ゲーム開始5分で、ダンスで世界を救うことになっていた。
どういうことかは分からねえが、理屈を超えたダンスと魅力でブン殴られる。
それがこのゲーム『亜電』だ。
かわいらしいドット絵に惹かれてプレイさせていただいた、『亜電』。本作は鷹館氏によって製作された「ダンス×ベルトスクロールアクション」とのこと。
とはいえ、アクションゲームか?と言われると、正直よくわからない。たしかにアクションゲームではあるが、そうとも言い切れないところがある。
開始20秒くらいでダンスが始まるし、主人公はずっとムーンウォークか絶(『大乱闘スマッシュブラザーズDX』のアレ)みたいな動きしてるし、QTEでは急に音ゲーが始まる。
改めて書いてみても、ワケわからん!と思う。でも、この「ワケわからなさ」がプレイ中常にかわいいドット絵の画面や、やたらビートの効いた音楽、ポップな操作性による本作の魅力パワーで「楽しい!なんだこれ!」の気持ちに爆速で変化していくのだ。
本稿では、同人&インディーゲームを扱う「デジゲー博2024」にてプレイした本作『亜電』の試遊レポートをお届けする。
ダンスで相手をブチのめせ。理屈抜きで楽しいダンスバトル(物理)
本作は、ジャンルとしてはいわゆるベルトスクロールアクションに属する。ただし、冒頭でも述べた通り、そういったジャンルでは言い表すことのできないタイトルであると感じた。
物語は、主人公の女の子「とあか」が空から降ってくるところから始まる。本当にいきなり、空にできた穴から降って(落ちて)くるのだ。
空から落ちてきた女の子に驚く暇もなく、なぜかいきなりダンスバトルが始まる。本作における「ダンスバトル」とはダンスの技能を競うことでも、比喩でもない。
ダンスしながら相手をぶちのめすことを、「ダンスバトル」と呼称している。
バトルでは、相手の攻撃などを避けつつ転送移動(ダッシュダンス攻撃)でダメージを与えていくというのが基本の流れ。バトル中のアクションは基本的に移動、攻撃、回数制限付きの回復のみだ。
主人公は移動の際、常に床を滑るようなダンス(?)っぽい動きをしていて、方向転換した際には華麗に身をひるがえして舞ったりするので、動かしてるだけでも面白い。
そうして体力ゲージを1本削りきると敵がダウンし、フィニッシュムーブ的なQTEアクションが発生する。
もちろん、このQTEもダンスである。
リズムゲームのようにタイミングよく任意の方向キーを押していくというシンプルなものだが、これがめちゃくちゃ楽しい。
主人公も敵キャラも一緒になって、ノリノリで踊る。ノリノリで腕を振り、ステップを踏み、動きを合わせてハジけ、ボルテージが最高潮になると敵は爆発する。
なぜ踊るのか、なぜ爆発するのか。これについてはそういうものなのだと飲み込んでもらうしかない。この世界では、そうなのだ。
ダンスQTEを複数回成功させればバトルに勝利、次のステージへ進めるようになる。
今回の試遊で戦ったのは2体のボスだけだったものの、敵意マシマシで襲ってきたボスも、ダンスパートが始まったらちゃんと一緒に踊ってくれるようだ。ボスごとにダンスの振り付けも違ったりして、細かいところの作りこみもすごい。
ちなみに、QTEアクションが発生するのはボス戦のみとなっているが、「暴」と呼ばれるザコ敵との戦闘でもダンスっぽいアクションは存在する。
こちらは敵に近付くだけで発動し、なぜか敵を上下左右にぐるぐる振り回しながら自分はその下で踊るというもの。こうなる理屈は不明だが、たぶん強烈なダンスパワーが物理空間に超越的影響を与えているとか、なんかそんな感じだと思う。
ツッコミどころが理屈を超えた「楽しい!」で押し流されていく、独特なゲーム体験ができる本作。実はすでに完成が間近とのことで、Steamでも同様のデモ版が配信されている。
気になったという方は、ぜひストアページからデモ版をDLして実際に触ってみて、ダンスバトル(物理)の面白さを味わってほしい。ユニークな体験ができること、間違いなしだ