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『龍が如く8』マジの制作現場の見学&ファンなのに3Dモデルになれる「龍が如くスタジオ」贅沢すぎるファンミーティングレポート。ボスでありながら細部にもこだわりファンと牛タンを食べる横山昌義氏の姿もお届け

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 株式会社セガは12月17日、セガ本社にて『龍が如く』シリーズを手掛ける「龍が如くスタジオ」の一部を見学できるツアー&クリエイターとの交流を行えるイベント「『龍が如く』シリーズ17周年記念 突撃!「龍スタ 」ファンミーティング」を開催した。

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 2021年には元シリーズ総合監督である名越稔洋氏、元代表である佐藤大輔氏がセガを退職し、横山昌義氏が代表となり新たなスタートを切った「龍が如くスタジオ」。

 同開発チームは9月22日に「極」シリーズ最新作となる『龍が如く 維新! 極』、桐生一馬が主人公のスピンオフ作品『龍が如く7 外伝 名を消した男』、「桐生一馬」と「春日一番」のダブル主人公制を採用した『龍が如く8』を一挙に発表しており、同時に3つの新作タイトルを抱えている。

 この度開催されたイベントは、17周年にして新たな体制を築き怒涛の展開を見せる『龍が如く』シリーズのマジな舞台裏を一般の応募者がセガ本社で見学できるという豪華な企画だ。龍が如くスタジオ の代表であり、シリーズ新作の制作総指揮を務める横山昌義氏のツイートによると、イベントの応募者はオーディション級であり、参加券は「マジのプラチナチケット」となっているそうだ。

 この度は同イベントを取材させていただく機会を得たため、本記事ではイベントの様子をお届けする。

 ツアーで拝見できたのはスタジオの一部であるが、実際に『龍が如く8』の開発業務を行う光景や特別な技術を見学できた。これまでの作品を楽しんだ方も、これから楽しむ方にも心躍る光景となっているだろう。

被写体の毛穴や皮膚の角質も再現するSF映画の様な「3Dスキャンスタジオ」

 『龍が如く』シリーズといえば、実在する俳優をスキャンしてモデリングされたキャラクターたちだろう。そんなキャラクターたちを生み出す3Dスタジオを見学させて頂いた。

 スタジオに入ると3DCGソフトをオペレーションするマルチモニターのPCが視界に入るが、一見すると3Dスキャンができる様な特殊な機材は見当たらない。

 すると、オープンの掛け声と共にカーテンが開き、白い撮影スタジオと共に無数のカメラが円筒形に配置された「3Dスキャン」用の設備が登場。さらに、ツアーに参加した一般の来場者から1名を対象にその場で実際にスキャンが行われた。

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 今回の3Dスキャンの仕組みはレーザーによる測量ではなく、撮影した写真からそれぞれの撮影位置を割り出し、入力した写真群のビジュアルと位置のデータに基づいてモデルを生成する「フォトグラメトリー」という技術だ。これを円筒に配置されたカメラと前面白色のスタジオで行うことで、精密かつスムーズに行うことができる。

 このたび立候補した方は、セクシーなジャケットを身にまとったお兄さん。顔を中心にスキャンするため手術服のような白衣を纏いSFめいた座椅子に着席、カーテンによって閉ざされたスタジオで掛け声と共に行う撮影はどことなく物々しい。

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 モデルが無事生成されると、一瞬の撮影であるにも関わらず高精細なテクスチャ付きモデルがディスプレイ上に現われた。

 3DCGソフト上で青い板のように描画されている画像がカメラの撮影位置。目や肌の肌理なども捉えており、かなり超点数の多いモデルとテクスチャが出力されていることが分かる。

 いっぽうで、テクスチャをオフにしたモデルを見れば、形態が破綻している箇所も見受けられた。イベントでは5分ほどでモデルの生成が完了したが、実際にはより時間をかけて細密なモデルを出力し、さらにモデラ―が調整を行うことでゲーム本編に登場するキャラクターモデルとなるそうだ。

 また、モデルが出力される待ち時間では、『龍が如く7』に登場したキャラクターモデルなどの解説が行われ、ゲーム内ではあまり見ることのできない「春日一番」の眉毛のドアップやコミジュルの総帥であるソンヒの耳の奥やピアスといったディテールも公開された。

 各キャラクターのモデルをアップで見ると、衣服の質感や肌の皺、角質といった肌理が作りこまれていることが改めてわかる。キャラクターの眉毛は一本ずつ植毛されていたり、女性キャラクターの特徴となるまつ毛はキャラクターごとにデザインされていたりと、キャラクターごとに莫大な工数と手間をかけてデザインとモデリングが行われている。同時にあくまでも「キャラクター」を制作しているため、全てを作りこまず、特徴的な要素を作りこむことがポイントだという。

 また、デザインの際にはキャラクターの年齢や出自に習った造形が行われており、ソンヒがつけているペンダントは「コミジュル」を象徴する蜘蛛のデザインであったり、登場人物が年をとれば肌の確執や皺が増えたりと、細部の造形にも物語性が与えられている。

 見学時にはテクスチャデータを外し、ノーマルマップ(ポリゴンによる造形でなく凹凸を表現する機能)で表現されたキャラクターの皮膚の姿もお披露目。テクスチャデータをオフにした姿は大変貴重であり、普段は見ることができないキャラクターの細部を自由に見る時間は『龍が如く』ファンや、ビデオゲームのモデリングに関心がある方には必見のひと時であった。

『龍が如く8』の制作現場に直撃。緻密な音響をデザインするサウンドスタジオ

 続いてゲームのBGMや効果音の編集などを行うサウンドスタジオを拝見。防音の扉をに開けてスタジオにはいると、なんと横山昌義氏が登場し、ツアーはいきなり豪華な展開を見せる。そこではモニタースピーカーで再生される音声とゲームの映像をスタッフと鑑賞し、『龍が如く8』の冒頭のシーンの効果音やBGMの選定や調整が行われていた。

 作業工程はシーンごとのBGMリストを確認しながらシーンの映像と音声が配置されtた「Pro Tools」のファイルを操作し確認するというもので、正に現場という印象だ。横山昌義氏は章全体の選曲を考慮したBGMの選択が適切か否かを検討したほか、ある場面における登場人物の「衣擦れ」のフォーリー、ロケーションを示すSEの有無といったディテールにも指示を出す様が見受けられた。

 フォーリーや効果音などは一見すると些細な要素にも感じるが、製作総指揮として細部にもこだわりを見せる同氏の綿密なこだわりを持った開発姿勢が伺えた。

 また、横山昌義氏は「衣擦れ」のフォーリーの有無を指摘した場面に関して、スタイリストの監修をいれるため、衣装が変わる可能性があると述べた。あわせて横山氏は女性のファッションにはうとく、勉強中であるとお茶目な笑顔を見せていた。

 本作を象徴する街並みだけでなく、衣装にもリアリティを追及する制作プロセスにも感銘をうける。同時にアリティはビジュアルのみならず、音響によっても喚起されることを改めて意識させられる光景であった。

釜虎と『龍が如く』がコラボしたデラックスな「牛タン釜飯」試食レポート

 スタジオツアーで少しお腹が減った頃、なんと控室に釜飯が到着した。

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 この度試食させて頂いた釜飯は「釜虎」が手がける『龍が如く』とコラボした釜飯「厚切り牛タン釜飯」。突飛すぎるコラボレーションのように思えるが釜寅は『龍が如く 維新! 極』にも登場するため、今回のコラボレーションに至ったという。

 釜寅は名古屋発祥のひつまぶしを釜飯として焚き上げて提供している宅配ご膳。「厚切り牛タン釜飯」は2021年1月に一度だけWeb限定で発売したが即完売し、もう一度発売する機会を探していたところ今回のコラボが実現したという。

 本商品は、はじめはそのままで、続いて薬味を入れて、最後に出し茶漬けにして食すことで三度味わえる一品となっており、ボリューム満点の牛タンは家族での特別な食事や、複数人で囲む食卓にぴったりの釜飯となっている。

 来年の2月22日に控えている『龍が如く 維新! 極』の発売にあわせて本商品も期間限定で発売され、今回のイベントの参加者向けに特別に振る舞われたかたちだ。最早『龍が如く』と関係なくても美味しいことに間違いないため、『龍が如く』シリーズのファンであれば尚更食べてみよう。

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 ツアーでの食事は来場者と「龍が如くスタジオ」のスタッフが共に食卓を囲むかたちで執り行われ、正に開発スタッフとファンが交流する場となっていた。また、横山昌義氏も交流会に参加し、他スタッフと同様にファンと同じ釜飯を食し、ファンから寄せられた質問に直接熱心に返答する様子が伺えた。同席したファンは何物にも代えがたい体験となったことだろう。

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 食事の会場には『龍が如く 維新! 極』に登場する斉藤一(坂本龍馬)の銅像風スタチューや撮影スポット、販売中のグッズの展示なども用意され、『龍が如く』色に染め上げられた空間を体験できた。

桐生一馬役の黒田崇矢さん、真島吾朗役の宇垣秀成さんも登場するフォトセッション

 ツアーの最後には桐生一馬役を務める黒田崇矢さん、真島吾朗役を務める宇垣秀成さん、横山昌義氏そして『龍が如く』シリーズのチーフプロデューサーを務める阪本寛之氏が登壇し、フォトセッションを実施。さらには8年ぶりの復活を遂げる「またまた復活!神室町RADIO STATION」の公開収録、「龍スタTV#15」の公開配信が行われた。

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 さらに、フォトセッションにあわせて横山昌義氏へ寄せられた合同の質問への回答が成された。

 今回のイベントを終えて横山氏は、2年前からファンミーティングを計画していたものの、コロナ禍により実施できずようやく実施できたため、思い出に残る日になれば良いなとツアーイベントへの思い入れを語った。

 また、ファンとの交流を経て横山氏は「こんなにマジの制作現場を見せたことは無かったため、参加した皆さんに感想を聞いてみたい」とコメントし、くわえて「長年愛されてきたシリーズだからこそ出来た裏側の見せ方であるため、喜んでもらえれば嬉しい」と述べた。

 最後に『龍が如く 維新! 極』にかんしては、「なんとか発売日には出せそう」というピーキーなコメントで聴衆の笑いを誘い、「いまもスタッフがデバックや最後の追い込みを行っており、クオリティの高いゲームになっていると思うので、ぜひご期待ください」とコメントを残し、前向きなコメントで取材の幕を閉じた。

 この度開催された「龍スタTV#15」はYouTubeにてアーカイブを視聴でき、「またまた復活!神室町RADIO STATION」に関しては後日公開されるという。


 スタジオのボス自らが細部まで監修し、送り出される『龍が如く 維新! 極』は2023年2月22日に発売予定。対象プラットフォームはPS4、PS5、Xbox One、Xbox Series X|S、PC(Windows、Steam)となっている。

 スタジオツアーで新たに興味を持った方も、ぜひ本作をプレイしてみてはいかがだろうか。

編集者
ゲームアートやインディーゲームの関心を経て、ニュースを中心にライターをしています。こっそり音楽も作っています。
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ニュースから企画まで幅広く執筆予定の編集部デスク。ペーペーのフリーライター時代からゲーム情報サイト「AUTOMATON」の二代目編集長を経て電ファミニコゲーマーにたどり着く。「インディーとか洋ゲーばっかりやってるんでしょ?」とよく言われるが、和ゲーもソシャゲもレトロも楽しくたしなむ雑食派。
Twitter:@ishigenn

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