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容疑者たちの心の深淵を覗き、秘密を引きずり出す推理ゲーム『KILLA』がすごくオシャレ。不穏が吹き荒ぶ「願いをかなえるお茶会」へ潜入し、師匠を殺した犯人を解き明かせ【BitSummit Drift】

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人の心を覗き込み、隠された真実を解き明かしたい……。そう思ったことのある方は少なくないでしょう。

現実世界ではとても叶いそうにないこの欲求に、ゲームの中ならばと焦点を当て、美しいアートワークで描き出した作品が本作『KILLA』です。

トレーラーの時点で上品な不穏さが匂い立っていて、たまらなく良いですよね。

7月19日(金)から7月21日(日)にかけて京都市勧業館「みやこめっせ」で開催中のインディーゲームイベント・BitSummit Drift。今回私はこちらのイベントのビジネスデイに参加し、『KILLA』の試遊を体験させていただきました。

参加者の願いを叶えるというなんとも奇妙なお茶会に招かれた5人の客と、偽造された招待状を手にお茶会に侵入する主人公。そして胸に大穴を開ける凄惨な殺され方をした死体……。

いずれの要素も上質なミステリーの幕開けを予感させる、素敵な体験となりましたので、簡単なプレイレポートの形式で紹介させていただきます。

取材・文/うきゅう


師匠を殺した犯人を見つけるため、ダイイングメッセージを胸に「願いのかなう」奇妙なお茶会へ。招かれざる客として容疑者の心を覗き、謎を解く

本作の魅力を掘り下げるにあたって、まずは軽く設定を説明させていただきます。本作の主人公「ヴァルハラ」は、自らの薬学の師匠「パンドラ」を殺した犯人への復讐を誓い、その正体を特定するべく謎めいた島へと旅立ちます。

殺人犯を特定するためのヒントは、パンドラの遺した「…ラを殺せ」というダイイングメッセージのみ。戦争孤児としてパンドラに拾われ、大変な恩義を感じているヴァルハラはその言葉に従い、「ラ」で終わる名前をした何者かへの復讐を決意しました。

そんなヴァルハラが辿り着いた島では、森の番人を名乗る怪しげな人物が「願いのかなうお茶会」などという実に奇妙な催しを実施していました。しかも世界に5枚しかないはずの招待券に対して、お茶会の参加者が7人も現れたことで、参加者たちはお互いに「誰が招かれざる客なのか?」と疑心暗鬼に陥ります。

『KILLA』試遊レポート:容疑者たちの心の深淵に潜り込み、師匠の死の真相を探る推理ゲーム_001

ちなみに、ヴァルハラは“偽の招待券”を携えてお茶会に入り込んでおり、まさに「招かれざる客」その人でもあります。しかし、それを告げてこの場を去ることはできません。なぜって、お茶会の参加者はみな一様に「~ラ」という名前をしていて、師匠を殺した犯人かもしれないからです。

どうでしょう、冒頭の流れを聞くだけでミステリ小説に特有の“嵐の予兆”じみた不穏さが吹きつけてきませんか?ミステリ好きの僕としては、この導入を浴びることができただけでも本作を試遊できて良かったなぁ……と満ち足りた気持ちになりました。

とはいえ、怪しい容疑者たちを前に一介の薬師見習いができることなどあるでしょうか?

それが、あるんです。

話している相手の無意識へと働きかけ、その心の奥底を覗き込む不可思議な力。その力は相手から質問の答えを引き出すだけに留まらず、相手の心の奥底に眠った辛い記憶さえも暴き、驚くべき真実を明らかにしていきます。

『KILLA』試遊レポート:容疑者たちの心の深淵に潜り込み、師匠の死の真相を探る推理ゲーム_002

どうやらヴァルハラの持つこの力にも謎めいた真相がありそうなのですが、それは体験版の範囲ではハッキリと明かされませんでした。兎にも角にも、本作がこの力を駆使して情報を集めていくゲームなのは間違いないでしょう。

果たして、ヴァルハラ以外の“招かれざる客”は誰なのか? それぞれの参加者は一体どんな“願い”を持ってこのお茶会に来たのか? このお茶会を主催する「ミカエラ」とは何者なのか?そして島の奥地で師匠・パンドラと同じ死に方をしていた謎の人物の正体は──?

積み重なった謎の答えは非常に気になるところですが、本作の持つ別の魅力にも触れておく必要があるでしょう。トレーラーやこの記事で掲載したゲーム画面を見ているだけで既に伝わっている方もいると思いますが、この鮮やかでオシャレなアートワーク、グッと来ませんか?

『KILLA』試遊レポート:容疑者たちの心の深淵に潜り込み、師匠の死の真相を探る推理ゲーム_003

『KILLA』試遊レポート:容疑者たちの心の深淵に潜り込み、師匠の死の真相を探る推理ゲーム_004

ふんわりとした色調で描かれるメルヘンチックなフィールド上でミニキャラとして表現されるキャラクターたちは実に愛らしく、歩いているだけでも楽しいですし、そんな愛らしい雰囲気だからこそ、死や心の闇が表現される際の毒々しいほどのビビットな色彩が強烈な落差を生むんです。

デモ版でプレイできたのは7人のお茶会参加者のうちわずか1名、しかもその心の表面部分を読み取ったに過ぎませんでしたが、彼ら彼女らの心の奥底に潜った時、いったいどのような景色が現れるのか。本作の完成を迎えてそれを見るのが、今から楽しみでなりません。

そんな『KILLA』の試遊も出来てしまう日本最大級のインディーゲームイベント・BitSummit Drift7月19日(金)から7月21日(日)京都市勧業館「みやこめっせ」にて開催中です。

20日と21日の10時から17時は一般公開されており、一般/大学生の方は税込2000円、高校生の方は税込1000円、中・小学校生の方は無料で入場することができますので、興味のある方はぜひ会場まで足を運んでみてください。

師匠が死に際に残した「…ラを殺せ」という言葉に従い、犯人へ復讐するため容疑者たちの秘密を暴き出す推理ゲーム『KILLA』はPC(Steam)へ向けて2025年2月に発売される予定です。

Steamストアページではデモ版のプレイも可能ですので、本作に興味のある方はこちらも試してみてはいかがでしょうか。

編集者
小説の虜だった子供がソードワールドの洗礼を受けて以来、TRPGを遊び続けて20年。途中FEZとLoLで対人要素の光と闇を学び、steamの格安タイトルからジャンルの多様性を味わいつつ、ゲームの奥深さを日々勉強中。最近はオープンワールドの面白さに目覚めつつある。
Twitter:@reUQest

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