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『エルデンリング』はプレイヤーの心を折りたいわけじゃなく、むしろめちゃくちゃクリアしてほしいんだと思う

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『エルデンリング』レビュー:心を折りたいわけじゃなく、実はものすごくクリアされたがってるゲーム_001

 こんにちは。福田ナオです。
 
 さて、『エルデンリング』が発売されてもう一週間が経ちましたが……
 発売後数日はインターネットでさんざん「難しい!難しい!」と言われてましたね。

 そういった情報もあって、「どうしようかな~買うのやっぱりやめようかな~~~」と悩んじゃっている人もいるんじゃないかなと勝手に想像しています。

 この記事はそんな方々に向けて「エルデンリング、難しいっちゃ難しいんだけどビビらないでいいんだよ!!!!」ということをお伝えしたいと思って作成しております。

 というかそもそもプレイヤーたちの「難しい!難しい!」と感想は、
 「難しい💢難しい💢」という感じじゃなくて……

 み~~~んな心の奥底では
 「難しい💖難しい💖」と言ってるんですよ(※個人の意見です)。

 それは彼らが特別なドMプレイヤーだからではなく……
 『エルデンリング』の難易度調整が巧みだからだと思います。

 「もう無理!やめた!」となってしまうような理不尽な難しさではなく「もう一回!もう一回やる!!」と楽しくなっちゃって、ゆっくりでも着実に進んでしまう……。

 そんな本作は、プレイヤーの心を折るゲームのように見せかけて、実はめちゃくちゃ「クリアされたがっている」ゲームなんだと感じています。

 そんな『エルデンリング』の楽しみ方を、冒頭部分の内容を中心にご紹介します。

文/福田ナオ


確かに敵は強い!!!しかし理不尽じゃない!!!

 
 確かにこのゲームに出てくる敵の多くは不用意に戦いを挑むと痛い目をみる手ごわい存在です。

 たとえば、やたらデカい巨人が大剣をブンブン振り回したり……(よくあることです)

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 野犬がめちゃくちゃ襲ってきたり……(よくあることです)

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 ザコ敵だ~と思って攻撃をいなしてたら「BLOOD LOSS」とか言われて失血死したり……(よくあることです)

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 でも、それは別に理不尽な強さではないんですよね。

 たとえば『スーパーマリオブラザーズ』のクリボーだって、乱暴に言えば「不用意に横から触れたら即死させられる上に、めちゃくちゃたくさんいる」というかなりヤバいヤツですが、ジャンプして踏みつければ普通に倒せるわけじゃないですか。

 それと同じで、このゲームの敵には必ず良い感じの倒し方があります。 
 しかもそれはワンパターンではなく、自分のステータス・装備・そしてプレイヤーの好むプレイスタイル次第で何通りもあります。

 それを試行錯誤しながら見つけていくというのがこのゲームの基本的なオモシロ要素のひとつで、最初は「絶対無理だろ!!」と思った敵を攻略できた時に脳内を駆け巡る快楽物質の量はハンパじゃありません。

 そして今作はオープンフィールド。
 広大なフィールド・膨大な数の敵を前に、「逃げる」というのも立派な選択肢になってきます。
 
 このゲームが冒頭に述べたように「クリアされたがっている」と最初に感じたのは、
 この「逃げる」選択肢の重要性をプレイヤーに自然と学び取らせようとしているな~と思ったときでした。

 次項ではそんな「逃げる」の重要性が学べる「ツリーガード」戦についてお話しします。

最序盤の鬼門「ツリーガード」から聞こえてきた制作者の“声”

 『エルデンリング』発売直後のインターネットを大きくザワつかせたのが「ツリーガード」と呼ばれるボスです。

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ツリーガード。鎧がゴテゴテででかい。

 プレイヤーはゲームをスタートして、簡単な操作説明のチュートリアルをこなした後、いきなりコイツに遭遇します。

 最初に遭遇するまともなボスとしてはあまりにも強すぎるので、思わず「ヤバすぎワロタ」とツイートしたくなっちゃうワケです。

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なんてことはない一撃でHP(左上の赤いバー)を半分持っていくツリーガードさん

 私もプレイしているときは「さすがにこれは理不尽な難易度なんじゃ……?」と思ってしまったのですが、
 なんとなくこのゲームを作った人たちの「意図」みたいなのが感じられる強さだな……と思いまして、

 今までなんとなく右側(ツリーガードがいる方向)に走っていたこの道も……

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 「これって今倒さなくていいヤツなんじゃないの?」という気がしてきました。

 というか、
 制作した人たちの「ほらほら……今倒さなくて良いってことに気づくかな……?気づくかなァ~~~?」という“声”が聞こえてきたような気さえしました。

 するとこれまで何度か歩いてきた道の見え方が変わってきて……

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 「ツリーガードと戦わずに迂回できるんじゃないか!?」と思い至ります。

 実際にやってみると……

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ドキドキ……
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ツリーガードよりも先の地点の「祝福」(冒険のチェックポイント的なやつ)に到着!

 こいつスルーして先に進めるやん!!!!
 超重要な「逃げ」の学びを自然に得られるようになってるんですよね。

 ゲームの中で直接的に「逃げてもいいんだ!」と教えてもらうんじゃなくて、
 「逃げられるんじゃない!?」と自力で気づいたような感覚になるのが気持ちいいです。

 ただ……私は意地になって、せっかく逃げきれたのに後戻りしてツリーガードに挑みました……

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なんとか勝ちました!!!嬉し~~~!!

 無理を通してプレイするの気持ちいい~~~~!!!!
 時間はかかってしまったものの、こういうプレイももちろんアリです。

「忌み鬼、マルギット」の強さからも優しい“声”が聞こえてきた

 ツリーガードとほぼ同じタイミングでインターネットで「やべー!!」と言われてたのが、同じく序盤で出会う「忌み鬼、マルギット」です。

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「忌み鬼、マルギット」との初戦闘時にはそこらへんのボスとは異なりしっかりとムービーが入る。

 彼もめちゃくちゃ強い……

 とにかく行動の隙が少ない上に、HPが半分程度減ると攻撃パターンが増え、ますます手強くなります。

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HPを半分くらい削った後になると、光り輝くハンマーやら剣やらを手元に召喚して使ってくる。これがかっこよくて強い。

 道中で出会ってきた敵たちよりもキビキビ動くし攻撃力も高いので、「さすがにこれは負けイベか~~~?」と思いましたが……

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 負けイベではありませんでした。

 でもこのボスもツリーガード同様、
 「これ今挑むヤツじゃないんじゃないの~??」という思考に自然と誘ってくれます。

 おそらくこのボスに大苦戦するということは、それまでの道中でレベル上げや探索を行う余地がまだまだあるということ。

 フロム・ソフトウェアからの「どうしても倒せないなら、寄り道してみたらどうだい?」「いろいろ探索してるうちにレベルも上がるし……役に立つアイテムも手に入るよ……」という声が聞こえてくるような気がする……

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道中を探索していると手に入る「霊クラゲの遺灰」が便利という話を小耳にはさみました。(この画像はマルギット戦後に撮影)
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これは探索というよりはマルギットと戦う場所のすぐ手前ですが、召喚サインを使うと仲間を引き連れて戦うこともできます。(これはNPCなのでオフラインプレイでも使える。)

 つまり、ネットで話題になった序盤の2大ボス「ツリーガード」「忌み鬼、マルギット」の強さは、単純にこのゲームが激ヤバ鬼難易度ゲーだと知らしめるためにあったのではなく……

 「ただただ敵と戦うだけじゃなくていろんな対策の仕方があるぞ!!」という『エルデンリング』の楽しみ方を遠回しに伝える役割も担っていたんだろうというのが私の推測です。

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ライター
ゆとり世代とZ世代の狭間に位置する1995年生まれ。アホすぎて右スティックでカメラを操作するタイプのゲームが全くできなかったのですが、つい最近『ダークソウル』で苦手を克服したので新たなゲームライフを満喫中です。普段は 「福田ナオ絵」というTwitterアカウントに毎日漫画を投稿しているのでよかったらご覧ください。
Twitter:@fukku7010gmail1

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