Nintendo Switchから8年ぶりとなる後継機、Nintendo Switch 2 が2025年6月5日(木)に発売されます。家電量販店などでの予約もはじまっており、抽選結果に一喜一憂されている方も多いのではないのでしょうか。
今回紹介する『サイバーパンク2077 アルティメットエディション』(以下、『アルティメットエディション』)は、2020年に発売された、未来の街を舞台とするオープンワールドアクションRPGのSwitch 2 への移植版であり、Switch 2 発売と同日の2025年6月5日(木)に発売予定の作品です。
移植版である本作の発表を聞いた読者の皆さんのなかには、ひとつの疑問が存在しているのではないでしょうか。
その疑問とは「Switch 2 で、『サイバーパンク2077』が動くのか……?」というもの。『サイバーパンク2077』と言えば発売当時、その必要スペックの高さが話題になった作品でもあります。
PC版を高画質・高設定で動かすには、高価格でパワーのあるマシンを用意する必要があり、「いくらSwitch 2 がSwitchより大幅にパワーアップしているとはいえ、携帯モードも存在するゲーム機で本作がまともに動くのだろうか?」などの懸念を抱くのももっともです。実機でのプレイ感がどのようなものになるのか、気になっている方は少なくないでしょう。
そんななか、筆者は本作の先行試遊イベントに参加し、実際にプレイさせていただく機会を得ました。
体験した感想を結論から言うと、本作、かなり快適に遊べます。さすがに高設定のPC版などには及ばないでしょうが、非常に安定したゲームプレイを楽しむことができ、「Switch 2 のローンチタイトルとして、ストレスなく遊んでほしい」という開発チームの意気込みが伝わってきました。
注目の「携帯モード」での動作や、Switch 2 の目玉機能のひとつでもある「マウス操作」を利用した操作なども体験することができたので、紹介していきましょう。
また、弊誌ではSwitch 2 版『サイバーパンク2077 アルティメットエディション』のプレイ映像を編集した特別動画も公開していますので、ぜひこちらもあわせてご覧ください。
「安定したゲームプレイ」に注力したアクションシーン。どんなシーンでもストレスなく楽しめる
『アルティメットエディション』では、オリジナル版『サイバーパンク2077』のこれまでのアップデートと、有料の拡張パック『仮初めの自由』に含まれる内容がすべて盛り込まれているとのこと。せっかくなので、『仮初めの自由』に含まれるクエストを遊ばせていただくことにしました。
本作を触ってみてまず驚いたのは、想像していた以上になめらかで、引っかかりの少ないゲーム体験ができたことです。
『アルティメットエディション』の発表を聞いた方の多くは「いくらパワーアップした後継機とはいえ、『サイバーパンク2077』ほどの大作がSwitch 2 でまともに動くのだろうか?」「ヘタをすれば、ガクガクでストレスまみれの移植版になってしまうんではないだろうか?」という懸念を持ったのではないでしょうか。
正直に言うと筆者もそうした印象を持っていたのですが、実際のプレイを通して本作が「非常に誠実な移植版」として仕上がっているのではないかと感じました。
本作では、画質が少し落ちる代わりに最大40FPSでプレイできる「パフォーマンスモード」【※】と、FPSを最大30フレームに落とすことで画質を優先する「クオリティモード」が選択可能となっています。
※TVモードで「パフォーマンスモード」を選択するには、リフレッシュレートが120Hz以上のモニターが必要とのこと。
「最大40FPS」という数値だけを見ると、近年のゲームとしては低めに感じられるかもしれませんが、実際にプレイした感覚としては非常に安定度が高く、ストレスを感じないゲームプレイが可能です。
オブジェクトの多い場所を歩いたり、激しいアクションを行っても画面のカクつきや引っかかるような感触はありません。

実際に計測したわけではありませんし、あくまで体感ベースにはなってしまうのですが、「30/40FPSに制限する代わりに、極限まで安定したゲームプレイを目指した」という印象です。極力プレイヤーに違和感を持たせず、作中世界へ没入できるように作っていると感じました。
試遊会に同席されたスタッフの方も「ストレスのないゲームプレイ」に何度も言及されており、Switch 2 のローンチタイトルとして、かなり最適化に気合いを入れているという印象を受けました。
数々のきらびやかな街を爆走しても安定のプレイ感。唯一イラっとしたのは「自分のゲームのヘタさ」
一通りクエストをこなした後に案内されたのは、本作の舞台となる「ナイトシティ」の街中をバイクで爆走するシチュエーション。
当然、徒歩での移動より高速で移動することになるため、次々と建物や風景を読み込むことになります。
……なんだか『アルティメットエディション』の耐久テストのようになって心苦しい気もするのですが、スタッフの方も「せっかくなら人の多い場所で!」とおっしゃっていたので、遠慮なくカッ飛ばして行くことにしました。
『サイバーパンク2077』のタイトル通り、本作の街並みはまさにサイバーパンクの雰囲気が色濃く表れています。さまざまな色のネオンや電光掲示板のあいだをどんどんと走り抜けていきますが、こちらも非常に疾走感のあるドライブが楽しめます。
オートセーブが挟まる瞬間のみ若干の「ラグ感」を覚えましたが、それ以外の箇所は非常になめらか。体験中に走った範囲では、ほかに引っかかるような感触を覚えたエリアはありませんでした。

オープンワールドを自由でシームレスに走り抜けるというプレイ体験においても快適性が担保されているということで、スタッフの方が自信たっぷりにこのドライブを体験会のメニューに取り入れたことも納得です。
唯一ストレスを感じた点があるとすれば、筆者自身の運転スキルがヘタすぎるということぐらい。対向車に吹っ飛ばされたり、壁にぶつかったりを繰り返して非常に恥ずかしかったのですが、ゲームプレイの面では非常に快適に遊ぶことができました。
Switch 2 の目玉「マウス操作」は「めっちゃマウス」。大作RPGの可能性を広げる新たな操作方法になっている
続いて体験させていただいたのは、Switch 2 の目玉機能のひとつであるJoy-Con 2のマウス機能を使用した操作タイプ。Switch 2 の発表から気になっていた方も多いのではないでしょうか。
本作も、Joy-Con 2のマウス機能に対応。本作のマウス操作は、左手のJoy-Con 2を通常のコントローラーとして使用して移動し、右手のJoy-Con 2をマウスとして使用することで視点操作などを担当できるハイブリッドなプレイスタイルとなっています。
銃器を用いた戦闘もたびたび発生する本作ですから、マウスでのエイム操作に慣れているプレイヤーにとって、『サイバーパンク2077』をプレイするのにうってつけの機能となるでしょう。
実際に触ってみた感触としては、「Joy-Conなんだけど、めっちゃマウス!」。何を当たり前の事を言っているんだと思うかもしれませんが、これが率直な感想です。
発売前なので当然かもしれませんが、筆者もJoy-Con 2のマウス操作を体験するのはこれが初めて。Switchで慣れ親しんだJoy-Conの手触りを感じつつも、その側面をテーブルに置いてマウスのように操作するのはまさに新体験でした。
マウス操作の際のJoy-Con 2は、側面が4ボタンになった細長いマウスのような感触です。握り方はPC用マウスのセオリーと若干異なるため、時間の限られた試遊では若干苦戦しました。
ただ、それよりも感動したのは、手首や腕を振った時の感触。語彙力が低下して「めっちゃマウス」と言いたくなってしまうほど、動かしたとおり機敏に反応してくれます。

スティック操作と違い、緩急のある操作がしやすいのがマウス操作の利点ですよね。たとえば、一瞬だけ上を向いてグレネードを遠投したり、いつのまにか後ろを取っていた敵へ即座に振り向いたり。
普段PCゲームをプレイする機会の多い筆者も故郷の味と言わんばかりに、無駄にブンブン視点を振り回してしまいました。短時間の試遊でしたが、マウスとしての反応は充分ゲームプレイを楽しめるレベルだったと感じます。
また、今回の試遊バージョンでは体験できなかったのですが、製品版では近接武器を装備した際などにJoy-Con 2を振ることで攻撃ができる「モーション操作」が可能になるとのこと。どの操作タイプを使うかはプレイヤーの好みで設定できるとのことなので、そちらも楽しみです。
個人的な経験ベースで言うと、Switchのゲームの場合、携帯モードで遊ぶ場合や、Joy-Con独自の機能をフル活用するような体感型のゲームを遊ぶときはJoy-Conで、腰を据えてどっしり遊びたいタイトルはTVモードでProコントローラーを使用することが多かった印象です。
Switch 2 では、こうした操作モードの追加により、「じっくりデスクで遊びたい」といった場面においても、Joy-Con 2で遊びたくなるシチュエーションが増えたというのはゲーム体験としての幅の広がりを感じさせられました。
パフォーマンスの落ちる「携帯モード」であっても「ストレスのなさ」にめちゃくちゃ配慮されている
最後に体験したのは、Switch 2 の「携帯モード」でのプレイ。言葉を選ばず言えば、ユーザーの皆さんが「Switch 2 で『サイバーパンク2077』がプレイできるのか?」と懸念していた最大の要因は、こちらにあるのではないでしょうか。
ご存じの通りSwitchシリーズは、テレビに接続する「TVモード」と、Switch単独でプレイできる「携帯モード」や「テーブルモード」を使い分けることが可能なゲーム機です。
「ドックに接続することで全力を発揮するTVモードではともかく、気軽にプレイできるもののパフォーマンスが低下する携帯モードなどで『サイバーパンク2077』がマトモに動くのか?」というのは、ユーザーの皆さんが気になる点だと思います。
同席したスタッフの方も、「携帯モードでプレイしたときに、Switch 2 でプレイしている実感が湧いた」と話されていた本モード。Switchシリーズの醍醐味である「外出中でも、寝そべりながらでも気軽にプレイできる」という体験はどのようなものに仕上がっているのか?
開発用の機材を使用した関係上、今回の試遊画面をお見せすることはできないのですが、本作の「携帯モード」をプレイした感触をご紹介します。
結論から言うと、画質などはやや低下するものの、TVモードの時に感じたのと同様の安定感があり、気軽に遊べる携帯モードのコンセプトが損なわれないように配慮が行き届いていると感じました。
まず注目なのは、携帯モードでのロード速度。携帯モードに切り替えた後、場面を切り替えるために別のセーブデータを読み込んだのですが、その際の初期ロード時間は、想像していたよりもかなりスムーズでした。
厳密な計測はできなかったのですが、体感では30秒ちょっと。数字で見ると長い気もしますが、本作は多数のオブジェクトやキャラクターが配置された広大なマップをシームレスに行き来できるオープンワールドゲームです。必然と初回読み込みの比重が大きくなるなかで、このロード時間は「かなり頑張っているな」と感じました。
スタッフの方も「めちゃめちゃロードが短いわけではないが、ストレスを感じるレベルにはなっていない」とおっしゃっていたのですが、筆者もまさに同様の感想です。
また、携帯モードでの実際のゲームプレイも非常になめらかです。TVモードと比べるとさすがに画質は落ちますが、カクつきの無さや操作感の良さなどはほとんど遜色ありませんでした。こうした点からも、アクション・シューティング要素の多いオープンワールドゲーとして、「ストレスのなさ」に極限まで配慮した移植版が本作なのだと思わされます。
なんでも、本作の携帯モードでは、Switch 2 に搭載された「VRR(可変リフレッシュレート)」というシステムを採用しているとのこと。これにより、プレイ中の画面のチラつきやカクつきを抑える作用があるそうです。
総じて、Switch 2 版『サイバーパンク2077』は、移植版としての丁寧さを随所に感じる作品です。本作での体験はもちろん、最高のパーツを揃えたPCでの画質などには及びません。ただ、『サイバーパンク2077』を気軽に手に取ってほしいという熱量を非常に感じるタイトルになっている点は、しっかりと評価するべきでしょう。
冒頭にも述べましたが、本作の移植が発表された時には、言葉を選ばず言うと「正気か!?」と思った方も多いと思います。
ただ、先行プレイを通じて、『サイバーパンク2077 アルティメットエディション』は新作ハードの機能をフル活用しながら、丁寧な最適化を伴って移植された大作オープンワールドRPGの良さを保っているということを感じました。
Switch 2 が発表された時、筆者は「これによってゲーム機器の垣根が崩れていくのでは?」という思いを抱きました。
マウス操作を基本とするタイトルがSwitch 2 で遊べたり、それまでは据え置き機やPCでしか遊べなかったハイエンドタイトルが携帯モードでより気軽に遊べるようになったり……。
『サイバーパンク2077 アルティメットエディション』は、そんなこれからのゲームの広がりを予感させてくれる作品となっているので、既プレイの方も、まだ触れたことのない方にも、是非遊んでみていただきたいと思います。
『サイバーパンク2077 アルティメットエディション』は、Nintendo Switch 2 の発売と同日の2025年6月5日(木)より発売予定です。