2027年3月5日に発売予定のアクションゲーム『GUNDAM ROGUE ORBIT』(ガンダム ローグオービット)。「Summer Game Fest 2026」での発表では、国内外から大きな注目を集めた。
開発陣は、本作を「国内のみならず世界各国のゲームユーザーに今までの枠組みの捕らわれずガンダム作品を届ける」と語る。ガンダムに人が乗ることが馴染みのない場所へ、エースパイロットとしての体験と、そこで描かれる人間ドラマを届けようとしている。
本稿では、そんな『ガンダム ローグオービット』の開発を手がけるプロデューサーの富山勇也氏、ディレクターの芹澤義行氏へのメディア合同インタビューの模様をお伝えする。

取材/文:世界のザキヤマ
※画面は開発中のものです。
『ガンダム ローグオービット』は「世界のアクションゲーマーにガンダムゲームを届ける」ための作品
──完全新規のガンダムゲームとして、どういった経緯で本作が生まれたのかお聞かせください。
富山勇也氏(以下、富山氏):
本作『GUNDAM ROGUE ORBITは「国内のみならず世界中のゲームユーザーにガンダム作品を届ける」というミッションのもと、まずはバンダイナムコエンターテインメントで企画が始動し、異なるアプローチの新たな挑戦として、長期間にわたる技術検証と企画議論が重ねられました。
さまざまな可能性を検討しながら試行錯誤を続けた結果、「ガンダムVS地球外生命体」という新たなゲーム企画へたどり着きました。
──国内のみならず世界中のゲームユーザーにガンダム作品を届けることを意識し、リアルなグラフィックを採用されたということでしょうか。
富山氏:
それもあります。これまでにない取り組み方で新しい表現を目指していこう、という理由もありフォトリアルな表現に挑戦しました。
芹澤義行氏(以下、芹澤氏):
今回の「RG project【※】」では新たにSFの世界観で描いているのですが、世界中のお客さまに興味を持っていただきたく、SF特有のメカニックの質感やデザイン、キャラクターのコスチュームや戦艦にいたるまで、フォトリアルだからこそできる表現があるという判断のもと動いていました。
ガンダムゲームということも、もちろん大切にしながら、SFのアクションゲームという部分でも、興味を持っていただくことを狙いとしております。
※RG project:
アニメーションとゲームなどの複数メディアで同一の世界観と歴史を共有し、異なる視点と距離感から物語を描く新たなガンダムのクロスメディアプロジェクト。
──ガンダムゲームとして見ると、シミュレーションゲームなど他ジャンルの選択肢もあったのではないでしょうか。なぜハイスピードアクションを採用されたのか、経緯をおうかがいできますか。
富山氏:
ゲームジャンルが多々ある中、「高精細なアクションゲームを好むお客さまにリーチさせていく」というミッションが第一にありました。また今回、バンダイナムコスタジオのガンダムゲームに多く携わってきた開発チームが参加しており、様々な技術検証や経緯を経て、その強みを活かすうえでも、このジャンルを選定させていただきました。
芹澤氏:
本作はプレイヤーが操作するモビルスーツが、「アポカリプス」という巨大で強大な敵と対峙します。さまざまなジャンル含めて検証を進めている中で、敵を倒すときの気持ちよさを重視するためにも、アクションゲームを選択しました。
『ガンダムシリーズ』の魅力の1つに“重量感”があると思いますが、本作は昨今のアクションゲームに求められている機動性というところを重視して、ハイスピードアクションという選択をいたしました。
『GUNDAM ROGUE ORBIT 』によって描かれるモビルスーツ
──本作の主役機である「ガンダムヘリックス」は、外装を変えることで見た目が大きく変わります。そうなると、このゲームにおける“ガンダム”とはいったい何なのでしょうか?

富山氏:
本作の物語の中で、ガンダムヘリックスがどのような存在なのかはまだお伝えできていない部分がほとんどとなります。ゲームを遊んでいただいた際には、本作の魅力を感じていただけると考えております。
芹澤氏:
本作のコンセプトである「エースパイロット体験」を世界中のお客さまに提供したい、という思いがありました。モビルスーツの表現には非常に重きを置いております。
ガンダムヘリックスに「自分が乗り込むんだ」というシーケンス。ハッチが開きコクピットに乗り込み、作戦が説明され、カタパルトから出撃する──こういった面白さを、プレイで感じてもらいたいと思っていました。
あとはやはり「人間ドラマ」の部分ですね。完全新作ということでしっかり描いています。主人公のレクスがさまざまな出会いを経て、エースパイロットとして成長していく姿を描くことで、魅力を感じていただければと思っております。
──世界中のゲームユーザーに向けたロボット作品という点からおうかがいします。海外ですと自分で知性を持っているロボットがキャラクターとして親しまれやすい傾向にあります。いっぽうで「乗り込み型のロボットは海外でなかなか難しい」というジンクスがあるのではないでしょうか。ここに対する挑戦や、乗り込み型ロボットの魅力を届けるための取り組みを教えてください。
富山氏:
「自分がパイロットとなって操縦している」という臨場感をしっかり得ていただけるよう、かなり注意して開発を進めています。バンダイナムコエンターテインメントの海外メンバーとも意見交換をおこない、さまざまなご意見も取り込みました。コクピットのシーンがくわわったのにも、そういった背景があります。
人が乗り込むロボットに馴染みがない海外の方にも、「こうしたエンターテインメントのコンテンツがあるんだ」という新たな魅力を感じ取ってもらえるように制作しています。
芹澤氏:
しっかりとガンダム作品のよさ──パイロットとして機体に乗り込み戦場で自分が戦うカタルシスであったり、戦闘以外でのエースパイロットとしての成長などを、ゲーム作品ならではの方法で世界中にお届けしたいと思っています。
近接アクションの鍵は「重さ」と「気持ちよさ」の両立
──ガンダムのイメージとして、その多くが遠距離武器を扱っています。そのうえで、本作のガンダムヘリックスは、なぜ近接武器を主体としたのでしょうか。
芹澤氏:
近接アクションをメインにしたのは、アポカリプスという巨大な敵に対し、部位破壊をはじめとした手応えを重視したためです。
なお、ハイスピードに寄せていくほど、モビルスーツらしさが失われてしまう部分はあります。ですので、アサルトソードの強攻撃や、ソードランス1発の重み、その後の硬直といった「重さ」は非常に意識しています。
しかしハイスピードアクションを目指すうえで、「重さ」だけではなく「気持ちよさ」を重視しました。たとえば「タクティカルスキル」ですね。これはあらゆる行動中にいつでも割り込み、隙を消すことができます。「シフト」と呼ばれるカウンターアクションをゲージを使って出すことが可能です。バランスを取ったうえで、「ハイスピードアクション」と「モビルスーツの重量感」を大事にしています。
「差し合い」を重視した高難度アクションゲームは、数も需要も多いとは思いますが、『ガンダム ローグオービット』は異なります。
富山氏:
アクションのアニメーションについても、ガンダムゲームにこれまで携わってきた開発チームのいろいろな知見が込められています。そういった点でも、これまでのガンダムゲームの魅力が詰め込まれたアクションになっているのではないでしょうか。
昨今は世界中の方々が、日本発の手触りがよいアクションゲーム楽しまれる機会がとても増えています。その点は、我々のバンダイナムコスタジオなどを含めた日本チームの強みです。我々にしか開発できないものを作っていけると思っています。
「ガンダムゲームはあまり自分のものではない」と思っていた世界中のお客さまに、魅力的に思っていただけるよう届けていきたいです。
グラフィックに関してもフォトリアルに挑戦していく中で、これまでのガンダムゲームにはないような、ちょっとした攻撃でも動くような高精細なメカの機構も含め、非常に魅力ある見た目にできているのではないかと思っています。
『GUNDAM ROGUE ORBIT』として守るべき「人間ドラマ」と「デザインの記号」
──今回は世界観が大きく変わっている挑戦的な作品です。「ここだけはガンダムゲームとして守ろう」と気をつけた点などをうかがえますでしょうか。
富山氏:
まだお伝えしきれていない部分はありますが、「アポカリプス」という未知の存在との戦いを描くゲームではあるものの、その中で描かれる「人と人とのドラマが中心の話である」というところは、しっかりと作り上げています。
主人公・レクスが中心となって、ガンダムという特別なモビルスーツのパイロットとして活躍し、人との繋がりや、そこで描かれる思いや葛藤はしっかりとブレないように作らせていただいています。
芹澤氏:
デザイン面ですと、パッと見ても「これは“ガンダム”だ」とわかる記号はしっかり残しつつ、魅力は損なわないよう意識しております。
ディテールが細かったり、面ではなく流線形の表現にしているところも、これまでとは違う。「予備知識がなくてもイチからさわれる」と意識してもらえるデザインを心がけました。「“ガンダム” って人が乗り込んで戦うんだ。かっこいいな」と思っていただけるようにも気をつけています。
アニメ『機動戦士ガンダムRG XARX-ZERO』と世界観を共有する「RG project」。その中で本作が担う役割とは
──本作はアニメ『機動戦士ガンダムRG XARX-ZERO』と同じ「RG project」として展開されていますが、プロジェクトの中での立ち位置をおうかがいしたいです。あわせて、戦略的にどう世界中の方々に届けたいと考えているかをお聞かせください。
富山氏:
「国内のみならず世界中のゲームユーザーにガンダム作品を届ける」というミッションのもと、これまでの枠に囚われない取り組みとして、フォトリアルな表現や敵の描写など、かなりいろいろなチャレンジをしております。
『ガンダムシリーズ』のファンの方はもちろん、“ガンダム”を知らない人でも 気兼ねなく遊べるゲームにし、シリーズの魅力を知っていただくきっかけとしてゲームを届けていく。そのために開発に取り組んでいます。
芹澤氏:
ゲームとアニメ、それぞれ独立して楽しめる作品となっています。そのため、安心して本作から楽しんでいただけたらと考えています。
『ガンダム』はプラモデルが非常に好評です。ガンダムベースも各地で作られていて、映像もNetflixなどで配信され広がっています。しかし、ゲームコンテンツとしては後追いです。
その中で今回の『ガンダム ローグオービット』が、ガンダムゲームとしてワールドワイドで浸透していける口火を切れればいいな、と思っております。
──本作は、世界観の設定に神山監督が関わられている、とうかがいました。監督はどのように参加されたのか、お聞かせいただければと思います。
富山氏:
本ゲームの神山監督への関わりについては、神山監督のアニメ『機動戦士ガンダムRG XARX-ZERO』シナリオ会議に開発メンバーが参加させていただき、一部のアートデザインなどもゲームと共有させていただいています。
アニメの世界観の設定構築がなされたのち、ゲームスタッフ側へそれをご共有いただき、それを基礎に据えたうえで、ゲーム体験を最大化させるためにアニメ『機動戦士ガンダムRG XARX-ZERO』で描かれる時代と本作『GUNDAM ROGUE ORBIT』で描かれる時代を分け、ゲーム用のシナリオへ我々で新たに落とし込んでいったという形になります。
モビルスーツのデザインでは、腰のデザインの部分が実は共通の機構を持っていたり、そういった設定なども組み込まれていたりします。他にも、細かな要素としての連動した設定が入っています。
芹澤氏:
ただ、どちらか一方だけでは楽しめない、というコンテンツにはしたくありませんでした。
ちなみに僕はもう55歳なのですが、1979年の『機動戦士ガンダム』の放送をリアルタイムで見た世代です。これまで多数のガンダム作品が作られてきましたが、今回のRG projectの一部として生み出された世界観をうまくゲームに生かしていきたい、という気持ちがあります。
本作ではそのアクションゲームとして、地球外生命体であるアポカリプスとの戦いを、強大な危機に対峙する緊張感で描いています。世界観のリンク部分としては、アポカリプスがもたらした「3つの福音【※】」──重力制御、超光速通信、マテリアライズ、これらを共通のワードとして使うことで、世界観の共通性を持たせております。
※3つの福音:
地球外生命体「アポカリプス」が人類にもたらしたとされる3つの技術体系。「重力制御」「超光速通信」「マテリアライズ」から成り、アニメ・ゲーム両作品をつなぐ共通設定として機能する。
クリア後には3人協力のコンテンツが開放。新要素の初出し情報も
──本作の想定のプレイ時間、武器やパーツの種類についてお聞かせください。
富山氏:
ゲームボリュームとしては、ストーリーをまっすぐ進めていくと、およそ20時間前後を想定しています。ただもちろん、いろいろな装備を試したり、自分好みの機体を試してプレイすると変わるとは思います。
具体的なパーツ数や武器種の数は、これから情報を出させていただく予定です。「あくまでいま登場しているものは一部」とお答えできればと思います。
──機体をみんなと共有したり、フォトモードで写真を撮るなど、共有に関する機能はあるのでしょうか。
富山氏:
フォトモードはありませんが、ストーリークリア後のおまけ要素として、マルチプレイとして、3人で強敵に挑むミッションがございます。
──「アポカリプスユニット」は初出の名前でしたが、敵の名前がついているユニットというところで非常に興味が湧きました。どういった理解をすればよいでしょうか。
富山氏:
「アポカリプスユニット」は、ファンネル【※】のような挙動をする兵器です。本作では、「敵の能力を人類が取り入れて使えるようになっている」という位置付けがあり、名前にもそれが現れているものとなっております。
──では「RG project」の中で、「3つの福音」に連なる何かということでしょうか。
富山氏:
ゲームの各所に、「3つの福音」に関わる要素が入っております。それこそ「タクティカルムーブ」も含め、重力を制御する能力があるからこそのアクションが可能となっています。ゲームに登場するコロニーやステージの一部でも、そうした表現が散りばめられております。
富山氏、芹澤氏ともに共通していたのは、「いかにガンダムゲームを世界へ届けるか」という熱量だった。
本作では完全新規の世界観の中、コクピットに乗り込み出撃するまでの体験を作り込み、人間ドラマを軸に据えた。ターゲットをロボットファンでもSFファンでもなく「アクションゲーマー」と広く取ったのも、その一貫した狙いの延長にあるのだろう。
届ける相手を大きく広げながら、守るべき核として人間ドラマを掲げる姿には、その両輪が表れていたように思う。
『ガンダム ローグオービット』は2027年3月5日に発売予定だ。完全新規のガンダムゲームが国内外を含めどのような反響を得ることになるか、続報を含め見届けたい。
※画面は開発中のものです。
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