『FFIII』のラストダンジョンが激ムズになったワケとは?──坂口博信氏がプレイしながら語る当時の思い出

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広野さん退席し、渋谷員子さんが登場

左から林克彦、坂口博信氏、渋谷員子さん、ゆーみん17

渋谷:
 坂口さんが困ったらいけないと、攻略本を持ってきました、昔の。

坂口:
 頼らずに行きたいですけどね。

林:
 これは渋谷さんご自身の?

渋谷:
 私物です。

林:
 これ、出版社は?

坂口:
 当時NTT出版。

渋谷:
 これがあれば、ダンジョンは大丈夫。

坂口:
 本に掲載されている写真、発色がちょっと違うよね。ブラウン管をフィルムで撮った画像。ブラウン管のゆがみも出ちゃってるもん。

林:
 マップ画面がよく見るとぼやけていますもんね。

坂口:
 なかなかアナログなことやっていたよね、当時は。

林:
 しかも物持ちいいですね。だってここにポストカードが入っていて、エポック社の『ドラゴン・スレイヤー』が(笑)。

渋谷:
 出てきたのがもっとヤバいのじゃなくてよかった(笑)。

林:
 プライベートの物ですもんね(笑)。

坂口:
 なに? このお芝居みたいなの(笑)。

林:
 懐かしい。もし詰まったらこれを(笑)。

坂口:
 ボク思い出したんですよ。ここでボクが作った渾身のイベント。行きますよ。

坂口さん渾身のイベント!?

坂口:
 これね、匂いを嗅いでいるんです。お姫様のベッドに鼻をこすりつけてですね、という思いで作ったんですが、皆さん伝わってますかね?(笑) もうちょこっと細かく作りたかったけど、これが限界だった。

林:
 そうだったのかっていう(笑)。

坂口:
 これはボクが小学校5年生のときに、高校3年生のお姉さんのいる友だちの家に3人で泊まりに行ったんですよ。そのときお姉さんの部屋を空けてくれて、誰がお姉さんのベッドで寝るかで、じゃんけんですさまじい戦いをして、勝ったんですよボク。その匂いのかぐわしいこと。小学校の思い出が詰まったイベントでございます。

林:
 坂口さんの原体験を詰め込んだイベントだったんですね(笑)。

坂口:
 そうです。いまだに忘れられない、あのベッドの匂い。

ひだりの塔に侵入

坂口:
 この塔で死んだんですよね、植松さんとプレイしたとき。

渋谷:
 違いますよ。ジンの洞窟ですよ。

坂口:
 そうだっけ? ここのボスは倒したっけ?

渋谷:
 倒しましたよ。サラ姫を助けてそのあと行こうと思ったけど無理だから止めようって。帰ろうってなって。

坂口:
 ぜひ今回はその先まで行きたいですね。

渋谷:
 今日は画面綺麗ですね。

坂口:
 アナログモードにしてみますか?

渋谷:
 すごいパキパキで恥ずかしい。そこでパレットを変えてるのがわかっちゃう。

坂口:
 にじませてナンボで作ってますからね。ミニファミコンのにじみモードってすごいですよね。

渋谷:
 そうですね。

坂口:
 セーブしたらにじみモードにしてみますか。

林:
 ここまできれいだと、自分が作ったものと違うなって渋谷さん的に思うんですか?

渋谷:
 そうですね。だからいまはパレットがぱきっと割れているのが気になりますね。

林:
 それは作者ならではですね。

坂口:
 ボクも若干そういう意味では気になりますね。パキパキしてるよね。

渋谷:
 後ろにある神殿の背景も紫と黄色がにじんで綺麗だったのに汚いじゃないですか。雰囲気があったのがまったくなくなってしまって。

坂口:
 今日は恥ずかしいプレイで行きますか?

渋谷:
 えー。

坂口:
 恥ずかしい! この神殿パキパキで恥ずかしい!

渋谷:
 私、すごい恥ずかしいかも。

坂口:
 意味不明な“恥ずかしげプレイ”、みたいな(笑)。じゃあ早くこの塔をクリアーしてアナログモードに。

渋谷:
 懐かしいモードにしてください。

林:
 そのほうが趣がありますよね。

グリフォン戦に突入

坂口:
 若干緊張するよな。ここはもうアイテムですよね?“なんきょくのかぜ”1個しかないや。で、魔法でいいですよね。

※「なんきょくのかぜ」発動、一撃で撃破

坂口:
 一発じゃん。ド楽勝じゃん。アイテムさえあればいいゲームじゃん。バランス悪!(笑)

林:
 アイテム重要でしたね。いろいろ思い出してきたな。この後“金の針”が重要になりますよね。

坂口:
 そこらへんがないと。あとは“目薬”とか。いまやそんなの魔法で簡単に治っちゃいますけど。このころは貴重でしたね。

林:
 魔法が回数制限でしたからね。

アナログモードにしてみる

坂口:
 じゃあこれでいったんセーブして。これ昔からの癖で2カ所にセーブして。なぜか(笑)。30年前から癖で、デバッグでは3カ所にセーブするっていうね。画面をアナログテレビにして……

坂口:
 にじんでる! 懐かしい! このにじみいいね。アナログ感がいいよね。

渋谷:
 サラ姫助けに行きます?

坂口:
 もう行っていいですよね? これ以上城にいてもなにもないですもんね。ドキドキする。それに黒じゃないんですね。少しグレー。

渋谷:
 ちょっと茶色というか。

坂口:
 あと海も。

林:
 動いてますね。

ナーシャのモチベーションはみんなを驚かせることだった

坂口:
 ナーシャがやってくれたときに、みんな感動しましたもんね。

渋谷:
 そうですね。

坂口:
 ナーシャ天才! って。飛空艇も天才だったんですよね。海を動かしてきたときはびっくりしましたね。頼んでなくて勝手にやってきて。いつも来ると「サプライズ!」って言って、みんなを驚かせるのが彼のモチベーションだったんですよ。

 みんなが「今日のサプライズ何?」って聞いたらフィールド見てって。そしたら海が動いてる! って我々が驚いたら、ヤツ喜んじゃって。「じゃあまた明日のサプライズね」って。

渋谷さんが1枚の紙を取り出す

林:
 これ、なんですか?

坂口:
 当時のキャラクターのVラム?マップです。256キャラ使えるんですよ。常駐じゃなくて、文字が出るときに切り替えて使っているんですけど、使える数に限界があるんですよ。枠とかもあるから「A」、「B」は持てなかったんだね。

渋谷:
 なかないですね。

坂口:
 平仮名と数字はしたかったからアルファベットの「A」、「B」は入らなかったんだよね。

渋谷:
 かろうじて「H」「P」とかはあるんですけど。

林:
 必要なものだからあるんですね。

坂口:
 A、Bは入らなくても、カタカナでいいじゃんってことか。

渋谷:
 そう。これちなみに1マスが8×8ドット。文字は7×7ドットです。

林:
 本当だ。だから本当にアルファベット少なかったんですね。

渋谷:
 8ドット目一杯に書いちゃうと、文章だとくっついちゃうんで、7×7ドットですね。

坂口:
 わざと上に1ドット空けてあるんですね。平仮名は上を空けてないのか。それはプログラムでやったのかな。そうか、数字とかはメニュー画面とか戦闘画面でも使うんで7×7だったんだ。そうするときっちり詰めて書けるからね。

渋谷:
 そうですね。

林:
 貴重なものをありがとうございます。

最初の村に戻りつつ、渋谷さん秘蔵のファイルを公開!

坂口:
 渋谷さん昔やりませんでした? ここ疲れたときのプレイで、オラオラオラーって。

渋谷:
 それは田中さんです。

坂口:
 弘道はよくやってたな(笑)。

渋谷:
 坂口が忘れているくらいの代物を持ってきました。『FFIII』がらみで。あとは私の『FFIII』ファイルを。

坂口:
 ファイル? 絵をプリントアウトしたようなやつ?

渋谷:
 絵はないんですけど。当時のみなさんのいろいろなやつを。

坂口:
 いわゆるデータマップってやつね。

※ファイルをめくっていき。

坂口:
 これすごい。石井浩一の絵の原画だ。

渋谷:
 コピーですけどね。

林:
 すごい!

渋谷:
 このワールドマップ、坂口さんが描いたんですよね。

坂口:
 あー! それボクの絵ですね。

再び洞窟に

渋谷:
 よかった。マミーが綺麗になってる。

坂口:
 なるほど、にじんでるわけだね。

渋谷:
 このオレンジと紫の組み合わせが綺麗だったんですよ。もうパレットの色は決まっていたので64色からチョイスするんですね。おのずと美しい組み合わせは決まってきちゃうので、この紫っぽいのとオレンジっぽいのは綺麗に出るのでよく使ってて。

坂口:
 黄色っぽくなる?

渋谷:
 そうそうそう。このオレンジと紫の組み合わせがにじんで綺麗だったんですね。

渋谷:
 コメントで「なんで背景は黒なんですか」って。

坂口:
 黒しかできないんでしょ?

林:
 容量的に?

渋谷:
 いえ、色がなくて。

坂口:
 まずキャラクターが、黒を入れて3色だから黒を使わざるを得ない。

渋谷:
 パレットにこれしか色がなかったんです。0番が透明で色を置けないので、残りのこの3色だけでキャラクターなどが成り立っているんです。キャラクターに枠をつけたいので、苦肉の策で背景の色を透けさせてふちの代わりにしているんです。

林:
 背景がキャラクターのふちも兼ねていたんですね。

渋谷:
 だから、実際のデータとしては、背景は抜けちゃって透明なんですよね。なのでメニュー画面に行くと背景が多いのでみんな青くなっていますよね。黒だったところが。

林:
 それでうまくいったとき、おおっ! ってなりますよね。

渋谷:
 あと黒背景だと色がよく見えるので。発色もよいし。同じ理由でモンスターも黒のところは抜いてる。

坂口:
 もうちょっとですよね。ボス戦まで行きますか。

林:
 ギリギリまで。

やっとサラ姫に遭遇

坂口:
 お前のベッドの匂いは嗅いできたぞ。

林:
 変態じゃないですか(笑)。

坂口:
 「恥ずかしい恥ずかしい」。「てめぇの匂いはもう知ってるんだよ」。って会話でしょ?これ。

林:
 違います(笑)。

敵が大量に出現!

一同:
 わー!!

林:
 いきなりピンチじゃないですか!

坂口:
 ダメじゃん!

渋谷:
 いまサラ姫にひどいこと言ったからでしょ(笑)。

※何度か逃げることはできたが……。

林:
 何このプレイ(笑)。

渋谷:
 ひどいこと言うからですよ。

坂口:
 この前よりひどい! ボスにもたどり着けてない(笑)。

※この続きは、「ファミ通チャンネル」にて放送された。

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