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Switch 2版『FF7リメイク インターグレード』開発者インタビュー。携帯モードでも据え置き機と遜色のない体験を実現できた背景を訊いた

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『スマブラ』へのクラウドとセフィロスの参戦を通して知ったユーザーに彼らの背負う運命と内面を知ってほしい

──任天堂ハードにおける『FF7』といえば、過去にはクラウドとセフィロスの『スマブラ』への参戦が大きな話題となりましたが、そこから彼らを知ったユーザーさんにも触れてみて欲しいという思いは強いのでしょうか。

浜口氏:
もちろんです。任天堂さんのゲーム機では若いユーザーの方々も多いので、彼らにクラウドとセフィロスの内面的な部分に触れてみていただきたい思いは凄くありますね。

具体的には2人のことを「強くて使いやすくて好き」と思っている方々ですね(笑)。

──クラウドは『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』で、セフィロスは『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』でそれぞれ初参戦しましたね。実際にスマブラに参戦した後、2人の認知度が上がったような効果はあったのでしょうか。

浜口氏:
それはもの凄くありました。実際に若年層の方々の間での2人の認知度は、参戦をきっかけに非常に高くなったんです。

ただ、彼らが背負っている運命や『FF7』のストーリーラインというのはあまり知られていないのもまた事実としてありますので、それが今回、Nintendo Switch 2での発売によって初めて知っていただける機会になると非常に嬉しい思いがありますね。

やっぱり、キャラクターを動かして遊ぶ中で、その背景や内面を知るか否かで、心に残るものって結構違ったりするんですよね。

あと、過去に『FF』は遊んでいたけれど、ゲームそのものをやらなくなっている私と同じ世代の方々も結構いらっしゃるんですよ。

ただ、子供のいる家庭の中には既にNintendo Switch 2を手に入れられている方々も居たりしますので、お父さんお母さんが幼かった頃に楽しんだ『FF7』をお子さんと一緒に楽しんでもらえたら非常に嬉しいですし、その意味でも本当に多くの方々に体験いただきたいですね。

──Switchだと『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII- リユニオン』が先んじて発売されていますから、そちらから『FFVIIリメイクシリーズ』本編にデビューする、という方も割といらっしゃいそうなんですよね。

浜口氏:
我々としては、そのようなルートから入っていただけるのも非常に嬉しいです。元々、『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』の主人公であるザックスはオリジナルの『FF7』本編にも出ていますけど、その時はキャラクター性をユーザーの方々に理解していただけるほど、明確に描かれていなかったんです。

いまのザックスというキャラクターは、その後のコンピレーション作品を重ねていくにつれて組み立てられていって、現在に至っているんですね。

今回の『FFVIIリメイクシリーズ』のポリシーとして我々は、オリジナルの『FF7』の世界観だけでなく、コンピレーション作品も含めて生まれた世界観をすべて網羅した、『FF7』の集大成の作品として世の中に送り届けることをベースとして考えていますので、『クライシス コア』のように各キャラクターごとにフォーカスされた作品に触れた上でプレイしていただけると、より感情移入ができて心に残る体験になると思います。

ザックスだけでなく、同じく『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』に出てくるシスネ【※】もそうですが、ぜひプレイして知った上で『FFVIIリメイクシリーズ』に入ってみていただきたいです。逆に『FF7』リメイクシリーズを先に遊んでから、『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』などを辿ってみるのもアリですけどね。

※シスネ:『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-』に登場するキャラクターで、神羅カンパニーの特殊工作部隊「タークス」に史上最年少で入った少女。『FF7』リメイクシリーズにも2部作目の『FF7リバース』で登場する。

Switch 2版『FF7リメイク インターグレード』浜口直樹氏インタビュー:携帯モードでも据え置き機と遜色のない体験を実現_006
画像は『クライシス コア -ファイナルファンタジーVII- リユニオン』公式サイトより

既に『FF7リバース』のSwitch 2、Xbox Series X|S版の開発は進行中。年末には『FF7Rインターグレード』の体験版配信も予定

──『FFVIIリメイクシリーズ』3部作をマルチプラットフォーム展開へと拡大と発表された時、「次は『リバース』がSwitch 2とXboxの方に来るのか?」と考えたのですが、それはもう確定とみていいのでしょうか。

浜口氏:
もちろんです。既に今、開発も進んでおります。

──ただ、『ファイナルファンタジーVII リバース』を経験した者としてはSwitch 2であの規模のものが動くのかと気になっているのですが……。

浜口氏:
ある程度、最適化をかける必要はあると思いますが、開発の方はどんどん進んでいますので、十分に楽しんでいただけるものになる手応えはあります。

──Nintendo Switch 2版の『ファイナルファンタジーVII リバース』では、Switch 2特有の操作スタイルが追加されるようなことは検討されているのでしょうか? いずれもミニゲームの例になりますが「パイレーツ・ランページ」のミニゲームでマウスエイムができたり、「腹筋勝負」が本当の腹筋勝負になるとか。

浜口氏:
その辺りはユーザーさんから需要があれば検討してもいいかな、と考えています。今回の『FF7Rインターグレード』でも、開発中にマウス機能の適用についての話は出たんですけど、PC版ではマウスとキーボードがセットだったため「マウスだけ使えても困るよね」ということで、今回はそこまで手を広げることはしなかったんです。

ただ、何かしらそこに面白みがあるのならアリかなとは思っています。

──3作目についてですが、先日の『FF7 エバークライシス』の生放送で野村哲也さんが「開発は順調」とコメントされていました。既に開発が始まっている状況にあるんですね。

浜口氏:
はい。3作目の開発は野村が言っていた通り、当初立てたスケジュール通り、順調に進んでおります。

──マルチプラットフォームでも3作目が展開されるのが決まったことにより、何か当初の計画やコンセプトが変わったような影響もなく進んでいるのでしょうか。

浜口氏:
そうですね。基本的に開発環境は高いスペックに向けた環境を軸としていますので、ほとんどのスタッフがマルチプラットフォームを意識しなくてもいい形にしています。

それとは別にマルチプラットフォームへ展開していくための開発部隊も立ち上げ、並走する形でやっていまして、そのためのデータのカスタマイズであったりとかは、綺麗に切り分けています。

マルチプラットフォーム展開の発表があった時、それによって開発期間が伸びてしまうとか、クオリティが下がるかもしれないという声も見かけたのですが、そのようなことはありません。基本的にマルチプラットフォームになる・ならない関係なく、我々が目指していた3作目としてしっかりユーザーの方々に届けることはお約束いたします。

逆に我々としても、どのゲーム機で遊んでもいいよう、それぞれのユーザーの方々が満足していただけるように最適化を頑張っていきますので、期待していただければと思います。

Switch 2版『FF7リメイク インターグレード』浜口直樹氏インタビュー:携帯モードでも据え置き機と遜色のない体験を実現_007
画像は『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』マイニンテンドーストアページより

──本当に新しいファンを獲得するきっかけになればと思います。そろそろお時間ということで、最後にNintendo Switch 2、Xbox Series X|Sでの『FF7Rインターグレード』発売を楽しみにされている方々へのメッセージをお願いいただければと思います。

浜口氏:
今、ハンドヘルドの端末のスペックって凄く上がってきていまして、海外ではもう、Steam Deckを含めて一般的にPCゲームが遊ばれているような環境になりつつあります。ただ、このような端末でどれぐらいハイエンドなゲームが動くのかについては、まだまだ実感のないユーザーの方々が多いと思うんです。

Xboxに関しては、Series X|Sという据え置き機の環境もありますが、我々としては「ROG Xbox Ally X」という高性能なハンドヘルドの端末から、Nintendo Switch 2のスペックでもしっかりと動くハイエンドなゲームの移植を今回やりましたので、なるべく多くの方々に体験してみていただきたいです。

ただ、「じゃあ買おう!」とすぐ決断しにくいところもあるかと思います。TGS2025ではNintendo Switch 2とROG Xbox Ally Xの試遊体験ができますが、TGSに来られない方も多くいますので、年末ぐらいを目途にNintendo Switch 2、Xbox Series X|Sの双方で体験版を出すことを考えています。ですから、まずは体験版を通してNintendo Switch 2とXboxで動く『FF7Rインターグレード』のことを知っていただければと思います。

先ほどありましたが、クラウドとセフィロスのことをスマブラでしか存じていないNintendo Switch 2ユーザーの方々も体験版を通して『FF7』のことを知ってもらいたいですし、購入を迷われている方も参考にしていただければ嬉しいです。

──体験版の配信も検討されているのですね。ちなみに体験版は製品版へのセーブデータの引き継ぎもあるのでしょうか。

浜口氏:
それも考えています。今後の続報をお待ちいただければと思います!

──正式発表を楽しみにしております!本日はありがとうございました!(了)


もう既にNintendo Switch 2、Xbox Series X|S版の『FF7リバース』の開発も進んでいること、年末に双方の機種向けに体験版の配信が予定されているとの新情報も明かされるなどを始め、時間は短めながらも内容的に濃いインタビューになった。

また、『ファイナルファンタジー』最大の転換期を打ち立てたオリジナル版『FF7』を当時、いちゲームファンとして楽しんでいた浜口氏が、今度はゲームクリエイターとして『FF7』を基点とする新たな転換期に挑むことになったのには非常に運命的なものを感じると同時に、思いの深さというものを感じ取ることができた。

当時、オリジナル版『FF7』の熱狂を目撃していた筆者としても、今回の展開には大変興味深いものを感じると同時に、こんなに近い距離で新たな転換期を目にすることになるとはとの思いでいっぱいだ。

完結編である3部作目の開発もついに始まったようだが、その詳細がお披露目されるのはまだまだ先のことになるだろう。しかし、『FFVIIリメイクシリーズ』および『FF7』にまつわる話題は今回のマルチプラットフォーム展開の発表もあって、これからほとんど途切れることなく続いていきそうだ。直近にも『ファイナルファンタジータクティクス イヴァリース・クロニクルズ』に、オリジナル版同様にクラウドエアリスをイメージしたキャラクターが登場するといった話題もあった。

そして、『FF7』リメイクシリーズに限らず、マルチプラットフォーム展開の拡大は他のスクウェア・エニックスのタイトルに対しても実施されていくとのこと。

再び『FF7』を起点とする転換期を迎えようとしている『ファイナルファンタジー』。『FF7Rインターグレード』は、シリーズの未来にいかなる変化をもたらすのか。発売はまだ少し先のこととは言え、今後の広がりから目が離せない。

『ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード』のNintendo Switch 2、Xbox Series X|S、Windows版は2026年1月22日発売予定だ。

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ライター
新旧構わず、色々ゲームに手を伸ばしては積み上げるひよっこライター。アクションゲーム(特に『メトロイド』、『ロックマン』)とストラテジーが大好物。フリーゲーム、VRゲームの動向もひっそり追いかけ続けている。
Twitter:@shelloop
編集・ライター
『The Elder Scrolls』や『Dragon Age』などの海外RPGをやり込むことで英語力を身に付ける。個人的ゲーム史上ナンバーワンヒロインは『Mass Effect』のタリゾラ。 面白そうなものには何でも興味を抱くやっかいな性分のため、日々重量を増す欲しいものリストの圧力に苦しんでいる。

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