4月21日よりアーリーアクセスを開始し、4月24日に発売を迎える予定の、SNKの対戦格闘ゲーム『餓狼伝説 City of the Wolves』(以下、餓狼CotW)。世界的なサッカー選手のクリスティアーノ・ロナウド氏や、人気DJのサルヴァトーレ・ガナッチ氏がプレイアブルキャラとして参戦するなど、発売前から大きな注目を集めています。
今回の餓狼CotWは、1999年に発売された『餓狼―MARK OF THE WOLVES―』(以下、餓狼MotW)以来、かなり久々に登場するシリーズ作です。特に往年の対戦格闘ゲームのファンにとっては、長年待ちわびた作品だといえるでしょう。何を隠そう、筆者もその一人です。
そんな筆者にとって餓狼伝説シリーズの魅力が何かと問われれば、真っ先に思い浮かぶのが、艶やかな“くノ一”の不知火舞です。今回は、過去に実施されたβテストを通じて分かった不知火舞のキャラ性能や、彼女の存在意義などについて、つらつらと語ってみたいと思います。
※本稿は2025年2月に行われたβテストのバージョンを元に執筆しています
不知火舞さん、新作登場おめでとうございます!
不知火舞は、34歳になりました(?)。
──いや、本作の公式設定に年齢は含まれていないんですけどね。
でも、『リアルバウト餓狼伝説スペシャル』(1997年)の時点で、テリー・ボガードは25歳で、舞は23歳という設定が明かされています。つまり舞は、テリーの2歳下というわけです。
そして、前作の餓狼MotWの時点で、テリーは35歳であるため、舞は33歳前後となる計算です。
今回発売される餓狼CotWは、餓狼MotWの未来の話です。したがって、舞の年齢は34歳、もしくは35~6歳と推察できます。いいですね34歳。お美しいです。
もちろん、強引なこじつけであることは百も承知ですが、こういった妄想を膨らませるのも、それはそれでファンにとっては楽しいものでしょう。

ファンならよくご存じのとおり、舞は餓狼シリーズの看板キャラクターであり、セクシー系コスプレイヤーさんの定番衣装でもあります。餓狼関連のコラボイベントにも引っ張りだこです。
あまりにセクシーさが際立っているためか、人気の高さとは裏腹に、某オールスターゲームではなかなか採用されないなんて逸話もありますが……。いずれにせよ、デビュー以来、常に話題を振りまいているキャラクターと言えるでしょう。
ですが、ちょっと皆さんに問いたいのが──
舞って“格ゲー的には”、どんなキャラだと思いますか?
「こういうキャラだ」と、単刀直入に説明できますか?
意外とですね、そこが、パッと出てこないキャラだと私は思うんですよ。
SNKの格ゲーや関連コラボにも引っ張りだこの不知火舞
SNK格闘ゲームの歴史は、舞の歴史と言っても過言ではないかもしれません。
『餓狼伝説2』(1992年発売)で、SNK格ゲー初の女性キャラとしてデビューした彼女は、“くの一”(女忍者)というモチーフと、肌を大胆に露出した衣装デザインにより、たちまち人気キャラになりました。

1992年当時は、メディアミックス時代が幕を開けていました。餓狼伝説シリーズに関しても、テレビアニメや劇場アニメのほか、玩具メーカーのタカラ(現:タカラトミー)のトレーディングカードやフィギュア等々、さまざまなコラボ展開が行われています。
そういったコラボの大半において、舞は中心的なキャラとして登場していました。
また、当時は規制が緩かったこともあり、大胆に肌をさらした“衣装まんま”の舞のコスプレイヤーも現れます。コスプレ文化の盛り上がりも相まって、舞はさらに人気を博すことになったのでした。
SNKとしても、舞は自社の格ゲーにおける看板キャラという認識だったのか、『餓狼伝説スペシャル』『餓狼伝説3』といったシリーズ作にも登場し続けます。そして1994年に初登場した、同社の新たな看板作『ザ・キング・オブ・ファイターズ』(以下、KOF)のシリーズにも、ほぼ毎回参戦し、その人気は不動のものとなりました。
さらには、格ゲーのライバルメーカーとのコラボ作である、『CAPCOM VS. SNK』シリーズにも、舞は当然のように参戦しています。
気がつけば、「舞が登場していないSNKの格ゲーってあったっけ?」と思ってしまうほどの常連になっていきます。『サムライスピリッツ』ですら、幻庵のエンディングに、それらしきキャラがゲスト出演してましたよね。

ただ、これだけ多くの作品に登場しているにもかかわらず、なぜか舞の“格ゲーキャラとしての性能”は、あまり語られてなかったように思えます。
たとえば、舞と同じく餓狼シリーズの看板キャラであるテリーに関しては、「いやー餓狼3の永久すごかったよなー」、「KOF-97のパワーチャージは猛威を振るったよね」といった話で盛り上がったファンも多いのでは。
テリーの弟であるアンディ・ボガードも、舞の永遠の彼氏であるだけでなく、「初代の斬影拳、出してるだけで強かったよね」的な、性能に言及されることもありました。
では、舞はどうでしょう?
「あー、花蝶扇や龍炎舞は毎回あるよね」
「三角飛びとかムササビの舞とか空中投があるし、空中戦寄り?」
「うーん、オールラウンダーかな?」
なんとなくの印象はあっても、じゃあ「突進キャラ」「投げキャラ」「飛び道具キャラ」といった風な、格闘ゲームにおけるキャラとしての分類が、イマイチ当てはまりにくいのが、多くの人にとっての共通認識かもしれません。
格ゲーキャラとしての舞の個性付け
過去の餓狼シリーズでは、舞に格ゲーとしてのキャラの分かりやすい特色を持たせようとした形跡が見られます。
たとえば『餓狼伝説3』における“陽炎の舞”は、身の周りに炎柱をまとわせて回転するという技で、これは同作の特徴である“スウェーライン”(※ライン移動を行った後、一定時間で戻ってくるシステム)への対抗策として活用してほしかったように思えます。
そのほかにも、KOFシリーズでは“ムササビの舞”からの派生技を実装することで、空中戦キャラにしようとしたり、舞がコラボ出演した『ストリートファイター 6』では、ゲージを消費することによりガードした花蝶扇が相手に時間差で落下してくるという飛び道具キャラへの道を探ったり。いろいろな工夫が見られます。
それでもなお舞は、分かりやすい形で「◯◯キャラ」としては、まだ確立されていないのが現状といえるでしょう。
