BLファン長年の夢「透明人間として、ふたりの恋を傍観したい」がARでついに実現!──「AGF2018」で『だかいち』の“ちゅんたか”を堪能

 ボーイズラブ(以下、BL)【※1】ファンには長年の夢がありました。それは「仲良しカップルのイチャLOVEを、本やゲーム画面越しではなく、目の前で傍観したい!」ということです。

 そんなファン待望の夢を、2018年11月10日〜11日に池袋サンシャインシティで開催された「アニメイトガールズフェスティバル2018」(以下、AGF2018)【※2】で限定企画として登場した体感型&ARイベント「抱かれたい男1位に脅されています。~西條高人、ヒミツの3日間~」が叶えてくれました。

※1 ボーイズラブ(以下、BL)
日本における「ボーイズラブ」とは、男の子同士の恋愛が描かれているジャンルのことをさし、現在は小説、漫画、ゲーム、アニメ、ドラマCDなどで展開されている。

※2「アニメイトガールズフェスティバル」(以下、AGF)
”女の子のためのすべて”が集まる大型イベントとして、2010年より1年に1度、池袋で開催されており、乙女ゲーム・アニメ・コミック・BL・グッズ・コスプレなどの出展やステージイベントなどが催されている。

 『抱かれたい男1位に脅されています。』(以下、『だかいち』)は月刊誌『MAGAZINE BE×BOY』(リブレ)にて連載中の桜日梯子氏が手がけるBL漫画です。2018年10月よりTOKYO MX系列でTVアニメも放映されています。

 物語の舞台は芸能界。イケメンの役者に与えられる「抱かれたい男ランキング」1位の新人俳優・東谷准太(あずまや じゅんた)と、前年まで5年連続で1位を獲得していた芸歴20年のベテラン俳優・西條高人(さいじょう たかと)の恋愛模様が描かれています。

 天使のような愛らしさを持つ東谷と、プライドの高い西條が繰り広げる、ときにスリリングな一面も見せるイチャLOVEカップリング、“ちゅんたか”【※】と呼ばれ、今、BL業界でアツい作品のひとつとして多くのファンに支持されています。

※ちゅんたか
東谷に「准太」と呼んでとお願いされた西條だが「ちゅんた」と噛んでしまった。以後「チュン太」と呼んでいる。「ちゅんたか」は東谷と西條のふたりを指しており、2018年10月からはラジオ「ちゅんたかラジオ ~抱かれたい男1位と喋っています。~」がインターネットラジオステーション・音泉で放送中。

 AGF開催日2日目となる11月11日は偶然にも東谷の誕生日。「体感型&ARイベント」(有料)では、東谷の誕生日をお祝いするために、アレコレと奔走する西條を“透明人間”として見守ることができました。

【イベントSTORY】


 「抱かれたい男2位」の西條高人にとって、11月11日は「重大な日」。なぜなら――「抱かれたい男1位」東谷准太、生誕の日だからである…!

 

 今日は11月9日、誕生日まであと2日。”ウカツ” “変に素直” “自分はしっかり者だと謎の自信がある” 高人さん……これはヤバイ匂いしかしない!?(※色んな意味で)
みんなで高人さんの様子を覗き見しながら応援しよう!!
「AGF 2018」公式サイトより)

 イベント参加者が透明人間になるために使われたのはスマホアプリ「舞台めぐり」【※】に搭載されているARカメラです。

 ARカメラの仕掛けを使って楽しめる「BLの世界」……。それはまさに、“BLの楽しみ方”として、新たな扉が開かれた瞬間でもありました。
 BLファン待望の「のぞき見」そして、BL世界における「体験型」とはどんなものなのかをレポートしていきます。

※舞台めぐり……ソニー・ミュージックコミュニケーションズが制作している、アニメ聖地巡礼・コンテンツツーリズムアプリ。カメラ機能を使用すると収録されているアニメの公式キャラクターといっしょに撮れる、ARカメラ機能が搭載されている。
(画像はiTunes Storeより)

文/かなぺん


“透明人間”となり、ARで彼らの日常を“覗き見る”

 今回の「体感型&ARイベント」は、東谷の許可を得て、参加者が西條を覗き見ることをサポートしてくれるナビゲーター、その名も“のぞき見案内人”のもとに進行しました
 のぞき見案内人の「みなさんは、東谷准太さんに許可された透明人間として高人さんの生活をのぞき見していただきます」に、参加者たちは思わず笑い声を上げてしまいます。
 
 とはいえ、この瞬間……参加者は全員“透明人間”となったのです。そう、透明人間なのだから西條のアレやコレを凝視してもいいということ。
 作中では東谷にしか見せない、可愛らしい表情を……目の前で存分に堪能できるのではないだろうか……。そんな期待がふくらんでいきました。

 のぞき見案内人が「なんと高人さん、チュン太のために“誕生日会を主催”することになってしまいました。しかもサプライズ!というと、周囲の参加者はざわり……。筆者も思わず「それ、ヤバくない?」と口にしてしまいました。
 すると、のぞき見案内人が続けて「あの西條高人です! ツンデレで不器用な高人さんが、そんなことできると思いますか?」というと、参加者たちは口々に「無理!」「できなーい」と断言。漫画やアニメで画面越しに、東谷と西條の愛を見守ってきた参加者だけに、みんな西條の性格を熟知しているのでしょう。 

 なぜ、西條がそんな事になったのか……そしてどうするのか。今回のイベントは、ARカメラを起動することで、「キャラクターたちの心の声」がのぞき見を堪能していくものです。

 「Have a good NOZOKIMI time!」 のぞき見案内人に見送られ……いざ「誕生日までの3日間」が始まりました。

巨大パネルに悶絶! 透明人間の醍醐味を味わう

 会場に入ると登場人物たちの日常が描かれた巨大パネルがお出迎え。セリフが描かれた背景はまるで漫画のコマそのもの! 自分が“彼らの生活圏内”に侵入できたと確信させてくれました。もちろん、自分は“透明人間”ですから、彼らに見つかる心配はありません。



 まず登場したのは、笑顔が取り柄の現役高校生俳優・成宮 涼(右)と、枕営業をしているという噂がある新人俳優・綾木千広(左)のふたり。

 ふたりの握っている西條のヒミツをさぐるべく……アプリ「舞台巡り」を立ち上げ、各スポットでARカメラ機能を表示させます。

 ARカメラを立ち上げると、そこにはキャラクターパネルと同じイラストが描かれていました。なにやら吹き出しが……。画面の拡大機能を使いながら、キャラクターパネルにイラストを合わせて、パシャリと撮影。すると……、成宮と綾木の会話が、背景画面に溶け込む形で表示されました! 

 今回のイベントは、このように各スポットごとにARカメラを立ち上げることで、キャラクターたちの会話や、心情が表示される仕掛けとなっていました。

 ここでは、西條がなぜサプライズで東谷の誕生日をすることになったのかが明らかとなりました。

 「西條の家に入りたい」成宮、「西條のベッドに入りたい」綾木……。会話の裏に隠された気持ちまで覗くことができ……ニヤニヤがとまりません。

 つぎに現れたのは“楽屋”。先ほどと違って誰もいませんが、ARカメラをたちが上げると西條と鬼プロデューサー・卯坂和臣の姿が現れます。

 付き合いが長く西條の性格を把握している卯坂の忠告が、もはや切ない……。

ファン心理を知り尽くした“細やかな”気配りが「尊すぎた」

 このイベントには……さらなる“お楽しみ”がありました! それは細部にまでこだわった空間づくりです。

 卯坂の忠告を無視して手作りケーキを作るという行為に出た西條。
 西條の“買い物”を、ARカメラでのぞき見すると「さすが俺……! 完璧な準備!」と自負していますが……購入したものがいろいろとおかしい!

 購入した材料がケーキ作りとは遠すぎる! サンマ、枝豆、メロン……と心配しながらチェックしていると、ケーキ用ではない“ろうそく”まで含まれていました。そんな妄想膨らむアイテムを購入して、一体全体どうするつもりなのか……。

 さらにじっくりとみていると、薄力粉、バターや牛乳のパッケージにもファンを喜ばせる仕掛けが!
「DAKARE SEIFUN」「男印 池袋 バター」「抱男印 天ぷら粉」と作品にまつわる言葉が散りばめられていました。

 それにしても、牛乳のパッケージに記載されている“抱かれたい牧場”や“美味しさ濃縮”というキャッチフレーズ。
 さらにホイップクリームの作り方に示されている「ツノ」「はちみつ」という単語やケーキ以外に使ったほうが需要が高そうな「ろうそく」 ……。ちょっとエッチ! と妄想できる細やかなこだわりに乾杯です。

“謎解き物語”でもあるかのような巧みなストーリー

 スポット巡りが進行するに連れて、のぞき見をするというムフフ心理の一方で、謎解き物語を楽しんでいるワクドキ感さえ漂ってきました。
 それは、誕生日にケーキを作るにもかかわらず、西條がトリッキーな買い物をしているから。一体どうなるの? と気になってしまうからです。

 一見すると「普通じゃん? むしろ、調味料が瓶詰めされてて完璧」というキッチンなのですが……。

 キッチンに回り込んでみると「まぜる!」とだけ書かれた、大雑把すぎるレシピ。不安を感じキッチン台を見てみると……。おおよそ調理現場では見ることがないだろう溶接ヘルメットや電動ドリルと購入していたろうそくが鎮座しています。

 思い返せば、作中で……料理をしているのは、だいたい東谷で、西條はモキュモキュと食す立場でした。果たしてどんなケーキが仕上がるのか想像すら不可能です。
 まな板の上の新鮮そうなサンマが助けを求めているかのようで、気の毒に思えてきました。

 西條のケーキ……。それはまさに、どんな名探偵ですら“どうしてこうなっちゃった”のか真実を突き止めきれないだろう結果でした。
 カットされていないメロン! なぜチョイスしたかわからない「呪」という言葉……そしてなにより、焼かれたといよりは、バーナーであぶられたかのようなサンマ……。

 恐る恐る、ARカメラを起動させてみると「こんなはずでは」と西條。なぜだか、西條本人がケーキ作りに失敗したことをわかっていたことに、とにかくホッとしました。東谷に食べさせたらお腹こわしちゃうよ!
 とはいえ、不器用なのに東谷のためにとっても頑張った西條は、やっぱり可愛い。

 このキッチンにも、ファンを喜ばせる仕掛けが沢山施されていました。冷蔵庫のなかには「J」の文字。おそらく准太からの手料理ではないでしょうか。

 さらに、コミックス第4巻に登場する、白と黒のお守り。東谷と西條が仕事でハワイを訪れていたときに、東谷が西條にプレゼントしたおそろいの品です。
 このように、イベントでは、随所にファンたちが「あっ! これってもしかして!」と楽しみが散りばめられていました。

最後はファン待望の「ふたりのイチャLOVE」をのぞき見!

 東谷の誕生日前日に作ったケーキは、みるも無残に仕上がり。一体全体、ケーキ作りはどうなるのだろう……。不安にかられながら次のスペースへ。
 そこは「高人さんを救いたい」人が集う場所。参加者全員のパワーを送り、西條を救える唯一無二の人物を呼び出すことに。するとモニターに東谷が現れ……あろうことか、西條に睡眠薬を盛ってしまいます。西條は誕生日当日の昼まで、ぐっすり眠り姫でした。

 結局、誕生日ケーキは、料理の得意な東谷が西條にかわり作ったもよう。プライドの高い西條の性格を理解している東谷とはいえ、睡眠薬まで使うとは……想像以上の展開でした。

 そして……いざ、誕生日当日へ!

 東谷が作ったケーキはとっても豪華。結果として誕生日会は大成功! 東谷がケーキを作ったことは成宮や綾木には知らされていないようで「さすが西條さん」と面子も守れたみたいです。

 ドタバタとした誕生日までの3日間も終わりが近づくと、夜景広がるバルコニーが現れ、そこには白い羽が散りばめられています。白い羽は作中で「天使」と称される東谷のことに違いない! となれば、ついにBLファン待望の夢である「ふたりのイチャLOVEを目の前で傍観する」が実現する瞬間です。

 ドキドキ……ドキドキ……。ARカメラを立ち上げるとそこは……。イチャLOVE中の東谷と西條の2人が!!!!

 「ごちそうさまで〜す!」と心の中で叫び声を上げ、ふたりのLOVEを目の前に「尊い……」とつぶやいてしまいました。
 ふたりが、目の前にいて……自分がみている空間でいちゃついている。いつもは漫画やモニター越しだったけれど、今は「ふたりがそこにいる」状態です。透明人間って最高だな」と改めて今の立場を実感。

 ……そういえば、我々は“東谷の許可のもとのぞき見する許可が出ている”とのことでした。ということは、もしかして東谷は我々が、ふたりの「イチャLOVE」をのぞき見していることを気づいているでは? そんな疑問が脳裏をよぎりました。
 そして振り返るとそこには「出口」の文字が……。現実世界へとつながるその扉をくぐると、透明人間ではなくなるので、“のぞき見”することができなくなってしまいます。
 「あぁ、現実世界とはなんと切ないものか。もっとこの世界を堪能していたい……」と後ろ髪を引かれながらイベントは終了となりました。

 ARやVRという技術が進むにつれ、ゲーム業界でも“リアル体験型”のイベントや展示会が多くなりました。その流れは女性向け作品も同様で、近年の「東京ゲームショウ」では、女性プレイヤーがいかにキャラクターとの触れ合いをリアルに体感できるかが見どころとなっています。
 しかし、それらの多くは“乙女ゲーム”や“育成ゲーム”など、キャラクターとプレイヤーの女性の触れ合いがテーマのジャンルでした。

 一方、「BL」はキャラクター同士のやりとりを、女性はただ眺めている第三者状態のジャンル。そのため、BLファンの女性たちは、自分たちの立ち位置を「透明人間」「部屋の壁」と表現してきたのです。
 “リアル体験型”がブームとなっているとはいえ、BLジャンルでは直接キャラクターと触れ合う必要がないため、体験型のイベントといわれても、ピンとこない状態でした。

 正直に告白すると、「AGF 2018」で、体感型&ARイベント「抱かれたい男1位に脅されています。~西條高人、ヒミツの3日間~」の開催が告知されたとき、“BLで体感ってなんだろう?”という疑問があったのは事実です。
 しかし、巨大パネルと作り込みでキャラクターの生活空間を再現し、そこにARカメラを使う。カメラ越しにキャラクターを眺めることこそ“透明人間”という発想には驚きました。
 
 彼らと同じ場所で、同じ時間軸をたどり、目の前で繰り広げられている出来事に「どうなっちゃうの?」とワクワクドキドキ。自分の足で歩きながら作品を体験する……まさに「リアル体験型」のイベントでした。

 今回のイベントは「透明人間か壁になって、彼らを見守りたい」女性たちのそんな願いを実現しただけでなく、BLジャンルでも“リアル体験イベント”は可能! という新たな境地を切り開いたのではないでしょうか。

©DO1 PROJECT ©桜日梯子 / リブレ 2018

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ライター
コスプレ雑誌の編集部を経て、電ファミ初の女性スタッフとなった編集者。乙女ゲームと育成ゲームをこよなく愛し、BLゲームを嗜んでいる。2.5次元舞台の観劇とコスプレ撮影が趣味。アニメに影響されフィギュアスケートを習っている。
 
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