ヴィンセントは「ビーストモード」と人の姿をワンボタンで切り替え可能に。シドは空中戦が得意なアタッカー
──公開された映像ではシドとヴィンセントの参戦が発表されましたが、キャラの特徴についてもちょっとお伺いしたいです。映像だと、ヴィンセントは銃を使うのがメインになる感じでしたが……?
浜口氏:
いや、あれは銃がメインというのとは少し違いますね。ちょっとタイプは違うんですが、ユフィみたいな遠近両方いけるキャラに近いイメージです。ヴィンセントはユフィよりもうちょっとアタッカー寄りの属性で、「ビーストモード」と人の姿を自由に行き来できるキャラクターなんですよ。
オリジナル版のFF7のヴィンセントは、「ビーストモード」は特殊な状態で時間制限もありましたが、今作は制限時間はありません。ユフィの手裏剣と似た感覚で、「ビーストモード」になる・人間に戻る、というのがワンボタンで簡単にできるんです。
近接寄りのアタッカーにするのか、遠距離寄りの高ダメージアタッカーにするのかを、タイミングによって自分でコントロールできる。そこがすごく手触りが良くて、多くの人に気に入っていただけるキャラになるのではないかと思っています。
──シドの方はどうでしょう。オリジナル版と同じように槍を使う戦闘スタイルの様子でしたが、特徴としてはどんな感じに?
浜口氏:
飛行に強い、空中戦が得意なアタッカーになっていて、空中でできる入力技も多いです。アタッカーでありつつ多少サポート系も強いですね。喩えると、レッドXIIIの空中得意バージョンみたいな感じだと思います。レッドXIIIが地上タイプだとしたらシドはそれの空中タイプで、ちょっとサポートも尖っているアタッカーといった立ち位置です。
『ファイナルファンタジー』シリーズの伝統として、竜騎士のジャンプ攻撃がありますよね。空中で広範囲の攻撃ができるので、複数の敵を同時に対処するのが得意です。バトルロジックや効率性を突き詰めてゲームをプレイする人には、むちゃくちゃ使い勝手がいいと開発内でも言われています。
──映像ではヴィンセントとシドが連携するとすごく強くなる、といったシーンがありましたが、これは前回の連携アビリティのような形ですか?
浜口氏:
そうですね。連携要素はシドとヴィンセントもありますし、他のこれまでのキャラクターとの間にもあります。今回新たにシドとヴィンセントが加わりますが、既存のキャラも含めて自由な組み合わせで楽しんでもらえたらと思います。例えばシドとバレットとユフィで遠距離攻撃系で組み合わせてみるとか、自由にパーティーを設計してみて欲しいですね。
それぞれのプレイヤーが、自分で遊び方を選べるようにするのが目標。新機能「ウェア」で、キャラクターの役割も大きく変えられる
──バトルに関連してだと、今作では新たに「ウェア」システムの追加が発表されましたが、これを詳しくお伺いできますか。
浜口氏:
3作目のバトルをどうするかと考えた時に、できる拡張はアドオンしかないよね、ということはバトルディレクターの遠藤(遠藤皓貴氏)と話していました。「リメイク」から「リバース」のときも同じだったんですが、既存のバトルシステムを削って新しいものを入れると、どうしてもネガティブな反応が出るんですよ。
だからそのときも、1作目で作ったATB【※】とアクションの融合からコマンドを外すということはできなくて、アドオンとして連携技を追加した形でした。
※ATB(アクティブタイムバトル)
FF7リメイクシリーズのバトルシステムの基盤。キャラクターの行動ゲージが溜まると攻撃や魔法のコマンドを選択できる、コマンドRPGとアクションを組み合わせた方式。
──「そこが好きだった」という方は一定数必ずいるでしょうから、確かに難しいですね。
浜口氏:
だから今回も同様にアドオンで考えたんですが、『リメイク』も『リバース』もすでに評価が高くて、ある意味完成されつつあるバトルシステムだったので、どこをアドオンするんだと(笑)。
そこで遠藤から出てきたアイデアが、FFシリーズの「ジョブチェンジシステム」【※】から着想を得た「ウェア」だったんです。『FFⅦ』のキャラクターは個性が決まっていて、クラウドであればアタッカー、というように役割が固まりやすい。だけど「ジョブチェンジ」を使えば、戦士寄りだけど魔法もちょっとできる、といった組み合わせが可能です。
そうすれば、これまで役割が固定化されていたせいで、選びにくかったキャラ同士でも組み合わせやすくなります。既存システムと機能が重複することもないし、「それ面白そうだね!」というところから始まったのがきっかけです。
※ジョブチェンジシステム……各キャラクターたちのジョブ(職業)を好きなタイミングで変更できるシステム。『ファイナルファンタジーIII』以降多くのシリーズ作品で採用されている。
──ジョブチェンジ由来ということは、ウェアの種類もかなり多いんですか?
浜口氏:
そうです。ただ、ここからが遠藤の素晴らしいところで、こういうシステムって通常はゲームの進行に合わせて徐々に増えていって、後半になるほど強いジョブが解放されて……みたいなバランスの設計になるじゃないですか。
ここに新しいウェアを報酬として置こう、というゲーム誘導として考えたりもします。ですが遠藤は「ウェアシステムが解放された瞬間に、全キャラクターのウェアを全て一気に解放したい」と言ったんです。
──全部ですか!
浜口氏:
全部です。ちょっとずつじゃなくて、もう全部一気に解放したいと。彼の意図として、ちょっとずつ解放していくと、クラウドは最初必ず戦士のウェアがあって、ケット・シーあたりに魔導士のウェアがあって……という設計になって、「選んでると言わせつつ、実はクリエイターが用意したゲームデザインの上を歩かせている」ことになるというんです。結局「どうせみんなこういうふうに変えていくよね」とバランスを取ってしまう。
そうではなくて、「クラウドをこんな役回りで戦わせたい!」というのをユーザー自身で決めてほしい──そのためにゲーム序盤で全ウェアをバンと解放する。ウェアは全部で4種類あって、その4種類が全キャラで一気に開放されて、スキルツリーと絡めてウェアを深掘っていく形になっています。「どのウェアをどのキャラで使うかはユーザー自身に決めてもらうんだ」という強いビジョンがあったので、そこに乗っかった形です。
──そうすると、戦い方もプレイヤーごとに千差万別になりますね。
浜口氏:
まさにそれが狙いです。キャラの組み合わせだけでも数が多いのに、どのキャラにどのウェアをつけるかでも変わってくるので、プレイヤーによって差が出るんです。
そういう意味で、最初にお話しすべきだったかもしれませんが、今回のゲームコンセプトは「決意」なんです。ストーリーではクラウドたちが最後の戦いに向けて、彼らが背負っているものと向き合いながら挑んでいく決意をする。我々クリエイターからするとこれがフィナーレなので、必ず完結させるという決意で挑む。
同じように、ユーザーにも決意をもって自身のゲーム体験を選ばせたいんです。開発側が段取りをして、選んでいるかのように思わせつつ誘導するのではなく、ユーザーに自分で選ばせたい。費用対効果やコストを考えれば「このウェアはこのボスを倒した報酬に……」という気持ちもありましたが、ここは振り切ろうという決断をしました。
──ジョブチェンジが好きな人に刺さりそうなシステムですね。
浜口氏:
そうですね。ウェアはパラメーターだけではなくて、バトル中のアクションやスキルがそれによって増えていって、スキルツリーでさらに拡張されていきます。するとバトル攻略の幅もどんどん広がっていくので、多くの方に楽しんでいただける仕上がりになっていると思います。
ザックスは「この世界がオリジンとはちょっと違う」ことを自然にプレイヤーに伝えるのが役目。今作でもより重要な役回りの予定
──ちなみに、新たに参戦するのはヴィンセントとシドの2人だけですか?
浜口氏:
バトルメンバーはメインキャラクターだけですね。リメイクシリーズが目指しているのって、基本的にはオリジナル版のキャラクターを蘇らせることなので、ここに新たなキャラクターを生み出して追加することは、ファンが求めるところではないと思っています。
ただ、ゲームの要所要所で、前作でもあったようにザックスが出てきたり、他のゲストキャラクターがプレイアブルキャラクターとして加入する展開はストーリーの中に用意しています。とはいえ、基本的にはメインキャラクターたちをしっかりカスタマイズして操作するというスタイルです。
──今作でもザックスは出てくるんですね。
浜口氏:
よくぞ聞いてくれました。ザックスについては、海外のメディアでもよく話題に上りますが、彼はこの『FFⅦ』リメイクシリーズにおける「オリジナル版と少し違う世界観・設定を、彼を通して語る」という役割のキャラなんですよ。
原作とリメイクシリーズの間には「ちょっと違う要素」がありますよね。前作では「複数の世界線がある」ことが描かれましたが、それをダイレクトに言葉で語ってしまうと、色気がありませんよね。今作でもザックスはその役割を担っているので、彼の出番は前作以上に増えますし、より重要なゲーム体験として用意されています。

──そう言えば、映像にはタークスのレノも出ていましたよね。今回セリフはありませんでしたが、声優の代役の方はもう決まっているんでしょうか?【※】
※『ファイナルファンタジーVII リメイク』では、過去のFF7関連作品から引き続き藤原啓治氏が演じていたが、同作の発売後に亡くなったため、次作『ファイナルファンタジーVII リバース』は過去の音声ライブラリを活用した出演となっていた。
浜口氏:
決まっています。
──どなたが演じられるかは……?
浜口氏:
そこはまた別の機会に(笑)。
──セリフはしっかりある感じなのでしょうか?
浜口氏:
今回はしっかりあります。最後の3作目ですから、レノもそうですが、イリーナなどのタークスたちの活躍もしっかり描いていますので、そこもご期待ください。

