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「誰でも合格できる」はずの試験で、なぜ合格率は1/200だったのか。サイバーコネクトツー「シナリオデザイナー養成所」の全貌と、エンタメ企業へと飛躍する同社の次の10年について訊いた

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前代未聞のパブリッシング作『.hack//Z.E.R.O.』

──設立30周年のタイミングで、新作『.hack//Z.E.R.O.』が発表されました。従来の『.hack』シリーズは、バンダイナムコエンターテインメントさんが販売を担ってきましたが、今回はサイバーコネクトツーが企画から開発、販売まで一貫して行っています。これが、先ほど松山社長がおっしゃられた「飛躍」に向けた具体的なアクションなのでしょうか。

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『.hack//Z.E.R.O.』

松山氏:
ええ、まさにその通りです。

バンダイナムコエンターテインメントさんは老舗のエンタメ企業で、たくさんの版権をお持ちで、とてつもない作品を世界規模でしっかり作ってらっしゃる。その一方で、『.hack』のようなシリーズが、長らく手つかずになる側面もあります。

先ほども話したとおり、サイバーコネクトツーにとって『.hack』は非常に思い入れのある作品です。休眠させてしまうのは、とてももったいない。

そこで何年か前、バンダイナムコの役員さんに「サイバーコネクトツーが30周年を迎えるとき、30周年記念プロジェクトとして、自社開発・自社パブリッシングで『.hack』をやらせてください」とお願いしたんですよ。

──さすが松山社長、とんでもないことを切り出しますね。

松山氏:
もちろん、面識がない人じゃないですよ(笑)。この相手は内山大輔といって、2002年に私と一緒に初代『.hack』を立ち上げたプロデューサーなんです。

その彼が今、バンダイナムコスタジオの社長になり、バンダイナムコエンターテインメントの取締役をやっている。だから、無茶で突拍子もない要望だとは分かっていながら相談しました。

案の定、最初は「馬鹿なの?(笑)」って言われましたね。

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『.hack//感染拡大 Vol.1』発売元:株式会社バンダイ(現バンダイナムコエンターテインメント)

──それでも諦めなかった。

松山氏:
ええ。彼とは長い付き合いで、お互いのことを理解していますから。

話し合いを重ねた結果、味方になって、各方面の調整や落としどころを作ってくれました。そしてバンダイナムコさんと30年間一緒にお仕事をする中で育んだ信頼関係や、同じ方向を向いてきた仲間が後押ししてくれたこともあり、ようやく許可をいただくことができました。

──人気シリーズの最新作において、デベロッパーがパブリッシングを引き継ぐということは、ゲーム業界ではよくあることなんですか?

松山氏:
いえ、前代未聞かもしれません。

長年の付き合いがあるとはいえ、他社にIPの販売まで任せてもらえたのは、30年かけて築いてきた信頼関係が、なせた証なのかなと。
内山さんには大変感謝しています。

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「今までサイバーコネクトツーを知らなかった人」を、ファンにする挑戦

──『.hack//Z.E.R.O.』のほかには、2026年2月に設立した、映像制作を担う「CyberConnect2 FILM」も興味深いです。こちらについても聞かせてください。

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松山氏:
我々はこの30年間ずっと、少年漫画を題材にしたゲーム作品を作り続けてきました。
作品によってまちまちですけど、平均するとプレイヤーの約80%が男性で、女性は20%、という感覚です。

──少年漫画のゲーム化だと、それくらいになってしまいますか。

松山氏:
そういったなか、CyberConnect2 FILMを立ち上げるにあたり、映像で新しいことをやりたいという想いがありました。であれば、今までにはない我々にとっての新しいお客さんを開拓しよう、と。

そうして、CyberConnect2 FILMの第1弾作品として、映画『チェイサーゲームW 水魚の交わり』を制作しました。大人のガールズラブをテーマにした作品で、ちょうど5月から劇場公開されています。

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──その映画の観客について、男女比はどれくらいなのですか?

松山氏:
9割が女性です。

実際に映画館に足を運んだり、この作品のイベントに参加したりすると、今までサイバーコネクトツーという名前なんて聞いたこともない人たちが、ファンとして目の前に表れているわけです。
新たなファン層を開拓できた手応えがあります。

──今回の養成所で育ったシナリオデザイナーたちは、ゆくゆくは『.hack//Z.E.R.O.』や映像作品にも携わっていくことになるのでしょうか。

松山氏:
『.hack//Z.E.R.O.』に関しては、現在はこのシリーズを長年手掛けてきたコアメンバーが中心になって企画を行い、ゲームとしての骨子を作り上げている段階です。それが一段落したら、膨大なテキストの物量を開発する必要があります。

段階を経ることにはなりますが、窪木くんのような若手にも、何らかの形で携わってもらうことになるでしょうね。

みんな最初は、ただの素人

──窪木さんは今日、松山社長や西川さんの話を聞いて、この会社でどんな役割を果たしていきたいと感じましたか。

窪木氏:
私は版権ゲームのシナリオデザイナーとして入れていただいたので、まずはそこの勉強を重ね、経験を積んでいくことに専念していきます。

でも同時に、サイバーコネクトツーの様々なエンタメに力を入れていく姿勢に対しても、すごく魅力的に感じています。ゆくゆくは、映画作品や漫画といった部分でも何かしらの形で携われるように頑張りたいと思いました。

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──先日から、「シナリオデザイナー養成所 2026」の応募が始まりました。最後に、シナリオデザイナーの道を考えている人へ、それぞれの立場からメッセージをいただけますか。

窪木氏:
自分自身、シナリオデザイナーになりたいという目標があったのですが、なかなかその入口にたどり着けませんでした。そして、実際にサイバーコネクトツーで働くようになり、ゲームのシナリオデザイナーは本当に入口が少ないと感じています。

そういったなか、サイバーコネクトツーのシナリオデザイナー養成所という、すごく貴重な機会を見つけて、幸いにも採用していただきました。

自分の好きなIPに、仕事として携わっていけるのは、今でも信じられません。1年前の自分からしたら、夢みたいな出来事だと感じています。「シナリオデザイナー養成所 2026」は、手を伸ばせばそのチャンスを掴み取れると思うので、ぜひ皆さんも気軽に応募していただきたいなと思います。

──西川さんからもお願いします。

西川氏:
窪木さんと一緒に仕事をするようになって、「この仕事にマッチしている人が、こんなところにいたんだ」という発見と喜びがありました。
その出会いを、もう1度したいなと思っています。

我々がこれから新しいエンターテインメントを作るにあたり、その仲間はまだ全然足りていません。
まだ見ぬ仲間たちとの出会いを、心から楽しみにしています。

第2回目となる今回、第一次選抜のテスト内容は限りなく簡単にしているので、興味を持ったら肩肘張らずにエントリーしてほしいです。よろしくお願いします。

──それでは最後に松山社長、お願いします。

松山氏:
「プロのシナリオデザイナー」とか、「ゲームクリエイター」とか、肩書だけ見るとカッコいいですよね。でも、最初はただの素人です。みんな、そこからスタートしています。

じゃあ、素人がどうやったらプロになれるか。
まず指導される環境があって、そこを通過することで、初めてプロになれるんです。たとえやる気のある人がいても、ちゃんと指導してくれる環境がなければ、人は育たないんですよ。

そして、ちゃんとやる気を持って、指導してくれる環境に身を置きさえすれば、誰でもたどり着けるはずです。私はそれを、「シナリオデザイナー養成所」で証明したいと考えています。

シナリオデザイナーになるための環境や指導者は、我々の方で用意しました。だから、やる気のある方は、ぜひ何の準備もなしに飛び込んできていただければと思います。
たくさんのご応募、お待ちしております。

──本日はありがとうございました。

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編集者
元4Gamer。『Diablo』 『Ultima Online』 『EverQuest』 『FF11』 『AION』等々の、黎明期のオンラインRPGにおける熱狂やコミュニティ、そこから生まれたさまざまな文化は今も忘れられません。

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