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『MtG』×『スパイダーマン』コラボにて、手札確認とコスト課税で相手に圧力をかけ続ける《サイオニック・ウィーバー アラクネ》が登場【電ファミ独占カードプレビュー】

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ゆくユニバースビヨンド、くるユニバースビヨンド……。

『マジック:ザ・ギャザリング』(以下、『MtG』)が豪華すぎる他IPとコラボする夢のエキスパンション、ユニバースビヨンド。

あの『ファイナルファンタジー』シリーズとコラボし、全世界に熱狂を巻き起こした『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』が終わるとどうなるでしょうか? そう、『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』がはじまります!

「スパイダーマン」といえば、1960年代からつづく知らない人などいないレベルの超大人気アメコミ・スーパーヒーロー。わざわざ記事で説明する必要のないほど知られている、そんなキャラクターです。

たとえコミックを読んだことがなくても、トビー・マグワイア氏主演の映画『スパイダーマン』や、アンドリュー・ガーフィールド氏主演の映画『アメイジング・スパイダーマン』トム・ホランド氏主演の映画『スパイダーマン』をみたことがあるという読者の方も少なくないでしょう。

全世界で人気なスーパーヒーロー『スパイダーマン』と同じく世界的な人気を誇るカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』という、全ユーザーが待ち焦がれたコラボレーションが、9月26日より発売されます(WPN店舗では9月19日)。

そんな全世界待望の最新エキスパンション発売を前にして……。なんと電ファミでは今回も独占先行プレビューをさせていただけることになりました!

やったー!

ということで早速ですが、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストさんからお預かりした超貴重な一枚を独占公開させていただきます!

文/Squ
編集/うきゅう


新規カード《サイオニック・ウィーバー、アラクネ》

【独占公開】『MtG』×『スパイダーマン』コラボの最新カード《サイオニック・ウィーバー アラクネ》が登場_001

《サイオニック・ウィーバー、アラクネ》(2)白

伝説のクリーチャー ― 蜘蛛・人間・英雄

ウェブスリング(白) (あなたがコントロールしていてタップ状態であるクリーチャー1対をオーナーの手札に戻すなら、この呪文を(白)で唱えてもよい。)
これが戦場に出るに際し、対戦相手1人の手札を見る。その後、あなたはクリーチャーでないカード・タイプ1つを選ぶ。
その選ばれたタイプの呪文を唱えるためのコストは(1)多くなる。

『マジック:ザ・ギャザリング』の世界にやってくるスパイダーマンは、ピーター・パーカーやマイルス・モラレスだけではありません。後に2代目マダム・ウェブとなる「スパイダーウーマン」こと「アラクネ」も登場します。

【独占公開】『MtG』×『スパイダーマン』コラボの最新カード《サイオニック・ウィーバー アラクネ》が登場_002
▲アラクネ(ジュリア・カーペンター)(画像はマーベル公式サイトより)

1984年10月刊の『Secret Wars #6』でスパイダーウーマンとして初登場したアラクネ(ジュリア・カーペンター)は、政府の極秘実験によってスパイダーマンに近い力を授かった人物です。彼女の最大の特徴は、蜘蛛に噛まれたピーター・パーカーとは異なり、精神エネルギーを糸として具現化する「サイオニック・ウェブ」を操る点にあります。

この糸はピーターが扱う糸よりもはるかに柔軟で、精神による細かな制御が可能です。戦闘では敵を絡め取る網や移動のためのロープとして働くだけでなく、糸を通じて周囲の環境や相手の行動の変化を察知するスパイダーセンスのような役割も果たします。

こうした「精神で編まれたクモ糸」という原作の設定は、《サイオニック・ウィーバー、アラクネ》のカードテキストにも巧みに落とし込まれているようです。

3マナ3/3という標準的なスタッツに加え、条件付きですが1マナでの展開を可能にする「ウェブスリング」能力、さらに相手の手札を確認することもでき、クリーチャー・タイプを除く特定のカード・タイプに対して追加のマナコストを要求する、いわゆる「課税」能力も持っています。

相手の手札を覗き見ることで思考を探り、さらに特定のカード・タイプに追加コストを課して行動を縛る……。

まさにサイオニック・ウェブによる行動の先読みや、カードゲームにおける相手の“択”への干渉をうまく表現したデザインといえるでしょう。

アグロ系デッキや召集ギミックとの組み合わせに期待。また、ウェブスリングによって“伝説”のデメリットを軽減している点にも注目

《サイオニック・ウィーバー、アラクネ》は3マナ3/3と、数字だけに注目すると“普通の中堅クリーチャー”に見えます。しかし、ここに「ウェブスリング」が加わることで、まったく違った顔を見せます。

タップ状態の自軍クリーチャーを戻すことで白1マナで唱えられるため、2ターン目に戦場へ着地させることが非常に現実的です。たとえば1ターン目に1マナのクリーチャーを展開し、2ターン目にそのクリーチャーで攻撃。
そのまま第2メインでウェブスリングを使えば、わずか1マナで手札確認+課税付きの3/3が立つことになります。戦場に出た時に効果を発揮する、いわゆるETB能力持ちのクリーチャーを使いまわすことができれば、アドバンテージはさらに拡大することでしょう。

《アラクネ》のもたらす「相手の手札を確認できる情報アドバンテージ」と「コスト増加による相手のテンポ阻害」は、白系アグロなどの「展開速度で押し切る」戦術に非常にマッチしていると言えます。

条件付きとは言え1マナという低コストで展開が可能なことから、同一ターン内のダブルアクション、トリプルアクションとして、非常に取り回しが良いカードです。さらに、相手のハンドを見ることで“前方確認”をおこなえれば、このターンに全力で動いてもいいのかどうかの判断も、かなりつきやすくなります。

そのため、序盤のビートダウンをしながら相手の除去や後続を縛る動きは、実際に回してみると予想以上にいやらしいかもしれません。

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相手の全体除去を1ターン遅らせることができれば、状況は大きく変わるかも……?(画像は『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』カードイメージギャラリーより)

召集との組み合わせも気になるところ。クリーチャーをタップして召集呪文を唱え、その上でタップしたクリーチャーをウェブスリングで戻して《アラクネ》も展開する……といった動きも可能かもしれません。どこまで現実的かは検証が必要ですが、ちょっと試してみたくなりますね。

また、《アラクネ》だけでなく「ウェブスリング」能力全般に言えることですが、この能力によって“伝説のクリーチャー”であることのデメリットを若干軽減しているのも注目ポイントです。

伝説のクリーチャーはレジェンド・ルールにより、2体以上並べて展開することができず、複数枚引いてしまった際には手札で余らせてしまうケースが少なくありません。

その結果として、デッキへの採用枚数に頭を悩ませることにもなるわけですが……今回ご紹介している《アラクネ》ならば、戦場にいるタップ状態の《アラクネ》を手札に戻すことで、1マナで2枚目のアラクネを再展開できます。

相手の手札を見ることができ、またカード・タイプへの課税能力を持った本カードであれば、そのメリットは決して小さくないでしょう。

1枚目を出してから今までのあいだに相手が何をドローしたのかを確認し、現状最も有効なカード・タイプを再指定することで、自身の優位をさらに盤石なものにすることもできるかもしれません。

クリーチャータイプ・人間を活かせ!

モダン以下の目線で本カードを見た時の注目ポイントは、やはり「人間」であることでしょうか。人間デッキへの採用を考えてみると思いのほかしっくりきそうです。

たとえば《霊気の薬瓶》を使えばインスタントタイミングでいきなり戦場に出すことができ、相手のアップキープに合わせて手札を覗き、そのターンの重要なカード・タイプに課税をかける。そんな芸当も可能かもしれません。

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(画像はMagic: The Gathering Card Databaseより)

ところで、「白、人間、相手の手札を見る、そして“課税能力”持ち」と来れば、《精鋭呪文縛り》を思い出す読者も少なくないでしょう。マナコストも同じ3マナということで、本カードにとってはライバルとも言える存在です。

そんな《精鋭呪文縛り》との違いを考えてみましょう。まず飛行を持っておらず、アタックを通しにくいのは明確なデメリットです。タフネスでは《サイオニック・ウィーバー、アラクネ》に軍配が上がりますが、同じパワー3ということを考えると、《精鋭呪文縛り》の前のめりさが好まれるケースは多いでしょう。

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(画像は『ストリクスヘイヴン:魔法学院』カード・ギャラリーより)

一方で、条件付きとはいえ1マナで展開できる点や、“課税能力”の対象が1枚であるか、ひとつのカード・タイプすべてであるかは大きな優位点と言えます。

《アラクネ》はクリーチャー・タイプを指定する事こそできませんが、アーティファクト呪文、エンチャント呪文など特定のカード・タイプを多数搭載した特化型デッキに対しては、《精鋭呪文縛り》よりも効果的に機能するケースも少なくないのではないでしょうか。

特に軽量呪文を連打するアーティファクトデッキやストームデッキにとって、0マナと1マナの差、1マナと2マナの差は重くのしかかります。メインからの採用に限らずとも、そういったデッキに対してサイドボードから投入することで、相手を機能不全に陥らせることもできるかもしれません。

また、《貴族の教主》を始めとする「マナクリーチャー」など、能動的にタップできるシステムクリーチャーとの相性も良好です。《貴族の教主》を1ターン目に置いて2ターン目にマナを出し、タップした《貴族の教主》を戻して《サイオニック・ウィーバー、アラクネ》をウェブスリングで展開、というルートなら実質的に“1マナで3/3を早出し”する感覚に近いテンポ感を得られるかもしれません。

【独占公開】『MtG』×『スパイダーマン』コラボの最新カード《サイオニック・ウィーバー アラクネ》が登場_006
(画像はMagic: The Gathering Card Databaseより)

《自我破砕》で増やしちゃおうぜ……!

統率者戦では「手札を覗く」「呪文に課税する」というシンプルな能力が意外な存在感を放ちます。対戦相手が複数いる環境では、「特定のプレイヤーが持っているキーカードを1ターン遅らせる」だけで卓全体の空気が変わりますし、場合によっては同盟を築くきっかけにもなりえます。

3/3というサイズ自体は控えめですが、戦場に出るだけで政治的な影響を与えられるのがポイントです。白のストンピィやヘイトベアー寄りの戦略に自然に溶け込みつつ、精神の糸で相手の行動を縛るという“フレーバー的な面白さ”も兼ね備えています。

強烈なフィニッシャーではありませんが、「ちょっと相手のプランを揺さぶる役回り」として、統率者戦では十分ユニークなポジションを得られそうです。

さらに、《自我破砕》を使ってアラクネをばら撒くと、状況は一気にカオスになります。それぞれのコピーは新しいコントローラーの下で戦場に出るため、どのプレイヤーの手札を見るか、どのカード・タイプに課税をかけるかは、そのプレイヤー自身が決めることになります。

結果として、全員が同じ方向を縛るとは限らず、それぞれが別の相手やカード・タイプを選んで、テーブル全体に糸が張り巡らされるような混沌が生まれるのです。

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(画像はMagic: The Gathering Card Databaseより)

これは、《アウグスティン四世大判事》のように「全員に一律の課税をかける」カードと比べて大きな違いです。アウグスティンは明確にヘイトを集めやすいのに対し、アラクネは選択の自由度をプレイヤーごとに与えるため、場を分断したり、逆に協力を生んだりすることもありそうです。

競技的な要素だけでなく、パーティゲームとしての側面も持った「統率者戦」ならではの遊びと言えますね。こういった使い方で卓を盛り上げるのも、『MtG』の醍醐味ではないでしょうか。

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(画像はMagic: The Gathering Card Databaseより)

戦場に出るときに相手の手札を覗き、カード・タイプを指定して課税をかけるというシンプルながらもいやらしい動きが魅力的な《サイオニック・ウィーバー、アラクネ》。いかがだったでしょうか。

スタンダードでは白単アグロのテンポゲームに寄与し、モダン以下では「人間」である点を活かした使い方や、軽量呪文を連打するデッキへの睨みを利かせられます。そして統率者戦では、《自我破砕》のようなカードと組み合わせることで卓全体を一斉に糸で絡め取る、カオスなゲーム展開を演出できるのも魅力です。

強烈なフィニッシャーというよりも、情報を握り、テンポを揺さぶり、場の空気を変える、そんなテクニカルな存在。『スパイダーマン』コラボという話題性とあわせて、デッキに組み込んだときの「ちょっとした面白さ」を楽しめるカードになりそうです。

最新拡張セット『マジック:ザ・ギャザリング | マーベル スパイダーマン』は、9月26日(WPN店舗では9月19日)より発売予定となっています。『スパイダーマン』の本拠地ニューヨークはマンハッタンを皮切りに、本セットへの熱は最高潮を迎えています。

余談ですが、筆者自身、とある事情でニューヨークにて本稿を執筆しています。『スパイダーマン』の本場で『スパイダーマン』のカードプレビューをさせていただけたのは、一生の思い出になりそうです。

本カードはスタンダード環境に収録され、幅広いフォーマットで使用可能となっているので、ぜひ様々なデッキに組み込んで使ってみてください。

【独占公開】『MtG』×『スパイダーマン』コラボの最新カード《サイオニック・ウィーバー アラクネ》が登場_009

© 2025 MARVEL

ライター
最近ゲーム業界にサメ映画ブームが来ている気が・・・え? 『スター・ウォーズ』のゲームが出すぎて手が回らない毎日。1日36時間欲しい。
編集者
小説の虜だった子供がソードワールドの洗礼を受けて以来、TRPGを遊び続けて20年。途中FEZとLoLで対人要素の光と闇を学び、steamの格安タイトルからジャンルの多様性を味わいつつ、ゲームの奥深さを日々勉強中。最近はオープンワールドの面白さに目覚めつつある。
Twitter:@reUQest

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