10年前は独特だったブレソの“武侠”。2025年ではどうなった?
──その“わかりやすさ”に関してですが、ブレソの世界観ってかなり独特だと思います。基本的には武侠ベースですが、キム・ヒョンテさんやファンタジーの要素もあり、銃やケモミミも登場するなど何でもアリです。この魅力をスパッと読者に伝えるのは意外に難しいなと、前々から感じていました。
福富氏:
仰ることは、とてもよく分かります。世界観もそうですが、ブレソはストーリーも凄惨で、主人公がそこから立ち上がる“復讐劇”がメインテーマとして描かれていますからね。そのようなMMORPGは、なかなかありません。
10年前にブレソがサービスを開始した頃から、社内ではこの魅力をどうやって広く届けるか苦心していたと聞いています。そして僕も運営チームに参加し、同じ立場になったとき、正直言って頭を抱えました(苦笑)。
日本では、かなり早い段階でブレソのアニメ化も行われましたが、それにはこういったことも背景としてあったのではないかなと。
──ブレソNEOのサービスを開始するにあたり、この難題に今一度向き合う必要がありそうですが。
福富氏:
そこに関しては、10年前と比べて風向きが大きく変わっていると感じています。
近年は動画配信のサブスクとかで、いろんな世界観の作品を手軽に楽しめます。若い世代の感性もさまざまで、たとえば中国文化をテーマにした作品だと、ライトノベルやアニメの「薬屋のひとりごと」や、映画の「トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦」などがヒットしているじゃないですか。復讐劇もダークファンタジーも、いまでは当たり前です。
──確かに、サブスクの影響は大きそうです。
福富氏:
つまり、10年前はハードルを感じさせていたブレソの独特さは、いまは“新鮮さ”として受け入れられる土壌があると考えています。むしろ、定番のファンタジー系とは差別化がされており、それを強みとしてアピールできるわけです。
ちなみに、先ほど申し上げたブレソのアニメも、現在は多くのサブスクで配信されています。とくにバンダイチャンネルでは、会員登録をせずとも第一話が現在無料で視聴できるので、こういったところからも興味を持ってくれると嬉しいです。

大型アップデートのストック量は膨大。従来のサービスも継続
──ブレソNEOのサービス開始後、従来のブレソの扱いはどうなるのでしょうか。
福富氏:
ブレソNEOは、既存のブレソとは別のサービスとして展開します。つまり全プレイヤーがレベル1から、ヨーイドンでの開始になります。
そして、もう一方の従来のブレソですが、こちらのサービスも継続します。もちろん、これまで稼働してきたサーバーや、作成済みのプレイヤーキャラは残りますし、今後もアップデートをし続けますよ。
──2タイトルを並行して展開するんですね。
福富氏:
ですので、従来のブレソのプレイヤーは、いつでも“里帰り”ができます。たまに最新ストーリーに触れるために戻ってくる、なんてのもアリでしょう。
逆に、ブレソNEOで初めて触れた人も、その気になれば昔のゲーム仕様でプレイできます。簡易モードなんかは逆に新鮮かもしれません。「こんなに簡単だったのか!」って驚くかも(笑)。
それと、これは懸念というほどではないですが、いまどきの懇切丁寧なMMORPGに慣れている人にとっては、操作テクニックを重視したブレソNEOにハードルを感じてしまう可能性があるかもしれません。従来のブレソは、そういった人の受け皿にもなるかと思います。
──正式サービス開始後のアップデートは、どのように行われるのでしょうか。
福富氏:
これは経験者向けの説明となりますが、ブレソNEOのサービス開始時は、竹林村という拠点から大砂漠という広域エリアまでが実装されます。そして正式サービス開始から2週間後の3月26日に、次の広域エリアとなる水月平原を実装する予定です。
──ブレソは10年間のサービスを経て、膨大な量のアップデートが行われてきました。追加コンテンツの蓄えはたっぷりありそうですね。
福富氏:
ええ。今後は出し惜しみせず実装していきますよ。主人公にとっては宿敵といえるジン・ヴァレルをはじめ、ポー・ファランなどの人気キャラも続々登場しますし、彼女たちがどのように生まれ変わったのか、ぜひ楽しみにしていただければと。

──MMORPGのコアプレイヤーのなかには、アップデートの実装直後にもの凄い勢いで遊び尽くして、「やること無ェ~!」って嘆く人もいるじゃないですか。ブレソNEOではそういった心配もない、と。
福富氏:
“MMORPGあるある”ですね(笑)。
それに関して言うと、これは時代と逆行してるかもしれないですが、ブレソNEOではスタミナのシステムを搭載しています。たとえばダンジョンやフィールドボスを攻略することで、このスタミナが次第に減っていきます。
──昔のMMORPGでよく見かけた、疲労度のようなシステムですか?
福富氏:
どちらかというと、ログインしていない時間に応じてスタミナが蓄積され、それによってゲームプレイ時に経験値ボーナスを得られるといったイメージですね。
いまは昔と違って、いろいろな娯楽を幅広く遊ぶ人が多いじゃないですか。そういった状況下で、長時間のプレイを拘束させることを強いる昔ながらのMMORPGは、どうしてもストレスを感じさせてしまいます。
長いプレイ時間を確保しにくい人でも、「今日はスタミナが尽きるまで遊ぼう」といった風に、短い時間でゲームプレイの区切りを設けることで、遊びやすくなる効果を期待しています。
ゲーム内通貨の「神石」は無課金でも入手可能
──続いて、ブレソNEOのビジネスモデルについて教えてください。
福富氏:
新たなゲーム内通貨として「神石」が登場します。この神石をリアルマネーで購入し、バトルパスの入手やゲーム内施設の「市場」での取引時に利用できます。また、プレイヤーが市場にアイテムを出品し、それが落札されることでも神石を入手可能です。
──神石は無課金でも入手できるわけですか。
福富氏:
その通りです。
プレイ時間が長い人は、レアアイテムを入手できるチャンスが高まりますよね。そうやってコツコツと続けることで、ゲーム内課金を行わずとも神石を入手できる仕組みとなっています。
──ビジネスモデルといえば、10年前にブレソの月額料金が3000円だと発表されたとき、大炎上しました。でも、いまなら「3000円で一通り遊べるなら、むしろ安いじゃん」と思えてしまいそうです。
福富氏:
そのあたりの感覚も、10年を経てずいぶん変わりましたよね。
当時は水月平原のエリアの実装時に月額3000円であることが発表されたのですが、その後にアップデートがしばらく行われなかったんです。このダブルパンチで、多くのお客様が離れてしまいました。今回のブレソNEOでは、こういった当時の反省点も踏まえつつサービスを行っていきます。
──一応の確認ですが、簡易モードを撤廃するほど手動操作にこだわるブレソNEOで、仮にプレイヤーキャラの強さの根幹部分に課金アイテムが大きく介入してくると、きっと反発が出てきますよね。
福富氏:
その通りです。ブレソNEOで最も重要なのはプレイヤーの操作テクニックであることを、いまいちど強調させてください。
ちなみに、従来のブレソでは、アイテム課金で大きくパワーアップするシステムもあるのですが、それらもブレソNEOでは撤廃しています。「Pay to Winなんじゃないの?」と訝しむ人もいるかもしれませんが、今回は“Play to Win”です。
──プラットフォームに関してはPCが発表されますが、それ以外へ展開する予定はありますか?
福富氏:
いえ、ブレソNEOはPCのみでサービスを行います。
たとえばスマホによるタッチ操作では、ブレソNEOのアクション操作を存分に楽しめないでしょう。ここのハードルを低くするために、仮にオートバトルなんかを導入してしまったら、それこそ本末転倒ですから。
──コンシューマ機はどうでしょうか。ステラーブレイドとのコラボとかも見てみたいですが。
福富氏:
ゲームパッドでの操作も厳しそうです。
ブレソで高難度のギミックを攻略したり、対人戦のテクニックを突き詰めようとすると、FPSのように一瞬で振り向くような操作が求められるケースが多いんです。僕なんかはマウスをブンブン振り回すタイプですが、こういった操作は、やっぱりマウス&キーボードに大きく軍配が上がるでしょう。