まず初めに言わせてほしい。私は『クロノ・トリガー』よりも『クロノ・クロス』の方が好きだ。
いや、決してこれは『クロノ・トリガー』と『クロノ・クロス』の完成度がどうこうとかそういう話をしたいわけではない! これは私の主観、偏見、趣旨趣向として「『クロノ・クロス』が好き」というだけの話である!
開幕4行から弁解ムードを醸し出してしまってはいるが、先に断りを入れておくと、今回の記事は相当なレベルで筆者の主観が持ち込まれている。だから、あまりこの記事に公正さ、公平さ、客観的な観点からの批評は期待しないでいただきたい!
……とは言ったものの、もちろん私は『クロノ・トリガー』も大好きだ。私が言っている「『クロノ・トリガー』よりも『クロノ・クロス』の方が好き」とは、5000兆点のゲームと5000兆点のゲームを遊んで後者がギリギリ5000兆1点で勝利したみたいな次元の勝負の話である。
1995年にスクウェアから発売されたRPG『クロノ・トリガー』。『ファイナルファンタジー』シリーズの生みの親、坂口博信氏と『ドラゴンクエスト』シリーズの生みの親、堀井雄二氏、そして『ドラゴンボール』などの鳥山明氏に加え、後に数々の名作を生み出す当時のスクウェアスタッフが集結した夢のゲーム。まさにドリームプロジェクト。
スクウェアらしい機械文明にSF要素、まるでエニックスな勇者と魔王のファンタジー要素、原始時代から遥か2000年後の未来にまで時空を駆け巡る大冒険。「平成最高のゲーム」と評されるほど今なお根強い人気を誇る名作RPGだ。
私自身、『クロノ・トリガー』はある種、RPGのひとつの到達点に至ってしまったゲームだとは思う。
では私は何故そんな歴史に名を残す大名作RPG『クロノ・トリガー』よりも続編の『クロノ・クロス』の方が好きだと感じたのか? 今回はそこに迫っていこう。
何度も何度もしつこく繰り返してしまって申し訳ないが、今回の記事は相当なレベルで筆者の主観、偏見、趣旨趣向が盛り込まれている。「もう日記じゃねえか」などの私自身の感性への批判はいくらでもしてもらって構わないのだが、どうかアナタ自身が感じた「自分はトリガーの方が好き」「自分はクロスの方が好き」という気持ちは大切にして欲しい。
これはどちらか一方を貶めるとかではなく、「トリガーもクロスもどちらも大好き」という前提があって書かれた記事だから、読者のみなさまの意見を否定するつもりは断じてない……ということを、どうか、どうかご理解いただけると幸いだ。
CHRONO CROSS ~時の傷痕~
まずは『クロノ・クロス』の「音楽」に触れていこう。
「いきなり音楽から入るレビューとかある!?」と思われるかもしれないが……だって音楽が強すぎるから仕方ないだろ!!
OP楽曲でもある「CHRONO CROSS ~時の傷痕~」。トラディショナルなメロディに自然の雄大さ、これから始まる星と世界を懸けた大冒険をたった一曲でここまで感じさせる名曲。今作をプレイしたことがない方でも、どこかで一度耳に挟んだことがあるのでは?
音楽を紹介するためにはまず今作の世界観の説明を……いやその前にそもそもこれから紹介しようというこの『クロノ・クロス:ラジカル・ドリーマーズ エディション』とは一体何者なのかを説明しなければならない。
『クロノ・クロス:ラジカル・ドリーマーズ エディション』はNintendo Switch、PS4、Xbox One、Steamで発売されたダウンロード専用タイトル。
1999年に発売された『クロノ・クロス』のリマスター版となっており、3Dモデルやイラスト、楽曲面に至るまで大幅パワーアップ! エンカウントOFF機能やゲームスピード調節などの便利機能も搭載!
そして元の『クロノ・クロス』、これこそが『クロノ・トリガー』の続編として発売された作品となっており、その世界観は……その世界観は……なんて説明したらいいんでしょうね?
いや「いきなり匙を投げるな」と憤る方の気持ちもよく分かるのですが、多分今作の世界観を1から10まで全て説明していたら、それだけで20000字は平気で上回り、読んでいるだけで日が暮れる記事が完成してしまうと思われます。それほど、『クロノ・クロス』の設定や世界観は複雑かつ難解を極めるのです。
私自身、ゲームにちゃんと向き合いもせず難解すぎるぜこれは意味が分からんと投げ出すような姿勢は嫌いなので、『クロノ・クロス』にだってちゃんと向き合った。向き合ったけど、なお難解。やっぱり難しい物は難しい。
なので、かなりざっくばらんな説明になってしまうことをご理解いただきたい。
今作の重要な要素、それは「並行世界」。主人公はひょんなことから「ホームワールド」と「アナザーワールド」というふたつの並行世界を行き来する力を手に入れ、そこからもうひとつの世界、もうひとりの自分、人と次元が交差する、壮大な星のドラマに巻き込まれていく。
元の「ホームワールド」では生きていた主人公が、もう片方の「アナザーワールド」では既に7歳の時点で死んでいる。どっちが命だか分かんなくなっちゃった!? ふたつの並行世界は全く同じ姿形をしているようで、どこか違う。
シナリオは尖っているくせにキャラの命名権はこっちに委ねてくるからうっかり現実で親しい人物の名前をキャラにつけたりすると大惨事に発展することでお馴染みのスクウェアRPGだが、今作でうっかり主人公に自分の名前をつけるとほれこの通り並行世界では自分の墓が完成しているという寸法だ。勝手に殺すな!
『クロノ・トリガー』は原始の時代から荒廃した未来まで、「縦軸」の時間を行き来するRPGとなっていたが、『クロノ・クロス』はふたつの並行世界を行き来する「横軸」の時間を主題に据えている。
そんな『クロノ・クロス』の魅力のひとつはやはり「雰囲気」!
荒廃した未来世界など、割と「機械文明」の印象が強い『クロノ・トリガー』に対し、今作は南国風でエスニックな雄大な自然が広がっている。絵画風のタッチで描かれた背景美術も相まって、もはやこの美しい風景を撮影しているだけでかなり楽しい。PS末期に発売されたタイトルではあるが、総合的な美術面の魅力では現在の高グラフィック作品にも引けを取っていない!
ここでやっと音楽の話に戻るのだが、『クロノ・クロス』はそんな世界観にマッチする民族楽器を取り入れたトラディショナルな楽曲が印象的。作曲は前作に引き続き光田康典氏が担当しており、光田氏の楽曲の幅広さを思い知らされる。
さらに衝撃的なのが、なんと同じエリアでも「ホームワールド」と「アナザーワールド」で別verの楽曲が用意されている点である! 特に印象的なのがエルニドのフィールド上で流れる「時の草原 ホーム・ワールド」と「夢の岸辺に アナザー・ワールド」。
前者の「時の草原」は前作のメインテーマ「クロノ・トリガー」を暖かく優しい自然が広がるエルニドの大地に合わせてアレンジした楽曲となっており、後者の「夢の岸辺に」は今作の原案とも言える『ラジカル・ドリーマーズ -盗めない宝石-』という作品のメインテーマをアレンジしている。
この「ホームワールドとアナザーワールドの楽曲の違い」に関しては少し傾向があり、ホームは「暖かく迎え入れてくれる家のような優しい音」をベースにしているのに対してアナザーの楽曲は「雄大な自然の中に、どこか儚さや悲しさを湛えている」という印象を受ける。最初に訪れる「アルニ村」のホームverとアナザーverを聴き比べていただければ、私の言いたいことが何となく伝わるかもしれない。
「夢の岸辺に アナザー・ワールド」が最初に流れる時、それは「ホームワールドから突如として転移し、レナも消えたまま未知のエルニドに足を踏み出す」その瞬間である。同じはずの、見覚えのあるエルニド。
しかしそれは全くの別世界。主人公自身も、プレイヤー自身も、得も言われぬ不安に包まれる。そこで流れるのが、このどこか悲しさを感じさせる「夢の岸辺に」。ホームとアナザーの楽曲の違いは「ただ違う」だけでなく、プレイヤーの体験に合わせた楽曲を展開することに成功している。いや、自分で書いてて思ったけど、すごない?
前作から6倍以上!? 圧倒的な数の仲間キャラ
「並行世界を行き来するRPG」という時点で既にこのゲームの尖りっぷりが伝わっているかもしれないが……まだまだ、こんなものは序の口に過ぎない。
なんと『クロノ・クロス』には大量の仲間キャラが登場する。その数なんと主人公のセルジュ含めて「45名」。45名!? 45名!?!?
『クロノ・トリガー』の仲間キャラがクロノ、マール、ルッカ、カエル、ロボ、エイラ、魔王の7名だったとすると、なんと前作からおよそ6倍以上の大ボリュームアップである。6倍!? 6倍!?!?
「45名」と言うのだからその辺の犬のような謎の生き物からライバルキャラに至るまで、もはや「顔グラが用意されているキャラの大抵は仲間になる」と言っても過言ではない。
『クロノ・クロス』は世界中のあちらこちらに仲間が加入するフラグが散りばめられている。そりゃもう45人も仲間になるんだからそこら中にフラグというフラグが田植え機で植え付けられまくっているのだ。全キャラの加入を目指すプレイヤーはコンバインの如く加入フラグを刈り取らなければならない。
とは言うものの、無情報かつ完全初見の1周目で全仲間キャラ加入など夢のまた夢。というか実質的に不可能。数々のルート分岐や選択肢をかいくぐる必要がある。
最も衝撃的だったのは上記の画像、ホームワールドからアナザーワールドに転移し、ひとり寂しく孤独な戦いを繰り広げていた主人公の目の前に現れる今作のメインヒロイン「キッド」。ここでプレイヤーは「キッドを仲間に加える」「キッドを見捨てる」の2択を迫られる。こんなもん何をどう考えてもキッド加入一択である。どこの変人がメインヒロインを切り捨てる選択肢を選ぶというのか。そんな者は余程の冷血人間に違いない。
ちなみにここでキッドを加入させようと思ったそこのアナタ、主人公の幼馴染の「レナ」はもう二度と加入しません。は???
ゲーム序盤でいかにもな主人公の幼馴染ヒロインとして登場したレナ。まさにクロノ・クロスのビアンカ。ここでキッドを仲間に加えた方は……彼女の加入チャンスをもう二度と掴むことはできない。しかもキッドは別にここで見捨ててもあと3回加入させるチャンスが残っている。いい加減にしろ──ーッ!!!
この「キッドを見捨てるか否か問題」は何度かプレイヤーに突き付けられる。「ヒドラの毒に蝕まれ、持ってあと数日のキッドを助ける意志を見せるか否か」という2つ目の分岐点【※1】において、キッドを見捨てる選択肢を選ぶと「アカシア竜騎士団」や「イルランザー」と言った本編の鍵を握る要素と深い関係を持つ「グレン」が加入する。え、このゲームってキッドに冷たくすると得するん?
こんな感じで『クロノ・クロス』は一切の偽りなくそこら中に仲間フラグという名のトロッコの分岐スイッチ、またはトラップが張り巡らされている。この冒険の中で一体どんな仲間と巡り合い、どんな旅をするのか、それは千差万別十人十色といったところだ。
※1「キッドに冷たくすると本当に得をするのか?」
いや、一概にそうとも言い切れない。一応補足をしておくと、ここのヒドラの毒に冒されたキッドを助けるルートに入れば魔力が高くてかわいい「ラズリー」が仲間に加わる。何よりも……「RPGにおいてメインヒロインを助けない選択をする」という自分自身のアラインメントが変動しそうな行為をしなくて済むのだ。道徳の授業か?
ちなみに私の最推しキャラは進化モルモットの「ツマル」。本編ではあまり活かされていないが、本棚の間に詰まったり箱の中に詰まったり、何かと「詰まる」ことが好きだから「ツマル」という名前らしい。お、おう……。
蛇骨館でケージの中に入れられているコイツを逃がしてあげると、後に船の中で再会。何度か話しかけることで根負けして仲間に加わってくれる。特にメインストーリーとは何も関係がない。恐ろしいほど何も関係がない。ただただ可愛いだけ。
ただ、こういう「明らかに本筋と関係のないキャラ」にまでちゃんとドラマが用意されているし、仲間にさえ加えてしまえばちゃんと連れ歩くことができる。しかも今作には「セリフ自動生成プログラム」なるものが用意されており、総勢45名のキャラの誰を連れて歩いても一応メインストーリーの会話には参加してくれるのだ!
このように、明らかにメインストーリーと何も関係がないツマルですらまるで物語の鍵を握るメインキャラのひとりのようなツラで会話に参加してくれる! 多分私は「明らかに浮いているマスコットキャラみたいな奴がシリアスなシーンで普通に喋ってる」という状況が好きなのかもしれません。FF7でも最後までケット・シー使ってたし……。
この「セリフ自動生成プログラム」、簡単に言えば「用意されているテンプレセリフの一人称や語尾がキャラごとに設定されている」という物であり、詳細に書くならば「主人公の呼び方」「一人称」「二人称」「三人称」「否定」「逆接」などの文法が主人公を除いて44人分設定されているのだ。
たとえばツマルなら「一人称」は「ツマル」、「二人称」は「あなた」、「呼びかけ」は「ねぇ」といったように、44名の誰をパーティーに入れていても会話に違和感が発生しないように作られている! 恐らく「プログラムさえ組んじゃえばいちいち個別にセリフ書き下ろさなくてもいけるでしょ」という作戦だったのだろうけど、44人分これを設定すると考えたら労力としてはあんまり変わらなくないか!?
流石に全部が全部自動生成プログラムから吐き出されるわけではなく、ラスボス戦の後のような節目のシーンにはキャラ個別の専用セリフが用意されている。ちゃんと44人分。結局書き下ろしてるじゃないか!!!
そう、『クロノ・クロス』の魅力……というか凄まじい部分はこの異様なまでの「作り込み」にある。画面上に映っていない葉っぱの裏の脈まで作るとか何かそういう異常な作り込みをしてしまうことでお馴染みのスクウェア作品ですが、今作は特に極まっている。
まず45人が仲間に加わり、45人分の加入ドラマが用意されていて、その加入する仲間はルート分岐によって変動する。しかも結果的に仲間として使えるのは3人だから、ひとりひとりの専用セリフを回収するにはもはや何十周と『クロノ・クロス』を遊ばなければならない。ホームとアナザーによる細かな違いは「音楽」だけに留まらず、なんと仲間に加わらないNPCまで大きくセリフが変わっている。
しかも仲間に加わるキャラですらホームとアナザーで設定が違ったりする! 上記の画像の「ファルガ」は並行世界のもう一人の自分と出会うこのイベントがメインストーリーに組み込まれていますが、そこまでメインストーリーに絡まないキャラですら「並行世界の自分と出会った時の専用セリフ」が仕込まれている。
「こんなん誰が気付くんだ!?」と思うような本当の本当に細かい部分までネタが仕込まれており、逆に「なんでこんなに作っちゃったの……」と恐怖すら感じる。それが『クロノ・クロス』。これこそが『クロノ・クロス』。
戦闘システムすら尖ってる
続いては『クロノ・クロス』の戦闘システムについてなのだが……これは……これは……なんて説明したらいいんでしょうね?
そう、『クロノ・クロス』は戦闘システムも尖っている。一体どこから説明するべきだというのか、この複雑怪奇な戦闘システムを。とにかくカギを握るのは「スタミナ」「命中率」「エレメント」の3つである。え? 既に多い? 多いよね~
私自身、クリアまで遊んでこのゲームの戦闘システムの全てを把握できているのかというと、かなり怪しい。なので、割と手探り気味な説明になってしまうのだが、どうかご容赦いただきたい。
まず注目して欲しいのが画面右下の「Sta. 7.0」の数値。これが「スタミナ」の値を表している。3名のキャラで戦い、最初は全員この 「7.0」からスタートする。
通常攻撃やエレメントを使用することでこの値は減少し、スタミナの数値が0になったらそのキャラはそこで行動不能。続いて重要なのが「命中率」の概念。
画面左下の「命中率」の欄に注目して欲しい。なんと今作の「通常攻撃」はただ普通に殴ってダメージを与えて終了……という訳ではなく、「弱」「中」「強」の3つの通常攻撃に分けられている! もう見て分かる通り、弱・中・強の順でダメージが高くなり、その代わりに命中率も下がる。
しかしこの命中率は俗に言う「コンボ」を組むことで上昇させることができるのだ! 要は「弱」で攻撃すると先程まで82%、72%と心もとない数値だった「中」と「強」の命中率が上昇する! なので格ゲーよろしく弱→中→強の順で攻撃すると、最後の「強」攻撃がほぼ確実に命中する! 何気にこの弱中強のモーションもキャラひとりひとりに個別で用意されている。いや、格ゲー作ってるんか?
きっとギャンブラー気質な方は「弱なんて虚無(しょっぺ)え攻撃から入るんじゃなくて俺は高リターン狙いで強攻撃を連打するぜ」と思っていることでしょう。しかしここで先ほど紹介した「スタミナ」が重要になってくる。
弱攻撃は「スタミナ」を1.0消費し、中攻撃は2.0消費、強攻撃は3.0消費する……と言ったように、攻撃の強弱によって消費スタミナも変動するため愚直に強攻撃を連打しているとすぐにスタミナ切れを起こしてしまう。
ここで第3の重要要素「エレメント」に移りましょう。忙しいですね。みなさんついてきてますでしょうか!? 頑張ってください!!
「エレメント」は簡単に言えば魔法・アビリティに相当する概念。敵に強力な攻撃を叩き込むヤマネコの「グライドフック」のような攻撃エレメントからツマルの「なごむ」のような回復エレメントまで多数存在する。
「エレメント」はキャラクターのグリッド(枠)に装備することで使用が可能。たとえばLv3の攻撃エレメント「フォトン」はLv3のグリッドに配置するのが望ましい……望ましいはずなのですが……
Lv4のグリッドに配置すると「フォトン+1」となり、より強力なフォトンが放てます。
読者の皆々様の脳内が「???????」のクエスチョンマークで埋め尽くされているのはよく分かります。画面右下のウィンドウの「±5」という数値が見えますでしょうか?
これは「フォトンは-5から+5までレベルを変動させることができる」という意味であり、「フォトン-1」だとLv2相当に抑えられた火力のフォトンが発動するし、「フォトン+1」だとLv4相当の火力のフォトンが発動します。この仕様は回復エレメントにも適用されており、本来はLv2の「ヒール」をLv3のグリッドに配置すると「ヒール+1」となり回復力が上昇します。
「別にエレメントのレベル変える必要なくない……?」と思ったそこのアナタ! 良いことを聞いてくれました!
画面下のLv5とかLv7とか書いてあるところの横の「耳鼻科で鼻から薬吸引してる時に見るあの落ちモノパズルのメーター」みたいなアレが見えますでしょうか? 細かすぎて伝わってないかもしれません。黄緑の点々のやつです。
その黄緑の点々が「パワーレベル」。要はエレメントを使う際に支払うコスト、MPのようなもの。例えばLv3のフォトンを使用するためにはLv3分のパワーレベルを消費しなければならない。このパワーレベルはバトル開始時には0の状態からスタートし、弱攻撃で「1」、中攻撃で「2」、強攻撃で「3」……と通常攻撃によって上昇する!
つまりバトル開始から最速でLv3のフォトンを放ちたい時は弱攻撃から中攻撃に繋ぎ、パワーレベルが3まで上昇したところで「フォトン」を発動すればいいのです!
多分みなさん「もう何も考えたくねえ……」と目の前でクァンシが殺された時の岸辺みたいになってるとは思うのですが、実はこの「エレメントのレベル調節機能」、思いもよらぬ活用法が存在します。
「エレメントは配置したグリッドのレベルによって効果が変わる」と言ったな、あれは嘘だ。
攻撃系エレメントはレベルの高いグリッドに配置して「+1」にすれば威力が上がるし、回復系エレメントはレベルの低いグリッドに配置して「-1」にすれば低コストで撃てる代わりに回復量は落ちる。それは天地がひっくり返っても変わらない絶対の原則。
の、はずなのですが……「補助系エレメント」にそのルールは適用されません。なので、たとえば攻撃を強化する効果の「ハイマッスル(本来のレベルは4)」をLv1のグリッドに配置して「ハイマッスル-3」として使用しても、何ら効果は変わりません。ただただパワーレベルの消費が下がっただけで効果は同じで、お得なハイマッスルが発動する。
「そんなワザップみたいな裏技ある!?」と思うかもしれません。私自身「そんなワザップみたいな裏技ある!?」と思っています。
しかもこの「補助系エレメント」には数々の強力な効果を持ったエレメントが用意されているため、必然的にLv1のグリッドは激戦区と化します。
その中でも特に強力なのがこの「イーグルアイ」。「一定時間攻撃命中率アップ」という効果を持っており……なんと使用するだけで弱中強の通常攻撃の命中率が全て「99%」になります。さっきあんなに「弱→中→強でコンボを繋げて命中率を上昇させるのが定石」とか言ってましたけど……イーグルアイが発動したら命中率もクソもないのでただ強攻撃を連打するだけで試合が終了します。何この身も蓋もない効果!? ゲーム壊すな!
しかも最初に説明した「スタミナ」の概念、実はこれは「半ば3人で共有している」と言っても過言ではないシステムとなっており、詳しくは上記の動画を見れば伝わりやすいかもしれません。
主人公がスタミナを「3」消費する強攻撃を2回使って残りスタミナは「1」。その直後にグレンにターンを回し強攻撃を繰り出した瞬間に隣の主人公のスタミナが「4」まで回復しているのが確認できますでしょうか?
つまり、他のパーティーメンバーのスタミナは他のキャラの通常攻撃に応じて回復するのです(キャラ自身のスタミナ回復力にも依存するため、一概に全てのキャラでこの戦術が成立するとは言えません)。
要は物理アタッカーを2人用意してこの2人に「イーグルアイ」をかけて強攻撃の命中率は99%、そこから片方が強攻撃を2回使って残りスタミナは「1」、もう片方の物理アタッカーにターンを回して強攻撃を2回使えばあら不思議、さっきスタミナが「1」しか残っていなかった物理アタッカーが既に全回復している。あとはもうこれをイーグルアイの効果が切れるまで無限に繰り返す……そうするといつの間にか敵が全員死んでる。
さらに「敵味方問わず一定時間エレメントのダメージを半減する」という効果の「マナフィーブル」とイーグルアイの必中強攻撃連打を合わせることで、「敵が使ってくるエレメント攻撃は半減されるけどこちらは通常攻撃主体だからそんなの関係なくひたすら高火力で殴り続ける」というスキドレ勅命エルドリッチじみた戦法すら可能となっている!
他にも「先天属性」や「フィールドエフェクト」に「トラップ」と言った数々の要素があるのですが……流石に全部紹介すると読者のみなさまの脳がパンクしかねないのでこの辺にしておきましょう。
戦闘システム自体は複雑なのですが……それだけ要素が多いということは今のイーグルアイとマナフィーブルを掛け合わせたTCGのようなコンボすら組めてしまうほど戦術の幅も広い! ……のですが、まあ複雑な物は複雑! 一度覚えてしまえば結構楽しい……けど覚えるまでに時間がかかる!
でも私、そんな複雑な『クロノ・クロス』が好きなんだ……