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こんなにツヤツヤ肌にしちゃっていいの? MMORPG『ブレイドアンドソウル NEO』の女性キャラクリが艶やかすぎる。MMO史上屈指になまめかしいキャラクリへのこだわりを聞いてみた

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“顔の見える運営”でプレイヤーとの距離を縮める

──せっかくの機会なので、福富さん個人についても話を聞かせてください。変わった経歴をお持ちだと聞いていますが。

福富氏:
僕は元々ブレソのコアプレイヤーで、サービス初期に開催された公式イベントでは、ユーザー代表として呼ばれていたんです。当時、ブレソの日本運営プロデューサーを担当していたFSグラウカこと山本(※山本浩正氏)に会う度に、「次回のアップデートはいつですか?」「僕なら運営チームの役に立てますよ!」と、前のめり気味にアピールをしていました。

そうしたら、「ウチに来てみないか?」って誘ってもらえたんです。ずっと好きだったブレソに運営スタッフとして参加できて、当時本当に嬉しかったです。

──いちプレイヤーで楽しむのと、運営チームとして働くのとでは、違った部分もあると思いますが、そのあたりはいかがでしたか?

福富氏:
確かに最初はギャップを感じましたね。
メンタル面は相当鍛えられたと思います(笑)。

『ブレイドアンドソウル NEO』福富 岳氏インタビュー。MMO史上屈指になまめかしいキャラクリへのこだわりを聞いてみた_010

──昔のMMORPGって、何か大きなトラブルが起こると、プロデューサーがその矢面に立たされますよね。他のタイトルでも言えることですが、見るからに大変そうです。

福富氏:
そうなんですよね。これが一般的な社会人だと、ミスをした際に怒られる相手って、お客様や上長といった比較的少ない人数です。でもオンラインゲーム運営だと、場合によってはものすごい人数からお叱りの声をいただくわけです。

お客様に対して申し訳ないと思いつつ、「ブレソの開発作業は本国で行っているし、僕がミスったわけじゃないんだけどな……」といった気持ちもあり、落ち込むこともありました。

──どうやって乗り越えていかれたのでしょうか。

福富氏:
その頃の僕は、オンラインゲームの運営を正しく理解できていませんでした。
だって、お客様にとって見えるのは、日本のサービスだけじゃないですか。その代表として表に出ている以上、お客様からの良い声も悪い声も、全部受け取らねばならない。その覚悟を決めてからは、少しずつではありますが、良い方向に進んでいると思います。

──どのようなことを行ったのですか?

福富氏:
まずは配信用の機材一式を揃えて、定期的にブレソの生番組を放送するようにしました。いちプレイヤーとしてのゲームプレイを紹介するほか、不具合が発生したときも、その状況や対応内容などを配信で丁寧に説明するようにしたんです。

オンラインゲームの長期運営を行ううえで、不具合が発生したり、お客様にとって不満が噴出したりするようなこと自体は、どうしても避けられません。そんなとき、仮に運営側からの謝罪や表明が何もないと、いっそう不安になってしまいます。また、テキストで一方的に説明するより、お客様の反応をダイレクトに受けながら生番組で説明するのとでは、伝わり方がまったく違ってきます。

──多くのオンラインゲーム運営が目指すものの、なかなかに難しいと言われる、“顔が見える運営”というやつですね。

福富氏:
「こういう人がブレソを運営しているんだ」ということを実感してもらうことで、攻撃的な言葉は少なくなり、次第に「運営も色々な事情があるんだな」「なんか最近のFSって頑張ってるよね」といった暖かい声をいただくことが増えてきましたよ。
近年では、逆に僕のほうが励ましの声をいただくことも増えてきて、頑張ってきて良かったと実感しています。こういった交流は今後も続けていきたいですね。

MMORPGにこだわり続けるエヌシージャパン

──ブレソの登場から10年を経て、MMORPGの主戦場はスマートフォンへと移り、このジャンル全体に対するプレイヤーの印象も変わりました。

福富氏:
本当、そうですよね。
古くさい人間だと思われるかもですが、個人的にスマホゲームは手軽に楽しむ娯楽だと考えています。スマホ向けのMMORPGでもオートバトルを取り入れるなど、基本的に遊びやすく進化しているじゃないですか。その進化の過程で、PC向けMMORPGならではの醍醐味が薄れている気がするんですよ。

『ブレイドアンドソウル NEO』福富 岳氏インタビュー。MMO史上屈指になまめかしいキャラクリへのこだわりを聞いてみた_011
画像は同社のMMORPG『タワー オブ アイオン クラシック サービス』(公式サイト

──かつてはPC向けMMORPGを運営していたメーカーさんの多くが、スマホゲームに軸足を移したり、このジャンルから撤退したりしています。PC向けMMORPGの新作タイトル自体、随分と減りましたよね。

福富氏:
たとえば、その場に居合わせた他のプレイヤーと一緒にフィールドボスを討伐したり、意味もなくみんなで集まって、わちゃわちゃ騒いだり。門派(ギルド)内のチャットやボイスチャットで親交を深めたり。スマホでも、こういったコミュニケーションは行えなくはないですが、どうしても簡素になりがちですよね。

もちろん、時代の流れとしてスマホ向けのMMORPGが登場するのは必然だし、弊社もサービスを行っています。でもプレイヤーの選択肢として、PC向けMMORPGが減っている現状は残念でなりません。

──そういったなかエヌシージャパンは昔から変わらず、PC向けMMORPGにこだわり続けています。他に類を見ないゲームメーカーとなりつつあるのではないでしょうか。

福富氏:
ありがとうございます。
実はエヌシージャパンの創業以来、サービスが終了したMMORPGって無いんですよね。今回のブレソNEOが登場した後も、従来のブレソはサービスを続けますし。

弊社にとって一番のサービスが何かというと、お客様に長く楽しんでもらうことだと考えています。つまり、サービスを続けることが大前提なわけです。僕自身、もしブレソのサービスが終了してしまったら、このMMORPGで人生が変わった者として、すごく残念に思うでしょう。そういうことをしない会社だというのは、エヌシージャパンに入社して良かったと感じています。

──今回のブレソNEOも長く続くことに期待しています。それでは最後に、ブレソNEOが気になった読者に向けてのメッセージをお願いします。

福富氏:
ブレソNEOは、ブレソの原点に立ち替わり、アクションの良さを尊重。そのうえで、いまのプレイヤーに遊んでもらうために必要な部分をリニューアルしたゲームです。

近年ではPC向けMMORPGは珍しくなりましたが、だからこそ、多くの人にとってブレソNEOは新鮮に楽しんでもらえると思います。
特にサービス開始直後の盛り上がりは、他のサービスではなかなか見ることができないと思います。拠点エリアには大勢の人がたむろしていて、チャットで盛り上がってて、そうやって遭遇した意気投合した人とフレンドになったり、同じ門派に加入したり。もちろん、ソロプレイでも問題なく進められますし、ぜひ楽しんでください!

『ブレイドアンドソウル NEO』福富 岳氏インタビュー。MMO史上屈指になまめかしいキャラクリへのこだわりを聞いてみた_012

プロダクトディレクターにもメールインタビューを実施

続いて、ブレソNEOの開発作業を行う韓国のNCSOFTで、プロダクトディレクターとして開発統括責任者を担当するキム・ホンジェ氏に行ったメールインタビューの内容を紹介しよう。

──ブレソNEOの開発経緯について教えてください。

キム・ホンジェ氏(以下、キム氏):
ブレソのサービスを開始してから10年が経過しており、そのあいだにMMORPG市場のニーズが大きく変化しています。今後もブレソを末永く楽しんでもらうためには、ニーズの変化に対応する形で、ブレソを刷新する必要性を感じていました。
そこで、ブレソのサービス開始時の盛り上がりを再び体験してもらうというコンセプトで、2023年から開発作業を行ってきました。

──ブレソでは2021年の大型アップデートでも、グラフィックスが強化されていました。にもかかわらず、ブレソNEOで強化されているのは、どういった理由があったのでしょうか?

キム氏:
2021年に実施した「胎動アップデート」では、Unreal Engine 4にアップグレードすることで、グラフィックスが美しく生まれ変わりました。ですが一方で、以前のバージョンにおける見た目の鮮やかさが失われてしまったという反響も多く寄せられたのです。

これを受けて、社内でUnreal Engine 4の各種機能を徹底的に使いこなせるようにしました。より良い色彩や光源の表現方法を追求したり、古くなった技術を刷新したりすること、同じUnreal Engine 4でも「胎動アップデート」の頃とはまるで違うグラフィックスが実現できたのです。同時に、従来のブレソらしさを感じつつ、一目で強化されたことが分かるグラフィックスの両立にも成功しました。

──ブレソNEOをプレイする人に向けて、刷新されたグラフィックスのどの部分に注目してもらいたいですか?

キム氏:
まず、背景全般のディティールに注目してほしいです。草木などの自然物や、今となっては古くなったオブジェクト類も、すべてモデリングをし直しているんですよ。さらに、リアルタイムライトによる光の表現によって、いっそう臨場感が感じられます。そうやって描かれた世界を、“軽功”で駆け巡る楽しさをぜひ味わってほしいですね。

そのほかにも、ボスモンスターが召喚する竜巻のエフェクトなど、細かな演出の数々にも注目してほしいです。

『ブレイドアンドソウル NEO』福富 岳氏インタビュー。MMO史上屈指になまめかしいキャラクリへのこだわりを聞いてみた_013

──個人的には、前作のブレソのグラフィックスを見た際、“女性キャラの肌のツヤ”の表現に衝撃を受けました(笑)。このツヤの表現処理は、ブレソNEOにおいてどのように変化していますか?

キム氏:
ブレソNEOではライティング表現のクオリティが格段に上昇しています。それによって、女性キャラはよりリアルになり、色々な意味で躍動感あふれるビジュアルを体験できますよ(笑)。

──10年前と比較すると、プレイヤーのMMORPGに対する接し方が大きく変化しています。ブレソをリニューアルを行うにあたり、その点は意識されましたか?

キム氏:
プレイヤーのMMORPGに対する接し方が変わっても、このジャンルならではの楽しさは普遍的です。ですので、MMORPG本来の楽しさを味わえることに注力しました。

グラフィックスやアクション性を強化することはもちろんですが、ゲーム内通貨の活用法を高めてキャラクターを成長させたり、トレードを行ったり、ソロプレイでは味わえないMMORPGならではの楽しさが感じられるよう努力しました。

それと同時に、ベテランのプレイヤーだけでなく、初めてMMORPGに触れる人でも遊びやすい環境を実現することにもこだわりました。

──ブレソNEOでは、従来のUIや成長システムも変化していると聞いています。特に、どの部分に注目してもらいたいですか。

キム氏:
武功(スキル)や装身具(アクセサリー)の強化システムをリニューアルしています。それにより、以前より自由な育成を楽しめるほか、同じ職業でも幅広いカスタマイズで、自分だけの個性を表せるようになっています。

──ブレソNEOは韓国にて正式サービスが開始済みですが、そちらでのプレイヤーの反響はいかがですか。

キム氏:
ブレソNEOのサービス開始直後は、ゲームプレイのためのログイン時に待機列(キュー)が多数発生するなど、大きく期待してもらっていると実感しています。

──ブレソNEOで初めてこのIPを目にするゲーマーに向けて、どの部分に注目してもらいたいですか?

キム氏:
ブレソNEOでは、従来のプレイヤーだけでなく、初めてプレイする方でも遊びやすい環境を提供する事をテーマに開発しています。たとえば疾走や滑空などの軽功スキルを無制限で使用できたり、クエスト進行の目的地まで瞬時に移動ができたりと、ライトプレイヤーでも速いテンポで楽しむことができます。

──NCSOFTは創業以来、MMORPGジャンルに徹底的にこだわり続けており、今回のブレソNEOで、その歴史に新たな1ページを加えました。開発統括責任者としての今後に向けての意気込みを聞かせてください。

キム氏:
気がついたら、ブレソのサービス開始から10年も経ち、もうすぐ11年を迎えます。これほどまで長期間遊んでくださったプレイヤーさんに対しては、とても感謝しています。

また、今回ブレソNEOという新たなタイトルを日本で展開することができ、大変嬉しく思っています。これからもお客様の声を聞き、満足していただけるサービスができるよう最善を尽くしますので、これからもブレソならびにブレソNEOにご期待ください。

『ブレイドアンドソウル NEO』福富 岳氏インタビュー。MMO史上屈指になまめかしいキャラクリへのこだわりを聞いてみた_014


エヌシージャパンは、2001年に『リネージュ』の運営サービスを開始してからこれまでの間、MMORPGのジャンルに徹底的にこだわり続けるパブリッシャである。しかも、昨今はサービス開始から3か月や半年程度で終了するタイトルも珍しくないなか、同社のMMORPGはサービスを終了させないことでも有名だ。あえて言うなら、(これは厳密にはMORPGだが)『Guild Wars』くらいだろうか。

たとえスマホゲームの流れが来ようが、MMORPGのゲーム体験がライトになろうが、エヌシージャパンだけは変わらない。オンラインゲームの運営を行ううえで、大小さまざまなトラブルに直面することもあるが、昔ながらのMMORPGファンにとっては、とてつもなく安心感のあるパブリッシャである。

それだけに、2024年にサービスを開始したMMORPG『スローン・アンド・リバティ』(開発はNCSOFT)の日本運営が、エヌシージャパンではなかったのは、個人的にショッキングな出来事だった。
あのエヌシージャパンすら、時代の流れには逆らえないのか。昔ながらのPC向けMMORPGの文化も、いずれ潰えてしまうのだろうか。そんな絶望感に打ちひしがれていた。

しかし、今回のブレソNEOを見て、エヌシージャパンのスタンスは何ひとつ変わっていないことを再確認できた。グラフィックスのガワだけ変えるような安直なリニューアルではないし、隅々までバランス調整が行われ、10年を経て研ぎ澄まされた各種システムを、新作MMORPGとして楽しめるのだ。

PC向けの新作MMORPGが絶滅危惧種となりつつあるなか、今回のブレソNEOは、あの醍醐味を久々に味わえる絶好の機会である。3月12日に正式サービスを迎える本作を、この機会にぜひプレイしてほしい。

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編集者
元4Gamer。『Diablo』 『Ultima Online』 『EverQuest』 『FF11』 『AION』等々の、黎明期のオンラインRPGにおける熱狂やコミュニティ、そこから生まれたさまざまな文化は今も忘れられません。

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