hun ルール ルール ルール ん? ルールルー 何? 己がルーラー ルーレットもぶっ壊す
「『Ave Mujica』というアニメの一番面白いところ」を真面目に考えてみたのですが……私は、毎週「解散の危機」がやってくるとこだと思います。もう、「今週の解散の危機」みたいなノリで毎週解散しそうになってる気がする。毎話「完全に終わった……」と思う。
1話、想定とは違うタイミングで正体を明かしてしまった。
2話、ライブの最中に睦が動かなくなった。
3話、メンバー間の方向性の違いが浮き彫りになる。
4話、「モーティス」が目覚めて余計にこじれる。
なんか「いいイベントがひとつもないすごろく」みたいなバンド活動してますよね。このバンド、「父親がやらかした、168億失う」「にゃむが動画で正体を匂わせる、5マス戻る」的なハプニングマスしか配置されてない。でも、毎話引っ張り続ける「あ、今度こそ完全に終わった……」という絶望感が面白い。
ある意味、『エヴァ』とか『ガオガイガー』みたいな面白さがある気がします。「毎話が最終決戦」じゃないけど、本当に毎週「解散の危機」が襲いかかってくる。なんとかなってないけど意外と毎回なんとかなる。今度こそ終わったようで終わらない。
もう、「解散の危機2」「解散の危機_FIX版」「ここ10年で最高の解散の危機」「けた外れに素晴らしい解散の危機」くらいの勢いで毎週が大変。これ、1クールアニメとしては最高のあり方じゃないでしょうか。ストレートに「毎週解散しそうだから、毎週見なきゃいけない気がする」状態を作れてると思う。
まぁ、4話の最後で普通に解散しちゃうんですけど。
すごいっすよね、1クールの折り返しにもいってないのに解散するバンド。
半分持たなかったよ。
しかし、同時にここからが本題でもある。
そう、これは「終わりの始まり」を描く作品。
冒頭にもチラッと書いていたけど、ここまでが「Ave Mujicaが解散(終わり)に近づいていく(始まり)」という破滅のフェーズだとしたら、ここからは「一度めちゃくちゃになったバンド(終わり)は、どうなるのか(始まり)」という後始末のフェーズに突入する。
要するに、「解散したけど、どうする?」という解散後の話に足を踏み入れていくのです。逆に#1の段階で武道館ライブやってないと、折り返しでここまで到達できないのかもしれない。もう話のスポットが「各々の人生」に傾いてくる。
思いっきり別のアニメを話題に出して恐縮ですが、私は『トラペジウム』というアニメ映画が大好きです。誇張抜きに私の中では2024年最高の映画です。
アレも「一度メチャクチャになったけど、その後どうする?」という破滅と後始末が描かれている作品で、そこが好きなのですが……単に「破滅」だけでは面白くないんです。「破滅して、どうする?」という先を描いてほしいのです。私は、その「終わったあと」が好きです。
何もかも終わった。すべてが壊れた。
そこで残ったものは、一体なんなのか?
破滅に至るまでの時間は無駄だったのか?
本人たちは、ここからどう生きていくのか?
そんな「終わった後の話」も、『Ave Mujica』の面白いところだと思います。
汚れ無き魂が闇を貫いて この瞬間<とき>が永遠だと 今命が叫んでる
やっぱり、「キャラの交錯」も見どころだと思います。
「関係」とかじゃなく「交錯」って言ってるのはわざとです。
たとえば、#5のAve Mujica解散以降に絡み始める「そよと睦(モーティス)」なんか、もうすごい味が出てると思います。元CRYCHICの面々ということで、だいぶわだかまりがあった2人だけど……正直それどころじゃない。半ば錯乱状態のモーティス、怯えながら介抱するそよ。サイコホラー?
ここで「長崎そよの母性」というカードを切ってくるのがすごい。
まぁ、たしかにそよってそういうとこあったけど……あるけどさあ!
なんか誇張表現っぽく聞こえてしまいそうだけど、#5ラストの空電話を続けるモーティスを見たそよの怯え顔とか、普通に「ホラー」を意識してると思います。このふたりだけサイコホラーやろうとしてる。
![『BanG Dream! Ave Mujica』がすごすぎるので見てほしい布教感想_021](https://news.denfaminicogamer.jp/wp-content/uploads/2025/02/image7-4.jpg)
仲良しどころかむしろ最バチバチコンビって感じだけど、「祥子とにゃむ」も結構おいしいところだと思ってます。両者の「スタンスの違い」が面白い。
解散前の#1~4は、Ave Mujicaの世界観を大切にしたい祥子と、そんなことより数字を出したいにゃむの方向性の違いがとにかく描かれる。
要するに、祥子はAve Mujicaを「作品(自分のやりたいことを表現する場所)」だと思っていて、にゃむはAve Mujicaを「商品(お客さんの求めているものを提供する場所)」だと思っている。
私は、どっちかっていうとにゃむ派です。
そもそも「Ave Mujicaの世界観」ってほぼ祥子の脳内にしか存在しないもので、メンバー間でそこの意識統一を図るのは難しい。そして何より「芸能活動」である以上、お客さんの求めているものを提供し続けなければならない。昨日好きでも、今日飽きる。それがエンターテインメント。
にゃむ自身はAve Mujicaを「自分が売れるための踏み台」と思っているかもしれないけど、同時に「売れるため」という一点では誰よりも真剣。だからこそ、「数字」と「人気」を誰よりもドライに見ている。もうコイツがプロデューサーになればいいのでは? 祐天寺Pでいいんじゃない?
Ave Mujicaというバンドは、決して道楽や思い出づくりでやっているわけじゃない。「商売」でもある。#1の時点からトップバンドとしてスタートしたからこそ、こういう対立構造を描ける……なんだかんだ「バンド活動」に対して、真剣に取り組んでいる作品だと思います。
え、私の最推しカプですか?
「ドロティモ」ですかね。
「顔カプ」ってやつですか、三角さん。
この集合写真のふたり、なんなんでしょうね。
夢女量産空間が発生してる。
「BL営業」ってやつですか、三角さん。
ドロティモ、ワンチャンあるんすかね?
いや絶対ないわ。絶対ないですよ、三角さん。
oh,when you bleed,惑星にそう その影を伸ばせ ねぇ私の世界<ほし>が知りたがっているわ
個人的に、結構おすすめしたいことがあって……『Ave Mujica』の#7を見たあとに、『It’s MyGO!!!!!』の#7を見返すと、また別の味が出てくると思っています。「なんで春日影やったの!?」の回ですね。
特に、「MyGO!!!!!の春日影を聞いて、泣きながら飛び出していく祥子」のワンカットに、ものすごい深みが生まれている。なぜ、祥子は飛び出していったのか。どうして、祥子は涙を流していたのか。『Ave Mujica』の#7以降に見ると、「祥子の気持ち」に感情移入して見ることができると思います。
その手前の#6、狂乱するモーティス。
もはや「睦」と「モーティス」が交互スイッチするとんでもない状態になった。イマジンが交互に入れ替わってる時の野上良太郎。一般人に写真を撮られてしまい、SNSのトレンドがAve Mujica復活のうわさで制圧されていく。そして祥子は、睦を壊してしまった自責の念に苛まれる。
もう、解散どころの話じゃない。「修復不可能」である。割と冗談抜きに「Ave Mujicaは壊れてしまいましたわ。復活は絶対にありえません」状態。
だけど、ここまでガタガタになった状況を一転させるのが「春日影」。
春日影いっつも盤面ひっくり返してない?
改めて思い返してみると、『It’s MyGO!!!!!』も『Ave Mujica』も、おそらく「7話」がターニングポイントなのだと思います。しかもどっちも「春日影」で状況が一変する。やっぱり話の発火点が「音楽」にあるというか……いろいろぶっ飛んでるけど、「音楽」の扱いはずっと重い。
逆に、「まだターニングポイントを迎えたばかり」とも言える。
『Ave Mujica』に……まだ間に合う! まだ追いつける!
「結局この記事が本編見ていない人に伝わる内容なのか」と言われると正直怪しい気がするけど……とにかくまだ間に合う! 今が一番盛り上がってる! この盛り上がりも、長くは続かない……ので、今からでも見始めるしかない!
なんとなく、自分は「毎週大変なことになってて笑える」くらいの気持ちで見てもいいと思います。
たしかにトンデモ展開が連発されるんだけど、あんまり心を削られるタイプの作品でもない気がしています。「アハハ、今週も大変だねー」くらいの軽さで見ちゃっても楽しいんじゃないでしょうか。意外と「視聴の精神的ハードル」は高くないと思います。
なんだろう、もうどうにもならなくなると逆に笑えてくるじゃないですか。
ああいう感じ? あのヤケクソになった時の笑いが毎週出る感じ?
大変すぎてなんかもう笑えてきちゃうガールズバンドアニメ、『BanG Dream! Ave Mujica』をよろしくお願いします! これ宣伝文句になってるかな?
あ、ちなみに記事も冒頭に戻っていただけると嬉しいです。
言いたいことは全部最初に詰め込んでしまったので、冒頭がこの記事のオチです。
まさに「終わりが始まりだった」って……これそんな上手くないですね。