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『ウィッチャー3』の吟遊詩人ダンディリオン役は「息子が生まれる前から」──11年ぶりの新DLC「追憶の調べ」を、声優と開発者に聞いた【gamescom2026】

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誰にでも「自分が一番大事な存在だ」と思わせる男

── それを踏まえて、ダンディリオンというキャラクターをどう説明しますか?

John氏:
今の話はすごく面白いね。11年後に戻ってきて、CD PROJEKT REDとFool’s Theoryのその考えを聞けるのは。それと、これだけ長くこのキャラクターを演じられることを本当にありがたく思っているし、恵まれていると感じているよ。これだけの年月を経て戻ってこられるのは素晴らしいことだ。

そして今の話の通り、新しい何かを見つけるというのは、ダンディリオンの新しい断片を見つけるということ。役者としては贈り物だよ。そして挑戦でもある。さっき挑戦の話が出たけど、毎回が挑戦なんだ。

役者として挑戦を求められなくなった瞬間、それはとても退屈なものになる。挑戦がないから、僕自身も退屈な人間に見えてしまうだろうね。挑戦というのは、プレイヤーが自分の操作しているキャラクターに共感できるような何かを、テキストの中から見つけ出すこと。
それが感じられなければ、自分が演じている人物はサイコパスだ、ということになってしまう。

ゲラルトもダンディリオンも、サイコパスじゃない。彼らはいつも、できる限り最善を尽くそうとしている。ダンディリオンは時々、無自覚にちょっとした混乱を巻き起こすのが好きだけどね。

『ウィッチャー3 追憶の調べ』で吟遊詩人ダンディリオンを演じる声優にインタビュー_008

ダンディリオンというキャラクターについて僕が好きなのは、彼は貴族と話すのも心地よく感じるし、裏社会の人間と話すのも心地よく感じて、そのどちらもすごく上手いということ。そして彼は常に、相手にその瞬間「自分が彼にとって一番大事な存在だ」と感じさせたいと思っている。

ゲラルトが相手でも、ヴェセミルが相手でも関係ない。イェネファーでも、シリでも、誰が相手でも、彼は相手に「自分が一番大事な存在だ」と思わせるんだ。だから時々、誰にそう言ったのかを忘れてしまって、トラブルに巻き込まれる。でも、そこが好きなんだよ。

Karolina氏:
それに今回の拡張では、彼が本当はどこから来たのかも掘り下げます。冒頭で、これまで見せてきたどの場所とも違う新しいロケーションを訪れることになります。唯一無二の舞台ですね。そこで冒頭から、友人の実家を訪ねたら、その友人が実は金持ちだった、みたいな空気を味わうことになります。「なんだこれ!」と。

John氏:
いつの間に? いつからだ? 彼が子爵だったことは知っている、それは知っているけど、彼はそれについて何も言わないんだ。

Karolina氏:
それに彼はいつも「あのダンディリオン」でしたから。お調子者みたいなね。でも実際にそれを目にすると、「なるほど、あなたのことが少し分かった気がする。たぶん」となります。

Lillaの反抗は、顔つきと動き方だけで語る

── 「確立されたキャラクター」という話がありました。ウィッチャーのキャラクターは、数あるゲームの中でも特に際立った存在だと思います。その面白さはどこにあると思いますか?

John氏:
それはとてもいい質問だね。

Karolina氏:
私たちはいつも、記憶に残る形でキャラクターを作ろうとしています。盤上に新しい駒を作り出して、ただそこに置くだけでは足りないんです。何かで覚えてもらわなければいけない。生き生きとしていて、それ自体で際立っていて、自分自身に対して誠実でなければいけない。

つまり、変わることはできます、もちろん。でも核の部分には忠実であるべきなんです。そして私たちはその核を掘り下げます。どうすれば何か面白いことを語れるか、あるいはそのキャラクターを押し出して境界を破らせるか、記憶に残るような行動を取らせるか、を考えます。

でも、それはナラティブのレイヤーの話ですね。それに加えてオーディオビジュアルがあります。たとえばLilla【※】を見ていただければ分かりますが、彼女には反抗的な性格があって、それを顔つきと、動き方だけで表現しています。
おばあさんが向かい合って座るように言っても、彼女はゲラルトのほうへ歩いていってそこに座る。そういう小さなニュアンスを捉えて、最終的にひとつの全体像になるようにしているんです。

※Lilla 「追憶の調べ」に登場する新キャラクターの女性。ダンディリオンの従姉妹にあたる。

おばあさんの場合はとても厳格で、独特の姿勢を取ります。そして二人とも、怒ると机を叩く。家族ですからね。そういうところも考えて作っています。シネマティックリードとシネマティックチーム全体が、アニメーターやライティングアーティストと一緒に、言葉なしで視覚的に伝わるニュアンスを肉付けする素晴らしい仕事をしてくれました。

『ウィッチャー3 追憶の調べ』で吟遊詩人ダンディリオンを演じる声優にインタビュー_009

「ダンディリオンはかなりJohn Schwabそのものなんだ」

── Johnさんは、キャラクターに深みを与えるために、演じるときにはどんなことを考えていますか?

John氏:
ちょっとした秘密を教えるよ。ダンディリオンはかなりJohn Schwabそのものなんだ(笑)。僕自身をたくさんダンディリオンに持ち込んでいる。ダンディリオンは、キャストされたときに初めて「ああ、この人物が好きだ、すごく楽しいキャラクターだ」と思った役だった。

彼は冗談を言うし、僕もバラ色の眼鏡で人生を見るのが好きだ。いつもポジティブな面を見つけるし、どんな状況にもポジティブな結末があると思っている。僕は曲を書くし、ギターとピアノを弾いて歌う。子どもたちも二人とも音楽をやっている。
だから時々テーブルを囲んで音楽を演奏して、物語を語るんだ。このキャラクターに持ち込める自分自身が、それだけたくさんある。

『ウィッチャー3 追憶の調べ』で吟遊詩人ダンディリオンを演じる声優にインタビュー_010
(画像はゲームの公式アートショップ「Cook and Becker」より引用)

「John Schwabは家に置いてくる」という感じじゃないんだよ。というのも、僕はいろいろな役をやっていて、たとえば『ゼノブレイド2』のシン【※】を演じているけど、彼はダンディリオンとはまったく違うキャラクターだからね。

ダンディリオンは、家に帰ってくるような感覚のキャラクターなんだ。いつも楽しみにしている。Fool’s TheoryとCD PROJEKT REDがダンディリオンを演じてほしいと言うなら、いつでも飛びつくよ。誰が相手でも戦って奪い取る。

※シン John Schwab氏は『ゼノブレイド2』英語版でシンの声を担当している。

Karolina氏:
覚えておきますね(笑)。ところで、こちらから質問してもいいですか? あなたがそんなにダンディリオンに似ているなら、現実のあなたにとってのゲラルトは誰ですか?

John氏:
現実のゲラルトは誰か? そうだな、ゲラルトは……名前を出してもいいのかな。日本の沖縄で一緒に高校に通っていた友人がいるんだ。彼はすごく落ち着いていて、賢くて、解決策志向なんだ。ついさっきも彼と話していたところだよ。

彼はいつもそういう人間で、何か問題があると僕はいつも彼に電話する。「なあ、聞いてくれ、これについてアドバイスをくれないか」ってね。彼はいつも変わらない。そう、一緒に育ってきた人間だ。もう40年近くの付き合いになる。彼が僕のゲラルトだね。

Karolina氏:
その方も怪物を退治しに来てくれるんですか?

John氏:
そのとおり。彼も剣の扱いがうまいんだよ(笑)。

『ウィッチャー3 追憶の調べ』で吟遊詩人ダンディリオンを演じる声優にインタビュー_011

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編集・ライター
『The Elder Scrolls』や『Dragon Age』などの海外RPGをやり込むことで英語力を身に付ける。最も脳を焼かれたゲームキャラは『Mass Effect』のタリゾラ。 面白そうなものには何でも興味を抱くやっかいな性分のため、日々重量を増す欲しいものリストの圧力に苦しんでいる。

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