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『ソニック』史上初、インディーにライセンスアウト。相手はシリーズ800万本ヒットの『PICO PARK』だった──ピコパークのクリエイターが手がける『SONIC PICO PARK』誕生秘話【Summer Game Fest 2026】

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世界的な人気キャラクター「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」が、史上初めてインディーの手に託された──。

日本時間2026年6月6日に配信された「Summer Game Fest 2026」で発表されたのが、セガの人気IP『ソニック』とインディーゲーム『PICO PARK(ピコパーク)』のコラボ作品『SONIC PICO PARK(ソニック ピコパーク)』だ。

『PICO PARK』は、最大8人の協力プレイでステージクリアを目指す、ワイワイと遊べる作風が魅力のアクションパズルゲーム。シンプルな操作性とオンライン対応で日本だけでなく世界でも話題となり、シリーズ累計販売本数は800万本を突破した大ヒット作である。

電ファミニコゲーマーでは、メディア向け試遊会「SGF Play Days」の会場で、本作プロデューサーの島津真太郎氏(PICO PARK)と、ディレクターにして『PICO PARK』の生みの親である三宅俊輔氏(TECOPARK)にインタビューする機会を得た。

『SONIC PICO PARK 』インタビュー:『ソニック』史上初、インディーにライセンスアウト_001
写真左より島津真太郎氏、三宅俊輔氏。

本作の座組みは、少し特別だ。クレジットに記された表記は「ライセンスド・バイ・セガ」。これは、セガが自社の看板IPを外部に貸し出す「ライセンスアウト」の形を意味する。

世界的人気IPである『ソニック』をインディースタジオへ「自由に作っていい」と委ねる……そんな決断はこれが初めてのことだという。島津氏はそれを「愛の溢れるパス」であり、大切なバトンをもらった感覚があると振り返る。

聞けば本作は、「ただのガワ変えではない」新しい1本に仕上がっているという。前例のないパスを受け取ったふたりは、そこに何を込めたのか。コラボの経緯からクリエイターとしてのスタンスまで、たっぷりと聞かせていただいた。

聞き手/実存海ソーマ
文/海ソーマ
編集/竹中プレジデント


シリーズ累計800万本ヒットの『PICO PARK』を、もっと多くの人へ。「おもしろいIPとコラボしたい」という野望がすべての始まり

── 「Summer Game Fest 2026」でのコラボ発表おめでとうございます。まずは読者の方に向けて、おひとりずつ自己紹介をお願いできますか。

島津氏:
ありがとうございます。PICO PARK株式会社の代表取締役で、本作『SONIC PICO PARK』ではプロデューサーを務めております、島津真太郎と言います。本日はよろしくお願いします。

三宅氏:
よろしくお願いします。TECOPARKの三宅と申します。僕は本作のディレクターを務めていて、『PICO PARK』シリーズをずっと作ってきました。

島津氏:
『PICO PARK』の生みの親ですね。

三宅氏:
「TECOPARK」と「PICO PARK」、なぜふたつの名前があるのか。これについては、島津のほうから説明してもらえればと思います。

島津氏:
イメージとしては、開発する側と、それを広めていく側という役割分担です。

僕はもともとgroundinglabというプロモーションの会社を経営していて、最近だと『龍が如く』の20周年展や、『モンスターストライク』のイベントなど、さまざまな施策を手がけてきました。そのご縁で、数年前から『PICO PARK』のプロモーションも担当するようになったんです。

一緒に仕事をする中で、『PICO PARK』はすごくおもしろいし、もっともっと世界中の人たちに届けたい思いが強くなりました。一方で三宅には、常に新しいものを作りたいという思いがある。

彼がいろいろなものを作っていくうえで、プロモーションやアウトゲームの部分を担うパートナーがいたほうがいい。そこでふたりで、PICO PARK株式会社を設立し、僕がプロデュース周りを担当することになりました。

その流れで、「IPをどう広めていくか」を考えました。『PICO PARK』は現在、1作目が600万本、2作目が200万本超売れています。かなりカジュアルな層に知られているゲームだったので、もっとたくさんの方、とくにコアな「ゲームファン」の人たちにも届けていきたいなと。

三宅氏:
そうですね。

島津氏:
それともうひとつ、『PICO PARK』は中国でかなり売れているんですが、今後はアメリカでもっと売っていきたいという目標もありました。

そこで自分たちが作品を広げていくにあたり、「何かおもしろいIPとコラボしたらいいんじゃないか」という野望というか、夢を持っていました。それで三宅に「そういうことをやってもいい?」と聞いてみたんです。

三宅氏:
ただ、僕としては最初は「キャラクタースキンを追加する」くらいのレベルの話だと思っていました。

島津氏:
そうだね。「スキンを作ろう」みたいな感じで。

なぜ数あるIPの中から『ソニック』だったのか。その答えは「ソニックならではのアクション」にあった

──本作はいわゆる「キャラクターを差し替えただけ」のコラボとは、まったく違うものになりそうですね。

島津氏:
そうなんです。僕としては、せっかく『PICO PARK』という大ヒットした大切な作品に一緒に携わるからには、自分なりの価値を発揮しなければならないと強く思っていました。それに「仲間を驚かせたい」という気持ちもあったんです。

僕はさまざまな会社とプロモーションのお仕事をさせていただく中で、セガさんとも親しくさせていただいていました。僕自身、メガドライブで『ソニック』をずっと遊んでいましたし、「次世代機はプレステかサターンか」という時代に、弟がPlayStationを買う横で、僕はセガサターンを買って『バーチャファイター』を遊ぶような子どもだったんです。

だから、セガさんの『ソニック』と何かおもしろいことができないかなと思い、親しくさせていただいているセガの内海社長(内海州史氏)に直接プレゼンしに行きました。そうしたら「おもしろいかもしれないね」と言っていただけて。それである日、「セガさんがおもしろいと言ってくれているよ」と三宅に伝えたんです。

三宅氏:
びっくりですよね。普通に『PICO PARK』シリーズの今後を考えていて、純粋な新作や、まったく違う路線の作品も作ろうと構想していた時期でした。だから、ちょっとした小規模なコラボのお話を持ってくるのかなと思っていたら、まさかの……。

僕自身、元セガですからね。個人的にも思い入れのあるIPですので、「まさかそこと!?」とびっくりしました。

──北米での絶大な人気を含め、本作がまだ届いていない層を開拓するうえで、『ソニック』はこれ以上ないほどマッチするIPだと感じました。あらためて、数ある中からなぜソニックを選んだのかお聞かせください。

三宅氏:
IPの持つ力もそうですが、『ソニック』は一般的な2DアクションゲームのIPとは違い、「ソニックならではのアクション」を持っています。それなら『PICO PARK』の枠を超えた、新しい体験価値が作れるかもしれないぞと。考えれば考えるほど、相性の良さを感じてアイデアが膨らんでいきましたね。

島津氏:
だからこそ、僕らにとってもセガさんにとっても、本当に良いものにしないと意味がないんです。とってつけたような“ガワ変え”だけなら、絶対にやる意味がない。

いろいろと夢が膨らんで「これはどうかな、あれはどうかな」と議論する中で、「ソニックの多彩なアクションを取り入れれば絶対にうまくいく」って考えて作ったんでしょ? その辺りの話をしてみたらいいんじゃない?

三宅氏:
今回の作品は、『PICO PARK』とまったく同じでは意味がありません。でも、やっぱり『PICO PARK』のファンにも楽しんでほしいですし、当然『ソニック』のIPをお借りする以上、『ソニック』ファンにも楽しんでもらいたい。その塩梅や形をどうするべきか、いろいろと考えていました。

僕は『PICO PARK』側の人間なので、まず「『PICO PARK』らしさとは何か」を考えました。『PICO PARK』で一番大切にしているのは、協力プレイそのものというより、「人と人とのコミュニケーションが楽しい」と思ってもらうことなんです。

じゃあ、どうやったら会話が弾むのか。そこで僕が最近掲げているキーワードが「言い訳が立つ事故」というやつなんです。マルチプレイでハプニングが起きたとき、ただ「ごめんね」と謝って嫌な空気になってしまうのはよくない。

誰かがちょっとしたことで足手まといになったとき、「なんでこんなことになってんだよ」とツッコまれて、「いや違うんだ、こういう理由があってこうしたんだ。足を引っ張るつもりはなかったんだよ」と言い返せる。 そういう言い訳ができることが、すごく大事だと思っているんです。

それを『ソニック』と融合させたとき、真っ先に「スピン」の絵が浮かびました。テイルスがスピンダッシュしていて、目の前にソニックがいる。「ソニックだ、ブレーキをかけよう」と思ったけれど間に合わず、ドンッ。ソニックが落ちてしまう。

「テイルス、何やってんだよ」「いや違うんだよ、ブレーキかけようとしたんだよ」と。その情景が浮かんだとき、『ソニック』の基本アクションを使えば、これが作れるぞと確信したんです。

『SONIC PICO PARK 』インタビュー:『ソニック』史上初、インディーにライセンスアウト_002
(画像はYouTube「SONIC PICO PARK – Summer Game Fest Trailer」より)

「『ソニック』じゃなくていいから、『PICO PARK』を作って」。『ソニック』シリーズプロデューサーの飯塚氏のひと言で進むべき道が定まった

──お話をうかがえばうかがうほど、相性の良さを感じます。アクションはもちろんですが、キャラクターの爽やかさがあるから、ソニックが「いやテイルス、お前さぁ……」みたいにツッコんでも全然ギスギスしないというか。

島津氏:
ループ地形やスプリングのような、『ソニック』ファンにおなじみのギミックもまさにそうです。

先ほど三宅が言った「言い訳が立つ事故」も、たとえばスプリングでビョンビョンと跳ねてずっと抜け出せなくなり、「お前、何やってんだよ」とツッコまれるとか。

そういうハプニングを通じてお互いに声をかけあい、感情が揺さぶられる瞬間を作りたい。三宅はずっとそう言っていて、今作ではそれがしっかり表現されていると思います。

三宅氏:
そうした「言い訳が立つ事故」を基本にしつつ、さらに協力要素が絡むことでさまざまなハプニングが起きます。ただ、プレイ中にああだこうだと言いあいながらも、最後は協力して達成感を味わい、「まあ、いろいろあったけど楽しかったよね」と笑顔で終わらせたい。そういうゲーム体験を目指しています。

島津氏:
発表後の反響をいろいろと見させていただいた中で、ひとつだけどうしても伝えておきたいことがあります。それは「本作は決して『PICO PARK』の“ガワ変え”ではない」ということです。

『ソニック』の良さと『PICO PARK』の良さを融合させた、まったく新しいゲームを作っています。ちゃんとした「新作の1本」として見ていただきたい、という思いがあります。

三宅氏:
最初に島津と話す中で、僕が「ただ同じことを繰り返したいわけではなく、常に新しいことをやりたい」という思いを持っていることを、彼も理解してくれていました。

そのうえで、「『ソニック』のIPをお借りすれば、まさに新しいことができるぞ」と思ったんです。純粋な『PICO PARK』シリーズの延長線上では絶対に体験できないものを作ろうと。この『SONIC PICO PARK』でしか味わえない協力プレイと、そこから生まれる会話を作りたいと思いました。

──実際のPVでも、バネやソニックが回ったり、テイルスが尻尾で空を飛んだりと、本当に『ソニック』らしいアクションがたくさんありました。『PICO PARK』と融合、両立させるうえで、開発としての苦労はありましたか?

三宅氏:
そうですね。もちろんセガさん側も、最初は「『ソニック』と『PICO PARK』のコラボ」と聞いたところで、具体的なゲームのイメージをすぐに共有するのは難しかったと思います。だから、初めにプロトタイプを作らせてもらったんです。やっぱり実際に動くものを見てもらえたら、一気にみんな解像度が上がりますね。

島津氏:
最初は数ページの企画書で説明したんですが、やっぱり言葉だけだとイメージしづらい部分もあって。そこでふたりで話しあってもう作っちゃえってなり、三宅がすぐにプロトタイプを作ってくれたんです。それをセガさんに見せたところ、「ああ、なるほど!」と即座に理解してくれました。

ただ、僕から見ると、当時のプロトタイプは「むしろ結構『ソニック』だな」と思うくらい『ソニック』寄りだったんです。良くも悪くも、三宅は元セガとしてのリスペクトがあるので、かなり『ソニック』を意識して作っていたんですよね。

そんな中、『ソニック』シリーズのプロデューサーを務める飯塚さん(飯塚隆氏)が「『ソニック』じゃなくていいから、『PICO PARK』を作って。三宅くんのやりたいものを作っていいよ」と言ってくれて。そのひと言で、目指すべき方向性がどんどんすり合っていった気がします。

──セガさんとも密にやりとりをしながら作っていったのでしょうか。

三宅氏:
はい。飯塚さんとも直接、何度もやりとりをさせていただきました。

島津氏:
飯塚さんが来日された際に、僕たちのオフィスへ遊びに来てくださったりもしたんですよ。

三宅氏:
そうなんです。TECOPARKの事務所は木場にあるんですが、わざわざ足を運んでくださって。その際にも「こんなことをやってもいいですか?」といろいろ相談しました。

僕としても、IPをお借りする以上「どこまでやっていいのか」という線引きの確認が必要でしたから。当然守るべきルールはありますが、飯塚さんは比較的「いいじゃん!」とOKを出してくださることが多かったですね。

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デスク
電ファミニコゲーマーのデスク。主に企画記事を担当。 ローグライクやシミュレーションなど中毒性のあるゲーム、世界観の濃いゲームが好き。特に『風来のシレン2』と『Civlization IV』には1000時間超を費やしました。最も影響を受けたゲームは『夜明けの口笛吹き』。
Twitter:@ex1stent1a
編集・ライター
『The Elder Scrolls』や『Dragon Age』などの海外RPGをやり込むことで英語力を身に付ける。最も脳を焼かれたゲームキャラは『Mass Effect』のタリゾラ。 面白そうなものには何でも興味を抱くやっかいな性分のため、日々重量を増す欲しいものリストの圧力に苦しんでいる。
編集者
美少女ゲームとアニメが好きです。「課金額は食費以下」が人生の目標。 本サイトではおもにインタビュー記事や特集記事の編集を担当。
Twitter:@takepresident

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