※本稿には、『マインクラフト/ザ・ムービー』のネタばれが含まれます。あらかじめご注意ください。
4月25日に公開が予定されている映画『マインクラフト/ザ・ムービー』。言わずと知れた大ヒットゲーム『マインクラフト』を原作にした実写映画です。
今回筆者はワーナー・ブラザーズより招待をいただき、劇場での公開に先駆けて本作の試写会に参加させていただいたのですが……。
映画版『マイクラ』のゾンビ、めちゃめちゃコワい……!
偶然マイクラワールドに転送された登場人物たちが右も左もわからない状態で夜を迎え、スケルトンやゾンビの大群に襲われるシーンがあるのですが、見た目は『マイクラ』なのにゾンビ映画さながらの迫力があって「見にきたお子さんが泣き出すんじゃないか……?」と感じるほどなんです。
ゲーム版の『マインクラフト』でも、プレイ初日の夜は物資に乏しく敵が満足に対処できないため、心細さを感じるものですが、「もし実際に自分がマイクラワールドに迷い込んだとしたら『心細い』では済まないだろうな」と思わされました。
いちおう言っておくと本作は、全体的にはコメディタッチの冒険ストーリーが繰り広げられ、大人も子供も気軽な気持ちで楽しめる映画となっています。
ゾンビのシーンに関しては、ゲーム版で恐怖感や緊張感を覚える場面を映画というメディアに忠実に落とし込んだ結果、大迫力の襲撃シーンになったのだろうと思います。それだけ“原作らしさ”に対する映画側の本気度がうかがえるわけです。
それ以外にも、随所にゲーム版への解像度の高さが見られる作品となっている本作。
試写会を経て、本作の監督を務めるジャレッド・ヘス監督と、映画版のプロデューサー兼、原作『マインクラフト』のクリエイティブディレクターも務めるトルフィ・フランス・オラフソン氏に対する合同メディアインタビューが実施されました。
『マインクラフト』という、ストーリーがなく、プレイヤーによって無数の体験が紡がれるゲームの映画化において「いかに原作要素を尊重しつつ映画作品という形に成立させたのか?」をうかがってきました。
ジャレッド・ヘス氏(左)とトルフィ・フランス・オラフソン氏(右)
なお、インタビューのなかでは映画本編の内容を踏まえた、いわゆる“ネタばれ”質問とその回答が数多く登場しますので、映画未視聴の方はご注意ください。
〇インタビュイープロフィール
============================
ジャレッド・ヘス氏: 『マインクラフト/ザ・ムービー』監督。過去の監督作は『ナポレオン・ダイナマイト』や『ユニコーンのテルマ』など。トルフィ・フランス・オラフソン氏: 『マインクラフト/ザ・ムービー』のプロデューサーであり、原作ゲーム『マインクラフト』のシニアクリエイティブディレクター。
============================
※インタビューは他メディアとの合同で行われました。
マジで怖い“『マイクラ』一日目の夜”。徹底した原作リスペクトの上で、監督は「もし自分がマイクラワールドに行ったらなにをしたいか」を意識した
──登場人物たちがマイクラワールドに訪れた最初の夜のシーンについてお聞きします。
彼らがマイクラワールドに転送されて、なにが起きているのかわからないままに夜が訪れて、スケルトンやクリーパーに襲われるなかでなんとか逃げ延びるのですが、ゲーム版の『マインクラフト』でも、最初の夜を生き残るのには困難が伴いますよね。
特にゾンビの大群に襲われるシーンなどは非常に迫力があって、「見ているお子さんが泣き出してしまうのではないか」と思うほどでした。
ジャレッド・ヘス氏(以下、ヘス氏):
おっしゃる通り、最初の夜は非常に重要なシーンなので、MOJANG社やトルフィ(オラフソン氏)さんと重々話し合いながら進めていきました。
最初の夜というのは、ゲームにおいてもプレイヤーにとっての導入となるシーンですよね。一見するとハッピーなマイクラワールドに降り立ったと思ったら、ひとたび太陽が沈むとものすごく怖い環境に追い込まれることになります。
クリーパーやゾンビが出てきて大変な思いをするなかで、創意工夫やクリエイティビティを活かして生き残っていく。そういった点を描くことを工夫しつつ、あのシーンではそれぞれのキャラクターの性格が立つように心がけました。
──あのシーンはスティーブを除いた4人がはじめてマイクラワールドに足を踏み入れた直後でしたが、立ち振る舞いからも「こういうキャラなんだろうな」というのが感じ取れました。
ヘス氏:
たとえば発明家を夢見る男の子のヘンリーは、マイクラワールドという異世界がどういった物理法則で動いているのかわからないなかで、持ち前の創造性を発揮することでそのルールを発見することができましたよね。
一方で、ジェイソン・モモア演じるギャレットは、一見ゴツくてタフな男かと思いきや、実は泣き虫であるということが発覚します。そういった登場人物のキャラクターが確立する重要なシーンなんですよね。

ゲーム版でも穴を掘って隠れたり、建物を作って身を守ったりと、最初の夜の過ごし方はプレイヤーによってさまざまです。それと同じように、それぞれのキャラクター性が立つようなプレイやアクションを心がけたんです。
──実際の撮影風景はどういった様子だったのでしょうか。
ヘス氏:
本作は撮影開始をする前に2年以上の時間をかけてストーリーボードを練り上げ、それから撮影開始となったのですが、「最初の夜」は撮影期間のなかでも早い時期に撮ったシーンでした。
マイクラワールドのブロックの仕組みに気づいたヘンリーが要塞を作ってみんなを守ったり、そこに駆けつけたスティーブがゾンビと奮闘して助けてくれたりして、その隅でギャレットが泣いている。そんな状況で、撮影自体も非常に楽しかったです。
自身も“リリース当初から”のプレイヤーだと語るヘス監督。企画開発中もつねにMOJANGと協議を重ね、ゲームのルールに則った上での映画的なストーリーテリングの実現を模索した
──それ以外のシーンからも、本作が原作『マインクラフト』ファンに向けた映画であるということを感じました。監督を始め、脚本陣の原作への詳しさが随所に見て取れたのですが、そういった点はどのようにリサーチしていったのでしょうか。
ヘス氏:
僕自身、原作『マインクラフト』はリリース当初から自分の子供とプレイしており、ずっと親しんできた作品なんです。なので「リサーチをする」というよりは、自身のプレイ体験が出発点としてありました。
その上で、映画としての企画開発をしていくなかでは、ゲーム版の開発元であるMOJANG社と常に協議を重ねながら進めていきました。細部のディテールを詰める際や、各シーンを描くにあたって、『マインクラフト』のゲームとしてのルールに則りつつ、いかに映画的なストーリーテリングをするか、といったことを心がけたんです。
それと同時に、ゲーム版のファンのみなさんにとっても「今までに見たことのないような、新しい体験を提供したい」という思いもありましたね。
──あくまでゲームとしての『マインクラフト』を大切にした上で、そこから映画として作っていったと。
トルフィ・フランス・オラフソン氏(以下、オラフソン氏):
MOJANG社としても、さまざまな協議を重ねるなかで、監督や脚本家の方たちには実際のプレイ映像をお見せするなどしてゲームについて熟知してもらうように努めていました。

映画という、ゲームとは別の世界でキャラクターを描くにあたって、どうやって撮るのが『マインクラフト』らしいだろうかという提案をしつつ、同時に映画的にもうまく作用するような方法を生み出していったんです。
また、映画を作るにあたっては、ファンコミュニティの力も借りました。たとえば、作中に出てくるレッドストーン回路を使ったトラップは、YouTubeで実際にレッドストーン装置に関する解説動画をアップしているMumbo Jumboさんというクリエイターに協力してもらったんですよ。
──コミュニティの意見も取り入れつつ、『マインクラフト』らしさにこだわったということですね。『マインクラフト』は、非常にたくさんの要素があるゲームだと思いますが、映画という媒体にするにあたって、そのなかからどういった要素をピックアップしようと考えたのでしょうか?
ヘス氏:
おっしゃる通り、『マインクラフト』の世界は無限に広がっていくものですし、さまざまなモブやクリーチャー、村人などが出てきますよね。
それに関しては、プロデューサーや僕自身、そして美術部門やVFX(視覚効果)部門の部門長などが膝を突き合わせて「自分が『マインクラフト』で一番好きな部分はどこか」「お気に入りのキャラクター・アイテムはなにか」といった案を寄せ集めて作っていきました。
なかでも、僕が一番意識したのは「誰をヴィランにするか」といった事ですね。
──本作では、ネザーに住むピグリンたちとの戦いが描かれましたよね。ここにはどういった意図があったのでしょうか。
ヘス氏:
敵役という意味で言うと、『マインクラフト』にはエンダードラゴンという伝説的なキャラクターがいますよね。ただ、「ドラゴンとの戦い」というのは、すでに他の作品でも描かれているモチーフです。
そうなったときに、それ以外のアイコニックなヴィラン役となりうるキャラクターとしてピグリンがいたんです。
僕はピグリンの薄汚い雰囲気が本当に好きなんです。ネザーの世界観を築くのに最適で、なおかつマイクラワールドに対する脅威としても適役だったので、彼らをヴィランに据えることにしました。
そのほかにも心がけたこととしては、他のゲームにはないような『マインクラフト』特有のアイテムやキャラクターをピックアップするようにしました。ラマや羊などがそれにあたりますね。なかでもクリーパーは、他のゲームではなかなか見られないようなデザインをしています。
要するに、僕たちが大好きな『マインクラフト』のアイテムやキャラクターたちを祝福するような気持ちで作っていったということなんです。
オラフソン氏:
映画の制作時に僕が提案したのは、「僕たち自身がこの世界でプレイするとしたら、どういった願望を実現したいだろうか」ということでした。
それはたとえば僕であれば、「マイクラワールドの森を駆け抜けたい」とか、「鉱山に入ってみたい」「森の洋館を駆け抜けたい」といったことです。その上で、それぞれのメンバーの実現したい願望を意識しながら作ってもらったんです。
ピグリンの話も出ましたが、ひとくちに「ヴィラン」と言っても、彼らのなかにもグラデーションがあるんですよね。
彼らの親玉として、邪悪なピグリンの魔女の「マルゴシャ」が登場しますが、配下のピグリンたちは、本当はそんなに悪い子じゃないんだけど、なぜか悪い仕事をしなければいけなかったり、仕事が疲れたから逃げ出す素振りをする子がいたり。
「そこまで悪い子たちじゃないんだけど、生まれた世界を間違えてしまった」という感じが出るようにしたんです。