「運営タイトルだからこそ全力でやる」という姿勢
──ここまで「遊べるガンダム大図鑑」を広げる話をうかがってきましたが、1つの機体を作るにあたり、どれぐらい前から準備を始めるのですか。
小島氏:
機体によっても違いますが、よりよくするためにとても多くの時間は掛けさせていただいてます。そのため、ご期待いただいているものへすぐのお応えが難しい状況もあるのが心苦しいポイントではあるのですが、引き続きご期待に添えるように開発を続けたいと思います。
──これまで、作成にいちばん時間がかかった機体はなんでしょうか?
小島氏:
時間がかかった機体という点では違いますが。新作との連動は、準備期間も少なめにはなるため、開発チームの努力でカバーしている部分は正直多くあります。
映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』連動で配布したアリュゼウスは、元がすごくかっこよくて、ディテールも深いんです。「これをどうSD化して、カッコよさを表現しようか」というのはチームでかなり悩みつつ、ギリギリなスケジュールの中、どうにか世に出すことができた形ですね。
──リリース前のインタビューでもうかがいましたが、配布のGQuuuuuuX(オメガ・サイコミュ起動時)も、アニメ連動で非常に制作期間が短かったと。
小島氏:
超急ピッチでした。でも、それを届けられることが、『ジージェネエターナル』のよさの1つだと思います。運営タイトルだからこそできることは、全力で取り組みプレイヤーの皆さんに喜んでいただきたいですね。
──9月には映像化されていない『機動戦士ガンダム00F』の参戦も予定されています。こうした映像化されていない機体と、映像化されている機体を比べると、工数はどれくらい変わるのでしょうか。
小島氏:
総工数としては変えないようにしています。正確には、かける工数のバランスを変えています。映像作品があればそれを見て、『ジージェネレーション』らしく再現するのがベースになります。
映像化されていない部分については、漫画であれば開発チームでしっかり読み込んで、「イメージ的にこういう動きをするだろう」「設定からきっとこういう動きになるのでは」「じゃあビームライフルの撃ち方はこうかな」というところから発想する。こうしていろいろ調整しつつアイデアを出していく、という形です。
──映像がないとものすごい負荷がかかりそうと思っていましたが、そういうわけでもない。
小島氏:
負荷のかかるポイントが変わる、というイメージです。映像がないものは、アイデア出しの期間をしっかり押さえたい、というところですね。
──映像がない場合、過去の『ジージェネ』シリーズの動きを参考にすることはありますか?
小島氏:
もちろんあります。ただ、当時といまでは表現の仕方も違うため、基本的には新しく作っていますね。
──そうしたいろいろな事情もある中、「この機体を実装する/しない」という判断基準はあるのでしょうか。
小島氏:
判断基準は一律ではなく、全体のバランスや作品ごとのバランスを見て判断しています。なので、泣く泣く未登場になったユニットももちろんいます。全機体実装……現実はなかなかに難しく。
──映像化されていない作品というと、配布されたユニコーンガンダムの「立像」も該当します。新しい作品バナーがあって「別枠なんだ」とびっくりしました。
小島氏:
実装の経緯としては、開発チーム内でも「実物大ユニコーンガンダム立像の展示終了してしまうの寂しいな」という気持ちがありました。
そこでジージェネエターナルでも何かできないかと協議して、ゲーム内で「ユニコーンガンダム Ver. TWC FINAL」を実装しようと思い立ち、各所ご協力の元、実現できました。
──かなり変わったマップ兵器が付いていますが、どういった意図だったのでしょうか。
小島氏:
ユニコーンガンダム自体はすでに実装していたので、「立像と見た目を同じにしただけだと、楽しんでいただくには不十分だよね」という形でした。能力やバランスを調整したうえで、少し楽しめる要素を入れたいなという結果、あのMAP兵器を付けさせていただきました。
──MPを上げてくれますし、周りを元気にするような印象も受けます。
小島氏:
立像を見ていただいたお客さんと同じ気持ちになってほしい、という思いも込めています。
「自分の主観は絶対に入れない」──プロデューサーが曲げない一線
──運営から1年半を迎えるにあたり、小島さんがプロデューサーを務められた中で、学びや発見はありましたか?
小島氏:
日々勉強しておりますが、まだまだ知らなかったガンダム作品を知ることができた、というところですね。ガンダムIPのいちファンとしても、知識面でのアップデートがありました。
そしてプレイヤーの皆さまのお声で、それぞれ好きな作品やユニットがいるということを、より深く理解しました。もちろん、認識はしていたのですが、直接お声をいただけたことで身に染みましたね。皆さんが好きなユニット、キャラクターが活躍できる場を用意していかねばな、と思いました。
──判断基準として「絶対にこれは曲げない」というものはありますか?
小島氏:
「自分の主観は絶対に入れない」ことは徹底しています。いちファンの主観になった途端に「これはみんな好きですよね!?」と思ってしまいませんか?
──たしかに……!
小島氏:
「好き」の力は偉大ですが、判断としては濁ってしまうので、つねに主観ではなく総合的かつフラットな目線を心がけています。
──そのうえで、チーム全体が同じ方向を向かないときもあるのではないでしょうか。大多数が「これはやらないほうがよいのでは」というものに対し、客観視を重視する小島さんが「自分はやったほうがいいと思う」で通した企画はあるのでしょうか。
小島氏:
もちろん最終決定として通したものも存在はしますが、チームとはきちんと議論を重ねたうえで決めている状況です。
──ちなみに、リリース前のインタビューで「『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』が好き」「とくにガンダムTR-6が好き」とうかがいました。まだシナリオは登場していませんが、お話は進んでいるのでしょうか。
小島氏:
個人的な趣味としては、変わらず大好きな作品です! シナリオについては、現状でお答えできることはないのですが、他作品も含めて、皆さんのご期待にお応えできるように努力を続けたいと思います。
シリーズファンにこそ見てほしいグレート・ジオング。乗り手のリファインで要素もてんこ盛りに
──主観は入れない、というお話のあとで恐縮ですが、いちガンダムファンとしての小島さんにもうかがいたいです。1周年以降で実装したユニットの中でのお気に入りをぜひ教えてください。
小島氏:
グレート・ジオング【※】ですね。とくに『ジージェネレーション』シリーズファンの方には、ぜひ見ていただきたいです。
──フローレンス・キリシマ【※】といっしょに登場したのは驚きました。
小島氏:
驚きいただいたように、ユニットはもちろん、キャラクターのフローレンス・キリシマには注目していただきたいですね。
※グレート・ジオング:
『SDガンダム ジージェネレーション スピリッツ』(2007年、PS2)が初出のシリーズオリジナル機体。ジオングの後継機という設定で、全身のモジュールを分離させてのオールレンジ攻撃が可能。胸部から脚部にかけてはアプサラスIII、ビグ・ザム、ビグロといったジオンのモビルアーマーを模したデザインになっている。『ジージェネエターナル』では2026年5月13日開催のガシャでUR「グレート・ジオング(EX)」として登場した。
※フローレンス・キリシマ:
初代『SDガンダム GGENERATION』(1998年)から登場する、『ジージェネレーション』シリーズ最古参のオリジナルキャラクターのひとり。良家のお嬢様のような立ち居振る舞いと、戦闘になると一変する荒々しい口調で知られる。『ジージェネエターナル』では2026年5月13日開催のガシャで、UR「グレート・ジオング(EX)」のパイロットとして実装された。
──グレート・ジオングとキリシマの組み合わせはどうやって決まったのでしょうか。
小島氏:
グレート・ジオングに誰を乗せるかを議論した結果、イメージとしてキリシマになりました。彼女を出すなら、マリア・オーエンスと同じくリファインして出そうと。なので、けっこう要素も盛り盛りになっています。
──キリシマの過激なイメージにすごく合っていますよね。今後『ジージェネレーション』オリジナル機体と、オリジナルキャラの組み合わせのガシャはあり得るのでしょうか。
小島氏:
はい。もちろんあり得ると思っていただければと。
最大3000個のダイヤとAP半減。1.5周年のカムバックキャンペーン
──9月12日からはカムバックキャンペーンも実施しています。これから本作をプレイするユーザーや復帰勢に向け、何をやっておくとより楽しめるかを教えてください。
小島氏:
50日以上ログインされていない方々を対象に、最大3000個のダイヤと強化素材がもらえるキャンペーンを実施しております。
そして9月末に向けて、追加される作品を楽しんでいただくため、初となるメインステージのAP半減キャンペーンをやっています。まだメインステージをすべて終えていない方は、ぜひこの機会に遊んでいただけるとうれしいです。
新規ユーザー向けには、これまで通りUR確定ガシャもあります。AP半減なども含めて、いまから始めていただいても、これまでのプレイヤーの皆さんとお話ができるぐらいには追いつけるかと。ぜひ遊び始めていただければと思います。
──『ジージェネエターナル』は本当に演出が豪華なので、容量も相当大きくなっている状況だと思います。こちらへの対策は何かされているのでしょうか。
小島氏:
近日中に容量を軽減できるアップデートをさせていただく予定です。また、あらためての周知になりますが、ゲーム内メニューのコンフィグに「バトルアニメーションの容量開放」がありますので、ぜひご活用いただければ。
──意外と気づいていない方も多そうですね。容量に対するアップデートは、既存の機能とは別なのでしょうか。
小島氏:
別のアップデートとなります。容量の軽減はしてまいりますが、まずは既存の機能をお試しいただければと思います。
──ほかにキャンペーン情報などがあれば、ぜひ教えてください。
小島氏:
昨年も実施させていただいた、最大47連無料ガシャを実施します。
きちんと説明させていただくと、このガシャには1周年時の限定URユニットは入っていません。代わりに新しく追加されたURユニットたちを入手しやすくなるように、最初期のURユニット14体は排出されない仕様になっています。
──最大47連無料ガシャは、どういった形で引けるようになるのでしょうか。
小島氏:
ログインボーナスやミッション条件を満たすと、最大47連無料ガシャの専用チケットが入手でき、必要枚数を集めると引けるようになります。
好きな機体を活躍させられるコンテンツが準備中
──続けて、本作プレイヤーの要望もうかがいたいです。「レアリティ関係なく好きなユニットを使いたい」という声は、やはり多いのでしょうか。
小島氏:
とても多くいただいています。
──「好きであっても優先して使いにくい」という現状に対し、何か新しい遊び方は準備されているのでしょうか。
小島氏:
皆さんの好きなユニットが活躍できる新しいコンテンツを準備させていただいています。正式な名前も含めて、先の実装予定になってしまうのですが、ぜひお待ちいただければと思います。
──ユニットもどんどん増えてきていますし、楽しみですね。新コンテンツという点ですと、たとえばPvPなどを望む声はあるのでしょうか。
小島氏:
お声をいただくことはあります。ただ、『ジージェネエターナル』のコンセプトとして、サービス開始からお伝えしている通り、他ユーザーとの競争ではなく、各々のペースで遊べるものを追加していきたいと思っています。そのためPvPやランキングは、現時点での実装予定はございません。そういった変化はせず、皆さんが求めているユニットの活躍の場を広げたいと思っています。
──競争ではなく協力要素、たとえば「仲間といっしょに敵を倒したい」といった要望はあるのでしょうか。
小島氏:
そういったところも含めて、開発チーム一同で模索しておりますので、お伝えできるタイミングまで少々お時間いただけると助かります。
──新コンテンツは先の話として、それより手前で、いま動いているものや決まっているものはありますか。
小島氏:
SSR以下ユニットがブースト対象のマスターリーグを、9月7日から実施しています。
──同様のマスターリーグは、2026年のゴールデンウィークの実施に続いて2回目ですね。
小島氏:
開発チームとしては「大丈夫かな」という感じだったのですが、かなりご好評をいただけました。番外編のような形で増やしていければな、と思っています。
そういった形で、ゲームにたくさんあるユニットが活躍できる新コンテンツを用意していきたい、という方針です。まだ先の話にはなりますが、マスターリーグについても、もう少し遊びの幅を広げられたらと考えています。
まだまだ先の話が多いのですが、URユニットの5体目以降を使える遊びも検討させていただいているので、続報をお待ちいただければと。
その他も少しずつ改善を目指したいと思っています。アンケートでいただいた貴重なご意見もしっかり受け止めて、それをベースにいろいろ検討しています。
──最後に、ユーザーさんに向けてメッセージをお願いできますでしょうか。
小島氏:
皆さまに支えられ、1.5周年を迎えられるタイミングまで来ました。つねに皆さまに楽しんでいただけるように、まずは目下の1.5周年で、メインステージに「あの作品」も追加させていただきます。
最大47連無料ガシャなどのほかにも、さまざまな施策を用意させていただいておりますので、今後ともプレイを楽しんでいただければと思います。年末年始や2周年、その先の3周年、4周年と、もっとお楽しみいただけるように改善を続けていきますので、よろしくお願いします。
──本日はありがとうございました。(了)
1体の機体をゼロから作れば、実装まで非常に多くの時間がかかるという。それはモーションやモデルを制作するだけでなく、関係各所への確認も含まれる。だから、いま届いている声にその場で応えることはできない。そのうえで先々を見越して準備を続ける、と小島氏は語った。
たとえば三代目頑駄無大将軍は、想定を超える反響を呼んだ。SNSには「このSDも実装できるのでは」という声が並ぶ。作り手としては、流れに乗りたくなる場面だと思う。
それでも小島氏は、その声を見て「いける!」と思う自分を、まずはいったん脇に置く。実装タイトル全体のバランスや、分析にもとづく需要を見て、主観を排したうえで決定していく。
ファンからは多くの要望が寄せられるだろう。自分の好きな機体を早く実装してほしい、と思うのは当然のことだ。そういった事情を踏まえたうえで、今回の「アニメ化された宇宙世紀・オルタナティブ作品は全部やる」という宣言。これは本当に勇気のいるものだな、と驚いた。
該当の作品ファンからすれば非常に喜ばしい。しかし穿った見方をすれば、「では『ビルドファイターズ』のようなシリーズはどうなるんだ」ともなってしまう。今回の覚悟は「宇宙世紀・オルタナティブ」という括りのもとで語られたもので、『ビルド』シリーズや『SDガンダム』シリーズはそこに含まれていないという。
ただし、これは覚悟の「射程」の話であって、実装の有無の話ではない。9月の『機動戦士ガンダム00F』のように、アニメ化されていない作品のシナリオも積極的に進めていると小島氏は語る。
そして8月の『SDガンダム外伝』も、括りの外にありながら3章まで実装され、4章についても小島氏は「確実にやる」と明言している。一律に線を引いているわけではない。
9月下旬の生配信で発表される「あの作品」も、ずっと前から動いていたものだろう。主観を排しフラットに見たうえで、「全部やる」と言い切る。その源泉にあるのは、「ガンダム作品を広めたい」「好きなユニットが活躍できる場を用意したい」という熱量なのだと思う。
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