前作の各種システムを進化させた餓狼CotW
そして舞は久々に、餓狼CotWに登場します。
あらためて紹介すると本作は、様々な新規要素を導入した前作の、餓狼MotWの各種システムを進化させ、現代風に作られた作品に仕上がっています。
まずはスマートスタイル。これは、現代の対戦格闘ゲームに欠かせない存在となった、いわゆる簡易入力モードで、ゲームパッドやキーボード入力とも相性が良いです。
しかも、SNKの格闘ゲームは比較的ゲームスピードが速いですが、本作では「相手がジャンプしたから対空で落とそう」といった瞬時の判断が間に合うくらい、直感的に技を出せる印象。これがとても気持ちいいです。

また、攻撃ボタンを連打することで出せるスマートコンボは、条件次第ではありますが、相手の体力の1/3くらいをサクっと奪ってくれます。そう、実は当作の簡易入力モードは、(少なくともβテストの段階では)ダメージの低下が無いんですね。難しい操作を考えずにガンガン戦いたいぜ! という欲求に答えてくれます。
ちなみに、その代わりにブレーキングなどの高度なテクニックが使えないことで、バランスが取られています。

また、前作のT.O.Pシステムを進化させたS.P.Gシステムは、キャラの体力の減り具合など(※プレイヤーが選択可能)により、強力なREVブロウという技を出せるようになったり、攻撃力がアップしたりします。
たとえば舞なら焔弐連というREVブロウが登場します。過去の技で言うと、KOFシリーズの“飛翔龍炎陣”に似た技で、相手の打撃をガードしながら強力な一撃を出すことができます。βテスト時点ではありますが、これを出してるだけでだいたい勝ててしまうことも。
ただし連発をしすぎると、画面下にあるREVゲージが上がってしまい、これが100%になると行動が色々と制限されてしまいます。まあ本当に強い技なので、「これだけ出してりゃいいじゃん」とならないために、リスクも抱えたシステムというわけです。

そのほかにも、必殺技を強化できるREVアーツや、餓狼MotWで猛威を振るったジャストディフェンスなど、本作独自のシステムがたくさんあり、それでいて刷新感もあります。前作から継続してプレイするプレイヤーと、新規プレイヤーの双方にとって、遊びごたえのあるタイトルに仕上がっている印象です。

今回の舞はどんなオールラウンダーなキャラ?
さて、今作での舞の技をチェックしてみましょう。
まず、餓狼伝説2からの伝統である、花蝶扇、龍炎舞、必殺忍蜂、ムササビの舞といった必殺技は本作でも健在です。加えて、近距離で扇子で殴りつける小夜千鳥もあります。
そのほかには、『リアルバウト餓狼伝説2』で潜在能力として登場した、扇を振り乱しながら浮き上がる花嵐が、通常必殺技として用意されています。これは多段ヒットするという仕様で、対空技としてかなり優秀です。

というのも、このゲームには、空中にいる間にタイミングよく入力することでガードができる、ジャストディフェンスが存在しています。仮に対空技で迎撃しようとしても、単発の対空技では、ジャストディフェンスで防がれてしまう可能性があるわけです。
ですが、上記の花嵐は複数回ヒットするため、相手からすると完全にジャストディフェンスで防ぐには、カチャカチャと連続入力する必要があります。上級者のレベルになれば話は違ってくるでしょうけど、花嵐は頼れる性能だと思います。
REVブロウに関しては、先に紹介した焔弐連のほか、空中で扇を振り回す弦月の舞が使えます。そして超必殺技は、シリーズ伝統の“超必殺忍蜂”に加え、射程は短いものの攻撃判定を纏うバリア技の“陽炎の舞”が用意されています。
そして、本作における隠し超必殺技だと目されるヒドゥンギアでは、いつもの舞らしい艶やかな姿になり、相手に連続技を決められます。

では、これらの技を使える今回の舞のスタイルを一言でいうと──
……うーん、オールラウンダー?
餓狼CotWにおける舞の戦いかた
筆者は、以前開催された餓狼CotWのβテストで、スマートシステムを使用&低ランクではありますが、舞で10連勝できました。その際の戦法としては、
・飛び道具の花蝶扇は強いのでガンガン使っていく
・画面の端から端くらいまで離れている場合は、REVアーツ版の花蝶扇を撃つ。弾速が早く、扇を2枚連続で投げるので、ほとんどの飛び道具に対して有利です
・花蝶扇を嫌がった相手が飛んできたら、すかさず花嵐で落とす。もし、花嵐の全弾をジャストディフェンスで防がれたら諦める
・起き上がる際の重ね技として、花嵐や陽炎の舞を使ってカウンターを取る
そのほかには、
・相手の隙にはコンボを入れる
・ジャンプBの技が出っぱなしなので空対空・めくり・連続技の起点に有利なので使い倒す
・ジャンプからはしゃがみ攻撃とコンボの二択
という、格闘ゲームにおいて基本的な部分を抑えることで、勝ち星を重ねていけました。
あとは、一方的な猛攻を続けて相手にプレッシャーを与える、いわゆる“ガン攻め空気”のゲームのようにも思えました。

では、こういった舞のスタイルって、一言でいうとなんだと思います?
やっぱり、オールラウンダーかな? と思うんですよね。
実際、今回筆者が参加したのはβテストということもあったのか、対戦相手にはプリチャやボックス・リーパーといった新キャラを多く見かけました。また、ロック・ハワードは唯一、裏技的にトレーニングモードが選べたこともあり、このキャラを使っているガチ勢も多かったように思えます。
ですが、5日間のβテストを通じて、対戦相手に舞が登場したのは数えるほどでした。格闘ゲームのガチ勢が多く参加していたであろうβテストでは、舞はあまり使われていなかった印象があります。
では、舞は人気があるだけのキャラで、対戦格闘ゲームにおける居場所は無いのでしょうか?
いえ、そんなことはありません!
舞には、舞にしかできないことがあるのです!
それは何かというと……、初心者の受け入れ先だと私は思うのです。
格ゲーの初心者でも楽しめる不知火舞
筆者はβテストでひたすら舞を使って戦いました。
テリーは相変わらずガンガン押してきますし、カインは飛び道具やブレーキングが強い。新キャラのプリチャは横の押しが強く、ボックスは空から抑え込んでくるのが強そうでした。
このように、それぞれ特色があったものの、舞で相対した際、彼らに対し“詰む”ことはありませんでした。
今回プレイした範囲内では、REVアーツ版の“花蝶扇”は、飛び道具でナンバーワンの強さでした。花嵐を常にジャストディフェンスされることも無かったですし、「誰とでも戦える」キャラ性能という印象です。
この「誰とでも戦える」が、これまでの舞に与えられてきた“場所”なのではないか、と思うのです。
最近の例だと、『ストリートファイター6』にコラボ出演した舞は、大きな注目を集めました。いろいろな意味で露出の多い舞はコスプレにも引っ張りだこですし、それがきっかけで餓狼CotWに興味を持つような人もいるでしょう。
「キャラとして強いから」以外の理由で、使用キャラとして選ばれることだって数多くあるはずです。
その際、どのような相手とも戦える舞のキャラ性能は、上記のような人にとって最適といえます。初心者の受け入れ先となり、餓狼伝説というゲームの楽しさを教えてくれるのが舞の役割ではないかと思えるのです。
その観点で考えると、今作の舞は期待通り、露出の多い衣装を惜しげも無く披露してくれます。
上述のとおりSNKの看板キャラである舞は、餓狼伝説3からKOF、カプエスなど、常にあらゆる作品に登場していました。そして、格ゲーキャラとして強烈な個性がない代わりに、常に誰とでも戦えるというオールラウンダーさに意味があったのでは──。
このように筆者は考えるのです。
熱心なファンの皆様方に対しては釈迦に説法かと思いますが、使用キャラは強さだけで選ぶものではありません。「なんとなく知っているから」、「目立つから」、「好きだから」、「エロいから」等々、いろいろあるでしょう。そういった選択肢として選ばれるのが最も多いキャラが、舞なのかもしれません。
いかがでしたでしょうか。
4月24日にいよいよ発売を迎える餓狼CotWですが、舞の活躍にも期待したいところですね。
では最後に、舞さんにひとことお願いしたいと思います。
以下、対テリー・ボガード戦の勝利演出のスクショです。
あ、結婚式、これからなんですね……。