私は今、“狩りゲー”の代表格と言えるゲーム『モンスターハンター』の新作『モンスターハンターアウトランダーズ』をがっつりと遊んでいる。スマホに向けてリリースされた新作だ。
最初は「まぁ、スマホ向けだしな」と、正直なところ軽い気持ちで起動した。
ところがどうだろう。私は本作を遊んでいるうちに時間を忘れ、夢中でフィールドを駆け回っていた。
酒場で仲間を集め、彼らのためにせっせと武器を打ち、光り輝くアンジャナフのレーザーにこんがりと焼かれ、夜になると仲間たちと踊り明かす。
そう、新作の『モンハン』は踊るのだ。
なぜかって?楽しいからに決まっている。
まるでインド映画さながらのノリで、唐突にノリノリのダンスが始まるのである。
気が付いたら、夜が明けていた。
文字どおり、踊りまくった。
継続してプレイしている期間で言うと1週間以上は経過しており、ぜんぜん終わりが見えない。
遊んでいるうちに時間を忘れてしまうこの感覚は『モンハン』ならではだ。
同時に本作は、私のなかにある「スマホゲー」の概念を跡形もなく吹き飛ばしてくれた。
グラフィックは従来のタイトルに匹敵し、コントローラー操作にも対応している。
歴戦のハンターなら瞬時に馴染む、たしかな手触りとやり込み要素がそこにはあった。
いや綺麗すぎない?
こんなに綺麗なだけでもすごいのに、本作は遊びの幅も広い。
ひとつは、フィールドに便利な施設を設置できる「クラフト」システムだ。
一例として、マップに点在する素材の位置を特定する「展望塔」や、人間を大砲のように発射できる装置「カタパルト」をはじめ、素材を自動で集める「採集施設」などを設営できる。
次いで、謎の石「融石(ゆうせき)」の影響で狂暴化し、これまでにない必殺技を有しているモンスターだ。プレイヤーは謎に満ちた「アイソレシア島」の調査に赴く「冒険者」として、現地を踏査することになる。
また、先述した仲間の武器を作る点や踊りまくる点も含め、本作ならではの要素が従来の『モンハン』の狩猟体験と見事に融合しているように感じられた。
さて、今回紹介する『モンスターハンターアウトランダーズ』(以下、アウトランダーズ)はカプコン監修のもとTiMi Studio Groupが開発した基本無料の新作サバイバル・ハンティングアクションゲームだ。
触れてみて、理解した。本作はスマホゲーム業界に“新しい軸”を打ち立てようとしているのだと。
本稿では、正式リリース版を先行してプレイして得られた体験の内容を追って紹介させていただきたい。
文/TsushimaHiro
編集/柳本マリエ
仲間の装備は、自分で作る。みんなで槌を持とう
本作には、フィールドに連れていける「仲間」が存在するため、筆者のようなボッチプレイヤーでも安心してプレイすることができる。
大剣やハンマー、ヘビィボウガンなど、おなじみの武器種を扱う個性豊かな「仲間」が揃っており、彼らとパーティを組んで狩りに出発することになる。
「仲間」はストーリーの進行やイベントミッションをクリアすることで仲間に加わるほか、酒場で一杯奢るという“粋”な形式でも集めることが可能だ。
ここで重要なのは、プレイヤー自らが打った武器を仲間に装備させられるという点だ。個人的に『モンハン』世界での鍛冶屋プレイに憧れていた筆者にとって、これは非常にうれしい要素だった。

すべての武器種を使える主人公とは異なり、「仲間」ごとに扱える武器種は決まっている。
彼らのために武器・防具を作れば、倉庫で眠っていた素材や、自分では使わない装備にもしっかりと意味が生まれる仕組みだ。もちろん見た目も反映させられる。
この仲間システムは、惜しまれつつサービスを終了したオンラインゲーム『モンスターハンター フロンティア』の「パートナー」を彷彿とさせる。

自分が手塩にかけて装備を整えた仲間たちと出向く狩猟の喜びは格別だ。
というのも、本作の仲間たちはゲージが溜まると、ド派手で高火力を発揮する「奥義」を放てる。
メンバー全員のゲージが揃った瞬間に息を合わせて一斉に「奥義」を叩き込み、強大なモンスターを崩す。もちろんマルチプレイにも対応している本作だが、ひとり用のプレイ環境でも「協力プレイの熱狂」を体験することができた。

光るアンジャナフ、レーザーを放つ。多彩な「融光種」
「頼りになる仲間がいるなら大丈夫だな」と、そう油断していたときのことだ。
俺は光るアンジャナフの放つレーザーじみた威力の火炎ブレスに焼き尽くされていた。
お前、火炎放射するモンスターじゃなかったっけ?
新作ともなれば、身体が光るとレーザー級の火炎ブレスくらい放てるぞ、と。
美麗なグラフィック、確かな操作性、頼りになる仲間たち。
それらがどれだけ揃っていようとも、本作はあくまで強大な「モンスター」と対峙する作品であることを、圧倒的な「暴力」をもって思い出させてくれる。

ということで、つぎは『モンハン』の核となるモンスターについて触れておきたい。
本作には、ほかの『モンハン』タイトルとは異なる「融光種(ゆうこうしゅ)」【※】と呼ばれる特殊なモンスターが登場する。身体の一部が妖しく光を帯びており、通常では使わないような攻撃を繰り出してくることもある後天的に変異した個体だ。
その変異した内容は生態にも影響を及ぼしており、普段はおとなしいモンスターでさえ凶暴化して村を襲うようになることがある。
※融光種(ゆうこうしゅ)
島の各地に点在する「融石(ゆうせき)」の影響を受け狂暴化したと思わしきモンスターの個体。一例として、「融光種」の鳥竜種クルルヤックは、「融光石」の塊を大事そうに抱えて走り寄ってきたかと思えば、躊躇なく自爆特攻さながらの“大爆発”を仕掛けてくる。また、ドスジャグラスに至っては完全に我を忘れて村の防衛線まで攻め込んでくる。
「融光種」はモンスターごとに厄介な技と行動パターンを持つため、必然的に通常種と比較しても狩猟難度は高くなる。
その分、見返りも大きい。「融光種」の素材から作れる装備は通常種のものより能力値が高く設定されているため、リスクをとってより強力なモンスターと対峙してハイリターンを獲得するという『モンハン』シリーズの醍醐味を味わえる。
家族を守るイケメンなリオレウス。表情豊かなモンスターたち
次は、本作で描かれたモンスターのさまざまな「表情」を紹介したい。
まずは、シリーズの看板モンスターである「火竜リオレウス」について。
ある日、我々は偶然にも「リオレウス」と対になるメスの火竜「リオレイア」が卵を守っている巣を通りがかり、麻酔で眠らせた。
すると突然、空から「リオレウス」が飛来して我々の前に立ちはだかる。
彼はサッと背後にある巣の状態を確認すると、こちらへ向き直りすさまじい形相で睨みつけてきたのだ。
「何、嫁に手出してんだオラアァァァ」
チラッ(巣の安全を確認)
「なんだァ?てめェ……」←(ブチギレフェイス)
家族を守るため、リオレウスが牙をむき出しにして鬼のような形相で怒りを露わにするシーンを見られるとは眼福だ。っていうか、イケメンすぎんか?
過去作でも「リオレウス」と対となるモンスター「雌火竜リオレイア」が番(つがい)になり、ともに生活している様子は描かれてきた。筆者も、連日徹夜で張り込んでその生態を記録したことがある。
本作ではその“夫婦仲”という点での解像度がさらに上がっているように思えた。
ほかにも、かわいらしい表情を見せるモンスターも出てきた。
水辺に住むモンスター「ドスジャグラス」は、こちらを激しく威嚇してきたかと思いきや、頭に石がゴツンと当たってしまい、まるでカートゥーンアニメのような「おとぼけフェイス」を披露してくれる。
また、鳥竜クルルヤックは大事に抱えていたはずの「石」がいつの間にか盗まれて切り株に切り替わっていることに気づき、「これ違うじゃ──ん!」と驚いたようなかわいい顔を見せる。
モンスターの何気ない動きや表情の解像度がとんでもなく高いため、武器を抜くことも忘れてついしばらく眺めてしまった。

“人間大砲”で快適に移動。ハデにぶっぱなせ
次に、本作のフィールド探索とクラフト要素について語らせてほしい。
本作の冒険の舞台となる「アイソレシア島」は、とにかくバカみたいに広いのだが、移動で困ることはなかった。それは本作のクラフト要素に移動方法が多数存在するからだ。
最初は遠方と現在地を繋ぎ、ロープウェイで高速移動する「ジップライン」程度だが、そのうち足元に上昇気流を発生させる「ブロワー」が作れるようになり、グライダーで大ジャンプからの滑空がキメられる。
さらにヤバいのが、人間大砲こと「カタパルト」だ。
自分を装置にセットして、高所へ向けて一気に射出する。ド派手で、爆速。思わず「発射されてて草」と微笑んでしまった。
また、「展望塔」を開放すればマップの情報が可視化され、どこで薬草やハチミツなどの採取物がとれるかどうか、モンスターの位置なども把握できる。
そして、「いちいち素材をちまちま拾うの大変になってきたな」と思いはじめたころ、「採集施設」を設置すれば素材が自動で集まる仕様があることもわかった。「ハチミツください」と問われる日々は、もはや遠い過去の話となってしまったようだ。
なお、本作は第1章~第4章までの間だけでも多数のフィールドが登場する。
緑豊かな「巨木の原野」からバカ広い「熱砂の平原」や「大砂海」、霧が立ち込める「雲煙の森」など、エリアのバリエーションも正式リリース直後のスマホゲームとしてはいろいろと超越している。
夜になったら、みんなで踊る。なんで? 楽しいから
そして、本作には狩りとマジで1ミリも関係のない「謎の時間」が存在する。冒頭でも触れたが、ある夜に村に帰ると何の脈絡もなく「ダンシングナイト」なる謎のイベントがはじまったのだ。
本当になんの前触れもなく 「え?やるよね?ダンスだよ?」と言わんばかりの圧力を感じる通知が届く。パーリナイってこと?
バトルは3対3のチーム戦。画面にはお馴染みのリズムゲーム風の矢印アイコンが表示される。「なるほど、音ゲーね」と察し、ビートに合わせてボタンをタップする。
……が、このリズムゲーム、なにか奇妙なのだ。
音楽に合わせて完璧なタイミングで押しているはずなのに、「Great!」とか「excellent!」的な判定が出ない。普通のリズムゲームなら、あるよね?そういうの。
そして数回のプレイを経て、私はとんでもない真実に気がついてしまった。
これは、ダンス系のゲーム風のボタンが配置されているだけの「ただの早押しゲーム」だったのだ。
リズム、いっさい関係なし!!!
そうとわかれば、音楽のテンポなどガン無視でアイコンが出た瞬間に反射神経だけでタップするしかない。
屈強な冒険者たちがズラリと並んでノリノリでステップを踏む中、IQも音感も捨て去り、ただドーパミンをドバドバ分泌させながら画面をシバき倒す。それが正解のゲームなのだ。
1日に数回は開催されるというこの狂気のお祭り。
「俺はなんで『モンハン』で必死に踊っているんだ……?」と銀河の中に漂いそうになるが、思い返せば過去作のハンターは昔から集会所でヒマさえあれば謎のダンスエモートを踊り狂っていた生物である。※個人差があります。
あのシュールなコミュニケーションを公式が全力の「ダンスバトル」として実装してくれたのだとすれば、胸が熱くならないだろうか。ならんか。
ちなみに、野生の勘に従って画面を最速でシバき倒し、無我夢中でポーズをキメまくった結果、筆者はその日のサーバー内でトップの成績を叩き出し「パーティの主役」の通り名を取得してしまった。
結論、『アウトランダーズ』は、『モンハン』の世界でダンスの頂点を極めることができるゲームです。
『アウトランダーズ』は、まぎれもなく『モンハン』だった。
モンスターの動きを見極め、部位を壊し、手に汗握る狩りの緊張感は完全に「本物」なのだ。
そのうえで、光るアンジャナフが石で狂わされて破壊光線を放ち、酒場で奢った仲間がハンマーを振り回し、カタパルトで大空をすっ飛び、夜にはIQを溶かして踊り狂う。
以前、カプコン側のプロデューサーである砂野元気氏に取材した際に、砂野氏は「普段の『モンハン』ではできないことをやりたい」と言っていた。
その真意は、この溢れんばかりの“モンハン愛”と、自らもモンハンを強くリスペクトしているTiMi Studio Groupの熱狂に詰まっていたのだ。
そして、スマホでの操作に慣れていない方には、「コントローラーのワイヤレス接続」を強くおすすめしたい。手に馴染んだ操作感で遊べば、あなたの脳内から「所詮スマホ版だし」という先入観は完全に消滅するはずだ。
個人的な話となり恐縮だが、筆者はこのゲームを遊んでゲーミングスマホの購入を即決した。それくらい、このゲームはちゃんとやり込みたい。そう思えたからだ。
それでは、私は今夜も「アイソレシア島」のダンスフロアで踊り狂うのに忙しいので、この辺で失礼させていただきます。

























