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ありえんくらいの重厚感がたまらん!対戦ロボットゲー『War Robots: Frontiers』の「ロボ、かくあるべし!」な挙動が“癖”すぎて最高だった

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突然だが、「ロボゲー」と聞いたとき、あなたは一体どんなゲーム画面を思い浮かべるだろうか?

ブースターを吹かして空中を自由に飛び回るあのゲーム”や、ビームとミサイルを出しながら敵へと突撃していくあのゲーム”まで、人によってさまざまな光景が頭に浮かんでくることだろう。

どの作品も素晴らしいことは言うまでもないが、今回、私は読者の皆さんに、ロボゲーにおけるひとつの「理想のかたち」を提示してみたいと思う。

それが、『War Robots: Frontiers』だ。

これはあくまでも私の個人的な感想に過ぎないが、本作はある意味で「ロボットを動かす」ということの一つの完成形であるように思える。

どういう意味か? それをこの記事では紹介したいと思うのだが、とりあえずここで少しだけネタバラシをしておこう。

本作のロボはとにかく「重い」のだ。そして、その重さがたまらなくイイのである。

文/植田亮平
編集/うきゅう


※この記事は『War Robots: Frontiers』の魅力をもっと知ってもらいたいMY.GAMESさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


ロボットはそんなに速く動けない

本作はロボットを自由自在に動かして戦うTPS視点のゲームとなっているが、ロボットの動きがとにかく「重い」。シンプルに言えば足が遅い。

ブーストを使って一定距離をダッシュすることもできるが、それとて緊急の回避に使うものであって継続的な移動には向いていない。

『War Robots: Frontiers』レビュー、評価、感想:重厚感あふれる挙動が

ズシン……ズシン……と一歩一歩重厚な足音を響かせて進軍するロボットは、さながら戦場における戦車のような重みをもっている(さすがにスピードは戦車よりも速いが)。

もちろん、これはゲーム的な爽快さと一部でトレードオフの関係になっており「もっとビュンビュン飛び回りてえ……」というスピード狂の方からすれば物足りなく感じるかもしれない。

しかし、あえて言わせてもらおう。そこがいいんだと。

ロボットとは言ってしまえば人が操作する巨大な機械である。重さだってゆうに数十トンは超えているだろう。そんなバカでかい機械が自立二足歩行で歩くのだから、これくらいの重さがあって当然と言えば当然であり、リアル【※】なのだ。

『War Robots: Frontiers』レビュー、評価、感想:重厚感あふれる挙動が
※リアル
ここで一応弁明しておきたいが、私はリアルさという言葉を「科学的厳密性」という意味では使っていない。本来、戦闘用ロボットとは私たちにとってほとんど妄想に近いフィクションであって、その動きに「リアルかどうか」という尺度はあまり持ち込むべきではないし、そもそも工学や物理学もまともに修めていない人間がロボットの動きに対して現実的に正しいどうこうと言う資格もないだろう。
しかし、ゲームなどの娯楽作品におけるロボットが「リアルっぽい」かどうかという話になってくると事情は異なる。なぜなら、SFジャンルにおける「リアルっぽさ(リアルなように見える嘘)」は、ときおりその作品の持つ科学的厳密さよりも評価されることがあるからだ。むしろ、ときに私たちはそれが現実的に正しいかどうかということよりも、いかにそれらしく振る舞っているかの方に関心を寄せる傾向がある。
つまり、SFにおける「ホントっぽいウソ(私が言うリアルさとはこのレベルにある)」の与える効用—―面白さは、それが実際に正しいかという問題とは別のレベルにある要素なのだ。なので本稿で私がリアルさについて語っても、それは現実的に正しいかどうかではなく、いかにそれらしいウソをつけているかであることには注意してほしい。(画像は『War Robots: Frontiers』Steamストアページより)

もちろんゲーム的には不便な側面もあるかもしれないが、個人的にこのとてつもない重量感はたまらない。ロボットを操作し、足元に転がる小さな建造物を余裕で踏みつぶしていくこの重さにハマると、もうこのゲームの虜である。

しかも、本作はこの体験をチュートリアルで提供している。作品の魅力がその“重さ”にあることを自覚しているのだ。

ロボットは急に曲がれない

ちなみに、本作のロボットたちはその重量感に相応しく、急な方向転換もできない。

『War Robots: Frontiers』レビュー、評価、感想:重厚感あふれる挙動が

TPSゲームなので視点移動はもちろん速いが、移動の方向転換(いわゆる「戦車ゲー」におけるRate of Turn (旋回率)やターンレートと呼ばれるもの)にとんでもない慣性が働くのだ。右に行ったり左に行ったりうろうろするだけでも、こういった操作に不慣れなプレーヤーは結構手こずるだろう。

本作において細かい移動や微妙な機体制動はかなり苦しいものがある。急に方向を変えたい場合は先述したブーストを使うしかない。

「さっきから聞いてれば、機体が動かしづらいことばっかり言ってるじゃないか。このゲームをディスっているのか?」と訝しむ方もおられるかもしれない。

もちろん、ディスってなどいない。先ほども述べたが、むしろ私はこの「癖のある挙動」こそが本作の賞賛に値する点だと考えている。動かしたときにロボットから返されるレスポンスの「ズレ」が、彼ら(ロボット)たちの存在感をこれでもかと主張しているのだ。

『War Robots: Frontiers』レビュー、評価、感想:重厚感あふれる挙動が
(画像は『War Robots: Frontiers』Steamストアページより)

曲がろうと思ったときに瞬時に曲がり、振り向こうと思ったときに瞬時に振り向く。そういったレスポンスの速さが、ある種のゲームでは売りとなるように。本作では曲がろうと思ったとき、振りむこうと思ったときに機体から感じられる強い慣性が、作品の売りとなっている。

こういった機体の挙動に振り回されている状態から、その個性や特性を把握し、機体を乗り回せるようになった時の達成感こそ、ロボットや乗り物を操縦する醍醐味ではなかろうか。

ロボットは空を飛べない

本作のロボットにはいわゆる飛行モードがない。基本徒歩で、地上での白兵戦がメインとなっている。こうなっているのにはゲームデザイン的な理由ももちろんあるだろうが、私はそれと同時に「演出的な」理由も入っていると考えている。

『War Robots: Frontiers』レビュー、評価、感想:重厚感あふれる挙動が

ロボットが空を飛ぶと聞くと、私はどうしても「めちゃくちゃ高速で移動している絵面」しか思い浮かばない(というか、これまでのSF作品でロボットの飛行とはそのように描かれてきた気がする)。

一般に、「飛行」という行為にはどうしても歩行とはレベルの違う爽快感が求められる一方で、そういったものを導入するとここまで紹介してきた「重いロボット」の迫力が損なわれてしまう。

重さとは重力によって縛られてこそ表現される。本作に飛行操作が無いのはそういった思想ゆえだと私は(勝手に)思っている。ちなみに、ホバリングはできないものの一応ジャンプくらいはできる。

以上のように、本作のロボットたちは「遅い・急に曲がれない・飛べない」という3つの制約を抱えているわけだが、何度も繰り返すように、これこそがこのゲームの「真髄」である。

『War Robots: Frontiers』レビュー、評価、感想:重厚感あふれる挙動が
(画像は『War Robots: Frontiers』Steamストアページより)

本格的なメカアクション・重厚感あるロボットアクション、これらの言葉にピンときたロボ好きゲーマーなら、あなたにとってこのゲームは「当たり」だと思う。

本作ほどに「デカい機械を操縦している感」が味わえるゲームはそうないだろう。ともすれば本作の仕様には、開発者たちの「ロボとはかくあるべし」という哲学さえ垣間見える。言いすぎだと言われても、本当にそう感じるのだから仕方ない。

一応補足しておくが、このゲームのロボットは完全にモビリティがないわけではない。ダッシュやジャンプ、あとは慣性を上手く使えば、ある程度はパイロットの言うことを従順に聞いてくれる。自立二足歩行なので細かな地形や障害物は無視してくれるし、そもそも重いので邪魔なものは蹴散らして進む。そんな無敵感がロボットたちには宿っている。

それに加えて、このゲームのロボットの性能はプレイヤーのカスタマイズで調整できる。ブーストや脚部にスピードの出るパーツを使えば、モビリティに関する悩みも解決することができるだろう。

ロボットとはパーツの集合だ

それではここからは、カスタマイズについて語ろう。何と言っても、ロボゲーにカスタマイズは付き物だ。

本作のカスタマイズは塗装や純粋な武器の持ち替えといったレベルにとどまらず、全身のパーツを入れ替えることが可能となっている。

というよりも、本作においてロボットとはすなわち「パーツの集合」である、と言った方が正しい。

『War Robots: Frontiers』レビュー、評価、感想:重厚感あふれる挙動が

本作で新しいロボットを作りたい場合、プレイヤーはまずどのパーツを採用するかから考える必要がある。パーツはパイロット含め全部で11個、これらをプレイヤーは好きに付け替えることができる。

そのため、このゲームにおいてショップに「ロボット自体」が並んでいることはまずない。何をするにもまずはパーツをそろえ、それらを作成したり強化したりしながら、自分の理想のロボットに近づけていく。

パーツは何を組むかによって大きく性能が異なる。ロボットの基本的な方向性を決める胴体パーツ、移動性能の速さを決める脚部パーツ、そのロボットのアクティブスキルを担うサプライギア・サイクルギアなど、プレイヤーに用意されているビルドの自由度は非常に高い。

また、実際の戦闘中でもダメージはロボット各部の「パーツ単位」で蓄積される。これにより、各ロボットにはいわゆる弱点のようなものが生まれるのも面白い。「あのロボット、胴体を撃っても全然効かないけど、足を狙えば弱いぞ」といった、バトルの駆け引きも生まれることとなる。

ここまで読んで、「なんだか面倒くさそう……」と尻込みした読者の方もいらっしゃるだろう。実際私も、これら膨大なカスタム要素を見たときに「マジかよ」と思った。
しかし、そんな「ガチガチのカスタマイズとかあんまり考えたくないユーザー」のために、本作には各ロボットのプリセットが用意されている。

『War Robots: Frontiers』レビュー、評価、感想:重厚感あふれる挙動が

ロボットカスタマイズを行うワークショップには正規製作と呼ばれるプリセット機体、言うなれば「完成済みロボットの設計図みたいなもの」があらかじめ用意されており、必要な金(パーツ購入費)さえそろっていればあとはコンピューターが自動でパーツを買い、ロボットを組み上げてくれる。

このシステムを活用すれば、「とりあえずロボットを動かしたい」というユーザーも簡単に戦場に参戦することができる。私はまだそこまで本作をやりこめておらず、対戦のレベルが上がるにつれて正規製作機体が通用しなくなってくるのかについては不明だが、少なくともカスタムのいろはが分からない初心者の内はこの機能に甘えていくのが吉だろう。私はそうしているし、今のところ問題もない。

個人的に面白かったのは、ロボットのパイロットすらもカスタムできるという点である。普通この手のゲームにおいてパイロットはプレイヤー自身であり、プレイヤーが実際にロボに乗って操作しているということになっているものである。しかし、このゲームではパイロットを自由に乗せ換えることができる。

じゃあそのパイロットを乗せ換えたりしてるお前は誰なんだよと言いたくなるが、どうやらこのゲームにおいてプレイヤーは「パイロットでありエンジニア」であるらしい。

『War Robots: Frontiers』レビュー、評価、感想:重厚感あふれる挙動が
(画像は『War Robot: Frontiers』より)

これをそのままの意味で解釈するなら、本作において、プレイヤーはゲームの各パートごとに別の人間のロールプレイをしているという、ロボットゲーにしては少々珍しいことをやっていることになる。

言うならば、プレイヤーはひとつのロボットに関わる「チーム」そのものを操作しているということだ。「パイロットすらも、ロボットを構成するひとつのパーツにすぎない」という、本作のロボット至上主義的な思想に、私はひとりで興奮してしまった。

『War Robots: Frontiers』は、パイロットとしても、エンジニアとしても、非常にリアルな(リアルということについてはもう説明しない)ゲームとなっている。「ロボゲーにはなによりもズッシリと地面に響くような重みが必要だ」というフリークなゲーマーには是非ともこの作品に触れてほしい。

幸い、このゲームはF2P(フリートゥプレイ、基本プレイ無料)である。まずは一旦触って、本作のロボットたちの見せる動きを実際に確かめてみると良いだろう。

慣れてくれば、他のプレーヤーも交えてチームデスマッチやドミネーションなどのゲームモードを楽しんだり、あるいは自分好みのロボを作るためパーツ集めの旅に出たり、最強のパイロットを目指したりすることだってできる。

『War Robots: Frontiers』は現在PC(SteamMY GAMESランチャー)、PS5/4Xbox Series X│S、Xbox Oneにて配信中。7月17日には新たなシーズン「パワーサージ」が開幕する。電撃を操るクモ型タイタン「Volta」など、新たなタイタンも実装されるようなので、ロボゲー好きのゲーマーは遊んでみるべし。

 

ライター
大阪在住のゲーマー。ゲームに限らずアニメ、映画など気になったものは何でも取り込む雑食系。オープンワールドのゲームやウォーキングシミュレーターなどが大好き。最近はオンラインゲーム『League of Legends』にドハマりしているが、プレイの腕はイマイチ。
編集者
小説の虜だった子供がソードワールドの洗礼を受けて以来、TRPGを遊び続けて20年。途中FEZとLoLで対人要素の光と闇を学び、steamの格安タイトルからジャンルの多様性を味わいつつ、ゲームの奥深さを日々勉強中。最近はオープンワールドの面白さに目覚めつつある。
Twitter:@reUQest

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