ファミスタの父が「日本ゲーミフィケーション協会」発足──ゲームの力で世の中はもっと面白くなる

 ゲーミフィケーションの研究・普及と、ゲーミフィケーションデザイナーの育成を目的とした非営利団体、一般社団法人 日本ゲーミフィケーション協会の発足説明会が、7月25日(木)に東京都内で開催された。

 同協会のホームページを見ると、設立趣旨として以下のような記載がある。

「日本ゲーミフィケーション協会は、日本中にゲーミフィケーションを広めて、 楽しみながらやる気を生み出せる社会の実現を目指しています。そのためのゲーミフィケーションデザインを学ぶカリキュラムを策定し、 ゲーミフィケーションデザインを活用できる人材の育成と、ゲーミフィケーションの研究・普及を支援します。」

日本ゲーミフィケーション協会のホームページより引用)

 そもそも、ゲーミフィケーションとはいったい何だろうか?

 同協会の代表理事を務める岸本好弘氏の説明によれば、「広い意味では、ゲームの要素を他の分野に転用することで、我々の協会が提唱するのは人を動かすようなゲーミフィケーションデザインを提案できるようなシステム、デザイン手法です」という。

日本ゲーミフィケーション協会代表理事の岸本好弘氏。「ファミスタ」の生みの親としても有名だ

 ちなみに岸本氏は、かつてナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)で野球ゲームの『ファミスタ』こと『プロ野球 ファミリースタジアム』の企画・プログラムを手掛け、コーエー(現:コーエーテクモゲームス)では『三國志』シリーズなどの開発も担当していたゲーム開発のエキスパート。
 『ゲームはこうしてできている』(ソフトバンククリエィティブ)などの著書があり、東京工科大学の特任准教授として学生を指導した経験も持っている。

「例えば受験勉強ですとか、会社で上司から無理難題を押し付けられたりとか、つらいけれどもやらなきゃいけないことってありますよね?
 優秀な人であればつらい状況でも頑張ることができますが、世の中は必ずしもそういう人ばかりではありませんので、今までは『頑張ってやる』のか、または『あきらめる』かの2つの選択肢しかなかったんです。
 そこで我々が提案したいのは、3番目の選択肢として『楽しみながら継続する』ことが選べるのではないかという考え方で、これをゲーミフィケーションデザインと呼んでいます」(岸本氏)

 岸本氏によると、協会を設立した動機は「公共的な立場から活動をしたかったので、一般社団法人として立ち上げました。任意団体として活動するよりも、一般社団法人にしたほうが参加される企業・団体の方が集まりやすいだろうという考えもありました」とのこと。

 また、ほかの協会のメンバーをどうやって集めたのかを尋ねると、「今までに1回しか会ったことがないのに、『ゲーミフィケーション協会を作りましょう!』と言ってきた方や、子供向けのプログラミング教室を開いていたところを私が見学に行った時に、『ここはもっとこうしたほうがいいですよ』とアドバイスをしたら、『岸本先生と一緒にやりたいです!』と言って仲間になった人もいます」とのことで、教材の開発経験者以外にも、エンジニアや元陸上自衛隊情報小隊の隊員など、多士済々な人物が協会には集まっているそうだ。

 では、具体的にゲーミフィケーションはどんな場面で役に立つのだろうか?
 同協会理事の原正幸氏は、ひとつの例として子供向けのワークショップにおける成功事例を挙げた。

 原氏によると、子供たちが学校の授業に不満に感じるのは、「つまらない」「授業が一方的」といったことが大きな理由であったことから、参加者のモチベーションが高まるよう、ミッションを達成すると、その次のミッションで使用できるアイテムがもらえるなど、ゲーミフィケーションの手法を使用したワークショップを実施した。
 その結果、授業の後に実施したアンケートでは、何と参加者全員から満点の評価を得られたそうだ。

ゲーミフィケーションを普及・指導する人材育成も視野に

 また同協会では、ゲーミフィケーションの研究・普及とともに、ゲーミフィケーションの手法を他人にも教えられる人材、すなわちゲーミフィケーションデザイナーを育成することも目指しているという。

「実は、ゲーミフィケーションを実際に教えている大学や専門学校も、教えられえる先生もほとんどいないんです。ゲーミフィケーションについて書いた本もすでにあるのですが、その言葉自体は知っていても、それを具体的にどうやって実践すればいいのか、読んだだけではなかなかわからないんですね。

 じゃあ、それならば我々がワークショップを実施したり、あるいはネットで教材の配信や、ゲーミフィケーションの事例をネットで検索できる、事例集のデータベースも作っていこうと。
 『ゲーミフィケーションと言うけれど、ただ遊んでいるだけじゃないのか?』とよく言われるのですが、例えばこの企業でこういうやり方をしたら、こんなに効果が出たという事例があれば、ゲーミフィケーションが役立つことがみなさんにわかっていただけますよね。

 それから教育プログラムを作って、今年の冬までにはゲーミフィケーションデザイン3級のテストができるようにもしたいと考えたいます。次の半年で、今度は中級編くらいの2級を用意して、その後には、さらに実践を繰り返すと1級がもらるみたいな仕組みを作りたいですね。
 我々は非営利団体ですので、みなさんのお役に立てるように、『俺たちがゲーミフィケーションを世の中に広めるんだ!』という高い志を持って活動しています」(岸本氏)

 なお、協会では8月27日(火)に第1回、9月24日(火)には第2回の、ゲーミフィケーションの使い方が学べる、ワークショップをそれぞれ開催する予定。また、11月13日(水)〜15日(金)に開催される、「eラーニングアワード2019フォーラム」の会場では、「学びのゲーミフィケーショントラック」と題した講演を行うとのこと。
 ユーザーが「楽しみながら継続する」ためのノウハウが詰まったゲーム開発・デザインの手法が、他の分野でどのように応用できるのか、興味がある方はぜひ参加してみてはいかがだろうか。

取材・文/鴫原 盛之

日本ゲーミフィケーション協会のみなさん

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