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シューティングゲームなら爆発は派手であるべし!『9th Sentinel Sisters』は「エイリアンを一掃する爽快感」をお手軽に味わえる新たなサバイバー系ゲームだった

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 2023年10月6日、ワンコインで遊べる『9th Sentinel Sisters』という、新たなサバイバー系ゲームの早期アクセス版がPCゲーム配信プラットフォーム「Steam」で登場した。

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 本作は『ENDER LILIES: Quietus of the Knights(エンダーリリーズ: クワイタス オブ ザ ナイツ)』『ハーヴェステラ』などの開発で知られる、Live Wireのオリジナル作品。エイリアン「ブリード」によって地上が滅ぼされた未来の地球を舞台に、地下に潜った人類が奪還作戦に出るストーリーを描く、サバイバー系のアクションシューティングゲームだ。

 Live Wireは『レイディアント シルバーガン』『虫姫さま』といった名作シューティングゲームの現行プラットフォーム版の開発でも知られている。また、同社にはそれらのオリジナル版を開発した株式会社トレジャー、株式会社ケイブに在籍していた経歴を持つベテランクリエイターが所属していることも、コアなゲーマーのあいだでは有名な話だ。

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▲Nintendo Switch版『レイディアント シルバーガン』(画像はMy Nintendo Storeより)

 筆者も、とくに『レイディアント シルバーガン』を手がけたトレジャー作品はいろいろ遊んできた人間である。そんなデベロッパーが手がけるオリジナル作品、それも昨今流行りのサバイバー系ゲームとなれば注目せざるを得ない。

 かくして10月6日の早期アクセス版配信日より、ほんの少し先んじて遊ぶ機会に恵まれ、現時点で実装されているコンテンツをひと通りプレイしてみた。

 結論から言うと、現段階では鋭い”トゲ”のある作品となっている。ただ、手触りが非常に良く、「エイリアンを一掃する爽快感」を手軽に味わえるもので、今後のアップデートでさらに魅力的な作品になっていく可能性を感じた。

文/シェループ

※この記事は『9th Sentinel Sisters』の魅力をもっと知ってもらいたいLive Wireさんと電ファミ編集部のタイアップ企画です。


さまざまなジャンルの“いいところ取り”をした新作サバイバー系アクションシューティング

 本作はツインスティック操作によるサバイバー系アクションシューティングゲーム(ゲームパッド使用時)

 プレイヤーは有人搭乗兵器「ファーザー」を操縦し、エイリアンこと「ブリード」たちとの戦いを繰り広げながら、地上奪還のための作戦に臨むことになる。

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 「作戦」と称されたステージを攻略していく本編。作戦の基本的な流れは、枝分かれした複数のルートの中からひとつを選んで、その先のマス目に設けられたイベントをこなしていくというものとなっている。

 イベントは「敵反応」「痕跡反応」「サプライボックス反応」の3種類。このうち「敵反応」が戦闘イベントで、360°自由に移動可能なサイドビューのフィールドを舞台に、周囲から襲い来るブリードたちの迎撃に挑む。

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 最終的に2分間(「脅威となる敵反応」では3~4分間)の制限時間を耐え抜くとクリアになり、再度ルート選択画面へ。ほかの「痕跡反応」「サプライボックス反応」はイベントで戦闘は発生せず、必要な行動を終えるとルート選択画面に戻る仕組みとなっている。これを繰り返しながらルート最奥に到達すれば作戦完了(1周完了)となる。

 戦闘中、ファーザーの耐久力がゼロになってしまうとその時点でゲームオーバーに。詳細は後述するが、それまでに得た武器、パーツ、レベルがリセットされ、作戦の最初(スタート地点)からやり直しとなる。このペナルティとルート選択型の流れから明らかだが、本作はいわゆる軽めのローグ要素を取り入れたゲームデザインとなっている。

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 システム周りはサバイバー系ゲームの定番要素を網羅しているといえばわかりやすいだろう。ブリードたちを倒すことでドロップする結晶の回収とともに得られる「経験値」、最大に達するとファーザーの強化が可能になる「レベルアップ」、3~4つの武器・パーツの中からひとつを決める「強化選択」がそれだ。ファーザーの攻撃も全自動(フルオート)で、ボタンを操作する必要がない設計もそのひとつである。

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 特徴として、攻撃時に狙いを付ける要素があり、その際には右スティックを用いる。また、ファーザーにはパイロットとして少女の姿をした戦闘クローン兵が搭乗。クローン兵はゲームスタート時に選ぶ形で、誰を選んだかでファーザーの初期装備である武器や特殊効果が変わるようになっている。

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 たとえば「紗一華」ならサブマシンガンと燃焼、「夜宵」なら小型ミサイルと感電といった感じだ。なお、初回プレイ時に選べるクローン兵は「紗一華」ひとり。残る2名は本編を該当するクローン兵で1周完了させるごとに解禁される。ちなみに早期アクセス版では3名までとなっているが、最終的には5名まで選択可能になるらしい。

 このほか、ゲームオーバー時には武器、パーツ、レベルのすべてがリセットされるのに対し、戦闘などを通して得られた「ジャンク」はリセットされずに残る。このジャンクはファーザーの武器、パーツ性能を永続的に強化させる際に使用する。

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 永続強化のやり方はタイトル画面のメニューより「機体改造」「武器改造」のいずれかを開き、強化させたい項目を選んで決めるだけである。

 それぞれの改造メニュー内にはランクも設定されており、これを強化させると各種武器、パーツの強化上限を引き上げることが可能。それと並行して新たな武器、パーツも解禁され、より有利に戦闘を進めていけるようになる。大幅な強化を図れば力押しの余地も出てきて、火力で押し通すRPG的な攻略が実践可能になるのもちょっとした特徴である。

 総じて基本はサバイバー系のアクションシューティングゲームだが、軽めのローグ要素にツインスティック操作の採用、そしてRPG的な攻略の余地を設けることで、独自の遊び心地を表現した作品にまとめられている。サバイバー系のゲームとしてもフルオートの攻撃を始め、定番要素を網羅しているため、何らかのタイトルを遊んだ経験のある人にも取っつきやすい作りだろう。

現段階において最も気になるのが初回プレイ時における難易度の高さ

 この段階だと、本作のゲームとしての作りには”いいところ取り”という印象を抱くかもしれない。実際、その通りの仕上がりにはなっている。

 ただ、正直に伝えると、現段階では鋭い”トゲ”も出ているように感じた。それは初回プレイ時の「永続強化をしていない段階における難度の高さ」だ。

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 紹介が遅れたが、本作でプレイヤーが操縦する自機ことファーザーはクセが強い。移動速度が遅い、オート攻撃後に発生するリロード時間が長いといった、プレイヤー側が不利に働きやすい特徴を持っている。

 しかし、サバイバー系のゲームで「初回プレイ時だと主人公が弱い」ことは一種のお約束だ。そこからレベルアップを重ねていくことでどんどん強くなり、余裕ある立ち回りが可能になるのだろう……と、想像するかもしれない。

 だが、本作はプレイヤーより先に敵のブリードたちが強くなってしまう。

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 始めて間もない時点ではそんなこともなく、こちらの移動の遅さなどを踏まえたテンポで攻めてくる。しかし、その次の戦闘からはこちらの倍の速さで移動し、攻撃を仕掛けてくるブリードが登場。相手の2~3手先を考慮して動かないと、袋叩きにされかねない恐怖に襲われるのだ。

 なお、本作ではダメージを受けた際に無敵時間が発生しない。そのため、連続して攻撃を受けるとあっという間に耐久力が削り取られてしまう。加えて本作は、ブリードたちを倒しても回復アイテムが出現しない。そもそも、回復アイテムという存在そのものがない。回復は「痕跡反応」のイベントでしか行えないのだ。場合によってはまったく回復できないまま、戦いを続けることになってしまう。

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▲金色のブリードが出てくる頃になると、生き残るのも困難な熾烈な展開に。

 それらをなんとか乗り越えても、ブリードたちはお構いなしに強く、厄介になっていく。ついには数発の攻撃を当てないと倒せないタイプが大群で襲いかかってくるようになり、数の暴力に圧し潰されてしまうことに……。

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 意図としては、永続強化機能の活用をプレイヤーに促し、ここから徐々に強くなっていく楽しさとカタルシスを表現するため、あえてこの難度にしているのだろう。実際、「強化させれば変わっていきそう」という可能性と期待を感じさせるようにはなっている。

 ただ、初回プレイでの1周が困難なのはサバイバー系のゲームに限らず、ローグライク(ローグライト)などでも定番とは言え、ちょっと痛みが強いようにも感じた。なので、序盤はジャンク稼ぎに勤しみながら遊ぶのがいいかもしれない。

 じつはジャンク稼ぎ自体は簡単。というのも、プレイヤー側が任意で作戦をリタイアした場合でもリセットされない。よって、無理に攻略を続ける必要がないのである。

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 そのため、プレイ開始序盤は敗北濃厚な戦闘に遭遇したらすぐさま中断(リタイア)し、そのままジャンクを回収して再び最初からやり直す、という方法がちょっとずるいが効率的である。

 とはいえ、あくまでもこれは現段階の話で、今後のアップデートでこの難度は緩和される可能性がある。Steamのストアページにも「繰り返し遊ぶゲームの面白さとバランスを確保するために、常にプレイヤーからのフィードバックを受けることが最適だと考えています。」(※一部引用)と記されているゆえに期待できるのではないだろうか。

時間を費やしたプレイヤー側の苦労がきちんと報われる

 初回プレイ時の難度の高さを説明したが、その分、永続強化後のカタルシスは格別だ。本作の売りのひとつとして掲げている「お手軽にエイリアンを一掃する爽快感」を存分に味わえるようになる。

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 これは永続強化の不十分な初回プレイ時もそうだが、本作は手触りが非常に良い。ブリードたちを倒せば派手に爆発してくれるのみならず、その際に小気味よい爆発音が鳴るため、単純に倒すだけでも心地よい気持ちになれる。

 おかげで十分な強化を図った後に味わえる爽快感も際立っており、それまでに時間を費やしたプレイヤー側の苦労がきちんと報われる。初回プレイ時に辛酸をなめられた厄介なブリードたちにも対抗できるようになり、火力任せのリベンジが果たせるようになるのも痛快だ。このように、カタルシスがしっかりと設計されているのは高く評価できるところだろう。

 爽快感と関連して戦闘時に用いる武器も見ているだけで楽しく、派手なものが揃っている。とりわけ「ミサイル」はもっとも輝いた存在と言ってもいいだろう。膨大な数がブリードたち目がけて複雑な軌道を描きながら飛んでいく様はじつに痛快で気持ちがいい。

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▲『レイディアントシルバーガン』の次は『バンガイオー』の復刻とかどうでしょう。(ボソッ)

 少々マニアックだが、トレジャーのゲームを知るプレイヤーの視点から見れば、どことなくNINTENDO64とドリームキャスト向けに発売されたシューティングゲーム『爆裂無敵バンガイオー』の面影を感じられるのも面白い。

 そもそも、有人搭乗兵器を操縦して360°自由に移動可能なサイドビューのステージで戦う時点で『バンガイオー』っぽさがある。さすがに同作のように画面の大部分を覆い尽くすほどの光景は見られないが、わかる人ならばニヤリとしてしまうこと請け合いだ。

 グラフィック、おもにエフェクト全般の派手さも見どころとなっている。少々、派手過ぎて視認性の弊害が出ている箇所もあるが、シューティングゲームなら爆発は派手であるべしという、確固たるこだわりと”圧”を感じさせられるところである。

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 徐々に強く、厄介になっていくブリードたちも、じつは戦闘の単調化を防止する要素として活きている。サバイバー系ゲームは敵の大群を相手にする戦いを繰り返していく都合上、プレイヤー側の強化が極まるとひたすらその力に頼って倒し続けるだけの単調な展開に陥りやすい。

 本作も永続強化が極まるとそうなる側面はあるものの、そこに厄介なブリードたちを登場させることで、緊張感がプラスされている。これが「強くなっても油断はできない」という、いいアクセントになっているのだ。初回プレイ時では、こちらを上回る強さと厄介さに翻弄されがちだが、永続強化で平等に対抗できるようになると、そうした性質にしたゲーム的な意図が見えてくる。

 そのほか、本作は戦闘時のフィールドで移動範囲が制限されており、端まで行ってもループしない。このため、下手に動き回ると敵に追い詰められる危険が付きまとう。これも戦闘時の立ち回りに適度な緊張感を提供している。また、なるべく隅に行き過ぎず、敵に囲まれる危険を避けるという戦術を意識させる仕掛けとして活きているのも興味深い。

 このように永続強化に時間を割けば割くほど、きちんと見どころが現れてくる設計になっている。同時に本作がシューティングゲームでもある工夫が見られ、それが個性的な遊び応えを表現しているのも特筆すべきところだ。

今後のアップデートにも期待がかかる

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 なお、早期アクセス版の現段階で遊べる作戦はひとつだけ。とはいえ、初回の1周完了(永続強化によるリトライ込み)までに約3~4時間ほどを要するゆえ、価格を考えるとかなりのボリュームといえる。

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 なにより本作はまだ完成に向けた途上にあるからこそ、今後のアップデートの動向に注目したくなる。手触りの良さと、軽めのローグ要素を始めとするいいところ取りに徹したゲームデザインは現時点においても良好だ。時間を割けば割くほどクリアしやすくなるというRPG的な攻略を許容していることも、難度に柔軟性を与えており、今後の製品版に向けたアップデートでもそのままであってほしいと願う箇所である【※】

※10月27日にアップデートが実施された。

 サバイバー系ゲームの先駆者『ヴァンパイア サバイバーズ』も始まりは早期アクセス版で、そこからフィードバックをもとにアップデートを重ね、魅力的な作品へと進化した。本作も同様に、現在の課題を解消し、魅力的な新作サバイバー系ゲームへと発展していくのだろう。

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 また、トレジャー作品が好きな人間のひとりとしては、現段階でも申し分ない爆発表現と手触りの良さがさらにパワーアップしていくことも願っている。さらなる爆発とその高揚感を……!!

ライター
新旧構わず、色々ゲームに手を伸ばしては積み上げるひよっこライター。アクションゲーム(特に『メトロイド』、『ロックマン』)とストラテジーが大好物。フリーゲーム、VRゲームの動向もひっそり追いかけ続けている。
Twitter:@shelloop

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