オリジナル版では描き切れなかったウータイ関連のストーリーなど、作品世界を補完する要素も
──タークスと言えば、今作ではウータイもちゃんと出てくる感じでしょうか?
浜口氏:
ウータイはちゃんとどころじゃなく、がっつり、しっかり出てきますね(笑)。
──そのあたりのストーリーはオリジナル版と変わっていたりするのでしょうか。オリジナル版では、神羅カンパニーと争っていたという設定の割に、穏やかな雰囲気が漂う場所として描かれていましたが……。
浜口氏:
そうですね。『リバース』でもそうでしたが、神羅カンパニーと、ウータイと、クラウドたちアバランチ、いろんな組織が思惑を持ってそれぞれの正義を信じながら進んでいきます。
空にはメテオが浮かび、謎のウェポンという別の危機も迫る中、彼らの使命がどうクロスして最後の結末に向かうのかというところを、原作よりリアリティを持って描けています。ウータイなどオリジナル版では必須でなかったロケーションは、そうした点をしっかり描くためにストーリーを足しています。
例えば『リバース』でゴンガガのエリアがユーザーに好評でしたが、精神世界の中でティファがちょっと思いを語るというような原作にはなかったイベントを加えることで、ユーザーが物語をより理解しやすくなっていましたよね。そういう意味では、ウータイは非常に政治色が強いストーリーラインになっています。
──それでいうと、少し話はずれますが、『インターグレード』【※】に出てきたディープグラウンド系の関係者などは、誰かしら出てくる可能性はありますか?
※『インターグレード』
『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』。追加エピソード「EPISODE INTERmission」でユフィとソノンを主人公にした新ストーリーが追加されており、ヴァイスら「ディープグラウンド」組織が登場した。
浜口氏:
今回はミッドガルエリアも登場して、その探索もできるので、その中でおっしゃった名前のキャラクターなども含めて、期待に応えられるといいなという思いはありますね。
──逆に、映像に出てこなかったところについても伺いたいのですが、例えばロケット村は今回出てきますか?
浜口氏:
もちろん登場します。ロケット村はストーリーラインで言うと『リバース』で描くところだったんですが、構成を考えたときに「3部作目に移動させた方がいいね」という結論になったんです。終盤に近いタイミングで訪れることになるんですが、『リベレーション』のストーリーには最初の段階から組み込まれていて、非常に良いものになったかなと思っています。
──海底世界はどうでしょう?
浜口氏:
海底世界もストーリーの中には登場しますね。詳細な事はお答えできないのですが、今作でどう描かれるか楽しみにしていただけたらと思っています。
──あと、これもオリジナル版に絡む話題なのですが、今回の『リベレーション』の範囲はちょうど、召喚マテリアの「ナイツオブラウンド」【※】が手に入る辺りでもあるじゃないですか。前作、前々作では未登場でしたけど、今回は……?
浜口氏:
「ナイツオブラウンド」に関しては、これをリメイクで出さないという選択肢はもうないだろうなと思っています。やっぱり原作ファンにとっては、忘れられないアイコニックな要素のひとつじゃないですか。
ある意味で3部作目だからというよりも、このシリーズをやってきた中でたびたび出てくる議論ですから。それに見合ったコンテンツにする心意気で開発は進めているので、実際のゲームの中でどう表現されるかを楽しみにお待ちいただければと思います。
※ナイツオブラウンド……13人の円卓の騎士たちが現れ、敵に連続攻撃を仕掛ける「アルティメットエンド」を放つ凶悪な召喚マテリア。攻撃が終わった後には何も残らない(敵は滅する)。
「クラウドと誰か」だけではない、全キャラクターそれぞれにフォーカスした関係を描く
──改めての質問になってしまうのですが、ストーリーは今作で本当に完結するんですよね?
浜口氏:
もちろん完結します。この終わりにちゃんと導けて良かったと本当に思えるぐらい、自信のある結末になっています。皆さんは「原作通りに行くのか、何か変わるのか」にすごく注目されていると思いますが、10年以上も時間をかけたシリーズの結末として、自分自身もディレクターとして納得できる終わり方を皆さんに提供できると思っています。どんな結末になるかは、ぜひご自身でプレイして体験してほしいと思います。
──前作では好感度システムを通してイベントが変化するというものはありましたが、それ自体は今回も採用されているのでしょうか?
浜口氏:
これについては、『リバース』と本作とでは変えているところがあります。前作ではいろいろと考えてゲーム設計をしたので非常に気に入ってもいるのですが、だからといって同じことを繰り返したときに、それが同じようにユーザーに評価されるかというと、違うと思っています。
新たな変化や進化があるからこそ、チャレンジングな作品だという評価が受けられるので、良いフォーマットができたからといって、それに乗っかり続けることだけがベストだとは思いません。
前作までの「好感度システム」は、基本的にクラウドを主体に物語とゲーム体験を描いていたので、好感度もクラウドと誰かの好感度、という描き方でした。ですが今作はクラウドは重要な主人公ではあるけれど、彼だけを主体として描くのではなく、全キャラクターにある程度フォーカスして、それぞれをしっかり描く方針にしています。
好感度のような数字的な要素でユーザーから見える形にするかどうか、というのはまた別の議論ですが、サイド要素はそれぞれのユーザーが「どのキャラクターを深掘って知りたいか」ということを重視しています。そうした意志ががゲームにどう反映されるか、というところを遊びとして置いているので、前作とはまたちょっと違った体験になると思います。
──個々のプレイヤーがそれぞれにキャラクターを深掘りしていくのだとすると、エンディングの感じ方もプレイヤーごとに違ったものになりそうですね。たとえばエンディングが分岐したり、といったことはないのでしょうか。
浜口氏:
物語をマルチエンディングで終わらせる、というのは、おそらく本作でユーザーに求められている形ではないと思っています。それよりも、我々としての「FFⅦリメイクシリーズの最後はこれです」というひとつの結末を、クリエイターとして提供するべきだろうと。だから、メインストーリーの大きなところはユーザー体験によってブレさせたくないんです。
ですが、それを広げるためのサイドの要素は、プレイヤーごとのゲーム体験によって変えたいんです。それは「決意を持った選択」でないといけなくて、つまり選択に重みがなければ選択じゃないと思うんですよ。結局のところ後からでもやりおせるのであれば、別にどれからやっても変わらないじゃないですか。
浜口氏:
だからメインストーリーを彩るためのサイドの要素は、ユーザーの選択によってストーリーテリング自体も変わるし、ゲームの攻略性も変わるし、というところまで踏み込んでいます。それぞれのプレイヤーで攻略方法が違って、その結果として話自体も、プレイヤーごとに違ったものになっている。それが前作と明確に違うところです。
どちらがいい悪いというより、ゲームのコンセプトの違いだと思いますが、前作はどの順番でやっても同じ体験ができる、だから安心して好きなものをやってくださいね、という点を重視していました。ですが今作で重要視しているのは「決意を持った選択」なので、選択によっては見れないストーリーも生まれるかもしれないし、知ることができない出来事もあるかもしれません。今作ではあえてそうしたものを作ることで、選ぶというユーザーの体験を、前作とは違ったものに仕上げています。
ミニゲームは絶対に減らさない。でも、苦手な人にはちゃんと遊びやすくしたい
──これもオリジナル版にあった要素に関しての質問ですが、ビンタ合戦は残っているんでしょうか?
浜口氏:
私もオリジナル版をプレイしているファンなので、ビンタの記憶はありましたが、実はこのリメイクに参加した当初はそこまで強く印象に残っていませんでした。でも『リメイク』『リバース』を作ってきた中で、そこにすごく期待してくれているファンが多くて、これは手を抜けないと思いました。すごくこだわってやっているので、ぜひ期待していただきたいです。
──ビンタも含めて、オリジナル版のミニゲームはほとんど残っているのでしょうか?
浜口氏:
そうですね。これまでも「ミニゲームが多すぎる」と一部で言われてもいるんですが、私としては明確にこの『FFⅦ』リメイクシリーズにおいて、ミニゲームを減らすつもりはありません。なぜなら、『FFⅦ』のオリジンはミニゲームが多くて、その多様性がファンに受け入れられてきたゲームだからです。
なのにそのオリジンの要素を受け継がないという考えは私の中にはなくて、このシリーズにおいて「多様なミニゲームに溢れたゲームである」ということはブレません。ただ、遊ばせ方を調整することで、多くの人にストレスを感じさせないための工夫もできると思っています。
自分自身も『リバース』で学んだ部分があり、それを今作に反映しています。例えば前作はミニゲームがバトルの成長要素やトロフィーに結びついていることが多かったんですが、それを整理して分かりやすくしました。
──ミニゲームという要素が、そのゲームの外に与える影響を小さくしているわけですね。
浜口氏:
ミニゲームの報酬はなるべくミニゲームの中で完結させて、キャラクターのスキンなどバトル攻略に絡まないユーザービリティが充実してくるものにしました。逆にバトル要素でしっかりやりたいものはバトル寄りのサイドコンテンツにまとめてメリハリをつけることで、「やらなくていい」と思っている人が選びやすい状態にしています。
さらに2つ改善を入れていて、まずバトルシステムにイージー・ノーマルがあるのと同じように、ミニゲームにもイージーモードとノーマルモードを追加しました。もう1つは、そもそもミニゲームをやること自体が合わないという人のために、ミニゲームをスキップする機能も入れています。
例えばカットシーンをスキップしてストーリーを見ない選択ができるのに、なぜミニゲームをスキップできないんだ、という声はやっぱりあるだろうなと。1回ちょっと触ってもらって、合わないなと思ったらスキップを選べば、クリアしたものになる──というところまで入れています。
「ミニゲームを減らすという選択はしない」ので、ミニゲームを減らしてほしいという声には応えられないことはお伝えしておきたいですが、やれる限りの改善はしたので、『リベレーション』でどんな反応をいただけるか楽しみにしています。
──私としてはビンタ合戦は残るということで安心しました(笑)。
浜口氏:
ビンタは残ります(笑)。つい先日もアートディレクターと表現について色々議論していたんですよ。「ここはもう俺は譲れん」という感じで。ビンタは期待している方もすごく多いんですよね。
──最後になりますが、『リベレーション』の発売を楽しみにされているファン方に向けて、メッセージをお願いできますでしょうか。
浜口氏:
今作のゲームのテーマは、インタビューでも話した「決意」がテーマになっています。皆さんが10年近く追い続けてくださったクラウドたちの物語が、最後のフィナーレに向かう覚悟が強く込められています。
そしてそれに負けないように、私個人としても、チームとしても、しっかり皆さんにいいものを届けるという決意も込められていますので、ぜひ皆さんも、必ずプレイするという決意を持っていただいて、一緒に見届けていただけると嬉しいです。(了)
開発側が段取りをして、選んでいるかのように思わせつつ誘導するのではなく、ユーザーに自分で選ばせたい。
本作『リベレーション』が目指したところは、この言葉に集約されているように思う。
ウェアの一括開放も、ハイウインドによる移動の自由さも、ピコの成長による探索の自由度の強化も、今回語られた新要素の多くは、プレイヤーに「選ばせる」ことを意識している。コンセプトとして示された「決意」とは、重みのある選択を引き受ける、という決意だ。
「決意」という言葉にはストーリー上におけるクラウドたちの決意、そして必ず完結させるというクリエイター側の決意の意味もある、と浜口氏は語ったが、今回はまさにそうした開発者たちが、長く続いたシリーズにフィナーレを迎えさせるために払ってきた努力を感じられるインタビューだった。
本作は2027年春に発売予定となっている。



