波乱万丈の『ぷよぷよ』30年の歴史を振り返る──社会現象になるほど大ヒットするも、経営破綻で権利がセガに。思い切って世界観を一新したのが功を奏し、ついにはeスポーツ化へ

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『ぷよぷよフィーバー』でゲーム性だけでなく、世界観とキャラクターも一新

 2001年にゲームボーイアドバンスで発売された『みんなでぷよぷよ』が、コンパイルの手を離れてセガで作られた最初の『ぷよぷよ』です。といっても本作は、4人同時対戦が可能になるなどの新要素はあるものの、キャラクターや基本的なゲームルールはこれまでと同様になっています。

 そういった意味で、セガによって完全に生まれ変わった『ぷよぷよ』と言えるのが、2003年11月にアーケードで登場し、2004年にはPS2をはじめとする家庭用ゲーム機でもリリースされた『ぷよぷよフィーバー』です。

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 「『ぷよぷよ』が久々にセガから登場! しかも開発を手がけるのはソニックチーム!」という情報が伝わってきて、楽しみにしていた筆者がまず目にしたのは……「これは誰?」という見知らぬ女の子でした。これまでの『ぷよぷよ』とは異なるタッチの絵柄で描かれていた彼女こそ、『ぷよぷよフィーバー』シリーズの主人公となるアミティだったのです。

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(画像はぷよぷよフィーバー お買い得版 PlayStation®2 the Best | ソフトウェアカタログ | プレイステーション® オフィシャルサイトより)

 ナンバリング5作目となる『ぷよぷよフィーバー』は、それまでのシリーズから世界観やビジュアルの雰囲気を一新。主人公も赤いぷよの帽子をかぶった女の子、アミティへと交代しました。しかし、本作がリリースされた当時は「『ぷよぷよ』と言えばアルルとカーバンクル」というイメージが強く、筆者も含めて本作での変更をなかなか受け入れ難かったファンが多かったように思います。

 実際のところ、『ぷよぷよフィーバー』にも「異世界からやってきた」という設定で、アルルとカーバンクルも登場しているのですが、発売前には露出が控えられていたこともあり、それに気づいた人は少なかったようです。

 『ぷよぷよフィーバー』のゲーム自体は、新ルールの「フィーバーモード」をはじめ、『ぷよぷよ』が持っていた爽快さをさらに際立たせるようなルールや演出が随所に盛り込まれていて、非常に楽しいゲームになっていました。特に、相殺を重ねてゲージを貯めると突入できる「フィーバーモード」では、ぷよがあらかじめ連鎖を仕込まれた形で落ちてきて、発動のポイントさえ見つけられれば誰でも簡単に大連鎖が繰り出せるという、初心者でも『ぷよぷよ』の楽しさを手軽に味わえる作りが、爽快感をさらに高めていました。

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(画像はぷよぷよフィーバー お買い得版 PlayStation®2 the Best | ソフトウェアカタログ | プレイステーション® オフィシャルサイトより)

 このようにゲーム自体は文句なしの出来だっただけに、プレイヤー自身が新たな世界観を受け入れられるかどうかが、当時の『ぷよぷよフィーバー』の評価を分けていたように思います。

 ですが今こうして振り返ってみると、『ぷよぷよフィーバー』でシリーズの世界観を一新したことは、『ぷよぷよ』の人気を現在にまでつなげるための、本当に重要な決断だったと思うのです。詳しくは後で解説しますが、ここで世界観を一新したことは、『ぷよぷよ』の世界をさらなる拡大へと導く役割を果たすことになりました。そうした意味でも『ぷよぷよフィーバー』は、今この時期に改めて遊び直してみたいタイトルです。

『ぷよぷよ!』で初代のキャラクターたちが復活! 『ぷよぷよ7』でさらに新たな世界が広がる

 2005年に発売されたナンバリング6作目の『ぷよぷよフィーバー2【チュー!】』では、アミティたちが暮らすプリンプタウンのマップを巡る形で、アミティラフィーナシグという3人の主人公によるストーリーが展開されます。アイテム収集や街でのキャラクターとの会話など、パズルゲーム以外の要素もボリューム満点になっており、『ぷよぷよフィーバー』で生まれた世界観がさらに掘り下げられています。

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 こうして新たな世界観を確立した上で、2006年に発売された15周年記念ソフト『ぷよぷよ! Puyopuyo 15th anniversary』では、シェゾルルーすけとうだらといった初代『ぷよぷよ』のキャラクターたちが復活! アミティたちの世界に合流を果たします。この時に復活した初代キャラクターたちは、その後もシリーズに登場し続けており、昔からのファンも『フィーバー』以降のファンも、自分の好きなキャラクターで楽しめるようになりました。

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シェゾ
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ルルー
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すけとうだら

 ちなみに『ぷよぷよ!』では、パズルゲーム部分も『ぷよぷよ』『ぷよぷよ通』『ぷよぷよフィーバー』のルールに加えて、おじゃまぷよの代わりに爆弾が降ってきたり、フィールドが180度回転したりといった、全12種類のルールでプレイできるなど、15周年記念ソフトらしいバラエティ豊富な内容になっています。

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 そして2009年、ナンバリング7作目となる『ぷよぷよ7』では、我々が見慣れた世界に暮らす女の子、あんどうりんごが通う学校に、大量のぷよと不思議なキャラクターたちが出現! 本作で初登場した新たな世界観に、初代『ぷよぷよ』のキャラクターたちと『ぷよぷよフィーバー』のキャラクターたちが合流して、てんやわんやの物語が繰り広げられます。

 これ以後の『ぷよぷよ』では基本的に、アルル、アミティ、りんごと3人の主人公たちが共演し、3つの世界のキャラクターたちが入り乱れる、にぎやかな世界観が形作られています。『ぷよぷよフィーバー』の時点で思い切って世界観を一新したからこそ、このように新たな世界やキャラクターが登場しても丸ごと受け入れられる、懐の広い世界観を生み出すことができたわけです。

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 また『ぷよぷよ7』のパズルゲームでは、おじゃまぷよを消したり、相殺でゲージを貯めたりすると「だいへんしんモード」に突入。ぷよのサイズが小さくなって通常より大きな連鎖を発生できるちびぷよへんしん「ちびぷよフィーバー」と、ぷよのサイズが大きくなって、一定時間内にぷよを連続的に消すと連鎖数が上乗せされるでかぷよへんしん「でかぷよラッシュ」を選択できるという、新たな遊びが盛り込まれています。

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(画像はぷよぷよ!!スペシャルプライス | ソフトウェアカタログ | プレイステーション® オフィシャルサイトより)

 続いて2011年には、20周年記念ソフト『ぷよぷよ!! Puyopuyo 20th anniversary』が発売。本作では『フィーバー』シリーズの舞台だったプリンプタウンに、『ぷよぷよ』『フィーバー』『ぷよぷよ7』のキャラクターたちが大集結しました。パズルのルールも『ぷよぷよ』『通』『SUN』『フィーバー』に、前作の「ちびぷよフィーバー」「でかぷよラッシュ」などが加わり、全部で15種類に増加。(実際には隠しルールとして、さらに5ルールも入っており、全部で20種類収録。)さらに、2vs2の協力対戦が楽しめる「ペアでぷよぷよ」も新たに登場しており、まさに20年間の集大成と言える内容になっていました。

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(画像はぷよぷよ!!スペシャルプライス | ソフトウェアカタログ | プレイステーション® オフィシャルサイトより)

 『ぷよぷよ!!』は盛りだくさんな内容だっただけに、「紆余曲折をたどった『ぷよぷよ』も20年の集大成を迎えて、ついに一段落したか……」と思った人がいたかもしれません。ところが、この後には落ちものパズルの常識を覆す、驚天動地の展開が待っていたのです!

『ぷよぷよ』と『テトリス』が融合!? 前代未聞のコラボレーションが実現

 ここまで見てきたような経緯を経て、『ぷよぷよ』はセガを代表するゲームシリーズのひとつにまで成長しました。ところで落ちものパズルの歴史を振り返った時に、セガとは『ぷよぷよ』以上に複雑な縁で結ばれているゲームが存在しています。それは、落ちものパズルの始祖にして代表作である『テトリス』です。

 今回は『ぷよぷよ』の記事なので、セガと『テトリス』の歴史について長々と語りはしません。が、セガとはいろいろあった『テトリス』も、1996年にザ・テトリス・カンパニーが設立されて、その権利やルールが統一的に管理されるようになったことで、2000年代にはセガからもアーケードや家庭用ゲーム機で『テトリス』のソフトが発売されるようになりました。

 とはいえ、落ちものパズルゲームを代表する二大長寿シリーズである『テトリス』と『ぷよぷよ』がコラボする日が来るなんて、いったい誰が想像したでしょうか!? そんな夢のようなコラボが現実のものとなったのが、2014年にリリースされた『ぷよぷよ™テトリス®』です。

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 『ぷよぷよ™テトリス®』の対戦では、プレイヤーが『ぷよぷよ™』『テトリス®』どちらのルールを使用するかを選択できます。『ぷよぷよ』同士、『テトリス』同士はもちろんのこと、『ぷよぷよ』と『テトリス』の間で互いにおじゃまぷよやおじゃまブロックを送り合って対戦する、なんてことが可能になっているのです。さらに「スワップ」のルールでは、時間経過によって『ぷよぷよ』と『テトリス』のフィールドが入れ替わるため、2種類のパズルを並行して進めていくことになります。

 そして最も衝撃的なのが、「ぷよテトミックス」です。その名の通りこのルールでは、ひとつのフィールドにぷよとテトリミノが混ざって出現し、一緒に積み上がっていくという驚きの光景が展開されます。ただし、ぷよの上にテトリミノが置かれると、下にあるぷよはつぶれてしまうので、積み方には注意が必要です。

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 また、1人プレイ用のストーリーモードでは、アルルやアミティ、りんごといった『ぷよぷよ』シリーズでおなじみのキャラクターたちに加えて、『テトリス』の世界からもティエスといったオリジナルのキャラクターが登場します。

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 このようにパズルの対戦からストーリーまで一切妥協することなく、2つの名作がガッチリとタッグを組んでいるのが、この『ぷよぷよ™テトリス®』のスゴさです。それにしても、落ちものパズルの始祖である『テトリス』とここまで本格的なコラボができたことは、改めて『ぷよぷよ』の歴史と人気のスゴさを実感させてくれます。

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(画像はぷよぷよ™テトリス®2 ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)より)
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(画像はアクションパズルゲーム『ぷよぷよテトリス2』|SEGAより)

 このコラボは世界的に好評だったようで、2020年にはコラボシリーズ第2弾となる『ぷよぷよ™テトリス®2』も発売されました。こちらは後述する『ぷよぷよクロニクル』で登場した新ルール「スキルバトル」が追加されたほか、新旧キャラクターが共演するアドベンチャーモードなど、さらにボリュームアップされた内容になっています。

eスポーツへの本格参入で、『ぷよぷよ』のプロゲーマーが誕生!

 ここまで見てきたように、『ぷよぷよ』では誕生15周年以降、5年ごとに周年記念ソフトが発売されています。誕生25周年を記念して、2016年にニンテンドー3DSで発売された『ぷよぷよクロニクル』は、従来のシリーズ作とはまたひと味異なる方向性のゲームソフトになりました。

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 アクションパズルゲームの『ぷよぷよ』シリーズとして初めて全面的にキャラクターが3Dモデルで表現された本作のメインは、町やダンジョンを探索してクエストを解決する「RPGモード」です。RPGならではの敵とのバトルは、もちろん「ぷよぷよ」勝負で行われます。

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 敵のモンスターや、最大3名のキャラで編成される味方チームにはHPが設定されており、おじゃまぷよの攻撃で相手のHPをゼロにすれば、バトルに勝利できます。キャラクターがレベルアップすることでHPや攻撃力が上昇するほか、MPを消費して味方キャラの持つスキルを使用することで、ぷよの色を変えるといった有利な効果を得られます。この「スキルバトル」はRPGとは異なる単独のモードとして、RPGモードで育成したチームを使用する対戦も可能です。

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 前述の『ぷよぷよクロニクル』や『ぷよぷよ™テトリス®』も含めて、近年の『ぷよぷよ』の家庭用ソフトは新機軸に挑戦しつつ、これまでのルールも網羅した「全部盛り」的な作品が多くなっていました。しかし2018年にリリースされた『ぷよぷよeスポーツ』は逆に、対戦をメインにしてスリムに絞り込んだ『ぷよぷよ』になっています。当初はダウンロード専用ソフトとして発売されましたが、のちにパッケージ版も発売されたほか、アーケードでも展開されています。

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(画像はゲームソフト | ぷよぷよeスポーツ | プレイステーションより)
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 『ぷよぷよeスポーツ』はその名の通り、『ぷよぷよ』が本格的にeスポーツへ参入するために企画されたソフトです。プロ選手による賞金大会「ぷよぷよチャンピオンシップ」や、プロと一般のプレイヤーが一緒に参加できる「ぷよぷよカップ」といった、セガ公式の大会がスタートした当初は、『ぷよぷよ™テトリス®』を使用していましたが、その後、本作がリリースされてから『ぷよぷよeスポーツ』を現在まで使用しています。これらの大会は、コロナ禍の影響で2021年現在、オンラインでの開催となっていますが、それでも着々とシーズンを重ねて対戦の歴史が積み上げられています。

 最初に説明したように、『ぷよぷよ』のゲーム大会自体は30年近く前から行われてきましたが、現在のセガ公式大会はゲーム業界全体の枠組みである、プロライセンス制度に基づくものです。プロ選手たちの活躍によって今後、競技としての『ぷよぷよ』にもよりいっそう注目が集まることが期待されます。

常に進化を続けるスマホゲーム『ぷよクエ』によって、『ぷよぷよ』は未来に向かう!

 『ぷよぷよ』30年の歴史をここまで駆け足で見てきましたが、最初のほうでも説明したように、対戦パズルゲームとしての『ぷよぷよ』は、シリーズ2作目の『ぷよぷよ通』の時点でほぼ完成の域に達していました。それ以後の『ぷよぷよ』は常に、このゲームをより多くの人々にアピールして、いかにプレイヤーの輪を広げていくかという課題に直面していたと言えるでしょう。

 その意味で、『ぷよぷよフィーバー』で行われたキャラクターや世界観の刷新は大きな出来事でしたし、『テトリス』とのコラボやeスポーツへの取り組みも、今後のシリーズの発展を考える上では非常に重要な試みだと言えます。

 ですがそれと同時に、近年のゲームやゲームハードを取り巻く環境の変化に合わせた、アーケードや家庭用ゲーム機とはまた異なる、よりカジュアルな『ぷよぷよ』も求められています。そこで存在感を見せているのが、2013年4月からサービスが行われているiOS/Android用パズルRPG『ぷよぷよ!!クエスト』(以下『ぷよクエ』)です。

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 『ぷよクエ』はもともと、シリーズ20周年記念ソフト『ぷよぷよ!!』の派生作品としてリリースされたスマホゲームでした。しかし運営8年目に突入した現在では、累計2500万ダウンロードを超えて、現在の『ぷよぷよ』人気を牽引するタイトルにまで成長しています。

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 『ぷよクエ』の最大の特徴は、本作が落ちものパズル“ではない”という点にあります。プレイヤーはキャラクターカードを編成して、クエストにチャレンジします。クエストではステージごとに敵とのバトルを繰り広げます。バトルでは、あらかじめ積まれているぷよを指でなぞって消す「なぞり消し」で連鎖がスタート。大連鎖の攻撃で敵のHPをゼロにするとステージクリアとなって、次のステージに進むことができます。

 「なぞり消し」は、スマホならではのタッチ操作に適応するために生まれたものですが、ぷよが消えるルール自体は通常の『ぷよぷよ』と同じなので、大連鎖の気持ち良さをストレートに味わうことができます。手軽にサクッと遊べる今時のプレイスタイルにピッタリ適合しつつ、『ぷよぷよ』の醍醐味をしっかりと楽しめるというところが、『ぷよクエ』が人気を獲得した理由でしょう。近年はこの『ぷよクエ』が入口となって、『ぷよぷよ』シリーズのファンになる人が増えているというのも納得です。

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 キャラクターカードにはアルル、アミティ、りんごといった歴代の主人公たちをはじめ、シリーズで活躍してきたキャラが勢ぞろい。従来の『ぷよぷよ』ファンも、自分のお気に入りのキャラを育成できます。また、アニメ作品などとのコラボも頻繁に開催されており、意外な人気キャラやコスチュームがゲットできることも。

 そして、運営型スマホゲームである『ぷよクエ』の最大の特徴は、常に進化を続けている点です。『ぷよぷよ』30周年を記念した2021年10月末のリニューアルでは、運営8年目にして初のメインストーリーが登場。新人みならい探偵の「あたり」をはじめとする時空探偵社の面々が、アミティたちと一緒に事件を解決する(!?)物語が描かれます。

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 さらに、「なぞり消し」ではない従来型の『ぷよぷよ』のルールでスコアアタックに挑戦できる「とことんぷよぷよ」も、新たに収録されました。こちらの操作はスマホならではのフリック&タッチ操作と、従来の操作に近いボタン操作の2種類が用意されています。

 このように、最新のリニューアルによって『ぷよクエ』とこれまでの『ぷよぷよ』との距離がさらに近くなったことで、『ぷよクエ』ファンが『ぷよぷよ』に関心を持ったり、『ぷよぷよ』ファンが『ぷよクエ』にハマったりするといった、相互の盛り上がりが期待できます。

 今回こうしてシリーズの歴史を振り返ってみると、『ぷよぷよ』は時流の変化に応じてリニューアルを繰り返し、世界観やキャラクターの魅力、さらには意外なコラボなどで新たなファンを獲得してきたことがよく分かります。

 30周年を迎えた現在でも、『ぷよぷよ』はeスポーツやスマホの『ぷよクエ』といった新たなチャレンジによって、さらなる広がりを見せています。これから『ぷよぷよ』が40周年、50周年となった時に、いったいどんな進化を遂げているのか、今から楽しみです!


 

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ライター
過去には『電撃王』『電撃姫』『電撃オンライン』などで、クリエイターインタビューや業界分析記事を担当。また、アニメに関する著作も。現在は電ファミニコゲーマーで企画記事を執筆中。
Twitter:@ito_seinosuke
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