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エモさ全振りの粋な演出がたまらない…! 『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』ではSwitchなのにGBAカートリッジを差し、ウエートレスは2021年もトレーにボールを乗せていた

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 2021年11月19日(金)、初報から9ヶ月を経て満を持して発売された『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』

 電ファミニコゲーマーでは、先行プレイによるインプレッションをすでにお届けしているが、そのなかで、「輝く思い出やワクワクを呼び起こさせる要素がぎっしりと詰まっている。」と述べた。

 実際に本作が発売され、筆者も最後までプレイしたところ同様の感触を得たのだが、如何せん、その「ぎっしり」の密度が大きすぎた。
 フタバタウンから始まり、殿堂入りしたその先まで、どこもかしこもエモさ全開だったのである。 

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 リメイク元の「ポケットモンスターダイヤモンド・パール」が発売された2006年当時、筆者は中学生であり『ダイパ』が初プレイではなかったものの、当時『ダイパ』を遊んでいたプレイヤーであるなら、年代関係なく、確実に上質なエモさを味わえるだろう。

 本稿では、そういったプレイをして新たにわかった魅力・要素を、リメイク元の『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』との比較も含まえつつ、お伝えしていこう。

文/バニシングポットちゃん


※本記事には『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』の一部ネタバレとなる文章が含まれています。ご注意ください。

粋な演出が光るエモさの宝庫「ハマナスパーク」

 先行プレイによるインプレッション記事では、ポケッチ、ボールデコ、地下大洞窟といった本作ならではの特徴についてみてきたが、それに並ぶ特徴的で、そして、エモい施設といえるハマナスパークについて、まずは触れていきたい。

 ハマナスパークは殿堂入り後に訪れることができる施設で、ミュウツーレックウザといった伝説ポケモンを出会える場所。

 施設の存在は発売前に発表されていたが、リメイク元にはなかった施設であり、あらゆるものが忠実につくられている本作にしては、なにやら異質というか、唐突さを感じたユーザーも少なくないだろう。

 というのも、リメイク元ではパルパークという施設があった場所に建っており、その建物のデザインまでは一緒なのだが、できることが全く違うという事態になっている。

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ハマナスパーク(『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』より)
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パルパーク(2006年発売『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』より)

 リメイク元のパルパークがどのような施設だったかを振り返ると『ポケットモンスター ルビー・サファイア』を始めとしたゲームボーイアドバンス(以下、GBA)のポケモンを連れてくることができる施設であった。

 仕組みとしては、ニンテンドーDS、DSLiteにはDSとGBAのソフトをそれぞれを差し込むことができる「ダブルスロット」機能を利用し、GBAとDSのソフトを同時に差し込むことで、過去作のポケモンを連れてくることができるというもの。
 連れてきたポケモンはパルパークに放たれ、プレイヤーはそこで過去作から連れてきたポケモンをゲットするという流れだ。

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ニンテンドーDS、DSliteでは、DSソフトのほか、上記のように本体の手前側にGBAソフトを差し込むことができた。

 Nintendo Switchには、当然ながら「ダブルスロット」機能はなく、パルパークが担っていた「過去作品からポケモンを移動するという役割」は、今は「Pokémon HOME」がもっている。

 つまり、本作においてパルパークはその機能も含めて再現不可能であり、それに変わるものとしてハマナスパークが生まれたといえるだろう。

 そんなハマナスパークがなぜ「エモい」のかというと、確かに機能としては「過去のポケモンを連れてくる」から「伝説ポケモンを捕獲する」に変化したものの、どこか当時のパルパーク、ひいては「ダブルスロット」を匂わせる要素が盛り込まれているからだ。

 ハマナスパークで伝説ポケモンに出会うには、「せきばん」を手に入れる必要があるが、このデザインに注目してほしい。

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 この「せきばん」がミュウツーならゲームボーイのソフト、レックウザならGBAのソフトというように、その伝説ポケモンが初出したソフトのデザインになっているのだ。

 さらには、この「せきばん」を台座にゲームカートリッジのように「差し込む」ことで、伝説のポケモンと出会うことができる。

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 「この場所はかつてはダブルスロットを使った施設だったのじゃよ。」といわんばかりの、当時のプレイヤーならわかる粋な演出を「エモい」といわずして、なんといえようか。

 「せきばん」のデザインだけにとどまらず、プレイヤーの当時の実体験をより想起させる「差し込む」というアクションを盛り込むのは、良い意味で反則である。

 余談だが、リメイク元における「ダブルスロット」機能は、パルパーク以外でも使われており、例えば、『ポケモン ルビー』を差すと「208番道路にザングースが出現する」といった、出現する野生のポケモンを変化させる機能もあった。

 こちらもやはりSwitchでは再現できないため、本作では地下大洞窟の「隠れ家」が役割を担ってくれている。

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同窓会のような懐かしさと新たな一面がみられるトレーナーたち

 本作は道中で戦うトレーナーたちにも魅力が詰まっている。

 まずは以下の2枚の画像をご覧いただきたい。

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 すでに本作発売前のPVでお気づきの方も多いと思うが、トレーナーのポーズが『ポケモン ダイヤモンド・パール』と全く一緒なのである。

 「だからなんやねん!」と思われる方もいるかもしれないが、これはこれまでの「ポケットモンスターシリーズのリメイク作品」と比べると、なかなか珍しいことなのだ。

 これまでのリメイク作品では、トレーナーデザインや立ち絵ポーズはアレンジされることの方が多かった。
 各作品、その時その時でさまざまな理由があってそのようなデザインにしていると思うが、少なくとも、ここまで忠実に再現したリメイク作品は本作と2018年に発売された『Let’s Go!ピカチュウ・イーブイ』くらいだろう。

 リメイク元とデザイン、ポーズが同じで何が良いのかというと、それは言ってしまえば「実家のような安心感」である。

 「ああ、ウエートレスはやっぱりトレーにモンスターボール乗せてるし、サイキッカーはフワッとした力でモンスターボール飛ばしてるのね。」といった、「お前、やっぱ変わらないな〜。」とまるで同窓会にいるようなノスタルジックな気持ちに浸ることができるのだ。

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 このようなノスタルジーに、Switchという最新ハードならではの新しい演出がところどころに挟まるのがまた、心地よい。

 たとえば、5番目のジムリーダー、メリッサの動きを見てみよう。
 彼女は「スーパーコンテストショー!」にも出場し、自分もポケモンも「魅せること」に力を入れているのか、とにかく「まわる」。
 モンスターボールを投げるときにまわる、技出しモーションのときも都度まわる。

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 他のジムリーダーも、ナタネは元気に飛び跳ねるし、デンジは終始落ち着いている。

 デザイン、ポーズはそのままに、最新ハードならではの「動き」を加えることで、同窓会的な懐かしさもありつつ、新たにそのトレーナーのもつ魅力が引き上げられ、リメイク元では感じとれなかったトレーナーの新たな一面がみられるようになっているのだ。

 トレーナーの動きについては、ポケモンファンであれば思わずニヤリとしてしまう小ネタも見受けられた。
 たとえば、じめんタイプ使いの四天王キクノ。
 その立ち絵のポーズが『Let’s Go!ピカチュウ・イーブイ』での四天王・キクコに似ている。

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 キクノとキクコは、リメイク元の当時より姉妹説が囁かれているのだが、未だに公式で彼女たちが姉妹であるかどうかは明確に述べられていないのだ。
 もちろん本作中でも姉妹であるとは一言も触れられてはいないのだが、このポーズの取り方を見るとやはり何らかの関連性を感じずにはいられない。考察勢にとってはますます捗ってしまうネタのひとつだ。

 本作のチャンピオンであるシロナもまた、興味深い動きをとっている。

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 こちらも意図的かどうかは不明だが、過去作プレイヤーへのファンサービスなのか、その髪を触る仕草は『ポケットモンスターブラック2・ホワイト2』での動き方にそこはかとなく似ているように思える。
 こうしたトレーナーたちの細かな動きも本作の大きな魅力のひとつだ。

最新世代のアイテムや再戦ジムリーダーも実装

 最後に最新世代に寄せた要素や小ネタも紹介していきたい。

 ハマナスパークと同様に、殿堂入り後に開放されるバトルパークでは特性を変更できる「とくせいパッチ」「とくせいカプセル」、ステータスの上昇に使える「ぎんのおうかん」といったアイテムを手に入れることができる。

 いずれもリメイク元の後の作品で登場したアイテムで、今や育成には欠かせないアイテムたちといえるだろう。
 育成においては、比較的今の環境に近い快適なかたちでおこなえそうだ。

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各アイテムはバトルパーク内の施設「バトルタワー」で連勝することで手に入るBP(バトルポイント)と交換して手に入れることができる。

 また、ジムリーダーの再戦もリメイク元にはなかった要素だ。

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 正確にはリメイク元(ダイヤモンド・パール)にはなく、リメイク元のマイナーチェンジ版であるプラチナにはあったもので、プラチナでは、「しょうぶどころ」という施設でジムリーダーと対戦ができたが、本作では、各ジムで戦うことになる。

 各ジムリーダーの手もちポケモンも、当然強化されており、ヒョウタがバンギラスを使っているところをみるに、プラチナで再戦したときの手もちをベースにしているように感じる。
 ここにも、当時を懐かしめる要素が詰まっているというわけだ。


 本稿では、発売後にプレイしてわかった魅力、要素を中心にお伝えしてきた。

 ここまでで述べた通り、とことんまでに忠実にリメイク元を再現しており、ハマナスパークといった当時を再現できなかった要素ですら、懐かしめるような「エモさ」を組み込む工夫がなされていた。

 本作は初報でのビジュアルデザインのインパクトもあってか賛否両論であったが、本作のリメイクの本質が「当時のプレイヤーに“エモさ”を与えることに全力投球するものであった」とするならば、その役割は十二分に果たしたように思える。

 本作をもっと時間をかけて楽しみたいところではあるが、2022年1月28日(金)には、『Pokémon LEGENDS アルセウス』が発売される。驚異の約二ヶ月後。あっという間である。

 こちらも本作と同じシンオウ地方(の前身となるヒスイ地方)が舞台となるが、本作とはそのビジュアルも戦闘システムもまったく違うものとなっている。

 当時のプレイヤーをより懐かしくさせるのか、あるいは全く新しい体験をもたらすのか、ぜひ期待をして、心待ちにしたい。

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