7月30日(日)に東京都の「産業貿易センター 浜松町館」で開催されたインディゲーム展示会「東京ゲームダンジョン3」にて探索謎解きアドベンチャーゲーム『プリコラージュ -IDOLIZED-』が出展されました。
遊んでみると、ビジュアルの可愛さとは裏腹に“特定屋”のような本格的な調査が楽しめるゲームになっていたので本稿で紹介していきます。また、本作はマルチエンディングになっており、本文内に多少ネタバレも含まれるため、あらかじめご注意ください。
文/cookieP
まるで“特定屋”気分?『プリコラージュ』の魅力を紹介
『プリコラージュ -IDOLIZED-』はSNSを使って、失踪したアイドルの行方を調査していく探索謎解きアドベンチャーゲームです。
失踪したアイドルの「セナ」は人気KPOPアイドルグループ「7uster」のメンバー。プレイヤーは残された投稿から失踪のヒントになりそうなワードを探し出し、Twitgramや検索エンジンを駆使して調査していきます。
ゲームは基本的にSNSの投稿内に隠されたヒントをもとに単語を集めていくポイント&クリック方式で展開。例として、下記添付画像の左上の画像に載っているポスターをクリックすればアイドル情報を得ることができます。
この要領で怪しい個所をクリックしていき、彼女のその後を調査していくことが目的となります。
早速ゲームをプレイすると、早速SNS画面からスタート。探すべき情報がまとめられた「ToDoリスト」を元に手掛かりを探していきます。
まず私が調査を開始したのは、身近な情報から。ポスターやハッシュタグなどからまず所属していたアイドル自身について調べ始めました。そうすると、なにやら彼女が過去に理不尽な理由で炎上していたことが発覚します。
そして、炎上に付随して意味深な投稿が増えていることに気が付きました。気を病んだかと思い投稿を調べていると、なにやらとある投稿のカーブミラーに人っぽい影が映り込んでいることを発見。どうやら彼女はストーカーに付けられていたようです。
実は彼女の過去の投稿には住所や個人情報を特定できるような情報があふれています。一例をあげると、ご飯ツイートには窓から見える景色がスプーンに反射して見えていたり、自撮り投稿の背景に通ってる学校の制服が映ってしまったりしています。
ほかにも、一時期話題になった「“普通に暮らしていたら絶対に地面に落とさないだろうもの”をわざと地面に置いといて、それを発見したインフルエンサーがネタにしてSNSに投稿することでおおよその住所を特定する」という手口も、彼女の投稿を見る限り引っかかっています。
要は、ファンからすると彼女の住んでいる場所を特定するのには十分な情報がそろっていたわけです。怖いですね…..。
近年、“特定屋”という言葉を聞くようになりましたが、まさしくプレイヤーが体験する内容そのもの。本作は限りなく既存のSNSやウェブエンジンに近く再現されているので、それこそプレイヤーは“ストーカー”が彼女の身元を特定したように、同じ手段で身元を特定していく作業は他のゲームでは味わえない体験を提供してくれます。
また、本作の情報ソースは彼女のSNSだけではありません。リプ欄のユーザーの反応からもSNSページに飛んでワードを収集することができ、セナの居場所を突き止めるための重要な手掛かりになります。
集めた情報の一部は、セナが投稿しているパスワードを入力しないと見れない秘密の投稿のヒントになってくれたり、のちの重要な手掛かりにつながったりします。
この特定を進めていく作業は、驚くほど現代のインターネットやSNSそのものです。筆者は普段からSNSを利用しているので、現実と同じ感覚で直感的に調査を勧められ、無事にエンディングにたどり着くことができました。
本作を遊んで感じたことは、「やっぱりSNSは怖えぇ……」の一言。第三者として“特定屋”のように情報を探していくゲーム体験は、ほかのゲームでは得ることのできない得体のしれない恐怖を味わうことができます。
今回のプレイでは複数あるエンディングの中からひとつのエンディングにたどり着きましたが、はやくて1プレイ数分で終わるゲーム性なため、気軽にプレイ出来ると思います。
『プリコラージュ -IDOLIZED-』はPC(Steam)向けに10月に発売予定。詳細な発売日時については開発者のHIJIKI氏の公式X(旧Twitter)で配信される予定なので、興味があればウィッシュリストに登録とフォローを忘れずに。