのあとApple から、請求メールがひたすら届きます(笑)。

──自動で送信されるだろう、請求メールのほうが追いついてない!

しらたま:
 私、請求メールはフォルダに自動振り分けしています。

──即、ゴミ箱行き!? まったく見ないんですか?

しらたま:
 はい。やばいですよね。10万円使うのに5分とか(笑)。

──すごい世界です。

しらたま:
 改めて考えると、おかしな気持ちになりますね。だから私も、イキって「15万円なんて一瞬だし!」と言うつもりはまったくないです。
 ただ、逆に私は皆さんに聞きたいんですよ。「直近の2、3ヵ月の生活のなかで、趣味や飲食など、意識してなくて使ったお金、トータルで10万円くらいありますよね?」と。感覚的にはそれといっしょなんです。

ごりら:
 ガチャは娯楽のひとつだもんね。

しらたま:
 「課金する私たちだけが特殊じゃないんだ」という気持ちです。

ごりら:
 ただ、私も最初は「ソーシャルゲームに課金するなんてバカだ」と思ってたんですよ。

しらたま:
 私もそうだよ。

ごりら:
 無料で遊べるのに、5000円も課金したらコンシューマーゲームが買えるじゃないですか。
 でもある日、試しに1回5000円でガチャを回してみたら……、一番いいカードを引いたんです。「あ、こんな簡単に出るんだー」って。その感覚でまた、5000円入れて、「あれ、出ないおかしいな? じゃぁ、もう1回……出ない。もう1回……」って。
 こうなると、「課金したのにカードが出ないと負けだよなぁ」と、思い始めて……、いまでは立派な課金兵です(笑)。

──どのくらいの金額が“負け”になるのですか?

しらたま:
 課金してカードが出なかったら“爆死”ですけど、カードを出すまでガチャを回すので。だから、負けはないです。

──えっ!?

ごりら:
 お金を使えば、カードは絶対出ますから。

しらたま:
 『Mマス』のガチャはBOXガチャ(=箱ガチャ)と言って、75000円分ガチャを回したら絶対当たりが1枚出る仕組みになっているんです。
 課金額に上限があるから、最悪でも上限分突っ込めば、必ず欲しいカードが手に入る。

ごりら:
 無限に課金しても揃わないゲームからしたら……。

しらたま:
 『Mマス』の優しさプライスレス!

ごりら:
 同じカードを2枚そろえると絵柄が変わり、カード自体も強くなるので、2枚引くことが大前提で、かつ1枚のときの絵柄も手元に保存用として残しておきたいので、担当キャラのカードは3枚欲しいんですよ。

しらたま:
 つまり、MAX22万円を使って、カードが出るまで退かないんです。

ごりら:
 “爆死”という人は、カードが出なかったのではなく、出さなかったんです。

──勇気と覚悟が足りなかった?

ごりら:
 だって、ガチャを回してたら絶対出るんですよ! 一歩踏み出せば勝てた勝負なのに、踏み出さなかった。だから負けたんです。

──う~ん、おかしいなぁ。課金の話なのに、ちょっとカッコよく聞こえてきました。

しらたま:
 逆に退くときは、「今回は1万円までしか使わない」と、金額を決めてガチャを回します。そのときは、目当てのカードが出なくても、負けではないんです。「使ったお金を今後の発展に活かしてもらえれば」と思って回しているので。

ごりら:
 お布施感覚ですね。

──発展? お布施? 1万円が!?

しらたま:
 言ってみれば“ありがとうガチャ”です。「新しい絵柄をありがとう!」、「楽しいイベントありがとう!」みたいな。

ごりら:
 例えば、担当以外のキャラの衣装がめちゃくちゃよかったときなど、運よく手に入ったらラッキー的な軽い気持ちでガチャを回すんです。
 1万円使って出なくても、「こんなに素敵なイラストを描いてくれた原稿料」と思うと、自分の中で納得できるんです。「ありがとう」って。

しらたま:
 そう、「イラストレーターさんにもっとお金が行ったらいいなー」と、思いながらガチャを回すんです。

ごりら:
 要は、運営に私たちの想いを解ってほしいんですよ。「このイラストならお金が回るんだから、今後もそういうイラストや、イベントをよろしく頼むよ!」と。

── 運営とのコミュニケーションを、感想メールを送るのではなく、課金で行っていると。

ごりら:
 メールなんか送っても……。結局は金が動くか動かないかじゃないですか。

──た、確かに……。

しらたま:
 ソーシャルゲームに課金していると言うと「無料で遊べるのに、形に残らないJPEG画像に、よくお金をかけられるよね」と言われることも多いですが、実際のカードゲームと違って、紙も使わないし、ダブったカードもデータ消すだけでオーケー。こんなにエコなことないじゃないですか。むしろ「地球にゴミを残さなくて最高ー!」って、地球に貢献している気持ちですよ(笑)。

女子課金兵の最大の敵は、カフェ!?

──おふたりの収入は世代平均とほぼ同じだと聞いていますが、ぶっちゃけ課金をしていて、実生活に金銭的な影響は出ないのでしょうか?

しらたま:
 ほかでめちゃくちゃ節約しています。日々のコンビニ通いがいちばんヤバい敵なので、のどが渇いているときもコンビニには入らず、公園を探して水道の水を飲みますもん。

──いやいやコンビニより、今年の夏の暑さのほうがヤバかったですよ! そして、冬は風邪ひきますよ! 

しらたま:
 あ、近くに公園がないときや、外仕事でつぎの仕事まで2時間以上空いている場合などは、駅のホームの椅子で寝てました

──カフェとかには入らないんですか?

しらたま:
 カフェなんてもったいない!(笑)。

ごりら:
 カフェ!? 入らないですよ。私のオススメは、東京メトロの駅ですね。涼しいし、駅構内にイスがあって、無料Wi-Fi完備でインターネットも繋がるので。

しらたま:
 そうそう、イスに座れたら儲けもんで、それで2時間つぶす。

ごりら:
 私の場合、山手線を2周ぐらいするときもあります。

しらたま:
 わかる! 「イスにも座れてクーラー効いていて、超ラッキー」みたいな。

──女性って、時間が余るとカフェに行くイメージがあるのですが。

しらたま:
 課金兵にとって、カフェは諸悪の根源ですよ!(笑)

──そこまで? 

しらたま:
 とはいえ、カフェに行くことは、日々の生活の潤いとして重要なこともわかっています。
 だって、駅で時間つぶしたり、公園の水道で水を飲んだりって、心が貧しいじゃないですか(笑)。私も本当は「アイスカフェラテ飲みたい」と思いながら、公園で水を飲んでますから。

ごりら:
 そうそう。本当はカフェに入って優雅な時間を送りたい。

しらたま:
 だけど、あくまでガチャのために「絶対自動販売機は使わない。コンビニにも行かない。そしてなるべくカフェにも入らない」と決めているんです
 カフェにどうしても行くときは、戦地に挑むぐらいの覚悟で、いちばん安い……。

ごりら:
 ベローチェ【※1】

しらたま:
 そう!(笑)。でも、どうせベローチェに行くのであれば、胃袋を満たしたほうがいいので物質系のフードをオーダーして、飲み物は水……ひたすら水!
 コーヒーだけだと、ドトール【※2】も安いけど量がすくないからな〜。

ごりら:
 そうそう(笑)。タリーズ【※3】は、コーヒー自体は高いんですけど、フィナンシェやスイートポテトだけを買うならすごく安いんですよ。
 それに、タリーズはコンセントが席に設置されている店舗が多いので、スマホを充電したいときは、タリーズに行ってフィナンシェだけ買ってます。

──え、ドリンクは注文しないんですか?

ごりら:
 「コスパの悪い客だな」と自覚しながら、申し訳なさそうにして、店の隅っこで食べてます(笑)。

しらたま:
 でも、「2時間とか3時間とか、このカフェにいなきゃいけない」っていうときは、さすがに悪いなと思って、アイスカフェオレとか頼むかなー。

ごりら:
 そうね。非常識な客になってはダメだという自覚はありますから。

──コーヒーの値段を把握しているあたりがスゴい……。ちなみに、スタバ【※4】はダメなんですか?

しらたま:
 スタバなんてセレブです!(大爆笑)。抹茶フラペチーノとか最後に飲んだのいつだろ?
 まぁ、カフェラテがどうしても飲みたい、贅沢したい、時間をつぶしたいというときは、まずコンビニ内のイートインを探します。

【コーヒーSサイズの値段】

ベローチェ:200円(ブレンドコーヒー)/税込
ドトールコーヒー:220円(ブレンドコーヒー)/税込
タリーズコーヒー:320円(本日のコーヒー)/税込
スターバックスコーヒー:280円(ドリップコーヒー)/税別

※1 ベローチェ
正式名称カフェ・ベローチェ。全国展開するコーヒーショップ。あまたのコーヒーチェーン店の中でも屈指の安さを誇る。
※2 ドトール
フード系のメニューが充実している。会員カードが発行されており、コーヒーを購入するとポイントが付加される。よく行くならおすすめ。
※3 タリーズ
タリーズコーヒーのこと。アメリカ西海岸のシアトル発祥のシアトル系カフェのひとつ。フィナンシェやクッキーなどのお菓子類が200円前後で販売されている。
※4 スタバ
正式名称スターバックスコーヒー。1996年に日本1号店が出店。洗練されたオシャレな内装、開放感溢れるオープンテラス席、店内全面禁煙の実施、呪文のようなコーヒーメニューなどが、女性を中心に高い支持を得てたちまち人気コーヒーチェーン店となり、シアトル系カフェのブームを作る。じつはコーヒー単体でみると、とそれほど高くない。季節のドリンクメニュー、豊富なトッピング、プラペチーノ系の飲み物などの誘惑が、女性課金兵のヤバい敵になるのだろう。

──おおっ! ここで初めてコンビニに行くんですね。

しらたま:
 コンビニのイートインは、100円でコーヒーが飲めて時間をつぶせるので、コスパ最強なんです。
 でも、カフェに行こうとすると、心が止めるんです。もうひとりの私がささやくんです。「お前そのカフェ代の500円、いつかの1回分のガチャやで」と(笑)。

ごりら:
 ガチャもカフェも心の癒しという意味では同じなので、癒しとして私たちはガチャを選んでいるだけなんです。だから私は、カフェに行く人をディスる気持ちは全然ないんです。

しらたま:
 ただ、同じオタクの友だちから 「課金もして、イベントも行って、お金あっていいね。」と相談されることがあるんです。そういうときは、「じゃ、まずカフェやコンビニに行くのやめなよ」って言っちゃいますね。「私も同じくらいしかお金を持ってないよ。ただ、課金のために節約してるだけ」と。

収入の使いみち(比率)】

──収入の使い道ですが……。やはりガチャの割合が大きいですが、そのほかの収支はどうしていますか? 例えば友人や仕事先からの飲みの誘いなどは?

しらたま:
 仕事関係は、基本的に経費がかからない会合にしか出席しません。どうしても参加しなければいけないときは、タンパク質を吸収する貴重な機会と割り切り、肉とか魚とか、体に栄養あるものを食べることに注力してます(笑)。

──「その他のオタ活」とは?

しらたま:
 『Mマス』関係のライブイベント……あとは好きなキャラクターを演じてくれている中の人(=声優)のステージなどですね。たとえ地方だとしても、食料と水を自宅から持っていき日帰り遠征するので!

──……。女性だと、男性よりも美容や服などにお金がかかると思いますが。

しらたま:
 基本的に仕事にもプライベートでも着ていける、モノトーンの服を選んで使い回していますね。あまりブランドとかに興味ないんで。

──ごりらさんは、何か節約していますか?

ごりら:
 私は、しらたまさんほど節約はしてないです。働く時間を増やして自分の収入を増やす方向です。普通に旅行にも行きますし、飲み会も結構出てます。
 まぁ、営業職なのでお客さんとの会食が多く、ご飯代が浮くことが多くてラッキーです。

──ということは、無理のない範囲で課金をしている?

ごりら:
 自分の娯楽という範囲で課金をしている感じです。

──ほかにも趣味はあるのですか?

ごりら:
 漫画や舞台観劇です。この前に観た劇団☆新感線【※】の舞台は、チケットが2万円近くしました。気持ち的には“確定ガチャ”ですね。2万円出したら絶対観られる舞台みたいな。

──娯楽のお金は基本ガチャ換算なんですね。とは言え、劇団☆新感線の舞台がガチャと同じ扱い……。

ごりら:
 ガチャだと、2万円使っても出ない可能性を考えると、むしろ「舞台のチケットって安いな」と。
 私は毎週、ガチャを回している訳ではないので、「この月はガチャに8万円使った。じゃあ来月は、8万円分を違う娯楽に使える」という感じです。
 毎月の娯楽費用の中で基本やりくりして、足りないならば仕事を頑張ればいいし、貯金したいなら、そのほかのところで少し我慢すればいいなと。

※劇団☆新感線
ど派手なアクション、殺陣、豪華な舞台設備が特徴の人気実力とも日本を代表する劇団。古田新太などが所属。かつては渡辺いっけい、筧利夫も所属していた。代表作は『髑髏城(どくろじょう)の七人』で、客演として市川染五郎、小栗旬、松山ケンイチ、天海祐希なども参加。座付き作家の中島かずきは、『天元突破グレンラガン』、『キルラキル』、『仮面ライダーフォーゼ』などの脚本も手掛けている。

──なるほど、おふたりとも重課金兵と聞いていたので、金銭感覚はどちらかというとガバガバなのかなと思っていたのですが、意外としっかりしていて驚きです。

しらたま:
 だってガバガバにしちゃうと、本当に欲しいものが出たときに買えないんですよ。「貯金がない」という子の話を聞くと、「どうするの、推しのガチャが来たとき消費者金融に借金するの?」と、直接言っちゃいますもん。

──借金は NG なんですか?

しらたま:
 消費者金融に借金すると親にバレるじゃないですか! 親にバレたら、すべての行動を止められる気がするので。

──あ、そっちの心配(笑)。では、おふたりは彼氏には課金兵ということをカミングアウトしてます?

ごりら:
 私は、言わないです。 以前付き合ってた人は私がオタクであることを知っていて、ちょっと許容されたので、調子に乗って、「私が土日にアナタに会えない理由はコレなんですよ」。と、当時はまっていた女の子が登場するTVアニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ』を見せたんです。
 「このキャラはこういう女の子で」と、一気に彼女たちの魅力をワーっと喋りまくったら「別に好きでもいいけど、そのテンションを俺に見せるのはやめて」と言われて……。それ以降は何も話せなくなりました。

しらたま:
 オタク女子あるあるだよねー。

ごりら:
 いま付き合ってる人は、私がオタクということも、『Mマス』をプレイしていることも知っていますが、課金してることはやっぱり言えないです。
 理由は、将来彼と結婚して家庭を持ったときに、いま使っている金額と同じ額をそのまま課金できないと思うからです。逆に彼に気を遣われて、「課金していいよ」と言われるのも嫌ですし。そこは触れずに内緒にしています。

──しらたまさんは、彼氏にオタ活は言いますか?

しらたま:
 以前AKB48にハマっていたとき、彼氏といっしょに握手会に行ってました。

──えっ、デートに握手会!?

しらたま:
 私がずっとテレビでAKB48を観ていたら、当時の彼氏も自然とハマっちゃんたんです。でも別々のメンバーを推していたので、握手会会場では別行動。
 終わったら合流しました。ただ、私的にはオタクとして握手の余韻を残しておきたかったので、ひとりで帰りたいんですよ(笑)。

ごりら:
 ひ、ひどい。自分からAKBの沼にハメといて、ひとりで帰りたいんだ。

しらたま:
 彼氏から「何とかちゃんと握手したよ」と話しかけられても、「ふーん」みたいな。

──彼氏がアイドルと握手しても、嫉妬はしないのですか?

しらたま:
 別にないですね。むしろ、私は「やるならトコトンやれよ」というタイプなので、彼氏が推しのプロマイドを買ってなかったので、「なんで買わないの? ふつう買うでしょ」と責めたりしてました。なので、自分は彼氏が理由でオタク活動を辞めたことはないですね。

イベントランキング1位を目指す乙女たちの知られざる戦いとは!?

──ところで、年額ではガチャにどれくらい使っていますか?

ごりら:
 毎月20万円を使ってる訳ではないですが、年間だと100万円は超えますね

しらたま:
 私も普通に超えてました。まぁ、軽く超えるかな。

──ゲームだけで100万円ですか? グッズとかも含めて?

しらたまごりら:
 ゲームだけですね。

──実際にどのようなプレイスタイルで遊んでいるのでしょうか?

ごりら:
 あ〜……。私、ゲームをプレイしないからわからない。ガチャだけ回してるんで。

──えっ、ゲーム自体をプレイしてないのに課金してガチャ?

ごりら:
 はい。

──………ごめんなさい、意味がまったく解らないです(笑)。

ごりら:
 え? なんで!? 自分の担当キャラがイベントに出ないときはゲームに時間を取られるのが嫌なので、ログインしないだけです。

──アプリゲームって、ログインボーナスとかありますよね。

ごりら:
 それすらも面倒くさいです。結局、私は好きな子のガチャさえ回せればいいんです。イベントに出ているキャラに興味がなければ、基本参加しません。毎日の積立ボーナスも課金でまかなえるものであれば……イラナイ(笑)。

──本当に、キャラカードを見るだけなんですか?

ごりら:
 はい。ゲームをプレイして3年目である程度デッキも完成しているので、自分の担当キャラのイベントのときだけ参加すればいいというスタイルです。イベントがあるときも、ランキング1000位以内に目的のご褒美があるなら、さっくり1万円ほど課金して、最終日前日に4時間だけプレイします。

──ん? でも年間100万円ほど使うんですよね?

ごりら:
 ……担当が4人いるので(笑)。

しらたま:
 彼女はガチャで4人分全員確実に2枚以上カードを引いているんです。だから、月ごとに費やしてるお金がまったく違うんです。

ごりら:
 1ヵ月20万円とか普通にありますね。

──もう驚きません(笑)。一方、しらたまさんは、どのようなプレイスタイルですか?

しらたま:
 担当キャラのイベントを走ってます

──走る……とは?

しらたま:
 イベント参加において、ランキング上位を目指すことを“走る”そして、走っている人を“ランカー”と言うんです。一方、ゆるく参加するときは“徒歩”とか、“ジョギング”とか言います。

ごりら:
 私はほとんどイベントに参加しないので、そういう意味では徒歩ですね。

しらたま:
 担当のイベントのときは、上位10位以内を狙って走りますが、実際イベントが行われている1週間は、寝落ちしたとき以外は寝てないです。

──もしかして、1週間ずっとゲームをしているんですか?

しらたま:
 そうそう。もう、体が震えてきますよ。

──えっとぉ〜、お仕事ありますよね?

しらたま:
 私はフリーランスなので、比較的、時間が自由なんです。
 でも……、急な呼び出しのときは「こんな仕事やってる場合じゃないのに!」って、イライラしています。以前、事務所に所属していたときは、仲間内の飲み会は「ちょっと体調が……」で帰ってました。

──ゲームのために仮病!?

しらたま:
 イベントで走っているときは、そこまでしないと勝てないので。本当に24時間スマホしか触ってないんです。

【イベント中の1日の行動  BYしらたま】

──ひぃぃぃ。“仕事のある日”は睡眠の文字がない! ……素朴な疑問ですがお風呂とかは?

しらたま:
 もちろん、ジップロックにスマホを入れて入浴します。

──頭を洗いながらも、プレイしてるんですか?

しらたま:
 さすがに頭を洗いながらのタップはめちゃくちゃ効率が悪いのでしてないです。重要なのは、どれだけ集中して、くり返しタップできるかがポイントなので。

──なぜそんなにタップするんですか?

しらたま:
 2位を振り払うためです。

ごりら:
 イベントのポイントを稼いでるんです。

──オートモードではダメなんですか?

しらたま:
 オートモード(笑)。そんなんじゃ勝てないですよ! 自分でタップしたほうが断然速いんです。そして、ランカーの人たちもみんな同じようにタップしている。
 だから、食事や睡眠でタップを中断しようものなら、ライバルたちにどんどん追い上げられ、置いてかれる……、そう思うと、恐怖で寝てられないんですよ。

──でも、逆に言うと、ライバルたちもそう思ってるわけですよね。

しらたま:
 そうなの! だからワザと夜中に30分ぐらいポイントを上げずに放置して、ライバルに寝たと思わせてからの~、一気にポイント上げたりします(笑)。そうでもしないと相手も寝てくれないから。
 そして、そのフェイク時間に細々とした私用をすませています。「そのあいだに寝落ちしてくれたらラッキー」みたいな。

──ライバルたちの活動時間をポイントの動きで推測しているんですか?

しらたま:
 突き止めるというか……。同じゲームを遊んでる人だから、自然にタイムラインに流れてきてわかっちゃいますよ。

ごりら:
 「有給3日取るぞー」とか、「イベント中の連休は家からでなくないから、食料備蓄完了」とかね。

しらたま:
 まじか、こっちは有給とれねー! って悶絶する瞬間ですね。

──えっ、イベントのために有給?

しらたま:
 1位から上位10位以内を狙って走っている人、みんな取ってるんじゃないですかね?

──ええっ!!!!

しらたま:
 有給だとポイントを一気に稼いでくるから、彼女に負けないためにポイントはどれくらい必要か、逆算したりします。で、食事休憩の余裕もないときは、栄養補助飲料を飲みながら、画面をひたすらタップし続けます。

ごりら:
 逆にイベント最終日が土日だと、ほとんどの人がお休みで走れるので、ポイントが伸びやすいはずなんですけど……、みんななるべくお金を使いたくはないので、ギリギリまで様子を見たりすることも。

──ただ闇雲に突っ走るだけではなく、高度な駆け引きがあるんですね。

しらたま:
 ありますねー。ある時は、担当キャラの最古参のオタクだけど、2位が最高順位で1回も1位を取ったことないランカーの人が、マイコメント欄に「ラストラン」と書いたことも。
 その時は、「あ、この人は、今回は課金額の上限ないな!」と、他のランカーたちがザワつきましたね。

──ゲームの引退宣言?

しらたま:
 だと思います。その彼女は、同じ担当キャラを推す人たちの中では有名人で、Twitterのフォロワーも多く……。彼女の気持ちも分かるので、そのイベントの1位は彼女でした。

──彼女のラストランに花を持たせたんですね。顔も名前も知らないけど、同じキャラを愛している課金兵たちの仁義があるんですね。

しらたま:
 顔も名前も知らないけど、同じキャラクターを愛している同志でもありますから。

──なんか、いいエピソードですね。人情味がある。

らたま:
 ……基本は仁義なき世界なんですけどね(笑)。同じ担当のファンですから、スマートフォン越しではありますが「相手の想い」がヒシヒシと伝わってくるんです。

ごりら:
 この小さいスマホ画面の中には、いろいろドラマがあるんだよね。
 『Mマス』マイページは、好きなカードを5枚並べられるんですが、“敷き詰め”と言って自分の担当のキャラをこのように並べるんです。

──へぇー、推しキャラへの想いが伝わってきますね。

しらたま:
 じつはこれ“威嚇”も兼ねてます

──えっ!? 威嚇? なぜ?

しらたま:
 イベントで上位入賞しないと手に入らないカードを5枚並べることで、ライバルたちを牽制しているんです。

── ………。

ごりら:
 イベントのランキングページには、“ポイント芸”もあります。

しらたま:
 1位の人が100億0000万0000ポイントぴったし!

ごりら:
 2位の人も77億7777万7777ポイントで、キリ番だ……みたいな。たぶんこの人たちは、このポイントのまま今回のイベントを終了します。

──3位と2位の獲得ポイントの差がものすごくありますね。そこまでポイントを貯めなくても、2位になれそうですが……。

ごりら:
 これはプライドなんです。このようにキリ番を狙ったり、毎回自分の最高獲得ポイントの記録を塗り替えたりと、その形、表現方法は人それぞれですが。

──キリ番を見せつけられると、抜きづらいですね。

しらたま:
 逆に「こいつ動かないぞ」と、思って最終日に虎視眈々と逆転を狙う場合もあります(笑)。
 ただ、キリ番を作った側も、1時間でどれくらいポイントが入るか解っているので、ポイント芸は安全なところで行うのが基本です。

 

──実際のところ、100億ポイントってどれくらいですか?

しらたま:
 たぶんこの人、3日間くらい寝てないと思います平均睡眠時間で考えると、1週間でたぶん10時間寝たか、寝てないくらいかな(編集部注 ※しらたまさんの勝手な妄想です)

ごりら:
 ちなみに、今回のイベントで1000位前後は、4000万ポイントです。

──ということは……、1位の人は、1000位の人の250倍!!

しらたま:
 愛が重いですなぁ。

──ポイントが「愛」なんですか?

ごりら:
 どんなにポイントを貯めても、1位で手に入る担当カードは3枚なんです。でも、愛があるから、愛のために、走るんです。

──2位だと2枚?

ごりら:
 10位までが3枚です。

──10位じゃダメなんでしょうか?

しらたま:
 そこは違うんです。1位になりたいんですよ。テッペンを取りたい。

──でも、イベントで1位を取ったとしても、『Mマス』をプレイしている人さえ、しらたまさんが1位を取ったこと知らない人が多いですよね。「多くの人に自分の担当への愛の深さを知ってほしい」、「他の人に見せつけたい」というなら、1位を目指す気持ちが解るのですが……。

しらたま:
 1位や2位、3位になる人たちって、「担当に自分が何をしてあげられるのか」という、その気持ちだけで走っているんです。周りに見せつけたいという考えはないですね。

ごりら:
 1位から3位は、もう自分との戦いなんです。
 純粋に駆け引きだけなら、10位と11位のあいだのデッドヒートのほうが熱いです。10位だと3枚もらえるカードが、11位だと2枚になるなど……枚数が減るので。

──うわ、それ11位になったら、キツイですね。

しらたま:
 お前、早く諦めろよ的な蹴落とし合いになりますからね。

──ソーシャルゲームのイベントを「マラソンイベント」と言うことがありますが、お話を聞くと、本物のマラソンさながらの駆け引きがあるんですね。

しらたま:
 本当にそうですよ。イベント上位10位以内の人とか、土日とか寝ないで、体を震わせながら極限状態で走ってますから。走りすぎて、腱鞘炎になったり、疲労骨折した人もいます。

──えっ!!!! タップのし過ぎで骨折!?

ごりら:
 2014年にジューンブライドにちなんだ「ウエディングミッション」というイベントがあったんですね。上位ランキング報酬は、担当たちが“花婿さんのタキシード”着用イラストだったんですよ。

しらたま: 
 そう、その報酬イラストをゲットすること。それはつまり「結婚!」というわけで、「婚活イベント」ってファンの間で言われ、熾烈を極めた戦いでした。

ごりら:
 ある者は疲労骨折し……。

しらたま:
 また、ある者スマホが壊れ……。利き手の感覚が次第に遠のき、お箸を使うことすらままならなく……。

──……そこまでして、イベントを走ってつらくないですか?

しらたま:
 つらいですよ。最初の3日とか、生活のリズムが変わるので、体がむくんでくるんですよ。
 精神的にも肉体的にも疲れが極限まで溜まって、顔とか真っ青になって、本当にしんどいです。「私、何してるんだろう?」と思いながら、24時間ずっとスマホをタップし続けてます。

──スマホ、熱くなりませんか?

しらたま:
 めちゃくちゃ熱いです(笑)。で、4日目ぐらいになると、その生活リズムに慣れてきて、むしろ触ってない時間のほうが、ありえない感じになってくるんです。
 ライバルのポイントの上昇具合を見ながら、睡眠時間を取れる余裕も少しできるので、心穏やかになりますね。そして、最終日の2日前とかになると、イベントが終わるのが寂しくなって涙が出てくるんです。

──ちょっと待ってください、それって精神的に追い込まれてませんか?

しらたま:
 違うんです! このゲーム画面のトップに、担当キャラが出ている時間が終わっちゃうのが悲しいんです。
 世界でいちばん担当が注目されている、いまの時間が終わってしまうから。

──…………………ちなみに、イベントをタップしているあいだって、ゲーム画面って結構変化したりするんですか? 担当キャラのいろいろな表情が見られるなど。

しらたま:
 ゲーム画面はそんなに変わらないですよ。と言うか、そもそもゲーム画面なんか見てる余裕もないですから(笑)。

──えっ!!!! ゲーム画面、見てないんですか!

しらたま:
 虚無ですよ。虚無になってタップし続けているんです(笑)。

──ゲームとして遊んでない? えっ……ゲームですよね? ゲーム性はどうなんですか?

ごりら:
 ゲーム性ってなに? キャラがいっぱい動くとかそういうこと?

──まぁ、それもあります。

しらたま:
 私は、いつも「単純作業だな」と思いつつやってます。タップしてるだけなんだもん。

ごりら:
 『Mステ』もジャンルはいちおう音ゲーですが、タップポイントが1個しかないんですよ。この前『バンドリ』【※】を触ってみたんですが、「うぉー、めちゃくちゃゲームじゃん!」っとゲーム性の高さに感動しました(笑)。

しらたま:
 女性向けゲームのプレイヤーって、キャラ萌え、シナリオ萌えだから……。ゲーム性について語ったりしないもん。

ごりら:
 とはいえ、私たちにとって『Mマス』と『Mステ』は神なんです。
 だからこそ、いいシナリオやキャラのイラストを楽しみにお金を使っているんです!

──おふたりは、女性向けにゲーム性は求めてないのですか?

ごりら:
 高ければうれしいですけど……、別に。何度もいいますが重要なのがそこじゃない(笑)。いいシナリオ! いいキャラカードです。
 私はキャラクター愛だからな〜。そもそもゲームしてないし(笑)。

──あっ、そうでした(笑)。しらたまさんはいかがですか?

しらたま:
 うーん。私は、ランカーとして走っている身なので、もうちょっと戦略的な要素があってもいいかな〜。1位を狙いやすくなるから。
 今は24時間、筋肉痛と戦いながらタップするという持続力、そして課金力だから(笑)。ここまで寝ないで耐えてタップし続けてきたのに、私だけつらさに負けて走るのを諦めてしまったら。

──フルマラソンを走ってる選手みたいですね。トップアスリートにインタビューしているのかな? ってなります(笑)。

しらたま:
 近いのかもしれないですね。上位ランカーどうしの順位争いは、どのゲームでも熾烈な戦いですから。

──ちなみにランキングを競う相手は、毎回同じ人ばかりなんですか?

しらたま:
 上位10位ぐらいの人たちは、ほとんど顔ぶれが変わらないです。
 中には、イベント終了後に、今回のイベントの順位や、イベントで自分がどういう風に走ったか、使用したアイテム数など、SNSにレポートを書いてアップする人もいます。

ごりら:
 あれ、しらたまさんも、アイテムを何個使ったか全部記録してるでしょ?

しらたま:
 それは自分のメモ用! 外に出してパクられたら負けるんで(笑)。ただ、違うキャラを担当している人にはコッソリ教えたりしています。ランク争いは、戦略”と“人脈”も必要なので。

──え、 “人脈”もいるんですか?

ごりら:
 必要です。なぜなら『Mマス』には、カード交換システムがあるからです!

しらたま:
 イベント期間中に誕生日のキャラのカードを持っていると、1回のタップで得られるポイントにボーナス効果が付くので、フレンド機能を使って担当が被らないほかのプレイヤーからカードを借りるんです。

ごりら:
 信頼関係がないと大切なカードは渡せません! だから人脈が必要です。

しらたま:
 そう! 例えば、私が1時間に3000ポイント貯められるところに、特別効果のあるカードを複数枚持っているライバルが1時間で5000ポイントで走ったら、彼女は私が5時間かけて貯めたポイントをわずか3時間で貯めてしまう。時速で負けていると、もう絶対に勝てないので。

──なるほど、誕生日のキャラのカードも借りて、少しでも1回のタップで得られるポイントを多くしたいのですね。でも、貸し借りでトラブルとかはないんですか?

ごりら:
 私は、オフラインでも知っている人としかフレンドにならないので大丈夫です。

しらたま:
 私は、自分の持っている超レアなキャラカードを人質として相手に渡して、カードを借ります。

──人質……って、なんか戦国時代みたいですね。

しらたま:
 戦国ですよランク争いは。イベントは食うか食われるか!

夜の世界には女子課金兵が潜んでいる!?

──ものすごくキャラクターに入れ込んでいるのがわかりましたが、しらたまさんが担当しているキャラクターは、ゲームの中では人気があるんですか?

しらたま:
 そんなにないかな~。中くらいだと思います。

──キャラクター人気が中くらいで月20万円ですか。となると、一番人気のキャラクターのイベントは課金額がさらにエグイことに……。

しらたま:
 じつは1位や2位を狙うランカーってどのキャラクターにもいると思うんですよね。なので人気がそれほどなキャラでも、低い課金額で1位を狙える訳ではないですし、人気1位だからといって課金額がもの凄く跳ね上がるということはないです。少なくとも『Mマス』に限っては。ただ……

──た、ただ……?

しらたま:
 プレイヤーが男女入り乱れるアプリゲーの中にはもっと上がいるからなー。

──さらに、上の世界が!!

しらたま:
 ぶっちゃけ、ガチャ課金はキャラの人気というか、出現率ですから。厳しいところは厳しい。でも、イベント課金はね!

ごりら:
 人がゲームにかけられる時間って、1日が24時間という時間で換算される、今の世界構造である間は……、限界があるよね。

──なるほど。みんな節約しながらイベントやガチャを頑張っるんですね。

ごりら:
 いや、そうとも限らない。お金の工面に関しては、収入を増やす派の人もいるから。

しらたま:
 短時間で高収入の夜のお仕事は、副業も本業も含めて……まぁ、いるね。

ごりら:
 そだね。ふつーにいるね。

しらたま:
 周りにいるから、「キャバ嬢なんだー」っていわれても、「そうなんだー」ってぐらい。むしろキャラのために「自分で稼いで収入増やす」とか「仕事を掛け持ちなんてすごい」って思ったりする。

──えっ〜〜!!!

しらたま:
 こないだ、別作品なんだけど、とあるキャラクターの生誕祭【※】のツイートが回ってきたんだけど、夜の世界でしかみないようなお酒のボトルが写ってた。
 ガチャでもゲームのイベントでもない“生誕祭”に、そんなに金がかけられるなんて……。ってなんか、羨ましい。

ごりら:
 純粋にキャラのためだけにお金をかけてお祝いしてるんだもんね。

しらたま:
 そう……。報酬とかないのに……すごいな〜って。

──そこは尊敬の眼差しになるんですね。

しらたま:
 まぁ、私たちは雑誌『小悪魔ageha』【※】でage嬢たちが一世を風靡していた世代の人間なんで。

※『小悪魔ageha』
2005年に創刊。2008年ごろ発行部数は推定35万部を突破したギャル系のファッション雑誌。age嬢と呼ばれる読者モデルたちには六本木や歌舞伎町など全国のトップキャバ嬢が起用されていた。2008年ごろには「女子高生のなりたい職業ランキング」トップ10に“キャバ嬢”がランクインするほどの影響力をもっていた。現在はトランスメディアが発売している。

ごりら:
 とはいえ、私もオタクなんで疑問なんだけど、ある程度社交性がないと、不特定多数の人と接する仕事って厳しからすごいよね〜。

しらたま:
 ……ガールズバーの時給2000円やキャバクラの時給4000円、もっとディープな世界【※】だと時給6000円。さらに、美人なら時給や歩合が上がるんでしょ?
 一方、我らのような仕事はどんなけ頑張っても年収が数百万単位で変わることはない。同じ年齢で1時間働くとしたら、アナタはどれを選びますか? という話を……時折考えてしまうよね。

ごりら:
その話を聞くと、むしろ羨ましいなぁ。と思う自分もいます。

※ディープな世界
ライターの頭の中で、ランパブ、セクキャバ、プチ風俗といろいろ頭によぎり、結局インタビュー後“6000円 時給”で検索したのは、ココだけの話。

──そうなんですか?

ごりら:
 お金を稼ぎ、担当のためにお金を使うという意味で考えると、時間と時給比率がいいからね。

しらたま:
 そうだよね〜。むしろ、キャバ嬢一本で課金まで出来るなんて、美貌と社交性がある売れっ子じゃないと無理だもん。自分には出来ないから……。

──世の男性たちは、好きなキャラクターのために働くキャバ嬢を、必死に口説いていたかもしれないんですね。なんという無駄な行為(苦笑)。
 キャバクラで働く課金兵を見分けるのって、なにかありますか?

しらたま:
 キャバ嬢に限らずオタク女子全般に言えるけど、先日仕事で会ったヘアメイクさんに「髪質パッサパサ〜。オタクだねぇ。手入れしなー」って言われたから“髪質”かも。「どこに潜んでいても髪の毛で分かる」って言ってたな〜。

ごりら:
 あ〜……イタい。痛いところえぐられた。私は営業という立場なので、身なりを気にし、ちょっとしたブランドのバッグとか持っちゃいます。スーツだってそこそこのもの。
 もちろん、休日も街に溶け込んだり、彼氏とデートもするから、身なりは気をつけますよ……。でも……。

しらたま:
 言われたら、髪の毛って……そんなに手入れしてないわ(笑)ってなった。同年代の女性が、月に1回はヘアサロン行くって知って……、私の常識が瓦解した。

ごりら:
 ひぇ〜。カット&トリートメントで1万5000円ぐらい飛んじゃうよ〜。ガチャ何回できるんや〜。

──……つまり、髪型をみれば、その手入れのされ方で「わかるかもしれない」ってことですね。なるほど。

相手からのリターンがないからこそ、課金ができる!?

──話が脱線しましたが、最後にお聞きします。おふたりはソーシャルゲームのキャラに課金することで、結局何を得ているのでしょうか?

ごりら:
 非現実です。

しらたま:
 日々の潤い、癒しだよね。砂漠のオアシスです。

ごりら:
 人とのコミュニケーションって、ときに自分が意図しないモノが入ってきて、それがストレスになることがあるじゃないですか。でも彼からは何も返ってこないからこそ、私は傷つかないし、裏切られることもない。だから自分の中の彼を、ずっと好きでいられるという安心感があるんです。

──好きでいることが自体が楽しい? それが自分の生活の……

ごりら:
 潤いになっています。

しらたま:
 女性は好きな相手からのリターンがなくても推せるんですよ。「女のほうが貢ぐ」とも言われますしね。

──見返りがないほうが、貢ぎやすい?

しらたま:
 そうそう。だから私なんか、「2次元の男ってなんて楽なんだろう」て思うんですよ。

ごりら:
 コミュニケーションってリターンを期待するから、がっかりする訳で。そういう意味では、無尽蔵にいける。

──無尽蔵な結果が、1年で100万円以上の課金ですか。

しらたま:
 一般的には変なことだと自覚したうえで、課金しているんです。いつか自分が彼に飽きることもわかっているし。

ごりら:
 私がある日、突然課金をやめても、彼らは怒らないですし。そういう意味でも、お互いが皆儚いものにお金を使っている感覚はあります。

──いままでの話を聞くと、“恋人”や“旦那”という表現より、【担当】という表現がしっくりくるのがわかります。ビジネスライクな関係にも思えますね。

しらたま:
 だいたい、恋人や旦那と言うのがおこがましいんです。私なんか「彼の横に立っていい女じゃない」って思ってるから。彼をアイドルとしての頂点に導けるなら、ATM でいいんです(笑)。

ごりら:
  恋愛はレスポンスがないと成り立たないと思うので、私も彼と恋愛をしている感覚はまったくないですね。

──相手からリターンを求めると課金はつらい?

しらたま:
 ソーシャルゲームのランキングって、本当に自分の気持ちでしかない。1位と2位で争う理由って、「自分が1位になりたいか」という気持ちの強さだけなんです。本当に1位になりたくて必死で頑張ったのに、2位になってしまったときのことを考えると、やっぱりつらいから、走ってるんだと思うんです……って、アスリートといっしょですよね(笑)。(了)

 年に100万円以上つぎ込んでいるゲームについての「ゲーム性は分からない」と言う彼女たちだが、担当キャラやイベントの話をしているときは、終始楽しそうに見えたのが印象的だった。

 そして、ランカーのしらたまさんは、ゲームのランキング画面のポイントや、突き止めたライバルのTwitterを見ながら、ライバルの活動時間帯や、1時間で獲得するポイントを計算。
 自分がいかにプレイしたら勝てるか戦略を立ててプレイしている。「ゲーム性はないです!」と言いつつも、そこで行われているのは、間違いなくライバルと順位を争うオンラインゲームだ。

 一部のソーシャルゲームの女性向けゲームはパッケージ単体として考えると、確かにゲーム性は皆無かもしれない。でも、課金を行うことで広がる、手に入れたキャラを愛でる楽しみ、熾烈なランキング争いの駆け引き(コメント欄での牽制、飛び出すタイミングの探り合いなどなど)、パッケージの外を含めた現象もゲームとして考えると、そこは従来のゲームとは異なる遊びの形がある。

 とは言え、1年100万円以上かぁー。ゲーム業界の片隅で活動するライターとしていろいろ思うことがあるけど、今回のインタビューを終え、ひとつだけ断言できることがある。「男性諸君、女性を見たら髪のツヤをチェックせよ!」

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インタビュアー
卵を守る雨宮
週刊ファミ通でクロスレビューを担当するゲーム業界歴20年の古参ライター。ゲーム の話と同じくらいに、下世話な話が大好きなので、今回の記事を任された!? アプリ ゲームは基本無課金でゆるりと楽しむ派です。
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