キャラは10体後半、血族技に烙印、スキンで広がるビルド構築の楽しさも
──ネットワークテスト版のアイコンを見ていて、本作のモチーフ「月」や「血」に加えて「車輪」が気になりました。車輪は、血族の歴史や運命と紐づいているものなのでしょうか。
宮崎氏:
車輪は、黄昏の戦いにおける召喚が「時空を超えている」ことを表現するためのモチーフですね。先ほどもお話しした通り、本作の戦いの舞台は、色々な時代、場所の「黄昏」なので。
──製品版での育成やカスタマイズ要素はどうなるのでしょうか。
宮崎氏:
血族キャラのカスタマイズ要素は用意します。
キャラクターベースは、おそらく10体を大きく超える数を用意できると思います。各キャラクターで武器は固有ですが、血族技や、「権能」と呼ばれる特殊能力などをカスタマイズできます。
また、仮面や入れ墨など、見た目に特徴をつけることも可能ですし、「烙印」と呼ばれるロール要素や、特定のイベントの発生確率を上げる、といったカスタマイズも可能です。
本作のキャラクターカスタマイズは、能力や見た目だけでなく、そのキャラクターの運命、宿命といったものまで対象とするイメージなんです。そして、それらのカスタマイズ要素が、あるいはその収集が、断片的ストーリーテリングも担っている訳です。
──吸血鬼モノは神話伝承やいろんな作家の世界観があり、みんな好き勝手に作れる人気ジャンルだと思います。ファンとしては「宮崎版の吸血鬼モノ」がどうなるのか気になるのですが、設定を立てるにあたってこだわったところはありますか。
宮崎氏:
そうですね…。
本作では、プレイヤーキャラクターを吸血鬼ではなく、敢えて血族と呼んでいます。
それは、彼らが単なる怪物ではなく、知性と哲学、文化と歴史を持った種族である、といったイメージによるもので、その点は特徴と言えるかもしれません。
また、これはある意味で私の癖なのですが、拡大解釈主義というか、「我々が血族であると言えば、それは血族なのだ」といった感じで、トラディショナルなイメージは大事にしつつ、キャラクターデザインの幅を広めに取っていることも挙げられると思います。
ネットワークテスト版では、ゾークが分かりやすいと思いますが(笑)
──フィールドデザインについてお聞きします。PvPvEという形式とダイナミックなアクションに合わせて、フィールドをどのようにデザインしていったのでしょうか。
宮崎氏:
仰る通り、本作のプレイヤーキャラクターは機動力が高く、特にジャンプや空中制御に優れていますので、それに合わせて、飛び回るのが楽しい立体マップを意識してデザインしています。元々、私自身縦に積むマップが好きなので、それは楽しい作業でした。
また、本作のマップでは、過去作ほど強い導線を引いていません。
これは、本作のゲーム性を、繰り返しプレイと自由な立ち回りを意識した結果ですね。
──目元が見えないミステリアスなキャラクターなど、フロム・ソフトウェアらしさを感じます。これは宮崎さん自身の好みが反映されたものでしょうか。
宮崎氏:
まあ、それは特に否定しません(笑)
ただ本作は、我々としては比較的、顔が見えるキャラクターが多いと思いますし、キャラクターをデザインし、モデルを制作する過程で、キャラクターの背景や人格などを丁寧に表現しようとしています。過去作で言えば『SEKIRO』とか『Déraciné』とかに近いでしょうか。
なのですが、まあ隠したくはなってしまいます。おそらく、単に好きなんだと思います、隠されたものが(笑)
『エルデンリング』などでもそうだったのですが、顔データをしっかり作っているのにフルフェイスみたいな。
──宮崎さんは、目元を隠した女性や、現時点の『ダスクブラッド』にはいませんが、凛とした少年キャラクターがお好きなのでしょうか。
宮崎氏:
そうですね。お好きなんだと思います(笑)
ミステリアスな存在や、自分とは縁遠い、憧れるような存在が。
でも、それが何故かは、あまり掘り下げないようにしています。
あんまりよろしくないものが出てきたら、辛いですからね(笑)
まあ、これはもう受け容れるしかないのかなと。
なので、本作でも仰るような少年は登場します。大変申し訳ございません。
──宮崎さんのロマンティシズムは、「儚い恋」の烙印に現れているのかなと感じました。
宮崎氏:
そうですか?まあ、確かに好きな烙印ではありますし、同盟が最終戦直前までだったり、共闘がごく一時的なものだったりなど、関係性の儚さ、みたいなものは、本作の特徴なのかもしれません。
でも、烙印システム自体は、作っていてとても楽しいですね。
今は、このシステム自体が新しいこともあり、比較的シンプルなものに留めていますが、製品版では、もう少し複雑なものも用意しておりますし、後々、このシステムに慣れ、複雑なルールもある程度許容されるようになったら、更に色々と遊べそうに思います。結構拡張性のあるシステムなのかなと。
熟練者がいると初心者は“メリット”に。煮詰まり対策とランク設計
──プレイヤーのモチベーションの1つに、ランクがあると思います。『ダスクブラッド』にも、いわゆるシーズン制は考えられているのでしょうか。
宮崎氏:
はい。運営方法など検討中ではありますが、ランクマッチやランキング、シーズン制などは用意します。
戦いに勝利し、ランクを上げる。当然ですが、そうしたことも、本作の楽しみのひとつと考えています。
──最適化が進んで層が分かれ、初心者と熟練者の差が開いてしまうことには、どう対処されるのでしょうか。
宮崎氏:
これには、2つの答えがあると思います。
1つ目は、これまでお話ししてきたように、本作には様々な楽しみ方があること。
そのため、初心者が楽しみながら、熟練者になっていくことが可能なこと。
例えば、これも繰り返しになってしまうのですが、まずはストーリーを楽しみ、その過程で段々と勝てるようになり、また勝ちたくもなる、といった流れですね。
2つ目は、これはアップデートでの話になりますが、熟練者が、むしろ初心者のメリットになるような要素を考えています。
例えば、熟練者が特別な血盟相手になってくれたり、特別な強敵になってくれたり、あるいは、レアなイベントをもたらしてくれたり、といったような。熟練者が感謝され、尊敬されるようになれば、と思っています。
ただ、これはまだ構想の段階です。現状は、まず製品版の完成に全力を注いでおり、アップデートの内容、タイミングなどは、まだ未定の部分も多くなっていますので。
──冒頭で『ナイトレイン』とは「偶然」というお話がありましたが、似ている部分もあると感じました。技術共有などは活かしているのでしょうか。
宮崎氏:
はい。同じ会社内で作られているゲームですし、オンラインゲームという共通点もありますから、技術や知見、フィードバックなどは、しっかりと共有しています。
──ここで『ダスクブラッド』と直接関係のない質問を。宮崎さん自身が最近よく遊んでいるオンラインゲームや、ゲーム以外で刺激を受けた作品はありますか。
宮崎氏:
ゲームに関して言えば、仕事の一環として多くのタイトルをプレイしています。リサーチというか、トレンドを知るというか、そういった目的で。その中でも、趣味として遊んでいるのは、直近では『カルドセプト』ですかね。本当に直近ですが。
あとは、ご質問の趣旨とはずれるかもしれませんが、最近では麻雀でしょうか。少し前に、久しぶりにリアルでやって負けて悔しかったので、鍛えなおしています(笑)
──シングルモードもあるというお話でしたが、ストーリーはキャラクターごとに用意されているのでしょうか。
宮崎氏:
シングルモードについては、あくまでもミニマムなものです。
サーバーメンテナンスなどで、オンラインプレイができない状況でも、何もプレイできないということはないようにしておきたくて。
具体的には、キャラカスタマイズや、中庭での練習、8人対戦の模擬戦などですね。
──では、キャラクターのバックボーンを知りたい場合は、どうすればいいのでしょうか。
宮崎氏:
ストーリー進行の中で、キャラクターの掘り下げも行われます。ただそれが、オンラインプレイを前提にしている、というだけです。
繰り返しになってしまいますが、本作の断片的ストーリーテリングは、オンラインプレイ、特にそのドラマ性を意識して設計されており、それを楽しんで欲しいと考えています。
オンラインプレイ前提であること、またプレイヤーキャラクターの多い群像劇であることから、過去作とは少し違った語り方になると思いますので、楽しみにして貰えると嬉しいです。

──製品版が出てからの話ですが、ゲーム全体のバランス調整は、こまめにやっていくのでしょうか。それとも、シーズンリセットのタイミングで一気にやるのでしょうか。
宮崎氏:
こまめにやっていくつもりです。
調整であれ拡張であれ、余地の大きいゲームデザインかと思いますし、実際にどういう風にユーザーさんに遊んでもらえ、楽しんでもらえるのか、未知の部分も大きいので。
そういう意味では、今回のネットワークテスト版の結果も重視しています。テストのフィードバックを受けて、できるだけ調整したいと考えています。
『エルデンリング』から変わったことは「プレイテスト」の重視。宮崎氏自らも「変なゲーム」と語る
──宮崎さん自身のディレクションのスタイルは、『エルデンリング』から変わった部分はありましたか。シングル向けとマルチプレイ向けのタイトルで、意識的に変えていることがあれば教えてください。
宮崎氏:
基本的には変わっていませんが、システムとルールで遊ぶ比重の大きいゲームなので、プレイテストと、それを受けての調整を、過去作よりも重視しているかと思います。
勿論、過去作でもプレイテスト自体は行っていますが、それを受けて全体ルールなどを調整することが多いというか。私としては新鮮で、本作を作っていて楽しい部分ですね。
──本作はスイッチ2で発売されますが、ゲームのシステムとスイッチ2の機能の連携はありますか。持ち運びやカメラチャット、amiiboなど、スイッチ2ならではのハード機能と合わせたものがあれば教えてください。
宮崎氏:
ささやかなものは用意すると思いますが、タイミング的に、この場でお話しすることはできません。すみません。
──「ルールは紆余曲折だった」とのことでしたが、特に苦労した点や、決断にあたって迷った部分があれば教えてください。
宮崎氏:
調整で重視したポイントは幾つかあるのですが、そのひとつは「PvPの比重」ですね。ここで言うPvPは、プレイヤーキャラクター同士の直接的な殴りあいを指すのですが、その勝利に対する重要度、あるいはプレイ時間に占める割合、といったものです。
この点については、ネットワークテストでも引き続き重視しており、頂いたフィードバックを踏まえて、製品版に向けた調整を行うつもりです。
──その根底には、様々なスタイルのプレイヤーに楽しんでほしい、という思いもあるということですか。
宮崎氏:
はい。美徳のシステムも、そのために採用したものですし、PvP要素以外にも、マップや敵など用意していますので、それら含めて、多くのユーザーさんに楽しんで欲しいと思います。
烙印などのロールプレイ、あるいはドラマ的な要素や、断片的ストーリーテリングやキャラビルドなど、勝利を目指すこと以外にも、楽しめる側面も様々に用意しているつもりです。
自分で言うのもなんですが、本作は新しいというか、変なゲームだと思います。
その変さも含めて、楽しんで貰えたら嬉しいですね。
(了)






