宇宙探索ゲームで「惑星基地」の建設会社が誕生、慈善団体への寄付で優先販売。祖母の死をきっかけに『No Man’s Sky』でチャリティを始める

 2016年8月に発売された宇宙探索ゲーム『No Man’s Sky』は、2年の時を経て先日の大型アップデート「NEXT」にて大きく進化した。発売当初に寄せられていたゲームへの辛辣な評価が徐々に覆っていくなか、コミュニティも活発になりさまざまな活動が観測されているようだ。

 たとえばとあるファンは、ゲーム内の通貨をもらってゲーム内で惑星基地を建設する契約会社を立ち上げた。
 ユーザーが自身の制作物や契約を販売することは、経済圏を持ついくつかのゲームでも見られる行動だが、彼らは慈善団体に寄付したユーザーを優先して基地の建設契約を結んでいるという。

契約を経て建設された基地のひとつ。
(画像はFacebook | NMS Galactic Construction Co.より)

 基地の売り上げを寄付することを思いついたのは、イギリスに住むMartin Boid氏だ。彼の立ち上げた「Galactic Construction Company」(以下、GCC)は、支払われたゲーム内の通貨「ユニット」と引き換えに契約を結び、Boid氏と従業員たちがクライアントの好みの惑星基地を建設する。

 『No Man’s Sky』では先日の「NEXT」アップデートにて最大4人の協力プレイが導入されており、この手のゲームの建築がもともと好きだったBoid氏はそれを機にこの商売をスタートしたという。

 会社は設立数日でまたたくまに人気となり、Facebookの“企業ページ”での報告によれば、現在も70人以上が基地を買うために順番待ちしている状況。
 商売は大盛況とはいえ、もはや今の会社の規模ではすべてを取り扱うことができなくなっていた。順番を待つ顧客の中には、リアルマネーを払うから基地を売ってくれと頼み込む人までいたそうだ。

 それを聞いたBoid氏は、慈善団体へ寄付した人に向けて、基地を販売することを思いついた。ゲーム内通貨の「ユニット」を支払って順番待ちをしてもいいが、「ユニット」の代わりに現金で契約(寄付)すれば、優先してそのクライアントとのやり取りを始めるというチャリティシステムだ。

 GCCはJust Givingという寄付型のクラウドファンディングサービスを利用している。Just Givingはイギリスでスタートした寄付型のクラウドファンディングサービスで、お金を払った瞬間に指定された慈善団体へと寄付される。日本でも2010年からJapan Givingの名前でサービスがスタートしている。
 寄付先はアルツハイマー病の患者を支援する団体「Alzheimer’s Society」。8月22日現在で、すでに11人から250ポンド(約3万5000円)以上の寄付が集まった。

 GCCのFacebookページでは、契約を経て建築された基地と、その価格を見ることができる。寄付を募りだしてまだ1日ほどだが、すでに寄付で建設された2軒の基地が発表されている。

寄付契約で建設された基地「SkyFall」。契約価格は50ドルの寄付、あるいは50億ユニットだった。GCCに所属する建築家3人が4時間かけて作り上げたという。
(画像はFacebook | NMS Galactic Construction Co.より)

 Boid氏はKotakuのインタビューで、寄付先にAlzheimer’s Societyを選んだ理由を話している。彼は昨年のクリスマスにアルツハイマー病で祖母を失ったのだ。
 氏は「私の祖母は祖父と結婚して70年一緒に過ごし、享年88歳でした。祖母は彼女の愛した人と一緒に素晴らしい人生を送りましたが、最後には私たちのことが誰かわからなくなっていたのはとても悲しいことでした。」と語っている。彼は今でも週に3回は祖父に会いに行っているそうだが、GCCの活動についてはまだ話していないという。

 Boid氏個人としての活動も紹介しておこう。主な活動の場所はAmino Appと呼ばれるSNSの『No Man’s Sky』コミュニティだ。
 彼が参加した最近のもっとも大きなプロジェクトは、「the Hollywood Project」という『パイレーツ・オブ・カリビアン』『スター・ウォーズ』といった映画をテーマにした基地を作るプロジェクト。
 プロジェクトのページでは彼の製作した『パイレーツ・オブ・カリビアン』の海賊船や『ハリー・ポッター』のクィディッチをテーマにした基地を見ることができる。

(画像はFacebook | NMS Galactic Construction Co.より)

 ゲームを通じた慈善活動は枚挙にいとまがない。Twitchなどのライブストリーミングサービスサイトで行われるゲームを利用したチャリティイベントは人気のジャンルとなっているし、製作したゲームの売り上げを寄付する開発者もよく見られる。チャリティに関わったことがないという人も、Humble Bundleでゲームのバンドルを買って購入額の一部を寄付したことがある人も多いのではないだろうか。
 寄付を募るだけでなく、『Minecraft』のMojangが国連ハビタットと協力した公共施設改善プロジェクト「Block by Block」のような少し変わった慈善活動も行われている。GCCの活動もこうしたゲームを通じた慈善活動のひとつというわけだ。

 「NEXT」アップデートによって基地建設が大幅にパワーアップした『No Man’s Sky』だが、巨大でかっこいい基地を手に入れるには大量の資材とテクノロジーが必要となり、すぐに建設するというわけにはいかない。
 「NEXT」からやり始めた新人プレイヤーや基地建設に労力を割けないプレイヤーは、寄付を行ったついでにGCCに基地を建設してもらうのはいかがだろうか?

文/古嶋 誉幸

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ライター
一日を変え、一生を変える一本を!学生時代Half-Lifeに人生の屋台骨を折られてから幾星霜、一本のゲームにその後の人生を変えられました。FPSを中心にゲーム三昧の人生を送っています。
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