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ECサイトでは絶対に真似できない“日本でいちばん有名なゲームショップ”の流儀【ゲームズマーヤ秋谷久子店長×セガゲームス名越稔洋対談】

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 2018年4月8日、東京都江戸川区中葛西にあるゲームショップ、ゲームズマーヤが閉店した。

※『エルシャダイ』……2011年4月28日にイグニッション・エンターテイメントより発売されたプレイステーション3、Xbox 360用ソフト。プロモーションビデオでの「そんな装備で大丈夫か?」はインターネットミームとなり、発売前から注目を集めた。

 私、そんなに偉い人とか、お金持ちだとか何も知らなくて「『エルシャダイ』、これじゃ売れないよ!」 とバシーンってその人を叩いちゃって(笑)。あとでTIME誌を読んだら、その人が出ていてビックリして。「え、あのときの人? TIME誌に載るくらい有名な人なの?」って(笑)。

一同:
 (笑)。

秋谷氏:
 「いまは雰囲気で売れているけど、このままじゃ長くは売れないからね」とかいろいろ言っちゃって。私のせいで日本のイメージが変わったんじゃないかと (笑)。
 でも、『エルシャダイ』は想像以上に売れたんですよ。なんだかよくわからないゲームでしたけど、ああいうイメージって、それまでになかったからよかったんでしょうね。

──メディアでは言いにくいことを秋谷さんはストレートに述べられていて……。

秋谷氏:
 ふつうに思っていることをサラッと言っただけです……とか言ったらもっと怒られるかしら(笑)。

名越氏:
 それは、お客さんの顔をつねに見ているからこそ、お客さんの声を代弁していたんじゃないですかね。

ECサイトでは絶対に真似できない“日本でいちばん有名なゲームショップ”の流儀【ゲームズマーヤ秋谷久子店長×セガゲームス名越稔洋対談】_018

秋谷氏:
 そうですね。やっぱり「お客さんがああ言っていたよね」って思い出したら、言わざるを得ない。そこで聞かなかったら、内々で聞いたら絶対ダメだと思うんですよ。
 ほかの人たちもやっぱり聞きたいと思うし、ほかの方がどんな風に考えていらっしゃるかってすごく大事。だからほかのメーカーさんや販売店さんがいらっしゃる場で伝えられる機会があったら言いたい、とは思っていました。

──不思議なのは、秋谷さんがそうおっしゃると、皆さん真摯に聞いてくださるんですよね。

秋谷氏:
 そんなことないですよ(笑)。

名越氏:
 長年やられていて信用があるからですよ、きっと。これがお店をやられて数年とかだったら、「は?」って話になるかもしれない。お店をオープンされてから35年目でしたけっけ?

秋谷氏:
 ブログで「35年」と大雑把に書いちゃったんですけど、じつはお店をオープンしてから「38年」です。

名越氏:
 それだけの年数お店をやられていらっしゃる方からひとこと言われると、違うと感じたとしても「そうなのかな?」……と思わざるを得ないというか、無視できない。
 『龍が如く』も毎年お世話になるわけですから、ちょっと優先順位を高めに答えておこうかなとか、水面下の意識としてあったような気がします。そういう意味ではクリエイティブなところに刺さるような印象をひしひしと感じていました。

ECサイトでは絶対に真似できない“日本でいちばん有名なゲームショップ”の流儀【ゲームズマーヤ秋谷久子店長×セガゲームス名越稔洋対談】_019

 秋谷さんの個人的な趣味ではなくて、ユーザーの代弁である、というところがわかっているから無視できないわけで。それは健全な関係なんじゃないですかね? ネット通販ではできない話だし、間違いなく。

──そういった部分があるからこそ、名越さんもそうですし、ほかのゲームメーカー、クリエイターがゲームズマーヤさんに対して特別な思い、感情があるのだと思います。
 この場で言うと名越さんに怒られるかもしれないですけど、すごく印象に残っているのが、名越さんが「ゲームズマーヤさんに何かあったら、業界がひとつになってみんな助けてくれるよ」、「クラウドファンディングでもしたら、すぐに資金が集まる」とおっしゃられていたことがあって。

 そんな風に言えるのって、ゲームズマーヤさんに対してだけだと思うんですよ。

名越氏:
 いまでもみんな助けると思っています。でも、クラウドファンディングで存続を行うことになったら、たぶん先程述べた“定食屋的な運営”はできないですよね。

 定食屋を買い取っても味が違うものになっちゃったらお客さんが来なくなっちゃうわけで。そこはやっぱり秋谷さんがいてこそ、っていうのがあるのかなって、いまはそう思っていますよね。

──代わりの店主を立てて、ゲームズマーヤの名前を残すという選択肢もあったと思います。でも、閉店を選ばれたというのは、いま名越さんがおっしゃったところがあったわけですよね。

秋谷氏:
 そうです。じつは昔、2店舗、3店舗という話もあったんですよ。でも店舗を増やさなかったのはそれなんです。私はこの店で、ここでお客さんと一緒にやりたいっていうのがすごくあって。ほかに行ったらできないなと思って。

 私がいなくなったらやめるべきだと。だからお店も畳むべきだと思って。……この場所、つぎは食品スーパーになるみたいですけど。

ECサイトでは絶対に真似できない“日本でいちばん有名なゲームショップ”の流儀【ゲームズマーヤ秋谷久子店長×セガゲームス名越稔洋対談】_020
ゲームズマーヤ跡地。撮影をしたのは9月3日。現在工事が進められており、建物も取り壊されている。

──え!? この場所ですか?

秋谷氏:
 そう(笑)。

名越氏:
 そうなんですか?

秋谷氏:
 という話が出ているようです。大家さんによれば。

名越氏:
 それはスーパーマーヤとかではなく?

秋谷氏:
 (笑)。今度は横に長い構造のお店になるみたいです。いまはコンビニが有力というお話でしたけど、まぁどうなるかわからないですけどね。大家さんには、「3ヵ月くらいしたら戻っておいで」って言われました(笑)。「そのくらいで治らない?」って(笑)。

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