いま読まれている記事

期待のロボゲー『メカフォース』が目指したものは“マジンガーが登場する『A.C.E.』”! 最初は『戦場の絆』的だったが、爽快感を求め『ガンダムVS.』方面へ。そこに『鉄騎』的な要素も加えつつ、ジャンルとしてはローグライトに

article-thumbnail-240530c

1

2

巨大なロボットを駆り、過酷な戦いを通してドラマティックな物語を描く「ロボットもの」。ゲームやアニメはもちろん、実写に漫画など、様々なメディアで用いられ、根強い人気を博しているジャンルのひとつだ。

今もロボットが出てくる作品は数多い。しかし、ロボットの存在を中心的に扱う作品ばかりではなく、特に昨今は近未来やSF的な戦争や闘争を描く作品が増えており、「世界観を演出する兵器のひとつ」という形に納めたものが目立っている。

そのため、俗に「スーパーロボット」と呼ばれるカテゴリーの作品は、このジャンルの中でも減少傾向にあり、スーパーロボット好きには厳しい時代が訪れていた。だが一方で、ファン個々人の熱量は高く、かつての名作を愛でながら新たな作品の登場を待ち侘びている。

現状の売れ線ではなく、しかし確実にファンもいる「スーパーロボット」は、作り手にとって対象数が読みづらく、手が出しやすいジャンルとは言えない。そのため、ゲーム業界だけ見ても、スーパーロボットと呼ぶにふさわしい作品はごく一部だ。

しかし、そんな向かい風もどこ吹く風と、スーパーロボットを題材としたVRアクションゲームを発表し、製品版のリリースに向けた開発が現在進んでいる。その名も、『メカフォース』。2023年4月にはいち早く、Meta Questシリーズ向けの試遊版も登場し、一部のロボット好きの間で話題となった。

決して主流とは呼べないスーパーロボットを、この令和の時代になぜ選んだのか。そこにどんな意気込みや熱意が込められているのか。あえて逆風に挑んでいるようにも見える『メカフォース』により深くせまるべく、開発を行っているMing Studio代表のソン・イハン氏に話を伺った。

『メカフォース』インタビュー:目指したものは“マジンガーが登場する『A.C.E.』”_001
ソン・イハン氏

文/臥待弦


「ロケットパンチを自分で撃ちたい!」、その願いを叶えるべく始まった開発

──まず最初に、これまでの経歴や『メカフォース』開発のきっかけなどを、自己紹介を交えつつ教えてください。

ソン・イハン氏(以下、ソン氏):
『メカフォース』を鋭意開発中のMing Studioで代表を務めているソン・イハンです。メンバーも含めてですが、このMing Studioを立ち上げる前は、NETEASEという会社でVRやスマホ向けのゲームを作っていました。『ポケモンクエスト』などにも関わっています。

──その頃はNETEASEに籍を置いていたソンさんやほかの方々が、Ming Studioを立ち上げたのはなぜですか?

ソン氏:
当時、「Oculus Quest 2」(現 Meta Quest 2)が発売され、世界中で話題になっていました。その盛り上がりを見て、「これはチャンスだ」と感じました。そして、やはり自分たち──Ming Studio創業当時の4人──で考えたオリジナルのIPで勝負したいと考えたのが、Ming Studio設立のきっかけです。

──Ming Studio設立後、すぐに『メカフォース』の企画が決まったのでしょうか。それとも、候補となる企画はいくつかありましたか?

ソン氏:
今も人気の高いシューティング(※FPSやTPS)なども考えましたが、そういった銃や魔法で戦うゲームはもう沢山ありました。なので、多くの人がすでに手を付けているものではなく、「自分たちが見たいもの」を選びました。

──人気があるからと安易に選ぶのではなく、「オリジナルのIPで勝負したい」という気持ちを重んじたんですね。

ソン氏:
私も含めたスタッフたちは、全員アジアや日本のゲームやアニメが大好きです。そこで、今までになかったアジア的なゲームに挑戦したいと考えました。そしてMing Studioは、技術面に自信があるので、様々なジャンルの中でも作るのが難しいアクションゲームに挑戦しようと。

──好きという気持ちと技術への自信を元に、アジアや日本的な題材のゲームに絞っていったんですね。そこから、いわゆるロボットものに決まった理由は?

ソン氏:
ここからは私が好きなゲームの話も交えますが、『スーパーロボット大戦』や、フロム・ソフトウェアさんの『アナザーセンチュリーズエピソード』(以下、A.C.E.)シリーズなどがまず外せませんね。特に『A.C.E.』シリーズに熱中したんですが、自分が学校を卒業する頃には続編の音沙汰がなくなり、すごく寂しい思いをしました。

──ロボット系のアクションゲームは、時代と共に数が絞られてしまった印象はありますね。『A.C.E.』シリーズのような作品は、フォロワーも少ないですし。

ソン氏:
そうなんですよ。今となっては、こういうゲームがなかなかなくて。だったら、自分で作ろうかなと思いまして(笑)。

──なるほど(笑)。オリジナルで勝負したいという想いと共に、「こういうゲームで遊びたい」といったユーザー側の気持ちもあったんですね。

ソン氏:
はい。そうした経緯から、「リアルなコクピット視点で戦いを体験できる、スーパーロボット的なアクションゲームを作りたい」と目標が定まり、『メカフォース』の開発に繋がりました。

──『A.C.E.』シリーズに焦がれた青春時代を過ごしたと先ほど伺いましたが、かつてプレイしたロボットゲームの影響は、『メカフォース』に直接表れていますか?

『メカフォース』インタビュー:目指したものは“マジンガーが登場する『A.C.E.』”_002

ソン氏:
『A.C.E.』シリーズには、リアルから『真ゲッター』のようなスーパー系まで、様々なロボットが登場しました。ですが、マジンガー系はいないんですよね。そこで『メカフォース』では、マジンガーを彷彿とさせるような要素を盛り込みたいと考えました。自分としては、それが本作で一番体現したかった部分です。

──具体的に、その一例を教えてください。

ソン氏:
マジンガー自体は『スーパーロボット大戦』などに登場していますが、アクションゲームの中で自分の手で直接操作するゲームってなかったんですよね。自分で操作してロケットパンチを撃つ、とか。それに、ルストハリケーンやブレストファイアーも出したいじゃないですか。

──マジンガー的な必殺技を自分で操作して撃つ、という要素にこだわられたんですね。

ソン氏:
ですので、『メカフォース』の開発に入ってから一番最初に作ったのが、ロケットパンチを撃つシステムでした。

──それほど、ロケットパンチが撃ちたかったと。その熱意、力強く伝わってきます。

1

2

ライター
「ゲームの面白い記事読んでみない?」 あなたの時間を奪う、読み応えたっぷりの記事をお届け! 電ファミニコゲーマーは、最先端のハイクオリティゲームメディアです。

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合がございます

新着記事

新着記事

ピックアップ

連載・特集一覧

カテゴリ

その他

若ゲのいたり

カテゴリーピックアップ