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たった6分間のPvPが、こんなに奥深いとは。クローズドβが始まった新世代バトロワ『アーケロン(Arkheron)』の新モードの正体を、日本運営チームに訊いた

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対戦ゲームの新規参入は、なぜこれほど難しいのか。
ルールを覚え、定石を学び、ようやくスタートラインに立てる──その手間の多さが壁となり、多くのプレイヤーが“面白さ”に到達する前に離れていく。

その難しさは、いま注目される新世代バトロワ『アーケロン(Arkheron)』にも当てはまっていた。

アーケロンでは、拾ったアイテムを自在に組み合わせるビルドによって戦い方が決まる。知れば知るほど底が見えない、驚くほど奥深いゲームだ。
しかし、その奥深さと引き換えに、新規プレイヤーの前には高い壁がそびえていた。奥が深いほど、入口は険しくなるのだ。

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アーケロンの開発会社Bonfire Studiosを率いるRob Pardo氏は、『World of Warcraft』『StarCraft』『Warcraft III』を世に送り出した元Blizzardのレジェンドだ。日本のゲーマーにとってはなじみが薄いかもしれないが、GDC 2026で基調講演を務めたほどの実力者である。

その彼をもってしても、「新規プレイヤーをどう定着させるか」という課題は避けられなかった。

Bonfire Studiosは最終的に、この課題に「スパイアーズ」という新モードで答えを出した。これは1マッチ6分、初心者でも気軽に飛び込める対戦モードだ。

ところが実際にスパイアーズに触れると、その印象は大きく覆されることになる。単なる入門用にとどまらない、想像以上の奥深さがそこにはあったのだ。

このモードは何を狙って作られ、何を目指しているのか。7月16日に開始したクローズドβテストに合わせ、その設計思想を日本運営チームに訊いた。

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今回インタビューを行ったアーケロン日本運営チームのMatchaこと竹本涼平氏

聞き手・文/kawasaki

キャラクターを選ばず、“アイテムを拾ってビルドを組む”バトルロイヤル

『アーケロン(Arkheron)』の本編とも言えるゲームモードが「アセンション」だ。3人編成のチーム×計15チーム、総勢45人が同時にひとつの塔を昇りながらPvPを繰り広げるバトルロイヤルである。

プレイヤーはキャラクターを選択せず、無装備の状態で塔に降り立つ。道中で拾った武器やアイテムを組み合わせてビルドを構築し、その内容によって戦い方が決まる。

Matcha氏:
「多くのバトロワは、最初に選んだキャラのスキルで戦い方がある程度固定されます。でもアーケロンには、プレイヤーキャラのロールがそもそも存在しません。裸一貫で塔に降り立って、そこから何を拾ってどう組み合わせるかで、自分の役割や立ち回りがリアルタイムに変わっていくんです」

「これって若干ローグライク的なハラハラ感があって。狙っていたビルドが完成して勝てたときの気持ちよさは、他の作品では味わえないところかなと考えています」

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塔を昇るほど濃くなる戦い。そして、ビルドに“正解”はひとつもない

アセンションの舞台となる塔は、複数のフロアで構成されている。各フロアには占領地点となる「ビーコン」があり、これを確保して制限時間内に上階へと進んでいく。
塔は上へ昇るほどエリアが収縮する構造になっており、勝ち進むほど生き残るチームは減り、PvPも発生しやすくなる。

Matcha氏:
「いわゆるバトロワは、平面のマップで最後まで生き残るものが多いですよね。でもこのゲームは、上に行くほどエリアが収縮して、敵の人数も減ってはいくんですけれど、そのぶん密度も濃くなっていく。このタワーを登っていくというシステムが肝かなと思っています」

ビルドの奥深さは、アイテムとスキルの組み合わせの幅から生まれる。本作では装備のひとつひとつに固有のスキルが割り当てられており、単体では目立たない装備も、別のアイテムと組み合わせることで性能を一変させる。
同じ装備を揃えればセット効果が発動し、特定の組み合わせを完成させれば、戦い方そのものが大きく変わる。

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Matcha氏:
「一見パッとしない装備でも、組み合わせ次第で強力に化けたりする。装備やスキルの効果を知れば知るほど、効率を上げるアプローチが増えていって、知識が深まるほど奥深さが増していくんです」

「その最たるものが、セット装備を4つ揃えたときの『エターナル』への変身です。専用スキルが解放されて、戦い方も火力もまるで別物になる。狙ったエターナルが完成した瞬間の高揚感は、このゲームならではだと思います」

「逆に、アイテムのドロップはランダムなので、どうしても揃わないときも起こりうる。そういった状況でも、いかに戦い抜くかという臨機応変さが求められます。だから毎回まったく同じ試合にはならないし、正解もひとつではない。ここが、このゲームに没頭できる理由かなと思っています。どれだけやり込んでも、次はもっとうまくビルドを組めるかもしれない、この組み合わせを試してみよう、という探求心が尽きないんです」

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奥深さは時に“心を折る”。新規のための答えが「スパイアーズ」

上述したアーケロンの奥深さは、しかし新規プレイヤーにとっては別の顔を持っていた。覚えるべきことの多さが、そのまま参入のハードルになっていたのだ。
この課題への答えとして立ち上げられたのが、新モード「スパイアーズ」である。

Matcha氏:
「知識が深まるほどアーケロンの奥深さは増していきますが、裏を返せば、新規プレイヤーには覚えることが多いというハードルにもなっていました。しかも、このゲームはチュートリアルで全部を教えられるかというと、限界があります」

「例えば、知識のない人がアセンションに参加すると、熟練プレイヤーに一瞬で倒されてしまいがちでした。何が起きたかわからないまま負けると、『悔しい』というより『心が折れる』んです。アーケロンの面白さに到達する前に離れてしまうのが、すごくもったいないと感じていました。これは一刻も早く解消すべき課題だと、日本運営チームからも強く訴えていました」

「戦い方や立ち回り、生存術は、実戦のなかで覚えるしかないんですよね。そして、そういったノウハウはチュートリアルでは伝えられません。だから、それをシンプルに楽しみながら覚えられるモードとして、スパイアーズを用意したんです」

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1マッチ約6分。開始直後からフルスロットルのPvP

スパイアーズがアセンションと最も違うのは、ゲームプレイのスピード感だ。マッチングすると、自分たちと対戦相手の2チームだけがいるフロアへ移動する。探索フェーズは挟まず、開始直後からいきなり戦闘だ。
そのため1マッチはおよそ6分で決着する。45人が塔を昇り、最後まで生き残れば20〜25分かかるアセンションと比べれば、その速さは一目瞭然だ。

Matcha氏:
「開始直後から、いきなりフルスロットルでPvPが始まる。アセンションのように探索や立ち回りで駆け引きする時間はなくて、とにかく撃ち合い、殴り合いに集中できる。この濃密な戦闘の手触りを、短いサイクルで何度でも味わえるのが魅力ですね。1戦が短いので、負けても『もう1回』とすぐ次に行ける。この気軽さと濃さの両立は、アセンションにはないものだと思います」

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スパイアーズは1マッチが短く、その6分間がまるごと戦闘に充てられる。探索や移動に時間を割くアセンションと比べ、同じプレイ時間でこなせる戦闘の回数は大きく上回る。この「手数の多さ」の裏には、運営チームの明確な狙いがある。

Matcha氏:
「単刀直入に言えば、とにかく戦闘の経験を稼いでほしいんです。同じ時間でも、スパイアーズのほうが圧倒的に多く実戦を積める。戦い方を覚えることは生存力を上げることにもなりますし、『今は戦うべきじゃない』『自分たちは今不利だ』といった判断も、経験として身についていきます」

「何も知らない状態でアセンションに入ると、アイテムの知識も足りていないので、せっかくファーミングしても使い所がわからなかったりする。スパイアーズなら、その経験を短いサイクルで積んでいけるんです」

1マッチで終わらない。最大5試合を貫く”ラン”とショップの仕組み

ここまで、スパイアーズを「1マッチ約6分で完結する手軽なモード」として紹介してきた。だが、それはこのモードの一面にすぎない。取材の中で明かされたのは、スパイアーズが1マッチで終わるゲームではなく、勝ち進むほどに深い戦略性が立ち上がる仕組みだった。

まず、スパイアーズは1マッチで完結するわけではない。勝ち進むほどにスコアが積み上がり、そのあいだ中断や、チームの解散も選べる。

Matcha氏:
「スパイアーズはワンマッチでPvPが終わりますけど、実はそれだけで終わるわけではないんです。勝ち進んでいくと、最大5試合分の集計が行われて、そのあいだのスコアをどこまで伸ばせるか、という要素がある。ちなみに3回敗退すると、その時点で集計はリセットされる仕組みです」

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各試合の開始前には、与えられた資金を使って装備を購入するショップフェーズがある。装備は1試合ごとにリセットされるため、プレイヤーは毎試合ここで装備を買い直すことになる。ここで何を買うかがビルドを決めるのだが、資金は5試合を通して共有される。

Matcha氏:
「ここがスパイアーズの核心部分です。スパイアーズの開始前に、お金を使ってショップでアイテムを購入するシステムがあるんですが、ひとつのアイテムを買うと、次の試合で同じアイテムを買うときには価格が上昇するんです。つまり、プレイヤーにとって得意なアイテムビルドがあっても、5試合すべてで同じビルドを使い続けるのは実質不可能。お金がかかりすぎてしまうので」

「たとえば1試合目でいきなり得意なアイテムを買うと、後半戦では苦手なアイテムを購入せざるを得なくなる。どのアイテムを、どの入手順で選ぶかといった戦術も必要になります。1試合目に勝って、2試合目も同じ装備にしようと思うと、前回買った他のアイテムやスキルを諦めざるを得ないこともある」

「一見シンプルに見えて、実はこの5試合をどう組み立てるか、常に考えさせられる。そこがスパイアーズの奥深さなんです」

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同じビルドは使えない。”初心者専用”ではない奥深さとは

スパイアーズにはアイテム購入のフェーズがあるとはいえ、得意な装備ばかりに頼り続けることはできない。価格が上がっていくため、試合を重ねるほど、プレイヤーは使い慣れない装備にも手を伸ばさざるをえなくなる。こうした仕組みは、一見すると「一通りのアイテムへの精通」をプレイヤーに求めるようにも見える。

Matcha氏:
「すべてのアイテム性能を覚えて使う必要はありません。ただ、限りあるお金をやりくりして、どのアイテムを選ぶのか、という判断は求められます。いま選べるアイテムのなかで最善のビルドは何だろう、と考えて、実行する。その一連の流れを通じて、プレイヤーは上達していけるんです」

「その結果、仮に負けてしまっても、自分の戦術を見直すきっかけになって、それがまた上達につながる。あるいは、そういう制限のなかで勝てると、すごく気持ちいいんです」

てっきり、スパイアーズは後腐れのないワンマッチを気軽に楽しめるモードだと思っていた。筆者のそんな率直な気持ちを伝えると、Matcha氏はこう返した。

Matcha氏:
「そうじゃないんです。ここは力を込めてアピールしたいところで、想像以上に、思考することがあるんです」

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単にハードルを下げた入門用のモードではない、というわけだ。では、その奥深さはどこまでのものなのか。アーケロンのPvPの魅力を別の形で凝縮したものではないか、という筆者の見立てをぶつけると、Matcha氏の答えは明快な肯定だった。

Matcha氏:
「まさにその通りで、スパイアーズは初心者でも楽しめるけれど、初心者専用ではないんです。上級者にとっても、ビルド検証の場として活用できる。ライトに遊ぶこともできますが、戦闘やビルドの奥深さはアセンションと同じ。5戦トータルで考えたやりくりまで含めると、こう見えて、アセンションと同じくらいの奥深さを持ったモードだと思っています」

6分間の反復プレイが、アセンションで戦う力になる

5試合の駆け引きは、プレイヤーに数多くの試行を促す。約6分のサイクルのなかで、いくつもの装備の組み合わせを試すことになる。

Matcha氏:
「いろんな組み合わせを覚えて、試す。それによって得られるのは、このゲームの戦い方の知識です。それがパッパッと出てくるようになれば、上達を実感できる。ワンマッチが長くても6分ぐらいなので、本当にハイスピードで、反復で磨かれる部分が大きいんです」

「アセンションではアイテムの効果がまるでわからない状態だと、なかなか楽しめないと思うんですけど、ドロップした瞬間にカーソルを合わせて、名前を見た瞬間に、今の自分の状況とのシナジーがひらめくようになると、面白くなってきます」

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そして、スパイアーズとアセンションは、戦闘やビルドのコアを共有している。一方で身につけた知識は、そのまま他方でも通用する。

Matcha氏:
「そうして知識を得れば、アセンションでもバリバリ戦えるようになります。逆に、何も知らない状態だと、『知らない人と組んで足を引っ張ったらどうしよう』とか、『ゲームに慣れていないから、野良の人と一緒にプレイするのが怖い』とか、不安になるかもしれない。スパイアーズは、そこを乗り越える場になればと思っています」

3人で遊ぶゲームだから。仲間探しの場としてのDiscord

正式サービスを前にしたアーケロンにとって、プレイヤーとの接点の中心にあるのが公式Discordだ。日本語チャンネルも用意され、テストイベントの案内やフィードバックの収集、プレイヤー同士の交流までがここに集約されている。クローズドβの募集・告知などもこのDiscordを通じて行われるため、テストに参加するプレイヤーは自然とこの場に集まることになる。

そして、「一人では対人戦に踏み出しづらい」という不安に対しても、Discordはひとつの答えになる。アーケロンは、3人1組で戦うゲームだからだ。

Matcha氏:
「アーケロンは3人チームで戦うゲームなので、仲間とコミュニケーションを取りながら遊ぶのが一番面白いです。対人戦の緊張感も、仲間がいれば楽しさに変わります。公式Discordは、まさにその仲間探しの場として利用してほしいですね」

『一人では不安』という方のために、気軽にメンバーを募れるマッチングチャンネルやパーティ募集Botも用意しています。最新情報もここで発信しているので、情報を集めながら、自然とプレイヤー同士がつながっていく。初心者向けのカスタムマッチや、上級者向けのカスタムマッチも開催しています」

「運営スタッフやモデレーターも積極的に雑談に加わって、皆さんの声を拾うようにしています。初めて参加した方が迷わないよう、自己紹介のテンプレートや初心者専用のチャンネルも用意しました。話しかけやすい雰囲気づくりを大切にしているので、まずは『情報収集のためだけ』でも構いません。ゲームの話でも雑談でも、気楽に『初めまして』の挨拶から始めてみてください」

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CBTは7月16日から。平日はスパイアーズ、土日はアセンション

クローズドβの期間は、7月16日10:00から7月27日16:00まで。遊べるモードは日によって異なり、平日はスパイアーズのみ、土日祝日はアセンションのみが開放される。また今回のテストでは、プレイヤーがアーケロンの基礎を学べる新たな仕組みも用意されているという。

Matcha氏:
「今回、『ラーニング』というコンテンツをゲーム内に実装しています。いわゆる公式wikiのように、最低限のルールやアイテムセットの情報がまとめられたものです。これを一通り見れば基本的なところは覚えられますし、そのうえでスパイアーズをプレイすれば、対人ゲームが好きな人なら、きっと楽しめると思います」

最後に、この記事を通じてアーケロンに興味を持った読者へ、運営チームからメッセージをもらった。

Matcha氏:
「対戦ゲームの中でもFPS、バトロワ、MOBAといったジャンルをプレイされてきた方なら、『なんとなくこんな感じか』というのはすぐにわかるはずです。あとは実戦と応用を重ねていくと、知識や戦術の広がりがどんどん味わえる。臨機応変に戦術を繰り出していく、その奥深さをぜひ体験してほしいですね。スパイアーズはもちろん、初心者の方もアセンションにぜひ参加してほしい。まずは気軽に、Discordに参加してもらえたら嬉しいです」

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編集者
元4Gamer。『Diablo』 『Ultima Online』 『EverQuest』 『FF11』 『AION』等々の、黎明期のオンラインRPGにおける熱狂やコミュニティ、そこから生まれたさまざまな文化は今も忘れられません。

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