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なぜ『クレイジータクシー:ワールドツアー』は、クレイジーな走りほど褒めてくれるのか──25年以上ぶりの完全新作を貫く「加点法」のゲームデザイン【gamescom2026】

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衝突すれば減点、コースアウトすればペナルティ──ドライブゲームとはそういうものだと、私たちは思い込んでいる。

だが、『クレイジータクシー:ワールドツアー』は、その逆をいく。

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クレイジーな走りほど褒められ、加点されていく。
ルールでは許されないはずの危険走行が、なぜこんなに気持ちいいのか。

答えは「ゴールにつくための正解は1つじゃない」という設計思想にあった。
25年以上ぶりの完全新作が「減点法」を捨てた理由を、セガのプロデューサー・菅野顕二氏に聞いた。

聞き手/anymo
文/kawasaki

「触って笑顔になってほしい」──正解を1つに決めない「加点法」のゲームデザイン

──昔からのシリーズファンと、これから新しく本作をプレイするファン、それぞれの層にどう受け止められたいのか、理想のところをお聞かせください。

菅野氏:
まずは、旧作ファンだろうが知らない人だろうが、触って笑顔になってほしい。 それが1番ですね。

昨今、暗いニュースが多い中で、僕たちは本当に、1人でも多くの人の笑顔を作りたくて作ってきています。だから、これを触って、普段の嫌なことを忘れて、爽快に感じて、楽しくなってくれればいいなと思っています。

昔からこのコンテンツを愛してくれた方には、「あ、このバイブスだよ」と感じてもらえるように「落としどころ」を作って組んできたつもりです。そして、新しくファンになってくれる方々には、「こんな面白いものがあったんだ」と直感的に感じられるように組んできたつもりです。

だから、本当にまずは触ってみてほしいなと思いますね。

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──一般的なドライブゲームは、衝突やコースアウトが「バツ」として設計されています。危険走行というのは本来「ルールの外側」なのに、本作はとにかく徹底して加点し、褒める手法を取っている。危険でクレイジーな走行を褒めちぎる──この価値観の根底には、何があるのでしょうか。

菅野氏:
このゲームでは「加点法」をすごく重視しています。プラスで評価することを意識し、逆に、「減点法」のゲームデザインをしないようにしている。

少し話が外れるかもですが、「アイデンティティ」というか、個性を大事にしたい、という思いがあって。だから、ゴールにつくための正解って1つじゃないと思うんですよね。それぞれの人のプレイスタイルにあった正解を出したい。 なので、「この通り行かないとマイナスだよ」という手段は取っていないんです。

常に「君のこの手段、良かったね」「この方法はすごくいいね」と言って加算する方法をとっている。だから多分、ポジティブになれているんじゃないかな、というのがまず1つ。

あと、やっぱり危険と隣り合わせのところをギリギリでクリアするのは気持ちいいですし、最大の評価をしてあげたいところだと思うんですよね。だから、リスクを伴ってでもトライすることに対しての評価は高くしてやると。

この合わせ技で、多分、今お感じになられたことが再現されているんじゃないかなと思います。

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「モーセの十戒」のようにみんな避ける、人を殺めないポリシー

──『クレイジータクシー』の本質を現代のプレイヤーに伝えるにあたって、今回の新作で最も意識して変えた点はありますか?

菅野氏:
2000年頃のタイトルってコアなゲーマーの人が多かったので、すごくスキルフルなゲームが多かったと思うんですよね。なので、そのコンテンツをそのまま持ってくると、今の現代の子たちにとっては、なかなか馴染めないところがあると思うんです。

だから、今のゲーマーの方々がすぐに溶け込めるような操作感やフィーリングは意識して結構作りました。

とはいえ、昔好きだった方が「いや、こんなの違うよ」とならないような、このバランスを取るのがすごく難しかった。だからそこは、昔愛した方々が納得するカジュアルなところに「落としどころ」を見つけるのが、結構工夫したところですかね。

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──逆に、シリーズの中で受け継がれてきて、本作でも絶対に変えずに残したものは何でしょうか。

菅野氏:
さきほど話した「減点法じゃなくて、アイデンティティを重要視しよう」というところは、方針として変えていないですね。

で、やっぱり自由度を感じられるような設計をしようとか、多種多様性を重んじたところは、具体的な手段ではないんですけど、マインドとして大切にしています。

だから例えば、誰かがすごい高速で走っても、「モーセの十戒」のようにみんな避けて、人を殺すことはない。そういう「絶対的なポリシー」は、変えていないところなんじゃないかなと思いますね。

ヘンだけど愛せるNPCたち

──今回プレイしたときは、サイドクエストを受注した時のNPCが、みんなすごく“ヘンな人”だったんです。でも、彼らもすごく満足して帰っていってくれるのが嬉しくて。ヘンだけど瞬時に愛着を持てる、あの突飛なキャラクターデザインは、どんなインスピレーションから生まれているのでしょうか。

菅野氏:
NPCに関しては、僕が細かいところまで指示をしていなくて。大きな方針としてはディスカッションしながら組み上げますけど、ディテールに関しては、アーティストやゲームデザイナー、キャラクターデザインの人間が組んで、「こんな感じでいいっすかね」と話をして決めているんです。

彼らがやっぱり「『クレイジータクシー』だからクレイジーであるべき」とか、僕が教えてもいないのに、僕の思っていたマインドをくみ取って組んでいた。それがやっぱり大きいのかなと。

「みんなを楽しくハッピーにさせたい」ということが、メンバー全体の共通認識だったんですよ。その結果として、そうお感じになられたんじゃないかなと思います。多分スタッフも喜ぶと思うので、伝えておきます(笑)。

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プレイした一瞬でも、笑顔になって楽しんでほしい

──今作では6人でのマルチプレイができるようになりました。ただでさえクレイジーな本作で6人も集まったら、めちゃくちゃなカオスになってしまいそうです。そのカオスになりかねない状況をゲームとして成立させるために、どんな調整を行ったのでしょうか。

菅野氏:
本当に時間をかけて、トライアンドエラーを何度も繰り返しました。

今回、来月12日から「クローズドネットワークテスト」を実施するので、できれば多くの方に参加してほしいなと思うんですけど。今回は2本──2つの違うルールで遊ぶことができます。でも、そこに至るまでにはボツ案もたくさん出ましたし、「実際に本当にこれで行ける」というところまで行って、この2本になったところもあるので大変でした。

「マルチプレイで遊ばせることを、今回のタイトルでは達成したい」という強い思いがあったので、なんとかみんなが喜んでくれるようなデザインができたなと思っております。今月31日まで募集していますので、まだ募集中なんです。ぜひ、1人でも多くの方に参加してほしいですね。

──今のドライブゲームの潮流は、とにかくシームレスで、巨大なオープンワールドを思いのままに走ることが良しとされていて、そういったタイトルがすごく多いですよね。ですが、本作はあえて5つの都市を切り分けて作られています。この狙いは何でしょうか。

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菅野氏:
これはやっぱり、前の『クレイジータクシー』を作った根本の発想に似ているんですけど。いろんなUXがある中で、同じようなUXを楽しませるんじゃなくて、違うUXを提供したい、というのがあって。

当時も、ドライビングゲームといえばレースゲームが主流だったんですよね。そこに、レースゲームではない、町の中でのカーアクションをベースにした新しいUXを提供したいと思って組んだのが『クレイジータクシー』です。

で、今はオープンワールドで、フィールドが大きくなっている中で、シームレスにつなぐのも主流なんでしょうけど。それとは違う、「世界中を旅して、世界中を回っていく」ようなダイナミックなところをUXとして提供したいと思ったんですよね。あまりそこにはない、新しいUXを提供したいという思いが強くて、今回のデザインになっている。これが答えになるんでしょうかね。

新しいことを提供したいじゃないですか。だから今回は、そういう意味で「ワールドツアー」というコンセプトのもとで提供したい、ということで作ったというところですね。

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──では最後に、これからプレイされる方、そして「クローズドネットワークテスト」への参加を検討している方に向けてメッセージをお願いします。

菅野氏:
昨今、沈んだ話も多い中で、僕たちは本当に、このコンテンツをプレイした一瞬でも、笑顔になって楽しんでほしいなと思っていて。「いつも楽しいよ」という人にもやってほしいですし、より面白おかしく、笑顔になってくれればいいなと思うので、ぜひぜひ触れて楽しんでほしいなと思います。

編集者
3D酔いに全敗の神奈川生まれ99’s。好きなゲームは『ベヨネッタ』『ロリポップチェーンソー』『RUINER』。好きな酔い止めはアネロンニスキャップとNAVAMET。
Twitter:@d0ntcry4nym0re

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