
※リアル
ここで一応弁明しておきたいが、私はリアルさという言葉を「科学的厳密性」という意味では使っていない。
本来、戦闘用ロボットとは私たちにとってほとんど妄想に近いフィクションであって、その動きに「リアルかどうか」という尺度はあまり持ち込むべきではないし、そもそも工学や物理学もまともに修めていない人間がロボットの動きに対して現実的に正しいどうこうと言う資格もないだろう。
しかし、ゲームなどの娯楽作品におけるロボットが「リアルっぽい」かどうかという話になってくると事情は異なる。なぜなら、SFジャンルにおける「リアルっぽさ(リアルなように見える嘘)」は、ときおりその作品の持つ科学的厳密さよりも評価されることがあるからだ。むしろ、ときに私たちはそれが現実的に正しいかどうかということよりも、いかにそれらしく振る舞っているかの方に関心を寄せる傾向がある。
つまり、SFにおける「ホントっぽいウソ(私が言うリアルさとはこのレベルにある)」の与える効用—―面白さは、それが実際に正しいかという問題とは別のレベルにある要素なのだ。
なので本稿で私がリアルさについて語っても、それは現実的に正しいかどうかではなく、いかにそれらしいウソをつけているかであることには注意してほしい。
本作のロボは重いし、遅いし、空を飛べないし、急には曲がれない。だが、あえて言わせてもらいたい。「それがいい」と... [続きを読む]