みなさん、『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』遊んでますかっ!?
このタイトルを見れば分かるように、「ダイパを遊んだ時小学生だった私が今ダイパリメイクを遊んでその懐かしさに感動する記事でも書けば一発バズ狙うなんて余裕だろケッケッケ……」という下心が私にあったことなど、読者の皆様には透けて見えているであろう。
実際、私は小学1年生の頃に当時最も新しいポケモンだった『ポケットモンスター ダイヤモンド』を遊んだ。このダイヤモンドこそ、私がお年玉を貯めてニンテンドーDS Liteと共に購入した「人生で初めて自分のお金で購入したゲーム」だったのだ。まさに私のゲーム人生の原点はダイパにあると言っても過言ではない。
あの時買った『ポケットモンスター ダイヤモンド』は今でも大切に保管している。近所のワンダーグーに行って、自分でお金を払って、初めてこのパッケージを手に取った時のあの嬉しさ。とてもゲームのソフト1本を梱包しているとは思えない程キラキラした青いラメ加工のパッケージが、子供の頃の私には本物の宝石のように映ったのです。
それから時代は進み、今回の『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド』はダウンロード版を購入。まさか、ゲームを実物のソフトではなくダウンロードで購入する選択肢が現れるようになるとは、当時からは考えられないことです。
だから今回のダイパリメイクで私は「当時あれだけダイパを遊んだのだから、きっと今回はとても懐かしくて、ノスタルジックで、エモーショナルな気持ちになるに違いない!」と期待を膨らませていたのです。
……が、想像以上に私はダイパの内容を覚えてない!!!
いや、覚えていなかった!!!!!
え?ダイパリメイクで多少変わっているとは言えこんな内容覚えてない事ある?
小学一年生の頃遊んだゲームやぞ!?いやでも確かに15年も前に遊んだゲームだから多少記憶から吹っ飛んでてもしょうがないけど、こんなに覚えてないか!?
……というのが、私がダイパリメイクを遊んでいた感じた正直な感想だ。「あ〜〜懐かしい〜〜!!」みたいなノスタルジックな感動はほぼなかった。
私は、私は、小学1年生から14年の時を経て何の感動も覚えない冷血人間になってしまったのだろうか……。それとも、まだノスタルジーに感動を覚えるほど大人にも成れていないのだろうか。
一応、「当時最初に選んだナエトルをポケシフターだのポケムーバーだの経由して今でも最新のポケバンクに大切に保管している」という激エモエピソードはあるのだが、ライバルには「吉田直樹」【※1】と名付けナエトルには「にちか」【※2】と名付ける立派なクソオタクに成長した私の前ではそんなエピソードなどクソの意味も成さない。
今回は、そんなダイパの内容を覚えているんだか覚えてないんだかよく分からない私が、ダイパからダイパリメイクにあたって変わった部分を振り返って行こうと思う。
文/ジスマロック
※本稿には『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』の一部ネタバレとなる文章が含まれています。ご注意ください。
利便性と原作再現の間で葛藤する!わざマシン・ひでんわざの謎仕様!
ダイパリメイクは「何でそんな所を!?」と思わず突っ込みたくなってしまう程、変な所の原作再現に力を入れている。
その代表格がこのわざマシンの仕様である。
第五世代…『ポケットモンスター ブラック・ホワイト』の頃よりわざマシンの仕様は「一度使っても消滅しない」という便利なシステムになっていた。そらそうだ。「ポケモンを育成する度にいちいちデパートに行ってわざマシンを買わなければならない」とは冷静に考えたら理不尽極まりない。
しかし…今回のダイパリメイクは何とあの懐かしの使い切り仕様!懐かしい!!懐かしいだろみんな!!あの使い切りのわざマシンが帰ってきた!!
正直まだここはツッコミどころではない。こんな所をいちいち気にしていたら身体が持たない。
今回のわざマシンのキモは「一度使えば消滅してしまうが、人から貰うわざマシンは3個、ジムリーダーから貰うわざマシンは5個」という複数譲渡仕様にある!
良かった!これで使い切りだったとしてもわざマシンはいくつかあるから迷う事はない!
何だこの利便性と原作再現の間で葛藤するような謎の仕様は!?
だったら別に使い切りじゃなくていいだろ!!!
そもそも使い切りのわざマシンは一体誰が求めているんだ!?
ハァ…ハァ…すみません。メディアの場だというのに思わず熱くなりすぎてしまいました。だがしかしこれだけでは終わらない!!
わざマシンの何とも言えない仕様変更に伴い、ひでんわざも従来のダイパとは大きく形を変えている。
「秘伝要員」【※3】などという平成の遺物は令和には必要ない…などと言わんばかりに、一度入手したひでんわざは何とポケモンに覚えさせていなくとも発動できる!これは正直ありがたい!!
『ポケットモンスター サン・ムーン』の時点でひでんわざ自体は廃止されていたものの、この仕様をシンオウ地方にも反映させたのは名采配と言えるだろう。
じゃあ誰がひでんわざ使うのかって?
知らない野生のビッパです。
いや誰!?!?!?
そう。ダイパリメイクではひでんわざを覚えさせる必要がない代わりに「ひでんわざを使うとどこからともなく野生のポケモンが現れ勝手に岩を砕いたり勝手に木を斬ったりしてくれる」という野性ポケモン代行システムになっている。お前はディズニープリンセスか?
大海原を行こうとすれば野生のビーダルがどこからともなく現れその背に乗せてくれるし、大空を羽ばたくなら野生のムクホークがけたたましい鳴き声と共に空から降ってくる。
※3「秘伝要員」
ひでんわざを使いマップを進むために、覚えられる技の4つ全てをひでんわざで固めたその名の通り「ひでんわざを使うためだけ」に用意するポケモン。ダイヤモンド・パールでは多くのプレイヤーがビッパとビーダルを秘伝要員にしていたため、今作の野性ポケモン秘伝代行のほとんどがビッパとビーダルで固められている事にも何らかのメッセージ性を感じる。
今の時代に即した遊びやすさ!目的地表示機能
ひでんわざを手に入れたら次は冒険に出発…したいけど目的地が分からない!
そんな時に便利なのがこのメニュー欄の目的地表示機能。
おおむね「ノモセシティを探索しよう」などの簡潔な案内ではあるが、これが中々にありがたい。+ボタンから「みにいく」を選択すれば即座にタウンマップから目的地を表示する直感的なUIも良く出来ている。
信じたくない話ではあるがダイパも10年以上前のゲームである。FCやSFCのRPGに比べるとまだ優しい方ではあるが「次の目的地があまり説明されないまま投げ出される」という状況が発生しがちなため、攻略サイトをわざわざ開かなくともゲーム内ナビゲートで自己完結してくれるのはかなり今の時代に即したリメイクと言っていいのではないだろうか。
ゲームメディアでこんな事を言い始めるのもおかしな話かもしれないが、私は目的地確認のためにいちいちゲーム画面から目を逸らして攻略サイトとかを見てしまうと没入感が削がれてしまう神経質なタイプだから、この目的地表示は本当にありがたい。より純粋にシンオウ地方の冒険を楽しむことが出来る。
バッジ二つ目の時点で強力なポケモンをゲット!?地下大洞窟
目的地は分かったけど普通の冒険に少し飽きてしまった!
そんな時は地下大洞窟がオススメだ。一応ダイパにも「ちかつうろ」という石掘りミニゲームや秘密基地を作って遊ぶコンテンツが存在していたのだが、今作は名前も「地下大洞窟」に変わり大きく一新!
何と地下大洞窟では上記の画像の通りポケモンとのシンボルエンカウントが発生する!
『ポケットモンスター ソード・シールド』で大好評だったワイルドエリアに近しい物をダイパにも組み込んでやろうという気概と、原作の草むらからポケモンが飛び出すオーソドックスなシステムの再現を天秤にかけたちょうど良い落し所なのではないだろうか。
そして地下大洞窟で発生するシンボルエンカウントのポケモンも中々に美味しい!細かいシステムはよく分からないが基本的に地上でエンカウントする野生のポケモンよりややレベルも高く、やや捕まえにくい(ような気がする…)。
その代わりに地上では発生しないような、従来のシンオウ地方では出会うのが難しかったポケモンが次々と飛び出す!ストライクにコイル、ヘラクロスにカイロス、どれも地下大洞窟を利用しない通常のプレイでの入手は少し難しいと思われる。
そして大洞窟で捕まえたポケモンで地下を知らない軟弱な地上トレーナーを叩き潰す!
楽しい!!
バッジ集めなどそっちのけで地下大洞窟にハマっていた私は、地下大洞窟でゲットしたコイルがたまたま持っていたメタルコートを地下大洞窟でゲットしたストライクに持たせて通信交換する事で何と「バッジ2つ目の時点でハッサムを入手する」という通常ではありえないプレイに成功してしまった!ミンウのチェンジで通常プレイでは撃破不可能なキャプテンを倒しドロップした炎の弓で無双するFF2ぐらい楽しい。
もしこれを読んでいてかつダイパリメイクプレイ中で地下大洞窟に潜った事がない方が居たら、是非一度地下に潜ってみる事をオススメする。
当時から成長したダイパキッズこそ苦戦する敵の強さ
ひでんわざも手に入れた、目的地も完璧、地下大洞窟でゲットした強いポケモンで後はポケモンリーグまで一直線……と言いたい所だが、シンオウ地方はそんなに甘くない。
ポケモンの敵AIの賢さは『ポケットモンスター サン・ムーン』の辺りから徐々に徐々に進化してきていると私は感じていたのだが、今回のダイパリメイクではその頭の良さが爆発している。今回のダイパリメイクは、明確に「令和の高難度ポケモン」という新たなジャンルを切り開いた作品になるのではないかと思うぐらいやたらと敵が強い。
たとえば鋼タイプ使いのトウガンがジムリーダーを務めるミオジム。鋼タイプのジムだっつってんのに鋼タイプに効果抜群を取れる炎タイプと格闘タイプを思いっきりメタったマリルリ(水・フェアリータイプ)が出てくるだけでどうかと思うのだが、ミオジムのトレーナーが繰り出すハガネールは何と全員「こおりのキバ」を標準装備している!!
これがどういうことなのかというと、シンオウ地方の草御三家最終進化ドダイトスが繰り出す「じしん」で大抵の鋼タイプは一掃出来た従来のミオジムと違い、ハガネールのHPがちょっとでも残れば明確なドダイトス(その他氷4倍地面タイプ)メタのこおりのキバが飛んできて窮地に追い込まれるという仕掛けになっている!性格悪っ!!ストーリーでメタ張られるとかそんなんあるか!?
ガチガチの技構成にやたらと賢い敵AIが渾然一体となり中々凶悪な難易度と化しているダイパリメイク。テレビ局に居るピカチュウ2体持ちのその辺の女児すらやたらと強い。
こんなに愛らしい素振りを見せているがその戦術はガチガチ。私が遭遇したパターンは1匹目のピカチュウのスパークでこちらのポケモンが麻痺。
続いて2匹目のピカチュウがこちらが麻痺している間にかげぶんしん(回避率が1段上昇する技)を積み、続いてのこちらの攻撃はかげぶんしんで上がった回避率により外れ相手のピカチュウはわるだくみ(特攻が2段階上昇する積み技)!!
流石にそのまま6タテはありえなかったものの、危うくテレビ局の女児のピカチュウに手持ちが全滅させられる屈辱を味わわされていたのかと思うと恐ろしくてたまらない。
ダイパリメイクの敵AIの恐ろしい所は「ポケモンのAIだからここでそんな行動しないよな!?」とこちらが油断している隙に補助技を巧みに使いプレイヤー相手に勝ち筋を掴み取ろうとしてくる容赦のなさにある。オフラインのはずなのに、まるでオンライン対戦をしているかのような緊張感が段々とクセになってくる。
ダイパの四天王にそこまで強い印象は無かったのだが、今回のダイパリメイクでは四天王もかなり化けている。バッフ・クランと戦ってるのかと思う程もじゃもじゃの頭をした彼の名はオーバ。
個人的に今回のダイパリメイクで最も凶悪な魔改造を施された四天王なのではないかと思うぐらい無茶苦茶な事をしてくる。
まず四天王が繰り出してくるポケモンは大抵アイテムを何かしら持っている。これも従来のポケモンでは考えられない仕様である。
オーバが一匹目に繰り出すポケモンはギャロップ。先鋒の持ち物は技の命中率が上昇する「こうかくレンズ」、そしてギャロップが出る行動は「さいみんじゅつ」!
いやお前!!!
NPCがこうかくレンズさいみんじゅつ【※4】とか許されると思うなよ!?
何とかギャロップを突破し、現れるのはフワライド。炎タイプの四天王だっつってんのに平気で炎もクソもないフワライドだのミミロップだの繰り出してくる時点で彼のプライドという物を若干疑ってしまう。
※4「こうかくレンズさいみんじゅつ」
元々の命中率が低いさいみんじゅつをこうかくレンズの命中率補正で上げる事によって睡眠の確立を上げる戦術。最悪。
そして繰り出されるフワライドの行動は…ちいさくなる!バトンタッチ!!
いやお前お前お前!!!!!!
いやNPCがちいさくなるバトンタッチ【※5】とかお前ここレート対戦じゃねえんだぞ!?彼は炎タイプの四天王なため「熱い」「燃える」、そういったバトルを求めているかのような描写が多いのだが、リメイクで魔改造された数々の凶悪な戦術はもう熱いどころじゃない。あまりのガチっぷりに一部では「陰湿アフロ」と呼ばれてるとか何とか…。
※5「ちいさくなるバトンタッチ」
自分自身の回避率を2段階上昇させる積み技「ちいさくなる」で上がった回避率を、自分自身のステータス変動を次のポケモンに引き継ぐ「バトンタッチ」で繋げる事で主力ポケモンンを回避率が上昇した状態で繰り出す戦術。最悪。例えオーバに憧れていたとしても友達相手にこの戦法を繰り出すと連絡先が1つ消えるかもしれないので乱用には注意しよう。
ここまで読んで「うわ…そんなダイパリメイク難しいなら買うのやめようかな…」と思っている方も居るかもしれない。しかし、今回のダイパリメイクで私は改めて「ポケモンの戦闘の面白さ」に気付かされたとも思っている。
無数の遊び方が用意されているポケットモンスターシリーズのエンドコンテンツの一つに「レート対戦」がある。インターネットを通じてガチで育成したポケモンをぶつけ合う対人頭脳戦はめちゃくちゃ楽しいのだが、それを一度味わってしまうと、これまでのポケモンではややストーリーの難易度が甘めに感じてしまう…厳しく言うと殿堂入りまでの戦いに若干の「作業感」を感じてしまう事もあったのだが、今回のダイパリメイクでは一切そのような事はなかった。
というか、この気の抜けないレート対戦の緊張感をAIと味わえるのがマジで楽しい。
ポケモンは確かに「全世代向け」のゲームであるため、難易度を高く設定する事の難しさは重々承知しているが、今回のダイパリメイクの難しめ路線の火を絶やさず、どうにか続けて行って欲しいとも私は思った。
…さて、ここまでダイパリメイクで変わった所を紹介してきたが、変わる物もあれば変わらない物もある。
ここからはダイパリメイクでも変わらず残っていた物を振り返っていこう。