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息の合ったオタ芸に会場が湧いた! アニソンDJとして活躍するDJ和氏のステージが盛り上がる理由は「セットリストを決めない」こと。会場にいるお客さんのTシャツやコスプレを見て選曲している

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 12月3日と4日の2日間にわたり韓国のKINTEX展示場で開催されたアニメやゲームの総合イベント「Anime x Game Festival 2022」(以下、AGF Korea 2022)。本イベントの特徴はなんといってもステージイベント。会場には複数のステージがあり、声優やクリエイターを招いたトークショーやアニソンライブが実施されている。

 なかでも熱狂的な盛り上がりを見せていたのは、DJ和氏のアニソンステージだ。息の合ったオタ芸と選曲に、初日の午前中という時間帯にも関わらずこの盛り上がりである。

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 今回電ファミはステージを終えたばかりのDJ和氏にインタビューをする機会をいただき、セットリストのこだわりや「アニソンDJ」になるまでの経緯をうかがった。

 すると「明け方にクラブでDJをしていたらたまたま朝まで残っていたソニーミュージックのプロデューサーが居合わせて契約をする」という、異例の経歴を持っていることが判明。

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DJ和氏

 本稿ではAGF Korea 2022のステージ写真とともに、DJ和氏のインタビューをお届けしていく。

文/柳本マリエ


韓国はみんながイベントに飢えている

──ステージを終えたいまの率直なお気持ちをお聞かせください。

DJ和氏:
 韓国の方々はとてもあたたかく迎えてくれるんです。前回(2019年)のAGFでもDJをさせていただいたんですけど、そのときに僕のことを憶えていてくださった方が今回も来てくれていたり、日本語を勉強している方も多いから日本語で韓国の人気アニメを教えてくれたり。

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 日本ではアニソンDJイベントはたくさんあるんですけど、韓国には少ないみたいなんです。みんながイベントに飢えているというか、楽しめる場所やイベントに「もっと参加したい」という気持ちが強い。

 日本はたくさんイベントがあるから常に「発散」できるんですが、韓国の方々は発散する機会がなかなかないので、その熱量が日本とは違うベクトルの盛り上がり方になっているように思います。

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 僕は数えたら15カ国くらいでDJをしてるんですけど、韓国は日本といちばん距離が近いのでアニメの認知度合いが同じくらい。とにかくみんな詳しくて、情報が早いんです。いま日本で放送しているアニメの曲とかを韓国で流してもみんな知っているので、日本でDJするときと同じようにできるところがすごいなと思います。

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Tシャツやコスプレを見てセットリストを決める

──セットリストはどのように決めているのでしょうか? こだわっている部分はありますか?

DJ和氏:
 セットリストはほとんど決めないんです。1曲目すら決めていなくて。さっきもステージ向かうときに「なにがいいかな」と思いながら歩いてました。

──ええっ、決めないままステージに向かうんですね。

DJ和氏:
 ステージに立って準備しながら考えるくらいなんですけど、ある程度「ここらへんが盛り上がるだろうな」というのが頭の中にあるので、それをすぐ流せるようにはしています。そのとき集まってくださったお客さんの着ているTシャツとかコスプレを見て決めることも多いです。

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 さっきだったら『パリピ孔明』とか『リコリス・リコイル』とか。あと『ラブライブ!』シリーズのTシャツやハッピを着ている人も多かったので、多めに流しました。

 その場で見渡しながら、でも間で「こういう曲流したらどうなるんだろう」とか「この曲は知ってるのかな」とか混ぜつつ、DJ中に調査しています。

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『パリピ孔明』OP「チキチキバンバン」が流れる
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──会場で温度感をたしかめるんですね。いつもそういうスタイルなんですか?

DJ和氏:
 いまのステージは30分間くらいだったんですけど、これが10分間とかだったら悩んでる時間がないのであらかじめ決めてしまうことが多いかもしれません。今回みたいに30分くらいあるといろいろ試してしまいます。

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洋楽のDJイベントにJ-POP DJとして単独で乗り込む

──和さんのこれまでのご経歴をおうかがいできますでしょうか。

DJ和氏:
 DJは高校生くらいのときに始めました。かれこれ15年くらいやっているんです。17歳か18歳くらいのときにターンテーブルを触り、19歳からクラブなど人前でDJをするようになりました。そこから23歳くらいのときにソニー・ミュージックレーベルズと契約するんですけど……

──そんないきなりソニーミュージックが出てくることあります? すごくないですか?

DJ和氏:
 いろいろあって(笑)。最初は洋楽のヒップホップとかクラブミュージックのDJをしていたんですけど、いろんなクラブでDJをするようになったときに自分の中で「洋楽のセットリストの中で1曲だけ日本語の曲を流したらどうなるんだろう」みたいな好奇心が生まれて、遊びで流すようになりました。

 10年前20年前はクラブで日本語の曲を流すことはタブーに近いというか、「怒られる」みたいな雰囲気があったんです。なので、ちょこっと流すみたいな(笑)。そんなことをやってた時期がありました。

──(笑)。

DJ和氏:
 そんなときにDJの知り合いがJ-POPだけ流すイベントを始めたんです。そこに遊びに行ったらめちゃくちゃおもしろくて。クラブミュージックみたいにJ-POPとかアニソンをつなぐっていう。そこから「J-POPのDJになろう」と決めました。それが人前でDJをするようになってから3年目とか4年目あたりだったと思います。それからJ-POPとアニソンだけをやるDJに一気にシフトして、洋楽のDJイベントに単独で乗り込んだりしました(笑)。

 あるとき、みんながワイワイしているラウンジでDJをしていたんです。たしか僕は明け方のいちばん最後のDJでした。みんな酔っぱらってるところにJ-POPの歌える曲を流すから「なんだこいつは!?」みたいに見られて(笑)。その中にいた男性から「ミスチルかけて!aikoかけて!」みたいなリクエストに応えていたら、イベントが終わったあとに名刺をもらいました。そしたらその男性がソニーミュージックのプロデューサーだったんです。それが契約のきっかけでした。

 そこから僕が「ミックスを出したい」という話をして2008年に「J-ポッパー伝説 [DJ和 in No.1 J-POP MIX]」をリリースできました。それから年に数回ミックスをリリースしながら活動をしているんですけど、アニソンのミックスを出したら、ありがたいことにいろんなところからオファーをいただくようになったんです。こういうAGFや海外のイベントは「日本のアニソン」というような切り口があると呼ばれやすいみたいで。

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「J-ポッパー伝説 [DJ和 in No.1 J-POP MIX]」(画像はAmazonより)

──最初はガチガチの洋楽だったのに、振り幅がすごいですね。

DJ和氏:
 そうなんです(笑)。もともといろんなジャンルの音楽が好きだったんですけど「DJをやる」ってときに、いまみたいなJ-POPやアニソンのスタイルはまったく考えていませんでした。「DJ=洋楽」という概念があったので。でもJ-POPのイベントに行ったことでその概念が壊れて、「なにやってもいいんだ」と思ったら自然といまのスタイルになっていました。

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──駆け足になってしまいましたが、最後に今後の活動や「こうしていきたい」みたいな部分があればお聞かせいただけますでしょうか。

DJ和氏:
 韓国とかアジアとか海外に呼んでいただける機会があるんですけど、海外に僕が行くことによって「DJを始めました」って言ってくださる方がいたりとか、「初めてDJを見た」という方もいらっしゃって、DJの存在ってまだまだ身近ではないと思うんです。

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 DJは「敷居が高い」とか「怖い」というイメージがあると思うので、アニソンとかを使えば「敷居ぜんぜん低いじゃん」と思ってもらえる気がして。もっと気軽にいろんな方がDJを楽しむ文化を広げていけたらいいなと思っています。(了)

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 イベント初日の午前中という時間帯にも関わらず熱狂的な盛り上がりを見せたDJ和氏のステージ。それは、氏がその場でTシャツやコスプレ見て「なにを流したら盛り上がるか」をたしかめながら選曲しているからだった。

 日本と違い、韓国ではアニメやゲームのイベントが少ないため発散できる機会があまりないという。今回はAGFのイベント自体が3年ぶりの開催ということもあり、盛り上がりもひとしお。息の合ったオタ芸と選曲に会場が湧いていた。

 【DJ和】 リリース情報
 「Winter Magic ∼あの冬をドラマに変えた歌たち∼ mixed by DJ和」
 2022年12月7日(水)発売 
 CD通常盤 / AICL-4269 / 定価2200円(税込)
 全36曲収録
 official HP : j-popper.jp
 購入はこちら : https://smar.lnk.to/WinterMagic
 ダイジェスト映像はこちら:https://youtu.be/JnyJOZmBnPQ

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編集部
幼少期からホラーゲームが好き。RPGは登場人物への感情移入が激しく的外れな考察をしがちでレベル上げも怠るため終盤に苦しくなるタイプ。自著「デブからの脱却」(KADOKAWA)発売中
Twitter:@MarieYanamoto

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